市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【スラグまみれの群馬県】有害スラグ不法投棄を巡り行政が公共事業を隠れ蓑に隠蔽を図る現場を緊急ルポ!③

2020-11-22 22:46:00 | スラグ不法投棄問題

■群馬県中にダンプトラックで不法投棄された有害スラグ問題は、未解決なまま今日まで至っています。群馬県内のスラグには次の2種類の不法投棄事例があります。
大同特殊鋼(株)渋川工場が排出し、(株)佐藤建設工業が天然石と混合し、毒を薄めたとみせかけた鉄鋼スラグ問題で、群馬県により「有害廃棄物」に認定されています。
東邦亜鉛(株)安中製錬所が排出し、(有)岡田興業・(株)岡田工務店・(株)大野工業・(株)石井商事、及び悪徳庭師クラフトガーデンにより不当投棄された非鉄スラグ問題で、こちらも先日「有害廃棄物」に認定されました。

 どちらの廃棄物も土壌と接する方法に使用すると土壌を汚染する恐れがあることが廃棄物認定の決め手と説明されていますが、公共事業に使用されたスラグは使用場所の特定も不十分なまま放置されています。有害スラグは廃棄物に認定されたからには、撤去して最終処分場に埋設するのが廃棄物処理法の決まりです。法律はみんなで守らねばなりません。

 そんな有害スラグについて、調査特別チーム「リットン調査団」が久しぶりに出動しました。今回は調査結果その③を報告します。


上武道路の「五代工業団地」信号付近を前回調査した帰り際に、上武鳥取信号付近で大量の大型土のう袋を発見!

 今回の調査場所はこちらです↓↓




https://goo.gl/maps/fnMwEJRRH3qVautr7

*****リットン調査団のスラグ調査レポート*****
有害スラグ不法投棄特別調査チーム「リットン調査団」集合(^^)/。

団長A:さて前回、上武道路の五代工業団地という信号付近を調査しましたが、帰り際に上武鳥取信号にも寄っていこう!ここは以前フェンスの基礎コンクリートがスラグの膨張により壊れ持ち上がってしまっていたね。どうなったのか?

団員B:まずは以前の様子から復習しよう!




この通り、スラグの膨張によりコンクリートが破壊されていた、ものすごい力だ。
詳しくはこちらご覧ください↓↓。」
○2015月8月16日:大同スラグ問題を斬る!…お盆休み返上調査(その2)前橋市の上武鳥取の現場の劣化進捗度
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1693.html#readmore


あれあれ~コンクリートは撤去されていている。フェンスが倒れたりしないのか?とても心配だ。


すっかりコンクリートは取り除かれているぞ。なんだフェンス下のコンクリートは必要なかったのか?とんだ無駄使いじゃな。


お、スラグのような石があるじゃないか!


デジタルカメラをズームアップ!角張っていて黒光りしている。有害スラグに間違いなしじゃ!


反対側に回り込んでみよう、それにしてもすごい数の大型どのう袋じゃな。


大型土のう袋の脇から、デジタルカメラでズームアップじゃ。歩道のすぐ近くまで盛り土が掘削されているぞ。まさか土壌と接する盛り土にまでスラグを投棄していたわけではあるまいな。


フェンスの下をズームアップじゃ。数多くの角張・黒光石があるぞい。


うわ~~。サビ浮き石まで発見!有害スラグだ。悪徳(株)佐藤建設工業は約束を平気で破り、土壌と接する盛り土にまで有害スラグを投棄していたのだ。国土交通省の皆様、モタモタしていないで、(株)佐藤建設工業にスラグの撤去を請求してくださいよ。リットン調査団は(株)佐藤建設工業がスラグを撤去するまで追及をやめないぞ!
*****スラグ調査④につづく*****

■レポートにあった通り、国土交通省が建設した上武道路の盛り土部にスラグが大量に含まれています。当時の大同特殊鋼(株)のパンフレットには、「スラグ混合再生路盤材(RC40)として、土壌と接しない路盤材に使用する」となっていました。

 しかし悪徳な(株)佐藤建設工業は指導を無視して、製造するすべての砕石類にスラグを投棄したのでした。あちこちでスラグ生一本の状態で土壌と接して使用されているのを大同特殊鋼(株)は黙認していたようです。

 群馬県では、大同特殊鋼株式会社につづき東邦亜鉛株式会社も鉛・ヒ素入りスラグを不法投棄していたことが発覚しました。どちらのスラグも群馬県や高崎市の公共工事に使用されていますが、土壌と接する方法によりスラグが使用されています。

 高崎渋川線バイパスや上信自動車道、榛東村・吉岡町・渋川市・中之条町・東吾妻町の県道にたくさん使用されていますが、群馬県はスラグの特定をしようとしません。(株)佐藤建設工業や(有)岡田興業の試験成績表が提出されている公共工事現場を調べれば簡単にわかるのに、撤去するのが嫌なので調査しないのです。

■この隠ぺい体質は大沢知事から山本知事に代わってから余計にひどくなっています。群馬県の廃棄物行政は地に落ちています。正しく廃棄物処理法に基づき県民の生活環境を守っていただきたいものです。

 当会では微力ながら、引き続き、“きれいなぐんまちゃん”を取り戻すため活動を続けてまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局より】

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社会正義の実現を損ねる弁護士という職業とは?…利益相反行為で紛争助長?

2020-11-21 21:53:00 | 不良弁護士問題
■11月6日の東京新聞のこちら特報部で、持続化給付金不正受給者の相談殺到という話題について、「弁護士同項の自主支援」と題する記事が掲載されました。要するに、「困った人を助けたい」けど「数十万円かかります」という弁護士稼業の実態を報じたものです。


 日弁連のHPには、「弁護士の使命」として、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とします(弁護士法1条1項)。弁護士は、この使命にもとづいて誠実に職務を行います。」と明記されています。
https://www.nichibenren.or.jp/legal_info/lawyer/mission.html

 また、「弁護士の役割」として、「~法律の専門家として、そして「社会生活上の医師」として~」とするサブタイトルのあと、「弁護士は、法廷活動、紛争予防活動、人権擁護活動、立法や制度の運用改善に関与する活動、企業や地方公共団体などの組織内での活動など、社会生活のあらゆる分野で活動しています。弁護士は、社会で生活するみなさんの「事件」や「紛争」について、法律の専門家として適切な予防方法や対処方法、解決策をアドバイスする「社会生活上の医師」なのです。病気の予防が大事なのと同じように、社会生活での争いごとを未然に防ぐ活動は、弁護士の重要な役割の一つです。」と記されています。

 当会として、特に首を傾げたくなるのは、「民事事件」での弁護士の役割として「普段の生活の中で起こる争いごとです、広くは、離婚や相続などの家事事件、商事事件、労働事件、行政事件などを含みます。弁護士は、これらの事件について、法律相談、和解・示談交渉、訴訟活動や行政庁に対する不服申立てといった法律事務などを行っています」という箇所です。

■当会のこれまでの経験では、行政事件に限って言えば、行政庁に対して、不服申立てをする事務を喜んで行う弁護士は皆無です。むしろ、住民からの不服申立てを揉み消したり排除したりする事務を行政から依頼されると、喜んで行政に加担する弁護士が大多数です。

 日弁連のHPには、「弁護士は、依頼者の立場にたって『法的に守られるべき利益は何か』を模索し、依頼者の正当な利益を実現して紛争を解決するために活動します。このような一つ一つの活動が、人権擁護と社会正義の実現につながるのです」などと、現実離れした美辞麗句が掲げられていますが、実際は、権力側、大企業側の立場にたって、自分達にとって守られるべき利益は何かを追及して活動しているのです。

 日本の司法がおかしくなっている原因として、裁判所が政治的圧力に屈しやすい体質であることもさりながら、弁護士という特権資格を持つ集団が、本来の弁護士法を遵守せず、自らの利益を追求する集団に成り下がっていることも大きな問題です。

■さて、東京新聞の当該記事を見てみましょう。

**********東京新聞2020年11月6日
ZIP ⇒ 20201106imjoxp.zip
【こちら特報部】持続化給付金不正受給者の相談殺到
弁護士同行の自首支援 人助けか ビジネスか

 「弁護士が同行します」「助けたい」。こんな言葉で自首を促す弁護士が増えている。呼ぴ掛けている相手は持続化給付金の不正受給者。軽い気持ちで金を受け取り、逮捕されるのでは、とおびえている人たちだ。関係機関には今、相談が殺到している。確かに自首すれば罪は軽くなる可能性が高い。弁護士の支援は心強いだろう。気になるのはそのお値段だ。数十万円を掲げる事務所もある。自主支援は人助けか、ビジネスか。(大野孝志、中沢佳子)

