9月4日の朝日新聞で、天野祐吉氏編集の『「隠居大学」よく遊びよく遊べ』(朝日新聞出版)という本のあることを知った。
早速、アマゾンに注文した。
10日には届いていたのだが、暫く机の上に放置していた。
昨夜、手にとって読み始めると実に楽しく、就寝までに読了した。
天野祐吉氏については、朝日新聞の連載コラム「CM天気図」で、その名を知り、自由闊達な文章が気に入り、必ず読んできた。
この本は、6人の著名人との対談集である。
横尾忠則
外山滋比古
赤瀬川原平
谷川俊太郎
坪内稔典
安野光雅
詩文を読んだり、絵画に接したり、興味を持っている人たちである。
語られる言葉の背景に、それぞれ個性的な生き方があり、お相手の天野さんを含め、蘊蓄のある語りには、えもいえぬ味があって面白かった。
<隠居大学>とあるとおり、老境の生き方の話なのだが、若い人が読んでも楽しめるお話である。堅苦しさがなく、うふふと思わず笑いを誘われたり…。
<よく遊びよく遊べ>と、サブタイトルにあるように、しかつめらしく生きるのではなく、自由を楽しんでいいんだよと語られているので、気が楽になる。
特別な価値観の押しつけでないのがいい。
私のように、勝手気ままに生きている人間にとっては特に…。
上記の6人のうち、坪内捻典氏については、名前しか知らなかった。
いかなる俳人なのか、どんな名句があるのか、無知に等しかったので、初対面の人の話を聞く、別の楽しみがあった。
本の表紙に描かれた猫の絵が気に入った。
私は、犬派というより猫派。
しかし、猫を飼って猫に縛られたいとは思わない。
ただ、生き方としては、猫的が好みに合っている。
恣意に生きることを自責せず、意のおもむくままに日々を暮らしたい。
自分自身が充足感を覚える過ごし方であれば、申し分ないと考えている。
私は私の<隠居>を卑下することなく、私なりに生きてゆこう。