サムュエル・ハンチントン氏著『文明の衝突』( 平成10年刊 集英社 ) を、読みつつあります。索引と参考文献の部分を加えますと、554ページになる分厚い本です。
手に持っていると、重さに耐えられなくなりますので、机に向かい正しい姿勢でしか読めません。やっと74ページですが、久し振りの大著という気がいたします。厚くて重いというだけでなく、文章が固くさらさらと読み進めないので、いい加減な私には、厄介な本という意味です。
人間の歴史を、太古の時代から眺め、地球儀の上で説明してくれますから、瑣末な日常を忘れさせてくれる効用もあります。魂の抜けた自民党議員の古賀氏や村上氏が、一体なんだというのか。犯罪報道をして恥じないNHKなど、どこの国の話かと、そういう気にさせられるから、楽しい本でもあります。
・文明を定義するあらゆる客観的な要素の中で、最も重要なのは、通常アテナ人が強調したように宗教である。
・人間の歴史における主要な文明は、世界の主要な宗教と、かなり密接に結びついている。民族と言語が共通していても、宗教が違う人々は互いに殺しあう場合があり、レバノンや、旧ユーゴスラビアや、インド亜大陸で起こったことは、そのあらわれである。
広げたページから、適当な文章を抜き書きしているのですが、分かりやすい言葉で何となく引かされてしまう。こんな文章が私は好きです。
・文明には明確な境界もないし、正確な、終わりと始まりがあるものでもない。文明は滅びる運命にあるが、極めて長命でもある。文明は発展しながら、適応していき、最も持続性のある人間のつながりである。
難しそうなことを述べていますが、反日・左翼学者特有の紋切り型の主張がありません。自分の考えていない視点から世界を眺め、氏が歴史を語ろうとしていますので、久しぶりに学徒の気持ちにさせられます。
・帝国は興隆し、滅亡する。政府は移り変わる。しかし、文明は踏みとどまって、政治的、社会的、経済的、イデオロギー的な激変をも生き延びる。
読み始めたばかりであまり安心していると、失望することがありますので、このあたりで止めておきます。
まず著者ハンチントン氏の略歴を、紹介します。
・昭和2年生まれ、平成20年に82才で死去。
・アメリカ合衆国の国際政治学者
・コロンビア大学の「戦争と平和研究所」副所長を経て、ハーバード大学教授
・1986 ( 昭和61 ) 年から1987 ( 昭和62 ) 年まで、「アメリカ政治学会」会長
・研究領域は政軍関係論、比較政治学、国際政治学などに及び、軍事的プロフェッショナリズム、発展途上国における民主化、冷戦後の世界秩序での文明の衝突の研究で業績を残している。
・ニューヨーク市で、ホテル業界紙の発行者であった父親と、小説家の母親との間に、一人っ子として生まれた
・18歳で、エール大学を優れた成績で卒業し、陸軍に志願する。
・復員して、シカゴ大学で修士号取得。」「ハーバード大学で、政軍関係の研究に従事し博士号を取得
・1950 ( 昭和25 ) 年から、1958 ( 昭和33 ) 年まで、ハーバード大学政治学部の教員として、教鞭を執った。」
18才でエール大学を卒業していますから、氏もまた世に言う英才です。エール大学卒業後、シカゴ大学で学び、ハーバード大学で研究しています。幾つもの大学で学ぶというのは、裕福な家庭で育ったからできるのか、優秀な学生だったからそうなるのか、私のように1つの大学をやっと卒業した人間には、想像できない世界です。
・1967 ( 昭和42 ) 年から、ジョンソン政権の国務省で、ベトナム戦争に関する報告書を執筆し、また大統領選で、ニクソンと争ったヒューバート・ハンフリー候補の、演説原稿を執筆した。
・カーター政権でも、「アメリカ国家安全保障会議」に加わり、ブレジンスキーの下で勤務し、ブレジンスキーと共に、1978 ( 昭和53 ) 年に「アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁( FEMA )」を、創設した。
先日読んだ、エズラ・ヴォーゲル氏の著書『ジャパン・アズ・ナンバーワン』同様、本の題名と著者の名前だけは、知っていました。どちらも、よく売れた本なのでしょうが、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の読者は、おそらく日本とアメリカで読まれ、『文明の衝突』は、世界中の学者や政治家に読まれているのではないでしょうか。
影響力の大きさに格段の差があるような気がし、凡俗の私は、読書の秋にふさわしい本でないかと密かに期待しています。
ひとことで言いますと【☆良書☆】です。
読んでいて、いろいろと著者に質問したくなる本ですが、
不快感は全く感じません。
この本の中で言ってる要点のひとつは、
【日本は、それ自体、独立した1つの文明圏】として規定していることです。
---こういうことは、韓国朝鮮びいきや中国びいきの人に読ませたいですね。
私は、かけがえのない日本文明圏に、もっと誇りを持つべきだと思います。
ねこ庭へ、ようこそ。
そうですか。良書だとお聞きし、安心して読み進めます。
この本の中で言ってる要点のひとつは、
【日本は、それ自体、独立した1つの文明圏】として規定していることです。
貴方なら、きっとここに注目されるだろうと思っていましたが、予想が当たりました。ライシャワー氏は、知日派と言われていますが、「日本は中国が育てた娘」だと、低く位置付けました。
ライシャワー氏に比べたら、ハンチントン氏の方が博学なのだろうと、考えました。
コメントに感謝いたします。