知人男性の指示で持続化給付金を申請した経緯を話す女性=静岡県で
 「軽率ですね」。 静岡県内で飲食店を経営する三十代男性は語る。従業員の二十代女性が、 持続化給付金を虚偽申請したのだ。女性は本紙東海本社の取材には「ばかなことをした」と答えている。
 女性は知人男性から会員制交流サイト(SNS)や電話で「二十万円もらえるから」と持ち掛けられた。給付された百万円のうち、知人男性と会計事務所の取り分として八十万円が抜かれ、手にしたのは二十万円。経営者男性は「地元で不正受給をあっせんしているヤツらがいる」と明かす。
 持続化給付金は新型コロナで影響を受けた個人や中小の事業者が対象。売り上げが前年同月比で50%以上減った月があることなどが条件で、個人で最大百万円、中小なら同二百万円が給付される。
 ネットで申請できる手軽さからか、四日現在、全国で三百六十九万件、約四兆八千億円が支給されている。その中に多くの不正受給があることが分かり、社会問題になっている。
 目立つのは、過去の売り上げを偽ったり、SNSなどで勧誘された受給資格のない人が偽って申請したりするケース。仲介者がうその書類を作らせ、高額な手数料を請求する例もある。素早く支給するため、審査を簡略にしたところを突かれた格好だ。
 国民生活センターによると詐欺が疑われる相談が、十月末までに約八百件。七月から増え、 二十代だけで六割、大学生が三割弱を占める。警察庁によると、全国の警察にも約二千件の相談が寄せられている。
 不正受給は「出来心」では済まない。詐欺罪に当たる恐れがあり、逮捕される人も相次いでいる。さらに延滞金や加算金を加えて国に金を返す必要もある。中小企業庁には、不正の疑いがある例や申請ミスを含め七百五十一件、七億九千万円が返還された。さらに五千三百件近い申し出がある。
 梶山弘志経済産業相は記者会見で、同庁の調査前に返還を申し出れば、加算金を課さない考えを示した。担当者は「加算金を加えて返させた例は一例もないが、調査中の件はたくさんある。警察にも情報提供している」と明かす。
 これだけ多くの人が「犯罪に手を染めたのでは…」と不安にかられているということだ。そしてネット上に、「逮捕を避けるため、自首を支援する」という弁護士事務所のサイトが続々と登場している。
 その一人、上原幹夫弁護士は八月中旬以降、四十件ほどの相談を受けた。「自首すれば被害を早く回復でき、不正を犯した人も早く立ち直れる。若い人も多く、早く更生すれば人生をやり直せる」。依頼者との相談で自首するべき犯罪に当たると判断すれば、上申書の書き方を指導し、自首に同行することもある。
 もちろんタダではない。上原さんは「報酬額は明かせないが、ビジネスでやっているわけではない」と語る。通常の弁護活動よりは安く設定しているという。
高い報酬には疑問も
目立つ若者■SNSで誘われ■コロナで正当化
詐欺罪の可能性、返金なら起訴猶予か


持続化給付金の不正受給をした人に返金を呼び掛ける経産省のチラシ=消費者庁提供

持続化給付金を所管する経済産業省=東京・霞が関で
 その費用だが、 さまざまなサイトを見ていくと、弁護士が自首に同行した場合、二十万~五十万円程度を示しているものが多い。そんな金を払えるのだろうか。前出の上原さんは「相談だけで依頼に至らない人が六割ほど。子の不正に気付いた親の依頼なら、親から報酬を受ける」と語る。
 自首支援に冷めた目を向ける人もいる。「合理的な報酬額なら問題ない。ただ、自首を支援するとしてあまりに高額を求めるのは疑問だ」。こう語る小林正和弁護士は一、二日の付き添いをしただけで弁護士が百万円の報酬を請求した例を耳にしたという。小林さんは「そこまで行くと、ぼったくり」と指摘する。
 そもそも百万円の公金をだまし取ると、どれほどの罪になるのだろうか。
 「通常の詐欺の一・五倍増しぐらいの感覚」。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士はこう話す。
 持続化給付金の不正受給は詐欺罪に該当する可能性が高い。最高で懲役十年の重い罪。もちろん、だまし取った金額やだました相手が何人かなどで、実際の刑は変わる。だが、同じ額でも出所が公金ならより刑は重くなるということだ。
 若狭さんは「詐欺額が百万円の場合、三十代以上なら懲役三年ぐらいのところ。若年なら一年六カ月から二年。執行猶予もつく」と量刑の相場観を説明する。
 では自首すると、それがどう変わるのか。ちなみに自首とは、捜査当局が容疑者と特定していない段隋で自ら出頭すること。「怪しい」とにらまれてからでは、もう遅い。
 弁護士などが付き添って自首し、不正申請の書類など証拠を持参し、本人が取り調べで容疑を認める。そうすれば効果は絶大だと若狭さんは語る。若者ならいっそう扱いはよくなる。
 「逃げたり、証拠を隠したりする恐れがないと判断されれば、逮捕されずに在宅での調べで済む可能性がある。お金を返せば起訴猶予もあり得る。返せなくても執行猶予の付いた懲役十月から一年ぐらいの刑で済むのではないか」
 とはいえ、明々白々な犯罪に、なぜ多くの若者が手を出したのか。
 若者文化研究所の西村美東士(みとし)所長は、まだ社会に出ていない若者が不正に手を 染めた根底に、ごく身近な「世間」の中で生き、おかしいことにノーと言えない 人間関係が絡んでいると分析する。「『世間』という、狭い同質・同調集団の中では物の見方が主観的になる。広い社会で客観的に自分の立ち位置を考える視野が持てない」。だから、不正受給に誘われた時に、それが社会に歯向かう行為だと気付くことができず、「もらえるのなら…」と軽く考えてしまうという。
 西村さんは「 若者には、カルチャーショックを与えてくれる『異質の他者』と出会い、社会に目を広げる機会が必要」と語る。
 一方、犯罪心理に詳しい立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「手っ取り早く稼げる闇バイ のようなものという認識はあっただろう。SNSを介していれば足がつきにくいという思い込みも根強い」とみる。
 さらに、コロナ禍を言い訳に、罪悪感を中和する思考も働いたと見る。「自粛ムードで楽しいことができず、バイトも減った。政府の対応がまずいからだという心理だ。自分は被害者だから補償として金を受け取ってもいい、と自己正当化しやすかったのでは」
 そして今、「自首」が相次いでいる。不正受給を悔いているのだろうか。小宮さんは「逃げるのと名乗り出るのと、どちらがダメージが小さいか損得勘定したのだろう。犯罪勧誘と同じように、『自首すれば罪が軽くなる』なんて情報が、SNSで広がっているのかもしれない」と厳しい見方をする。
【デスクメモ】
 ある弁護士の話。自己破産の相談を受けた時、まず相手の手持ちの金を確認する。裁判所への実費と自分の取り分で三十万円は必要とか。金のない人には夜逃げを勧め、金ができたらもう一度来るよう話す。仕方ないのだろうが釈然としなかった。自主支援の話でなぜか思い出した。(裕)2020・11・6
**********

■弁護士の役割における問題点として、「利益相反」が挙げられます。紛争などで相談事がある場合、弁護士事務所のドアを叩くと、必ず弁護士に、紛争の相手方の名前等を聞かれます。法律的なアドバイスのみでよいのに、なぜ相手方の情報を言わないといけないのかというと、弁護士の利益相反行為が禁止されているからです。

 「利益相反」とは、一方の当事者の利益になる行為をすることが、もう一方の当事者の不利益になる状態をいいます。弁護士法25条には、弁護士が職務を行うことができない事件が列挙されています。それによると、弁護士が相談を受けたり、依頼を受けたりした場合には、同じ事件の相手方からの依頼を受けることができないことになっています。別の事件であっても、すでに受任している事件の依頼者の同意がなければ依頼を受けることができません。もし依頼者とその相手方の双方に同じ弁護士が就けば、依頼者の利益を守ることは困難になりますので、このような行為は禁止されています。

 利益相反の規定は、同じ弁護士法人に所属する弁護士や、過去に所属していた弁護士についても適用されます。当事務所は複数の弁護士が所属している弁護士法人ですので、この規定に服することになります。さらに弁護士職務基本規程28条では、相手方と弁護士との間に特別な関係があるときは、依頼者の同意があるときなどの例外を除いて、弁護士が職務を行ってならないと定めています。弁護士と相手方に血縁関係がある場合や、継続的な顧問関係がある場合がこれに当たります。

■多くの弁護士は、企業や自治体の顧問弁護士を兼務しています。そのため、行政事件では住民側の弁護を引き受ける弁護士は極めて少なくのです。なぜなら、その時点では自治体の顧問弁護士を引き受けていなくても、住民側の弁護を引き受けると、将来的に行政側から弁護の依頼が来なくなるという懸念があるため、及び腰になるためです。

 日弁連が利益相反行為の禁止をうたうのであれば、行政の顧問弁護士となっている弁護士は、「行政事件にかかる住民訴訟の弁護の依頼は引き受けられません」とはっきりと公表しなければなりません。しかし現実は、顧客の守秘義務とやらで、公表しないことを正当化しているのです。

■上記の記事でも、警察に自首する際に弁護士が同行しただけで20万円から50万円を請求されるとあります。

 筆者のこれまでの経験では、弁護士報酬については、行政事件の場合、1件当たり着手金が30万円というので相場です。一方、行政側に対しては1件当たり着手金は20万円が相場です。

