パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

ふたり女房

2014-02-16 | book
澤田瞳子。1977年昭和52年生まれ。。京都奈良をフィールドとする30代の若い時代小説『ふたり女房』を読んだ。新聞書評から。

2011年から2013年に掲載された6話からなる2013年5月刊行。江戸時代、京都の薬草園「鷹ヶ峰御薬園(たかがみねおやくえん)で医師・薬師として暮らす21歳の元岡真葛(もとおかまくず)を主人公にした推理編。冒頭の登場人物の難しい紹介のくだりが気になるところではある。

養子をもらったものの凋落を始めた老舗の薬問屋。そこに奉公する姉さんに会えない。そんな相談に応じる真葛。悲しい結末に出会う。「人待ちの冬」
学者の延島杳山(ようざん)28歳と出会った真葛は、町で仏像を切り売りする中年の僧と出会う。その僧を追う男の悲しい思い。医師として悩む真葛。「春想悲仏」
ともに暮らす実の兄と慕う医師の匡(ただす)の子が疱瘡にかかった。時を同じくして公家の子供もかかり、匡と真葛はかけつける。疱瘡にまつわる秘話。「為友さま御宿」
紅葉狩りに出かけた匡と真葛は、気の強い妻を持つ養子の武家と出会う。そんな折、治療に向かった寺院に、その武家と同じ名前の人物を待つ、目の不自由な女性と出会う。いつの時代、女性が男性をリードするという「ふたり女房」
「初雪の坂」。孤児の小吉が御薬園から薬を盗んだ。そんな折、真葛の知り合いの隠居が御薬園からもらった薬が原因で無くなったという。2人には、共通のお寺があった。
「粥杖打ち」。宮中の恒例行事。お尻を粥の柄杓でたたいて安産を願う。そんな折、23歳の真葛に江戸行きの話を延島杳山が持ってくる。一方、宮中を下がった商家の娘が妊娠したとのうわさが市中に流れる。女性と勉学。江戸行きを決意する真葛。

さまざまな登場人物に囲まれて悩みながらも成長する真葛がさわやか。京都の香りがそこはかと漂いいい雰囲気だ。まだ、若い作家と登場人物である。話題や見所には事欠かない古都、京都が舞台。住んでなくても、地名や施設名を聞いて、何か親しみが湧くのは、私だけだろうか。最後に真葛の江戸行きの雲行きもあり、これからも連載してくれるといい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする