そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

穀物多給を追求する畜産は食糧危機の一端を担う

2014-01-04 | 政治と金

IPCC第5次評価報告、第1次作業部会報告書が昨年暮れに提出されIpccた。※IPCC(気候変動に関する政府間パネル:世界気象機関と国連環境計画によって1988年組織された)

このところ、日本の国益や靖国問題など安倍政権の右傾化暴走等ばかり騒がれるが、人類が直面するもっと大きな事件が起きていることを忘れてはならない。左の表は、同報告書問題を整理してくれた、北海道新聞の切り抜きである。(クリックすると大きくなります)

この報告書は、温暖化の原因を巡って反論する科学者たちへの反論が大きく割かれているが、CO2が最も大きな要因であると述べている。そして、今後起きうる可能性あるいは予測として、上記の6点を挙げている。

この中で最も深刻になるのは食糧問題である。地球人口は70億人を越えながら、着実に増加している。そうした中で、本報告書は横ばいか2%減少すると警告している。この報告書は社会現象を考えない、科学者たちの警告である。

世界の人口は均等に増えているのではない。低開発国が圧倒的に増加率が高く、世界中の農村が担い手を失くしているのである。先進国でも都市人口が増加するばかりである。要するに世界中が都市化しているのである。

農業の担い手が減少するのは、経済効率優先の社会を世界各国が目指すからである。職業間の格差も大きく、貧富の差が経済優先でさらに広がるからである。

世界の穀物価格は、アメリカなどの穀物メジャーが左右し、マネーゲームの対象にしているからである。その典型例が、メキシコである。主食のトウモロコシを、関税撤廃制度(NAFTA)によって、遺伝子組み換えで化学物質に晒されていて安価なため、輸入しなければならなくなった。農民の半数以上が農地を放棄し、残った農民も貧困に喘いでいる。

日本などの先進国は、大量に安価な穀物を輸入し、高価な畜産物に変換させて儲けている。家畜は非生理的な穀物を大量に与えられて、発病寸前で懸命に生産させられている。

人が食べることができないもの(草や残さいなど)を与えて、人が食べられる製品(肉・玉子・乳)を生産する、本来の畜産の形態が崩れている。先進国の畜産形態は、食糧危機の一端を担っているのである。

食料は欠かすこのできないものである。真の意味で国益を考えるなら、可能な限り自賄いして他国に頼るべきではない。穀物多給で効率を求めた畜産は、家畜に苦痛を与えるばかりではなく、食糧危機の引き金にもなるのである。

温暖化・無関税制度(TPP)・人口増加・格差社会・経済効率優先社会・先進国の畜産形態が複合的に食糧危機を生み出す。国益などと狭量な論議をしている時ではない。

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