 法律相談の結果、弁護士に事件処理を依頼するには、委任契約書を作成して委任契約を締結します。通常、弁護士は法律事務所の看板を掲げているため、法人の形態をとっていることが殆どなので、委任契約は依頼人と事務所法人との間で締結することになります。

 弁護士が事件処理を行うための費用として、着手金と報酬が必要になります。着手金は、弁護士が事件処理を行うことに対する費用であり、結果の成功・不成功にかかわらず、返金されません。これに対して、報酬とは、結果の成功に対する費用になりますので、結果が成功となった場合にのみ必要となります。

■筆者もかつて、日刊スポーツの朝日新聞グループ専用ゴルフ場開発にかかる環境アセスメントの写しの交付を巡る情報非開示処分取消訴訟や、安中市土地開発公社の51億円事件にかかる歴代幹部の責任追及のための損害賠償請求訴訟のころは、弁護士費用を支払って、訴訟代理人を依頼したことがありました。また、勝訴に有効だからとして有名な大学の先生に意見書を書いてもらうために50万円が必要だとする弁護士のアドバイスを受け入れたこともあります。

 こうして、何度か弁護士を信じて委託して住民訴訟を行いましたが、ことごとく敗訴しました。そのため、その後、現在に至るまで、住民訴訟は本人訴訟で行うことにしており、市民オンブズマ群馬でも、その方針を貫いております。

■持続化給付金の不正受給をした皆さん、自首のため警察に出頭するときに弁護士を同行させても、何の役にも立ちません。自分で行けば、余計な手間や出費が防げるうえに、警察の対応がどういうものか、実際に肌で感じることができ、今後の人生のリセットにもきっと役立ちます。

 人の弱みに付け込んで法外な報酬をふっかけてくる不良ないし悪徳弁護士には十分注意が必要です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【出張!オンブズマン】地域の要請も蔑ろの長野高専総務課長コロナ規則破り…県は介入に及び腰

2020-11-18 23:40:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇

9月29日に長野県県民文化部高等教育振興課から当会事務局宛てに届いた回答&添付資料入り封筒

■長野高専の岩佐総務課長が、新型コロナ緊急事態宣言中にも関わらず、東京の自宅へ不要不急の往来を毎週末繰り返し、あまつさえ自分たちで決めた緊急事態宣言区域往来時の14日間出勤禁止・在宅勤務命令すら破り、何食わぬ顔で職場に顔を出し続けていたという衝撃の疑惑。その告発を受けて、当会では5月下旬以降、同校や高専機構に質問状を送って何度か回答を求めてきましたが、機構理事兼任の土居信数校長の強力な後ろ盾もあり、疑惑の本人が作ってきたと思しき無法な揉み消し回答を突き返され続けています。

○2020年5月26日:【出張!オンブズマン】外出自粛中に長野高専総務課長が車で週末東奔西走?…真偽確認の公開質問提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3169.html
○2020年6月4日:【速報/出張!オンブズマン】長野高専総務課長のコロナ規則破り疑惑問題…同校から驚愕の強硬隠蔽回答!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3171.html
○2020年6月11日:【出張!オンブズマン】総務課長コロナ規則破り隠蔽の長野高専に2回目の公開質問&各種文書開示請求提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3174.html
○2020年6月18日:【出張!オンブズマン】貴族政治に蝕まれる長野高専から届いた第2回新型コロナ公開質問状への厚顔無恥回答
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3175.html
○2020年7月6日:【出張!オンブズマン】長野高専総務課長コロナ規則破り疑惑…同校と機構監査室にダブル公開質問状提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3177.html
○2020年7月26日:【出張!オンブズマン】長野高専総務課長コロナ規則破り疑惑に同校と機構監査室が横並びで隠蔽グル回答
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3183.html

 そこで視点を柔軟にし、本問題への取り組みの一環として、「地域に対する長野高専の社会的責任」という観点からこの問題を捉えてみることにしました。

 ウイルスは所属を選びませんから、教職員・学生と地域住民は一蓮托生です。すると、長野高専がいくら地方自治体の「管轄外」の国立であるとはいえ、可能な限り管轄の垣根を超えた連携のもと、対策が取り組まれなければならないのは自明の理です。地方自治体は住民の健康と生命を最大限守るために尽力し、長野高専は所在地域を最大限尊重しなければならないという大原則がそこにはあるはずです。

 そこから、長野高専の所在する地域の自治体が、この問題を関知しているのか、そしてどのような見解を持っているのか、あわせて、緊急事態宣言中に同校と地方自治体の間でどのような協力連携や依頼要請がなされていたのか、ということに関心が集まりました。たとえば、もし長野県や長野市から同校に対して県外不出・県外不入の要請が出されていたのであれば、岩佐総務課長は学校幹部の立場でありながら、地域やその住民をコケにして、住民の健康と生命を危険に晒していたということになります。

■そこで8月17日、同校の所在する地方自治体である長野県と長野市に、新型コロナ禍に関しての長野高専との連携がどのように行われているのか、電話で質問してみることにしました。正確な担当部署が不明だったため、差し当たり両自治体の教育委員会にかけてみることにしました。結果は以下のとおりです。

【 1 】長野県教育委員会 高校教育課管理係 石川職員:
 電話をかけたところ、「当委員会は県立及び市町村立学校に対してコロナ対策など含め指示や通達を行っている。私立学校は県庁の県民文化関係の部署が管轄している。高専の場合は、大学および専門学校の範疇なので、県庁の高等教育振興課が担当している」と、対応内容と担当分けについてざっくり説明がなされました。なお、「以前は直近の感染者指数が2.5人を境とした対応としていたが、現在、再度蔓延しているため、この運用の見直し中」とのこと。
 なお雑談として、コロナ規則破り疑惑の長野高専総務課長の話をしたところ、関心を持った様子でした。そうした危険行為のせいで長野高専に学生を含むクラスターが発生した場合、学外の友人関係や部活動大会(高専は高体連には所属不可のため、長野高専の学生は「特別な客」の立場で高体連の大会に参加)などを経由して県立高校の生徒に感染が拡大するリスクもあるので、興味を持ったのかもしれません。
(※なお、隣県のオンブズマンからの問い合わせということで、組織としてきちんと対応しているということを強調したい風情がありありでした)

【 2 】長野市教育委員会:
 電話応対に出た職員からは、「当委員会は小中学校のみ管轄で、高専は国の独立行政法人のため、管轄外」と、にべもなく一般論を言い渡されました。コロナ対策について市と長野高専で連携を取っているわけではないようです。
 (※ただし市の別部署が何かしら連絡している可能性は残存)

■次に、県教委が示唆した長野県庁の高等教育振興課に連絡してみることにしました。
 最初に電話したところ、応対に出た職員からは「コロナ対策通知を出す担当者が午前中不在で、午後に戻ってくるので、本人から午後電話させたい」と伝えられたため、折り返し連絡を待っていたところ、30分後に同課の新井職員から着信がありました。

【 3 】長野県庁県民文化部高等教育振興課 新井職員:
 あらためて同氏に事情(同高専の総務課長のコロナ対策破りの件も含め)や経緯を説明し、「貴課として長野高専に対してなんらかの要請や協力、連絡をしたことはありますか」と尋ねたところ、「新型コロナ感染症拡大防止対策で、長野高専を含めてこれまで何度か通知をしてきています。それに対して、長野高専から一般的な連絡はいくつかありましたが、個別具体的な事案についての連絡や報告はこれまで一度もいただいていません」とのことでした。
 長野高専からの自発的な報告がなかった事実は、重ねて新井職員に確認しましたが、間違いはないようです。長野高専が高専機構のみならず県に対しても本件について報告を不作為としているのは間違いありません。

■県の窓口となるべき部署は判明したことから、本件の経緯を説明して県としての見解を質し、あわせて新型コロナ対応に際して県から長野高専に行われてきた要請等の時系列と内容を確認するため、9月12日に県の高等教育振興課宛てに以下の質問状を提出しました。

*****9/12長野県宛公開質問*****ZIP ⇒ 20200912uj.zip
令和2年9月12日
〒380-8570 長野県長野市大字南長野字幅下692-2
長野県庁県民文化部高等教育振興課 御中
TEL: 026-235-7285/FAX: 026-235-7499

         〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
          市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
                 TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
                      090-5302-8312(代表・小川)
                 FAX: 027-224-6624

         長野高専幹部の危険行動疑惑に係る見解問合せ

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。なお、弊団体は群馬県を主な活動地域としていますが、事案によっては、適宜近隣の県への出張活動も行っております。

 さて、長野市にある長野工業高等専門学校(以下「長野高専」)の岩佐総務課長が、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言中にも関わらず、命令を無視して毎週にわたり同校教職員宿舎から東京へと私用による不要不急の往来を無断で繰り返し、さらに緊急事態宣言対象区域往来時の14日間出勤禁止・在宅勤務命令も無視して、平然と出勤を続けていたとの告発が弊団体に寄せられました。学校長もそれを黙認し、一切の調査や処分等をおこなっていないようです。弊団体では事態を重く見て、5月末以降3度にわたり同校への問い合わせをおこなっていますが、事実関係等については一切回答拒否とされてしまっています。

