鷽である。
鷽については、写真でしか見たことがない。
歳時記を見ると、春の季語となっている。
<あたかも口笛を吹くようなやわらかい声で鳴く>とある。
姿を肉眼でとらえたこともないし、その声を聞いた記憶もない。
大宰府と鷽は切り離せない鳥のようだ。
「鷽替」(うそがえ)という神事が行われ、季語になっていることも知らなかった。
1月7日の夕刻に行われる行事だという。
鷽替神事について、歳時記には、次のように書いてある。
<参詣人は手に手に小さい木製の鷽をもち、「替えましょ、替えましょ」と唱えながら交換する。その中に神官たちが十二の金製の鷽を持って紛れ込み、その金の鷽と替え当てると幸運に恵まれるという。鷽は神棚に奉っておくと防災の守りとなると信じられている。>
と。
東京江東区の亀戸天神社や大阪北区の天満宮でも、この神事は行われるという。
全く知らなかったが、なんだか楽しそうな神事だ。
博多に一泊し、翌日は、県立美術館に立ち寄った。
年末なので、企画展はなく、<福岡県立美術館コレクション展>を見てきた。
多部門にわたる作品が展示されていて、予想以上に楽しめた。
中でも、高島野十郎の、「蝋燭」を含む6作品を見ることができたのは幸せだった。
さらに、受付で、<旅する野十郎>という上質の冊子までいただいて、嬉しくなった。それには、展示されていない作品も載せてあって…。
短いけれど、いい旅であった。