パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

一年の計 ブルックナー 4 シンフォニー第8番

2009-01-03 | music/classic/Bruckner
せっかくのお正月です。皆と語らう、映画を見る、読書をするのもよし、体を動かすのもよし。1年間の事始めの時です。いい時を過ごしたいものです。今年1年に思いを馳せながら。

恥ずかしながら、この8番を通して聞いたのは50年の人生で今回が初めてです。小説でも映画でも自分なりの旬があります。NHKの連ドラ「だんだん」ではないですが、要は今、80分にもわたるこの名曲とのご「縁」があったということだと思っています。

ホルン8人、トランペット3人、トロンボーン3人、バスチューバ1人という金管の楽器編成。ハープも効果的で、そのすばらしい美しく力強い主題の数々と重厚な和音、そして強弱も魅力です。

1887年、ブルックナーが63歳の時に完成した「わたしが書いた曲の中でもっとも美しい音楽」と自信を持っていたといいます。ベートーベンの第9と肩を並べ、古今東西のシンフォニーの中でも随一といわれます。

初めてこのシンフォニーの世界に触れた私なんぞがコメントするのもおこがましいのですが、狂おしく、耽美な世界が繰り広げられます。

それぞれの楽章で繰り広げられるメロディラインの美しさはとにかく聞くしかないのですが、圧巻は優美な3楽章、アダージョです。
演奏時間は1楽章、2楽章とも15分程度ですが、この3楽章と4楽章とも20分を超えます。

その1楽章は、2楽章で登場するブルックナーがドイツの野人(田舎もん)と呼ぶ主人公の誕生を思わます。
人生の内面を思わせる、おどろおどろしくも悲しき1楽章。ここまで人は堕ちていくのでしょうか。

2楽章は、その田舎者の生き様とでもいいましょうか、生活臭とやすらぎのあるリズミカルな楽章です。

3楽章はこの世に比類なき美しさといわれるひひと時です。悲しくもつらいこの世に、舞い降りた天使、神、救世主か。我々を救いたまえ。

4楽章はテンパニーの効果的な勇壮な雄たけび。この世から昇天するかのごとく、我々を導きたまえ。それぞれの楽章の主題が折り重なっていくクライマックスは壮絶でもあります。計算しつくされた心憎い演出でしょうか。

このブルックナー8番を映像で見ました。
カラヤンが71歳の時、ウィーンフィルを振った1979年6月の映像です。オーストリアの都市、リンツの教会、ブルックナーが眠るザンクト・フローリアンでの収録です。

脊髄をわずらったカラヤンが、少し体に不自由さが見て取れます。
しかし、目をつぶり指揮するカラヤンはまさに巨匠の風格です。そしてときに笑みを浮かべ、体全体でこの長大な曲をあやつります。
まさに圧巻です。

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