 国立の教育機関である長野高専に対し、長野県は管轄外でこそありますが、事実であれば同校関係者のみならず県民の生命と健康をも脅かしかねなかった今回の暴挙について、しっかりと同校に事実関係の確認や抗議、再発防止の要請をする権利があり、また可能な限りそのようにする義務があるものと捉えております。そのためこれらの問題について、長野県としてのご見解を確かめたく、下記のとおり質問をさせていただきます。
                                 敬具


                   記

【質問1】
 長野県として、この問題または疑惑を把握していましたか。把握していた場合、長野高専へ何らかの連絡はお取りになりましたか。

【質問2】
 長野県として、今後、長野高専に何らかの問い合わせその他連絡をおこなう予定はありますか。

【質問3】
 長野高専幹部が県民の健康・生命を脅かしかねない行動に平然と及び、また同校がそれを隠蔽しているとみられることについて、事実であれば、長野県として問題と考えますか。

【質問4】
 今般の新型コロナウイルス禍が勃発して以降、(新型コロナウイルスに関連して)これまでに長野県から長野高専に送られた通知や要請等の内容についてご教示ください。


 以上、よろしくお願いします。なお、回答については、大変勝手ながら、書面で2020年9月28日(月)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
                                  以上
**********

■提出後、9月24日の夕方になって、同課の新井職員から着電がありました。「いただいた公開質問への対応中だが、いくつか確認したい」として、「①質問4で、長野高専に対して通知や要請とあるが、通常メールに文書を添付する形で通知している。そうしたものの概要でよいのか、それとも詳細を知りたいのか」ということと「②長野高専をはじめ対象となる学校への通知や要請は、4、5月ごろ、コロナの感染拡大が著しかった頃がピークだったが、その後、下火になったのも事実。最近ここにきて感染が再び拡大してきているが、質問では、いつまでの時点の情報までを想定しているのか」の2点を確認されました。

 そこで当方からは「概要ではなく、出した通知のそのままの内容が知りたい」と、「直近までの情報をお願いしたい」とそれぞれお願いしました。新井職員は、「今準備しているが回答の発送が月曜日になるかもしれないので、その際は、指定日より届くのが若干遅れるかもしれません」とのこと。当会担当者からは「ご手配いただき感謝します。了解しました」と返しておきました。

■すると9月29日、長野県庁県民文化部高等教育振興課からの9月28日付回答が当会事務局に届きました。

○長野県からの回答・県から長野高専への要請等の新型コロナ関連資料一式 ZIP ⇒ 20200928yt17.zip
20200928ytwpv.zip

*****9/28長野県からの回答*****
                       令和2年(2020年)9月28日

市民オンブズマン群馬
 代表 小川 賢 様

                    長野県庁県民文化部高等教育振興課

   長野高専幹部の危険行動疑惑に係る見解問い合わせについて(回答)

 令和2年9月12日付けで問い合わせのありました標記につきまして、下記のとおり回答いたします。

                記

【質問1】
 長野県として、この問題または疑惑を把握していましたか。把握していた場合、長野高専へ何らかの連絡はお取りになりましたか。
 <回答>
 当課では、8月17日に貴殿から電話があるまでは、問い合わせの件に関しましては把握しておりません。

【質問2】
 長野県として、今後、長野高専に何らかの問い合わせその他連絡をおこなう予定はありますか。
 <回答>
 問い合わせ、連絡を行う予定はありません。

【質問3】
 長野高専幹部が県民の健康・生命を脅かしかねない行動に平然と及び、また同校がそれを隠蔽しているとみられることについて、事実であれば、長野県として問題と考えますか。
 <回答>
 本県から県内高等教育機関には、新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項及び同法第45条第1項の規定に基づき、感染が拡大している地域及び同法に基づく特定都道府県等への異動及び往来の自粛に係る協力の要請を、学生及び教職員に周知いただくよう依頼しました。この協力の要請に基づく各個人の行動に関する事項ついては(ママ)、県では回答しておりません。
**********

*****別添・長野県から長野高専(県内高等教育機関)への依頼等の内容*****

  月日         依頼等名及び主な内容
1 R2.3.30 新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく協力について(要請)
2 R2.4.21 新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第1項に基づく外出自粛の要請の周知について(依頼)
3 R2.4.22 新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく適切な感染防止策の徹底等について
4 R2.5.6 新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第1項に基づく外出自粛要請の期間延長に係る周知について(依頼)
5 R2.5.6 緊急事態宣言の期間延長等を受けた新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく適切な感染防止対策の徹底の要請の延長について(要請)
6 R2.5.15 当県における緊急事態宣言の解除等を受けた新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく適切な感染防止策の徹底等について(要請)
7 R2.6.1 当県における緊急事態宣言の解除等を受けた新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく感染防止策の徹底等について(要請)
…………
【当会注:以降17番まで文書があるが、緊急事態宣言解除後なので省略】
【当会注:各依頼・要請文書については、上記掲載ファイルを各自ダウンロードしてご確認お願いします】

**********

■極めて遺憾ながら、以上のとおり長野県は、“管轄外”である長野高専の無法ぶりに口を挟むことにはなかなか及び腰のようです。

 「各個人の行動に関する事項」であることを理由にコメントすら差し控えられてしまいましたが、本件は、幹部の要請無視を学校ぐるみで隠蔽しているというあるまじき事態なのですから、すでに「各個人の問題」の枠を超えて「組織としての問題」の域に達しているはずです。さらに言えば、長野高専は、組織ぐるみで県民の健康と生命などどうでもいいと宣言しているのと同じです。

 長野県の見解において、こうした重要な問題点が無視されてしまい、守るべき県民のことよりも、「トラブル回避」の力学が優先されてしまったことは残念でなりません。県民の健康と生命を守れるのは自分たちだけであるという矜持を見せられず、国立長野高専という治外法権を前に尻込みしてしまったことは、岩佐達也と長野高専の言語道断な振る舞いを追認しているに等しいものです。

■本件回答における長野県の姿勢はこのように評価できないものでしたが、それでも大きな収穫はありました。というのも、回答に付随した資料提供によって、新型コロナウイルス緊急事態宣言期間中、長野県が地域を守るために長野高専へどのような要請をしていたのかが今回明らかとなったからです。

 長野高専を含む県内高等教育機関に対して長野県から送られていた依頼・要請等をチェックすると、4月7日の緊急事態宣言後、少なくとも4月22日・5月6日・5月15日の三度にわたり、県域をまたぐ不要不急の往来、もしくは特定警戒都道府県(当然東京都を含む)との不要不急の往来を行わないことが極めて強く要請されていたのは明らかです。


2020年4月22日付要請。徹底する感染防止対策のひとつとして「県域をまたいだ移動を基本的に行わないこと」が明記されている


5月6日付要請。緊急事態宣言が延長されたことにともなったもの。変わらず、県域をまたいだ不要不急の移動を控えるようにハッキリ要請されていることがわかる


5月6日付の要請その2。こちらはより明確に、県域をまたいだ移動自粛の要請が5月末まで延長され、そのことを教職員及び学生に周知するよう強く要請していることがうかがえる


5月15日付要請。当時、39県で緊急事態宣言が途中解除されたことにともなったもの。県域をまたぐ移動全般の自粛要請は解かれたものの、むしろ特定警戒都道府県として緊急事態宣言の解かれなかった地域への往来は、あらためて自粛を要請されていることが分かる。感染拡大地域の筆頭であった東京がこれに該当することは、言うまでもない

■しかも、4月22日の要請に添付されているコロナ緊急対応の資料内では、こうまで強く書かれています。

**********
新型コロナウイルス感染症拡大防止のための長野県における緊急事態措置等(第2弾)

                         令和2年4月21日
               新型コロナウイルス感染症長野県対策本部

 4月17日、本県は、緊急事態宣言が全国に発令されたことを受けて「人の移動による感染拡大」を防止するため、第1弾として、「徹底した外出自粛の要請」、「県域をまたいだ移動自粛の要請」を中心とした措置を実施しました。
 しかし、全国の状況を見ると、都市部からの人の移動が地方のクラスターの形成につながる例があとを絶ちません。帰省や旅行、不要不急の県域を越えた移動を止めていただき、感染拡大防止策のさらなる強化をはかることが、本県のまん延防止のためには不可欠です。
(中略)
 信州の観光、信州の夜の街をしばらくお休みにして、人との接触を8割減らすことが、自分を守り、大切な人々を守るとともに、本県の医療と社会を守ることにつながります。患者さんがこれ以上急速に増えると、救える命が救えなくなってしまいます。まさに今が正念場です。
(後略)
**********

 総務課長である岩佐氏は当然、県直々のこれら要請を直に受け取り確認する立場にあったはずです。ここまで口を酸っぱくして釘を刺されていたにも関わらず、どこ吹く風で東京にプリウスを走らせていたとすれば、まさに地域を挑発してケンカを売っているも同然です。どこまで人様をコケにすれば気が済むのでしょう。

■地域もさることながら、長野高専の欠かせない構成員である教職員と学生らもまた、土居校長と岩佐総務課長を筆頭にした長野高専の「特権階級」幹部陣によって盛大にコケにされ続けています。同校内部では、相変わらず厚顔無恥な動きが繰り返されているそうです。

