海岸に植えられた植物、トベラの実は、はじけるにはまだ間がありそうであった。(写真①)
が、殻の中では赤い実が、肥り始めているのだろう。
殻が割れ、子沢山の実がはじけ出るのは、晩秋のころ(?)海辺に寂寥感が漂うころだ。その頃、また海辺を訪れよう。
海を背にして、坂道を上ろうとしたとき、崖の上から声が下りてきた。
「お久しぶりです」
崖の上の住人、Nさんだった。
「お久しぶりです」
立ち止まって、私も鸚鵡返しに挨拶をした。
散歩を日課としていたころには、Nさんに会う機会も多く、その都度、挨拶程度の言葉を交わしていた。
「気をつけて歩いてくださいね。昨日は、そこの畑に猪が三匹現れましたから」
豚のように鼻息荒くと、自ら猪をまねて擬音を発し、Nさんは、人里に現れた猪の模様を話してくださった。昨日のちょうど今時分だった、と。
あの鼻息は、人を警戒しながら威嚇していたのだろうとも、話しておられた。
畑にいた近所の人が追い払われると、猪は慌てて逃げ去るわけでもなく、幾度も足を止め、様子を伺いながら、やがて姿を消したそうだ。
地を掘って、ミミズやお芋を食べるのだとか。
散歩道には、人影などめったにないので、怖い話である。
このところ、人と山に棲む動物との住み分けが、曖昧になってきたらしい。
帰途、旧国道を歩いていると、路肩に陥没した箇所を見つけた。(写真②)
すでに、<路肩注意>の杭も打たれ、周囲に危険防止の縄が張られてはいたが、これまた怖いことである。
その陥没した穴は、たとえコンクリートの上の歩みにも、絶対の安全は保証されていないことの証のように思え……。
思いがけないこととの遭遇は、散歩の楽しみの一つでもある。
①
②
が、殻の中では赤い実が、肥り始めているのだろう。
殻が割れ、子沢山の実がはじけ出るのは、晩秋のころ(?)海辺に寂寥感が漂うころだ。その頃、また海辺を訪れよう。
海を背にして、坂道を上ろうとしたとき、崖の上から声が下りてきた。
「お久しぶりです」
崖の上の住人、Nさんだった。
「お久しぶりです」
立ち止まって、私も鸚鵡返しに挨拶をした。
散歩を日課としていたころには、Nさんに会う機会も多く、その都度、挨拶程度の言葉を交わしていた。
「気をつけて歩いてくださいね。昨日は、そこの畑に猪が三匹現れましたから」
豚のように鼻息荒くと、自ら猪をまねて擬音を発し、Nさんは、人里に現れた猪の模様を話してくださった。昨日のちょうど今時分だった、と。
あの鼻息は、人を警戒しながら威嚇していたのだろうとも、話しておられた。
畑にいた近所の人が追い払われると、猪は慌てて逃げ去るわけでもなく、幾度も足を止め、様子を伺いながら、やがて姿を消したそうだ。
地を掘って、ミミズやお芋を食べるのだとか。
散歩道には、人影などめったにないので、怖い話である。
このところ、人と山に棲む動物との住み分けが、曖昧になってきたらしい。
帰途、旧国道を歩いていると、路肩に陥没した箇所を見つけた。(写真②)
すでに、<路肩注意>の杭も打たれ、周囲に危険防止の縄が張られてはいたが、これまた怖いことである。
その陥没した穴は、たとえコンクリートの上の歩みにも、絶対の安全は保証されていないことの証のように思え……。
思いがけないこととの遭遇は、散歩の楽しみの一つでもある。
①
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