パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

星への旅 吉村 昭 54

2019-05-12 | 吉村 昭
吉村昭の初期の短編集「星への旅」

昭和30年代から40年初めの6篇を収録。

ボクシングフライ級チャンピオンがロードワーク中に列車に轢かれた。その原因は。サスペンスタッチで描く「鉄橋」昭和33年(1958)
病気で死んだわたしは16歳。2ヵ月半にわたり、解剖され、火葬場へ。死者が語る死後の世界「少女架刑」昭和34年(1959)
60歳を過ぎた光岡倹四郎は、死体にメスを入れ、骨の標本をつくるバラシ屋。その生活に母娘が入ってくる。「透明標本」昭和36年(1961)
北岡英一は大学生。姉の佐知子と2人で暮らしている。そんな彼が偶然、幼馴染の曽根と出会う。彼は石仏の収集家で、過去に女性との自殺未遂事件を起こしていた。そんな曽根が北岡の家へ転がり込む。「石の微笑」昭和37年(1962)
予備校生の圭一は、自殺願望の集団と出会い、意気投合する。死の瞬間を描いた「星への旅」昭和41年(1966)
空襲の体験。戦争が影を落とす人々の空虚さ。「白い道」昭和42年(1967)。
昭和33年(1958)に作家デビューした吉村が、発表した初期の作品群。この中で「鉄橋」「透明標本」「石の微笑」が芥川賞候補作となる。

全編に強烈な死へのメッセージを残す。ぎらぎらするような研ぎ澄まされた感性の中に、空虚さが常に寄り添う。


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