 長野高専では、8月初頭、前期の授業期間が残っているにも関わらず、突如強制的に閉寮・登校禁止という措置に打って出ました。ところがその措置は、自ら決めたばかりの学校封鎖基準とも矛盾するなど根拠が極めて不明瞭なものであり、決定においては渦中の岩佐達也が強く関与していたという情報提供までありました。学校内での情報交換や自家用車監視網を一刻も早く断ち切り、強制風化させたい目論見もあったのではないか、と一部関係者の間では囁かれているようです。
(冒頭リンク・2020/7/26付記事の後半追記とコメント欄参照↓)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3183.html

 その後、同校では後期開始の9月23日からようやく登校再開と相成ったようです。そして、この登校再開に先立っても、どうやら内部で噴飯モノの経緯があったようです。

 長野高専内では、秋以降のコロナ対応方針を策定するにあたり、8月31日のリスク管理室で固まった方針を説明する教員会議の場が9月2日に設けられたそうです。この教員会議自体、内部関係者によれば、9月7日のリスク管理室で本決定する前の「形だけのガス抜き」だったようです。そのガス抜き教員会議の最中、「教職員の対応基準」の議題に入った際に、なんと土居校長は渦中の岩佐氏に振って説明させていたそうです。参加教員らは、ルール破りや出張疑惑など疑惑だらけの岩佐氏が「どの面下げて説明しているんだ」という憤りを抱いたそうです。ガス抜きの場でガスを余計に生産する両氏の挑発ぶりには驚嘆せざるをえません。

■そして極めつけには、9月7日にリスク管理室が開かれてコロナ対応方針が本決定した翌日、長野高専の全学生に向けて以下の通達メールが送られたそうです。

*****9/8付全学生宛通達*****
From: 佐藤優
日付: 2020/09/08(火) 15:48
タイトル: 後期登校開始のお知らせ及び健康チェックの励行について

                          令和2年9月8日
 学生の皆さん
                            教務主事
                            学生主事
                            寮務主事

      夏季休業明けにおける登校開始について

 本校では、9月23日(水)から登校を開始する予定です。
 学生寮の開寮は、9月21日(月)の予定です。
 ※今後の状況により延期等になる場合があります。

 そこでまず、学生の皆さんには、夏季休業終盤から健康チェックをお願いします。
 毎朝、皆さんに健康チェックお知らせメールをお送りしますので、添付のURLから健康チェックフォームに入力し回答してください。これは、日々の健康管理を習慣にし、新型コロナウイルス感染症から自分や家族、友人等を守るため是非行ってください。
 健康チェックの実施方法等は下記のとおりです。

【実施期間】
 令和2年9月9日(水)から

【実施方法】
 Googleフォームによる回答
 (URL略)

 ① 9月9日(水)~ 9月23日(水)(夏季休業終盤~登校開始日)
  ・毎朝、全学生の皆さんに健康チェックお知らせメールを送信するので体温測定等を行いフォームへ入力し回答する。(メール着信前に行っても構いません。)
  ※特に寮生は、毎日回答しないと入寮を認めませんので注意してください。
   自宅通学生についても、未入力者へは学校から個別に入力確認をしますので、毎日行うようにしてください。

 ② 9月24日(木)以降
  ・毎朝の健康チェックお知らせメールは送信しませんので、健康チェックを毎朝行い、これを習慣にして自己管理ができるようにしてください。

+-----------------------------------------------------------+
独立行政法人 国立高等専門学校機構
長野工業高等専門学校
学生課 教務係長 佐藤  優
〒381-8550長野市徳間716
TEL; 026-295-7017 FAX; 026-295-4950
E-mail ; (略)
+-----------------------------------------------------------+
**********

■このように、寮生については健康報告を1日でも怠ったら学生寮には住まわせないという恫喝ぶりです。寮がなければ学業がままならない寮生にとっては、「少しでも従わないなら長野高専から出ていけ」という高圧的な脅迫に等しいものです。当然、この恫喝メールの素案を策定したリスク管理室には、話題の岩佐総務課長も椅子を並べています。

 このメールが学生に送り付けられた翌日、学生とりわけ寮生らから当会に憤りの意見が多数寄せられました。無理もありません。特権階級貴族の岩佐については、いくらコロナ規則破りをして学校関係者や近隣住民を危険に晒した疑惑があっても学校ぐるみで隠蔽するくせに、力のない学生に対しては「新型コロナ対策」で私生活の時間まで束縛し、行動を命令し、あまつさえ問答無用の恫喝まで行うのですから、呆れかえって物も言えないとはこのことです。

■話はさらに変わって、土居信数校長についても、長らく東京高専に勤めてきていた関係から八王子界隈に家があり、そして今は長野高専の教職員宿舎にひとり身を置いていることが知られています。そのため、5月下旬に長野高専へ提出した新型コロナ関連の初回質問状においては、土居校長についても緊急事態宣言中に東京に帰っていないかを確かめる質問を含めていました。
(冒頭リンク・2020/5/26付記事参照)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3169.html

 この土居校長にかかる質問についても、「個人に関わる事項」として一緒くたに回答拒否されてしまいましたが、後に同校内部関係者から、緊急事態宣言ごろの土居氏の動向についても情報提供が寄せられました。どうやら土居氏については、一応お盆前までルールを遵守していたらしく、東京に帰っていたという可能性は低いようです。代わりに、規則にかからない外部者である土居氏の妻が時々長野までやってきて、土居校長の身の回りの世話をして帰っていったとのこと。

 そうすると、これら情報が正しければ、岩佐総務課長は、学校長までもが律儀に守っていたルールを、率先して破っていたことになります。まず、学校長を超える権力者気取りというのが呆れたものです。それよりも、土居学校長はなぜ、自らが不便をしてまで守ったルールを部下が思い切り破っているのに、怒りもせず、それどころか悪事隠蔽に全力で加担しているのでしょう。普通に考えれば、今回の事態で学校長としての面目や威厳は丸潰れもいいところです。土居校長の思考回路は、まったく理解できないと評するほかありません。

 続々疑惑が噴出中の長野高専岩佐総務課長について、当会では引き続き追及を進めてまいります。理不尽の辛酸を舐めさせられ続けている同校関係者の皆様方におかれましては、ぜひ精力的な情報提供・意見発信・情報交換のほどよろしくお願いいたします。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【大同有害スラグ問題】渋川市の控訴は大同のシナリオ?訴訟参加人として準備書面(1)を出した大同の本性!

2020-11-15 23:50:00 | スラグ不法投棄問題
■大同特殊鋼(株)渋川工場由来の鉄鋼スラグは、有毒物質であり産業廃棄物です。不法に投棄されている廃棄物は撤去し、片づけなければなりません。しかし、群馬県県土整備部や国土交通省、そして渋川市の3者は、「鉄鋼スラグ連絡会議」というおよそ廃棄物とは関係ない怪しげな組織を立ち上げ、撤去はおろか、アスファルト舗装により被覆する工事が行われました。
 大同スラグ問題で当会は、群馬県東吾妻郡萩生川西地区の農道に不法投棄されたスラグについて、提訴し控訴審まで争った結果、「直ちに被害はない」などとして敗訴させられました。そうしたなかで大同特殊鋼の有毒スラグを巡り、当会の萩生スラグ裁判とは別の群馬県渋川市の市道(農道)に不法投棄されたスラグ裁判で判決が8月5日に前橋地裁で言い渡されました。
 この判決では住民側が事実上勝訴しましたが、あろうことか渋川市が控訴しました。そこには大同特殊鋼が補助参加人として名を連ねていました。「訴訟に参加して渋川市にアドバイスするつもりかな」と思いきや、11月6日付で、大同が補助参加人の立場で、渋川市とは別に22ページにわたる準備書面(1)を提出してきました。渋川市民としては、まるで裁判が大同に乗っ取られたかの印象を持ったことでしょう。
 その主張は驚くべきもので、群馬県廃棄物リサイクル課がスラグを廃棄物認定した時には、何の文句を言わず従っておきながら、刑事告発時に、前橋地検が不起訴処分にしたことを奇貨として「スラグは(検察の不起訴により)廃棄物と見なされなかった。だからスラグは廃棄物ではない」などと、とんでもないこじ付けに加えて環境基準についても文句をつけてきました。
 渋川市は一審ではスラグを廃棄物と認めているのに、渋川市を飛び越えて「廃棄物ではない」との主張が許されるのかどうか、いずれにせよ、渋川市は完全に大同のシモベに成り下がってしまったのでしょうか。
 この度、当会は大同の準備書面(1)を入手したので報告します。いかに、大同特殊鋼が、なりふりかまわずスラグ問題を葬り去ろうとしたいのか、文面から読み取ることができます。

