ぶらぶら人生

心の呟き

長屋門珈琲 「カフェ・ティカル」

2006-07-16 | 旅日記
 7月13日、山口県立萩美術館の展示品を見た後、長屋門珈琲の店「カフェ・ティカル」へ向かった。
 小川家長屋門を入ると、自家焙煎のコーヒー、なんでもありの喫茶店がある。それが「カフェ・ティカル」である。
 ドアを開けると、たちまちコーヒーの香に包まれて、思わず頬が緩む。
 お店のたたずまいが普通のお店とは変わっている。萩の城下町らしい名残と異国的な風情とが、渾然としていて、しかも違和感がない。
 二年前に、ジパングの冊子で、この喫茶店のことを知り、やはり萩美術館の展覧会を観た帰りに、タクシーで立ち寄ったことがある。
 それ以来、二度目の訪れである。今回は友人の車で。
 お店の雰囲気は全く変わっていなかった。
 前回は、店内に置かれたコーヒーの木の鉢植に気をとられ、コーヒーをいただきながら、お店のマスターに、その木の育て方などを伺った。
 相変わらず、大きな鉢にコーヒーの木は植わっていたが、今は、白い花も赤い実もなかった。
 あれは、どの季節だったのだろう? 帰途、東萩駅に向かって松本川沿いに歩くとき、風が冷たかったことを思い出す。春先だったのか、晩秋だったのか。
 コーヒーの木に、花もあり、実もあったということは、時期が限定できそうなのに、よく分からない。
 このたびは、ゆっくり窓の外に広がる庭も眺めた。奥行きのある庭に、木々や草花、古い灯篭などがあって、外でも喫茶できるように、テーブルや椅子が、やや無造作に置かれている。この庭の、あまり手入れの行き届いていないところが、かえって自然でいい。

 ゆったりと休んで、お店を出るとき、以前来たとき、折角コーヒー豆をいただいたのに、栽培に失敗したことをマスターに話した。勿論、マスターが、一見の客との対話など、覚えておられるはずもない。
 お店を出て、長屋門周辺の写真を撮っていると、マスターが店から出てこられた。
 「たった二粒ですが、少し乾かしてから、植えてみてください」
 そう言って、ビニールの袋に入った豆を手渡してくださった。
 その時だった。
 長屋門の入り口に繋がれていた犬が、私に向かって、猛然と吠え始めたのは。
 これには驚いた。
 それまではおとなしく悠然と寝そべっていたのに。
 犬の心理を察するに、<わが主人のものを取る勿れ>と、怒ったのだろう。マスターが、どうぞと差し出したものを、こちらは丁重にありがたく頂戴したのに、犬の方は、私が主人のものを奪ったと、思い込んだに違いない。
 犬の、主に対する必死な忠誠心に、驚嘆した。

 帰宅後、二年前に貰った、<コーヒー豆の育て方>を記した、一枚のマニュアルを探し出した。こまごまと水遣りの仕方などが書いてある。
 さて、今回はうまく発芽させることができるかどうか。
 昨日は7月15日、区切りのいい日なので、二鉢に一粒ずつ、コーヒー豆を播いておいた。マニュアルによると、40~60日で発芽するらしい。

 (写真は、「カフェ・ティカル」の入り口。)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする