班長のSさん宅へ、常会費を納めに行く。
雨が近いらしく、湿っぽい大気が、肌に纏わりつく感じだ。
<嫌いな夏がやってくる>と思いながら歩いていると、待ち望んでいた
ホトトギスの声が三声聞こえた。
キョッキョ キョキョキョキョ
キョッキョ キョキョキョキョ
キョッキョ キョキョキョキョ
それに次いで
ウグイスも、一声
ホーホケキョと、唱和する。
ウグイスの声は、春先から幾度も聞いている。
ホトトギスの声を聞ける時期は、ウグイスほど長くない。
明日から、戸外に佇む折には、季節の声に耳を澄ますことになるだろう。
(昨年の日記を確かめると、5月15日に、その声を初めて聞いたと記している。)
もう一つ、思いがけない出逢いがあった。
Sさん宅へ向かっているとき、
<花独活(ハナウド)>の群生が、目に飛び込んできたのだ。
これまでも(毎年)、同じ場所に咲いていたのかどうか?
この季節、花独活は、野趣に富んだ野の花として、非常に目立つ。
が、間近に眺めるのは、今日が初めてであった。
小花が集まって水平に咲いているように見える。
が、近寄ってみると、確かに小さな花の集合体ではあったが、少々中高に盛り上がっている。
(タブレットで、花独活について調べていると、似た花に、シシウドがあると書いてあった。
そこで、植物の本を確認した。<シシウドは、8、9月ごろに花をつける、とあった。>
したがって、下の写真は、花独活に間違いない。)
スイバもアザミも咲いている
花独活の近くに咲いていたアヤメ(?)
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花独活の花をカメラにおさめて帰る途中、窓辺に立っていらっしゃるSUさんの姿を見かけた。
私同様、老女でいらっしゃる。
頭を下げた後、窓辺に近づいた。
最近は、散歩なさる姿を見かけることもない。
お年を尋ねると、<大正>最後の生まれだと、おっしゃっる。
私より8歳年上のお姉さまだ。
近くに在住の子息夫妻が、食事などのお世話はなさっている。
愛情に包まれていらっしゃるのだろう。
90歳を超えても、表情は豊かだし、お話も十分できる。
取り留めのない話をし、窓は外から私が閉め、鍵を掛けられるのを確認して、辞去した。
自立できなくなって、なお生きつづける人生を考えながら、帰途を歩いた。
SUさんの年まで生きれば、どれだけの苦楽を経験することになるのだろう?
考えても仕方のないことだと思いながら、全く予想のできない老いの明日を考える。
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常会費を届けたとき、Sさんに、家横の小花は何かと尋ねた。
その<小デマリ>の小枝を、Sさんが持ってきてくださった。
落花するまで眺めようと、小鉢に入れて、テーブルの上に置いた。(写真)
私の見慣れた小デマリ、大デマリの種類とは、ちょっと印象が異なる。
小デマリの更なる
赤ちゃん小デマリである。