畑の中にある渋川農道のアスファルトでフタをする以前の様子。40ミリの大きさに砕かれた生一本スラグが敷砂利されている。畑の中に天然石以外の敷砂利をするのはいかがなものか、と心配するお役人様はいなかったのだろうか?
 なお、この問題に関するこれまでの情報は当会の次のブログ記事を参考にして下さい。
〇2018年6月6日:【報道】大同有害スラグを斬る!・・・もう一つのスラグ訴訟始まる!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2661.html
〇2018年6月10日:【報道】大同有害スラグを斬る!・・・もう一つのスラグ訴訟始まる!(その2)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2665.html
○2018年7月16日:大同有毒スラグを斬る!…毒物入スラグ撤去を求めない県・渋川市と撤去したがらない大同らの共通利害とは
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2698.html
○2020年8月6日:【速報】大同有害スラグ報道・・・スラグにアスファルトでフタすることは違法判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3186.html
○2020年8月13日:【大同有害スラグ問題】・・・“スラグにアスファルトでフタすることは違法”と断じた判決文について考察
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3189.html
○2010年10月9日:【大同有害スラグ問題】渋川市が控訴理由書を提出!そこになんと訴訟参加人として大同特殊鋼の名前が!!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3216.html

*****補助参加人準備書面(1)*****ZIP ⇒ qlipj.zip
<P1>
令和2年(行コ)第181号
渋川市が産業廃棄物撤去請求等を怠る事実の違法確認請求控訴事件
控 訴 人  渋川市長 高木勉
補助参加人  大同特殊鋼株式会社
被控訴人   角田喜和

         準 備 書 面(1)

                    令和2年11月6日

東京高等裁判所第7民事部 御中
              補助参加人訴訟代理人
                  弁護士  木 曽   裕
              (担当)弁護士  池 野 幸 佑
                  弁護士  日 野 真太郎

 頭書事件(以下「本件訴訟」という)につき、補助参加人は次のとおり弁論を準備する。

第1 本書面の概要
   本件訴訟は、補助参加人によって製造された道路用鉄鋼スラグが商品として販売され、しかる後に、群馬県渋川市(以下「渋川市」という。)が、当該道路用鉄鋼スラグを含む砕石を、平成19年に同市の未舗装市道において敷

<P2>
砂利として使用した後、当該道路用鉄鋼スラグが平成25年に改訂されたJIS規格の環境基準を満たさないことを踏まえて、渋川市が平成30年に同市道にアスファルト舗装を施したという事案に関するものである。この事案において、原審は、渋川市の住民が、渋川市が補助参加人に対して、当該道路用鉄鋼スラグを撤去するよう妨害排除請求をしないのは違法である等と主張したのに対し、原審は、渋川市が補助参加人に対して、当該道路用鉄鋼スラグについて妨害排除請求権を有すると判断した。
   原審の判断は、リサイクル製品たる道路用鉄鋼スラグを廃棄物と誤認したうえ、道路用鉄鋼スラグを含む砕石がアスファルト舗装によって市道と一体化しているという現状があるにもかかわらず、かかる市道の整備に関わっていない補助参加人が道路用鉄鋼スラグの製造者というだけで補助参加人に対する妨害排除請求権の行使を認めたものである。かかる判断は、事実認定に誤りを含むとともに、過去の判例や妨害排除請求権の理解と矛盾し、明らかに不当違法である。
   補助参加人は、これらの詳細について、本書面第2において本件訴訟に関する事案の概要を、同第3において原判決の判断の概要を、同第4において原判決が違法であることを述べる。

第2 事案の概要
 1 鉄鋼スラグについて
   本件訴訟は、鉄鋼スラグを原材料として製造された、リサイクル製品たる道路用鉄鋼スラグに関して生じた紛争である。
   まず、鉄鋼スラグとは、鉄鋼製品の製造工程で副産物として生まれるもの であり(丙1-1及び丙1-2)、鉄鋼製品の品種によっては、人体に有害な影響を与える重金属類を含有する場合もある。
   一方で、鉄鋼スラグには水硬性があり、大きな支持力(日常用語でいえば

<P3>
重さに耐える力)が期待できることから、有効利用できる素材として、日本のみならず世界各国において、後述する道路用路盤材のほか、様々な工業製品の原料として利用されているのである(丙2-1及び丙2-2)。

 2 道路用鉄鋼スラグについて
   鉄鋼スラグに対し、破砕、整粒、エージングといった工程を経て製造されるリサイクル製品として、道路用鉄鋼スラグがあり、敷砂利や路盤材として世界中で 広く利用されている(丙3-1及び丙3-2)。
   路盤材とは、舗装道路において、舗装の表面(表層・基層)と路床(地盤 面)との間の路盤に敷き詰める部分の素材をいい、道路用鉄鋼スラグの他、天然砕石等の路盤材料が素材として用いられる。一般的なアスファルトの舗装道路工事においては、整地した路床の上に路盤材を敷き詰め、均ーに敷きならし固めたうえで、基層工事としてアスファルト混合物を上から敷きならし、最後に 表層工事として 、より密度の高 いアスファルト混合物を敷きならすという工程で施工される(丙4-1及び丙4-2)。つまり、路盤材とは、アスファルト舗装の構成層(構成要素)である。
   路盤材として用いられる道路用鉄鋼スラグには、わが国では昭和54年にはJIS規格(JIS A 5015。以下「本件JIS規格」という。)が設けられるなど路盤素材として、長期かつ広く一般的に道路舗装工事において使用されてきた。

 3 本件JIS規格の改訂
   平成25年に、本件JIS規格が改訂され、新たに環境安全品質基準(以下「新環境基準」という。)が加わった(以下当該改訂を「新改訂」という。)。新環境基準は、カドミウム、鉛、六価クロム、ひ素、水銀、セレン、ふっ素及びほう素の溶出量(真水に溶け出す量のこと。含有量ではない。)等が、一

<P4>
定の値以下でなければならないというものであった。
   この点、新改訂前に施工された道路用鉄鋼スラグの中には、新環境基準を充足していないものがあることになった。そのため、路盤材等としてすでに敷設されている道路用鉄鋼スラグが、新改訂後の本件JIS規格を充足していない可能性や、それゆえに人体に与える影響が懸念されるようになり、補助参加人の製造・販売してきた道路用鉄鋼スラグについても同じ懸念があっ た。補助参加人としては、製品販売後の事後的な状況の変化とはいえ、後記4のとおり、一定の道義的・社会的責任を有するという考えの下、これらの問題に真摯に対応してきた。
   なお、群馬県知事は、平成27年9月に、補助参加人の 渋川工場から製鋼工程の副産物として排出された鉄鋼スラグについて、廃棄物と認定されるとして、補助参加人が子会社に対してリサイクル工程を製造委託していたことを廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)違反(無許可業者に対する処理委託)で刑事告発し 、群 馬県岩の捜査がなされ送検された。しかし、前橋地方検察庁検察官は、平成28年12月22日、そもそも当該鉄鋼スラグは廃棄物にあたると認定できないとして、不起訴処分とし(丙5-1)、群馬県知事は、検察審査会への申し立てもしなかった(丙5-2)。当該鉄鋼スラグが廃棄物に該当しないと判断することは当然であると解される。なぜならば、鉄鋼スラグは道路用鉄鋼スラグ(鉄鋼スラグを使用し た製品)の原料であり、この原料を加工して製品に製造する事業は廃棄物の処理に該当せず、製造業に該当するからである。
   なお、群馬県はリサイクルされた後の製品である道路用鉄鋼スラグも廃棄物であると認定していない。その背景には、廃棄物該当性は後述のとおり総合判断説によって決定されるため、リサイクル製品である道路用鉄鋼スラグを廃棄物と認定することは到底無理であるとの判断があったものと推測される。

<P5>
 4 本件訴訟について
   本件訴訟は、新改訂前に製造された道路用鉄鋼スラグが、新改訂後に問題となった事案である。本件訴訟の事案においては、補助参加人が、自らが製 造した道路用鉄鋼スラグを補助参加人の子会社である大同エコメット株式会社(以下「大同エコメット」という。)に譲渡し、その後の流通経路は不明であるが、最終的には、平成19年に、当該道路用鉄鋼スラグを含む砕石は、渋川市市道1-4265号線( 以下「本件市道」という。丙6)において敷砂利として使用されたと同市から指摘を受けたものである。本件訴訟は、かかる道路用鉄鋼スラグ(以下「本件道路用鉄鋼スラグ」という。)を含む砕石が本件市道の敷砂利として用いられていることが、新改訂後である平成26年に問題とされたものである。なお、補助参加人は、大同エコメットから渋川市までの譲渡経緯を承知していない。大同エコメットが販売したのはその他の砕石を含まない道路用鉄鋼スラグであったので、その後他者によって他の砕石の補充、混合などの処理が行われ、道路用鉄鋼スラグを含む砕石が本件市道の敷砂利として使用されたものと思われる。
   補助参加人は、道義的・社会的責任の観点から、渋川市との間で、平成27年12月11日に、本件道路用鉄鋼スラグを含む補助参加人が製造した道路用鉄鋼スラグが用いられている道路等への対応について合意し、協定(乙4。以下「本件協定」という 。)を締結した。そして、渋川市が、本件市道について、本件道路用鉄鋼スラグが含まれる砕石から、新環境基準を超えるふっ素が含有されているのが判明したことを理由に、これらの物質の溶出を防ぐため表面被覆工事(以下「本件工事」という。)をすることを決定し、本件協定に従って平成29年8月9日に渋川市と補助参加人との間で個別契約書を締結して、補助参加人が本件工事費用を負担することとした(乙5)。
   しかし、被控訴人(原告)は、道路用鉄鋼スラグが本件市道で用いられて

