雨の朝だと決めていた。前夜の天気予報が深夜から雨になり、翌日の午前中は雨が降る、と言っていたので。
ところが起きだしてみると、雨の気配は全くない。夜来の雨が地面をぬらした形跡もない。
しばし躊躇ったが、散歩の支度をした。前日は、病院行きを理由に歩かなかった。なにかと口実を設けてサボり始めると、だらしなくすべてが崩れてゆきそうである。
歩き始めて間もなく、遠雷がはるかから聞こえ始めた。傘は持って出かけたが、途中で雨になるかもしれない、そう思いながら、東西南北の空を見回す。東の空には、お日様のかげがある。薄雲の中にその輪郭を捉えることができた。大丈夫だろうと安堵する。
海辺に出た途端に、遠雷の音が強くなった。雷光はないが、絶えず鳴り響いている。
沖を見ると、高島が見えないだけでなく、水平線と空との境界線も、次第に霞んでゆく気配である。
しかし、波は穏やかである。(写真 30日)
遠雷の沖のはるかに轟きて波静かなる磯辺を歩く
でたらめに、七五調を口ずさむ。昨夜、「日本語のリズム」という本を読んだので、つい調子に乗って、内容の空疎な語句が口をついて出てきたらしい。
復路の半分まで帰ったところで、いよいよ空模様が怪しくなり、海辺から遠ざかっているにも拘らず、その方角から轟く遠雷の音がますます大きくなった。
少し散歩の距離を短縮し、近道をして帰ってきた。
雨には遭わなくてすんだけれど、家の軒に入るや否や、篠をつく雨となった。
(夕方のニュースによると、島根の東部では、雷による事故が多発した様子。)