ナガサキの原爆読本
全4冊
10月初旬、帰宅した際、書棚から取り出し、施設に持参した本の一つ。
ケースに4冊の冊子が入っている。かつて読んだ本かどうかも思い出せないままに。
<こどものための>とあるのが嬉しい。これなら少々疲れ気味の老いの頭にも理解できるだろう、と。
初級用 雲になってきえた ナガサキのげんばくとくほん
中級用 夾竹桃の花さくたびに ナガサキの原爆読本
上級用 原子野のこえ ナガサキの原爆読本
中学用 三たび許すまじ ナガサキ原爆読本
編集は、長崎県原爆被曝教職員の会 平和教育資料編集委員会 編
初版は1972年だが、私の手元にある本は、1982(昭和57)年刊の六版である。
どういう経緯で入手したのかも覚えていないが、読んでみて、初読であることを知り、もったいないことをした思いである。
改めて、原爆を投下されたナガサキの悲惨な現実についての認識を深め、ナガサキのこどもたちとともに、生き方を考えつつ思索を深めた。
原爆投下に至るまでの歴史についても、正しく教えてくれる本であった。
学年に合った表現で、4冊4様の趣向を凝らした、立派な読本である。
その時代を生きてきて、ヒロシマやナガサキに投下された原爆の悲惨を知っている私にとっても、改めて、学ぶことがたくさんあった。分かっているようで、曖昧な認識にとどまっていることも多々あることに気づいた。
これは多くの子どもたちだけでなく、一般人にも読んでほしい本である。
昭和8年生まれの私が、その前の大正時代については無知に等しいように、(日本史でも世界史でも、学校で学ぶ内容は、現代史に至らずに、学年末を迎えたような気がする。)
同様に、戦後世代の人たちには、日本が戦争を始め、敗戦を迎えるに至った経緯など、知らない人が多くなっているのでは? との危惧を覚える。
8月6日には広島で、8月9日には長崎で、「原爆の日」として、それぞれ原爆犠牲者の慰霊と平和を祈念する式典が行われている。が、果たして、どれだけの人が、それを機に、私たちの生き方や世界中の人々にとっての平和のあり方について考えているだろう? 他人事として受け流している人が多いのでは?
4冊の本を読了し、こども向けの本ながら、大人にとっても読み応えのある本だと感じた。
今も再販されているといいな、と願ったが、ネットで調べたところ、古本でしか入手できなくなっている。
被曝地長崎においてさえ、この本を読ませたくないと考える教育現場もあったのだから、版を重ね続けることは無理だったのは当然だろう。しかし、この本を読ませたくないと考える人の存在こそ、不可解である。
古書なら今でも入手が可能なので、多くの人に読んでいただきたいと思った。読むことで、志は、重みを増してくるに違いない。
老いの日々は、かなりだらしなくなり、本を読み終えても、なかなかブログにまとめることができなかった。
今晩のニュースで、核兵器廃絶を訴え続けて来られた広島の坪井直さん(96歳)の逝去を知り、この機を逃さず投稿しようと、いい加減ながら、この紹介文を書いた。
坪井さんの志を継ぐ、若き人々が増えることをも願いつつ。
朝焼けの今朝の空
[戦時下がそうであったように、敵機に怯えつつ眺める空にしてはならない。]