<P6>
いることを問題視し、本件道路用鉄鋼スラグは産業廃棄物であるから、これを撤去すべきと考え、本件訴訟を提起し、渋川市が補助参加人に対して、本件道路用鉄鋼スラグを撤去しないことが違法であることの確認を求めたものである。

第3 原判決の判断の概要
   原審で審理された争点は4つである。すなわち、本案前の争点として、①補助参加人に対する本件道路用鉄鋼スラグの撤去請求が財務会計上の行為に該当するか、②本件協定書3条1項の措置が財務会計上の行為に該当するか、本案の争点として、③控訴人の補助参加人に対する本件道路用鉄鋼スラグの撤去請求権の有無及び④かかる撤去請求を行わないことの違法性の有無がある。
   原判決は、争点①については、財務会計上の行為に該当すると判断し、一方、争点②については、財務会計上の行為に該当しないとした。
   次に、原判決は、争点③ について、所有権に基づく妨害排除請求は、所有権を侵害し、或いは侵害するおそれのある物の所有権を有する者に限らず、現に存する侵害状態を作出した者もその排除の義務を負うとした東京高裁の判決(東京高判平成8年3月18日)を引用し たうえで、補助参加人が排出した鉄鋼スラグにより本件市道の所有権の侵害状態を作出したので、補助参加人は、渋川市の所有権に基づく妨害排除請求権の相手方になると判断した。
   最後に、原判決は、争点④について、控訴人は、地方公共団体の財産について、常に良好な状態において管理する義務(地方財政法8条)を負うが、控訴人が補助参加人に対して鉄鋼スラグの撤去請求権を行使しないことを正当化する事実は認められないので、かかる不行使は違法であると判断した。
   原審は、以上の判断の結果、本件市道に存在する補助参加人排出に係る産業廃棄物について撤去請求をしないことが違法であることを確認する判決を

<P7>
した。
   しかし、かかる判断は、第4で述べる通り、事実誤認、最高裁判例の判断基準への違背、法解釈の誤り及び法適用の誤りを含むものと言わざるを得ず、極めて不当である。なお、補助参加人は、争点①②については、控訴人が令和2年10月6日付控訴理由書において主張するところ以上に主張をするものではないので、以下では主に争点③について主張をし、争点④に関して若干補足をするものである。

第4 原判決が違法であること
 1 争点③に関する原判決の判断について
 (1)原判決の争点③に係るロジック
    原判決の争点③に係るロジックは、(i)本件道路用鉄鋼スラグは産業廃棄物であり、(ii)かかる産業廃棄 物が本件市道上に存在する以上、(iii) 渋川市は、これを排出した補助参加人に対し、本件市道 の所有権に基づく妨害排除請求権を有するというものである。以下、これらのロジックの不当性について述べる。

 (2)(i)(本件道路用鉄鋼スラグが産業廃棄物であるかどうか)について
   ア 原判決の判断内容
     原判決は、本件道路用鉄鋼スラグから土壌汚染対策法における溶出量基 準及び本件JIS規格の新環境基準における含有量基準を超過したふっ素が検出されたことを理由として、本件道路用鉄鋼スラグが商品価値の認め られない産業廃棄物であると認定した。
   イ 原判決の判断が不当であること
   (ア)事実関係に誤解があること
      原判決は、「大同特殊鋼の排出した本件スラグが本件市道上に存在し」

<P8>
(原判決18頁)と述べ、あ たかも産業廃棄物が路上放置されているかのように表現しているが、本件市道に存在しているのは、補助参加人が平成19年当時に製造した本件道路 用鉄 鋼スラグという工業製品が敷砂利として使用された上でアスファルト舗装された道路である。
   補助参加人は本件道路用鉄鋼スラグを製品として販売していたに過ぎず、渋川市が自らの判断で本件道路用鉄鋼スラグを含む砕石を本件市道の敷砂利として使用したものであり、補助参加人はかかる使用に何ら関与していない。さらに、平成 30年3月30日には、渋川市が 本件市道にアスファルト舗装工事(基層工事及び表層工事)を施したことで、物理的にも舗装道路の一部となっている(丙7)。
   原判決は、このような事実関係を認識せずに判断をしたものと考えられ、事実関係に誤解があるとしか思われない。
   (イ)「産業廃棄物」該当性について最高裁判所の判断基準に違背した判断がされたこと
      (ア)で述べた通り、本件市道に路盤材として使用されているのは道路用鉄鋼スラグであり、原審が判断するべきは「道路用鉄鋼スラグが産業廃棄物か否か」であるところ、原判決の判断は判例に従った判断をしていない。
      すなわち、最高裁判所第二小法廷平成11年3月10日決定(刑集53巻3号339頁。以下、「最決平成11年」という。)は、「産業廃棄物」(廃掃法2条4項)にあたる 「不要物」(廃掃法 施行令(平成5年政令第385号による改正前のもの)2条4号)とは、「自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になったものをいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して決するのが相当である。」と判示し、産業廃棄物に該当するか否かについ

<P9>
て、いわゆる総合判断説を採用した(丙8)。つまり、最決平成11年は、産業廃棄物であるか否かは総合的に判断すべきと判示しているのである。
      最決平成11年が採用する総合判断説とは、複数の客観的事実及び主観的要素を総合的に判断するものであり、たとえ同一のもの(当該判決の対象物は「おから」)であっても、具体的な排出状況、利用状況及び当事者の意思等を総合判断し、廃棄物に該当するか否かを具体的に判断するというものである。すなわち客観説を否定するものである。
      上記事件は、豆腐製造業者から排出される「おから」の廃棄物該当性 が問われた事件である。
      上記事件の高裁判決(広島高裁岡山支部平成8年12月16日判決)は、廃棄物該当性の判断基準について「産業廃棄物としての不要物というのは、同法が廃棄物の排出を規制し、その適正な処理等を目的とするものであることからすると、排出段階の物を捉えていうものであって、事業活動によって排出された物で、事業者が不要として処分する物をいうものと解すべきであり、その物の性状、排出の状況、取扱形態及び取引的価値の有無等から排出業者が社会的に有用物として取り扱わず、有償で売却できる有価物ではないとして、対価を受けないで処分する物をいうと解するのが相当である。」と判断していた。上記は、客観的性状及び対価性を菫視しており、いわゆる客観説に該当する。
      最高裁は、廃棄物該当性の結論については上記高裁判決を正当であると認めたが、判断基準については誤りがあるとして、職権で、上記のように判断し た(甲70の1)。
      高裁の判断と最高裁の判断の違いは、まず「自ら利用」しているものは廃棄物に該当しない点を明確にしている点、有償売却を具体的な要素にせず取引価値を里視している点、事業者の意思等を重視している点で

<P10>
ある。最高裁がこのように、明確に客観説を否定した根拠は、全ての物には一般的に利用価値があり、利用者が利用する意思をもって自らの責任において有効活用しているものは、廃棄物に該当せず、廃棄物処理法を適用することは不適切であることを明確にしたものである。これは常識から考えて当然である。他人からみれば価値がないものであっても、 大切に利用されているものを廃棄物として認定することは、資源の有効利用の観点及び国民の財産権の保障という観点から妥当ではない。したがって、廃棄物処理法の解釈として客観説は取り得ないのである。
      原判決は、産業廃棄物が廃掃法上の概念であることを前提にしつつも(原判決2頁)、本件道路用鉄鋼スラグが敷設された時点における品質基準、これ を前提とした当時の社会通念、渋川市は平成19年の施工後10年以上安全に敷砂利として使用していたこと、今後も渋川市が使用する意思を有していること等の客観的・主観的要素を無視している点で、最高裁の判断基準に違反している。
      後述のとおり新環境基準等への超過の有無のみを理由に安易に廃棄物 性を肯定したものであり、最決平成11年が挙げる各要素を仔細に考慮し、総合的に判断した形跡はない。したがって、判例違反及び審理不尽の違法があることは明らかである。
      なお、第2で述べた通り、道路用鉄鋼スラグは路盤材として広く用いられていることや、補助参加人は現在も自社の知多工場(愛知県東海市) において道路用鉄鋼スラグを有用物である商品として取り扱っていること、また、平成29年8月9日に渋川市と補助参加人との間で締結した個別契約書(乙5)においても、「鉄鋼スラグ製品」という表現が使用されていることからすれば、最決平成11年の示した総合判断説によれば、本件道路用鉄鋼スラグが産業廃棄物でないと判断すべきことは明らかである。

<P11>
   (ウ)土壌汚染基準の超過を「産業廃棄物」に該当する根拠にしていること 原判決は、本件道路用鉄鋼スラグから、本件JIS規格とはまた別の、土壌汚染対策法におけるふっ素の溶出量基準(以下、「土壌汚染基準」 という。)を超過するふっ素が検出されたことを理由に、本件道路用鉄鋼スラグを産業廃棄物に該当するとする(原判決18頁)。
      しかし、土壌汚染対策法における環境基準である溶出量基準とは、汚染された土壌から特定の物質が地下水に溶出し、その地下水を飲用することによる健康リスクに関し、70年間、1日2リットルの地下水を飲用した場合であっても健康に対する影響がない濃度として設定されたものであり、自然界にも元々存在するふっ素についても同様の基準を定めている(丙9・5頁)。
      このように、そもそも、土壌汚染基準とは土壌が汚染されているかどうかという基準であって、製品そのものに適用される基準ではない。
      環境省中央環境審議会は、「土壌の汚染に係る環境基準の項目追加等 について (答申)平成12年12月26日」(丙10)の8頁において、士壌環境基準は再利用物へ適用されないことを以下のとおり、明確に記載している。
      「イ 再利用物への適用再利用物については、
      (I)セメントや石膏ボード等の原材料として利用され構造物の一部となっている場合には、これらに適用しない。
      (II)道路用等の路盤材や土木用地盤改良材等として利用される場合には、再利用物自体は周辺の土壌と区別できることから適用しない。
      (III)肥料のように土壌に混ぜ合わせて使用する場合には、肥料を混 合させた土壌に対しては適用する。」

<P12>
      これは、製品は土壌ではないため、当然の結論である。土壌環境基準 は、毎日2リットルの地下水を70年飲用した場合に、健康影響が発生するリスクを考慮して定められている。セメントや路盤材は、土壌のように中に水が浸透することはなく、その表層に地下水が接したとしても 地下水の接する表面積や滞留時間が短いため、同様の健康影響が発生する可能性はほとんどない。また、セメント、路盤材、肥料等の機能は、土壌とは異なり、同一の品質を求める根拠はない。
      本件JIS規格も「環境」安全品質基準という用語を用いているが、本件JIS規格自体は、製品に適用される基準であり、製品が環境に対して及ぼす影響として満たすべき基準を設けているものであるから、土壌汚染対策法に係る「環境」基準とは本質的に異なるものである。
      それにもかかわらず、原判決は、製品に対し、全く別の適用基準であ る土壌汚染基準を突如適用して見せ、上記判例(最決平成11年)の各検討要素の判断を省略し、直ちに本件道路用鉄鋼スラグが産業廃棄物であると判断したものであり、原判決の判断は明らかに不当である。
   (エ)新環境基準の超過を「産業廃棄物」に該当する根拠としていること
      原判決は、本件道路用鉄鋼スラグから、本件JIS規格の新環境基準を超過するふっ素が検出されたことを理由に、本件道路用鉄鋼スラグを産業廃棄物に該当するとする( 原判決18頁)。
      しかし、第2で述べたとおり、本件JIS規格において新環境基準が盛り込まれたのは平成25年3月21日のことである(丙11)。つまり、本件道路用鉄鋼スラグが本件市道上で敷砂利として使用された平成19年当時、本件JIS規格において新環境基準は 存在しなかった。
      この点、廃掃法上、事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を 自らの責任において 適正に処理しなければならないとされていること( 同法3条1項)、処理した後の時点の基準で廃棄物性が判断されるの

<P13>
は明らかに不当であること、最決平成11年が判示する考慮要素(その物の性状、排出の状況、通常の取扱形態、取引価値の有無、占有者の意思)を踏まえれば、廃棄物であるか否かは、その処理時に判断されることは明らかである。そして、本件道路用鉄鋼スラグが出荷された当時、新環境基準は存在しなかったものであるから、新環境基準の超過が本件道路用鉄鋼スラグの廃棄物性に結びつかないことは明らかである。
      加えて言えば、そもそも、JIS(日本産業規格)は任意の国家規格であり、法的拘束力もなく、JISを採用するか否かは事業者が自ら決定すべきものであって、事業者は、JISに適合する製品を市場に流通させるべき法的義務を負うものではないことから(丙12)、時期の問題を措くとしても、本件 JIS規格における新環境基準の超過は、本件道路用鉄鋼スラグの廃棄物性に直ちに結びつく根拠たり得ない。
      以上のように、原判決が、新環境基準の超過を根拠に本件道路用鉄鋼スラグを産業廃棄物と認定したのは明らかに不当である。
   ウ 小括
     以上で述べた通り、原判決が、本件道路用鉄鋼スラグが産業廃棄物に該当するとした判断は、最高裁判例(最決平成11年)を踏まえたものではなく、かつ、不当である。原判決の理屈によれば、現在、日本中に存在している道路工事に用いられた道路用鉄鋼スラグは、新改訂後の本件JIS規格における新環境基準を満たさない場合は、遡ってすべて産業廃棄物であるとの結論となるが、このような判断は明らかに不当である。

<P14>
 (3)(ii)(本件道路用鉄鋼スラグが本件市道上に存在するかどうか)について
    原判決は、本件道路用鉄鋼スラグが本件市道上に存在するとする。その根拠として、本件道路用鉄鋼スラグは、①自然物ではないこと、②産業廃棄物に該当すること及び③本件市道の土壌部分と区別が可能であることから、本件市道の土壌に付合していないことを挙げる(原判決17頁及び18頁)。しかし、かかる判断は、まず、前提事実を誤解したものである。すなわち、③について、原判決は、本件道路用鉄鋼スラグを含む砕石が、本件市道の土壌の上に敷砂利として設置されたことを根拠に、本件道路用鉄銅スラグが本件市道の土壌部分と区別が可能であるとする(原判決18頁・第3の3(2)ア(イ)は 、(1)イ(ア)を引用している。)。しかし、これは原判決自身に明記されているとおり、平成19年以降・平成30年の本件工事実施までの状態についての記載であるところ、現在本件市道は、本件工事の実施により、アスファルト舗装道路となっており、本件道路用鉄鋼スラグは視認すらできない。 そして、第2の2で触れたアスファ ルト舗装道路の工事過程も踏まえると、かかる工事がなされた後は、本件道路用鉄鋼スラグはアスファル卜舗装道路となった本件市道と 一体化しており、物理的な意味でも、法的な意味でも独立した動産として存在しない。そのため、原審は、本件市道のか かる現状を前提に判断をしておらず不当である。
    また、一般に付合とは、分離復旧が事実上不可能ないし社会経済上著しく不合理な場合、具体的には、分離が過分の費用を要するか、毀損をもたらす場合を言うところ(丙13)、本件工事によってアスファ ルト舗装道路における路盤材となった本件道路用鉄鋼スラグは、表面から路盤まで一体化しているため重機により各層を区別して掘削することができず、本件市道からの分離はできないものと考えられるが、仮に本件市道から分離をすることができるとしても、そのためには大掛かりな工事が必要であって、分離するのに 過分な費用または毀損をもたらすものであるから、本件市道に付合していないとは考えられない(丙14・41頁)。
    原判決は、付合しない理由として、本件道路用鉄鋼スラグが自然物でないことや、産業廃棄物に該当することを挙げる。しかし、自然物でないものが付合しないというのは理解できない。たとえばアスファルト舗装道路のアス

<P15>
ファルトは自然物ではないが、これが自然物でないから付合しないというのは不合理である。また、本件道路用鉄鋼スラグが産業廃棄物に該当しないのは既に述べた通りであるが、産業廃棄物かどうかは、上に述べた付合の要件とは関係ないと思われる。以上から、これらが付合を否定する理由になるとは考えられず、明らかに不当な判断である。

 (4)(iii)(渋川市が補助参加人に対し妨害排除請求権を有するかどうか)について
   ア 原判決の判断
     原判決は、本件市道上に本件道路用鉄鋼スラグが存在することをもって、 本件市道の所有権が侵害されていると認定し、補助参加人が妨害排除請求の相手方になるとして、補助参加人に対する妨害排除請求権を認めた。
   イ 原判決の判断が不当であること
   (ア)所有権に基づく妨害排除請求権の要件
      一般に所有権に基づく妨害排除請求権が認められるには、①請求権の主体は所有者であって、その所有権の内容の実現が占有の喪失以外の事情によって妨げられているものであること及び②請求権の相手方は現に妨害を生じさせている事実をその支配内に収めているものであることが権利発生要件事実であり、③所有者と妨害者との間に妨害を正当化するような法律関係がないこと(つまり、妨害に客観的違法性がないこと)が権利発生障害事由と考えられている(丙15-1及び丙15-2)。
      この点、本件訴訟の事案では、以下に述べる通り、①及び②は肯定されず、また、③が肯定されると考えられるところ、原判決は、かような判断を全く行うことなく、不当な判断をしたものである。
 (イ)要件①(所有権侵害)が認められないこと
    原判決は、本件市道上に本件道路用鉄鋼スラグが存在することをもっ

<P16>
て、本件市道の所有権が侵害されていると認定する。そもそも、本件市道上に本件道路用鉄鋼スラグが独立した動産として存在するとは言えないことは(3)で述べた通りであるが、その点を措くとしても、原判決が、本件道路用鉄鋼スラグが本件市道上に存在すること(事実としては、本件市道の一部たる路盤材となっていること)によって、いかなる意味において本件市道の所有権の内容の実現が妨げられているとしたのかは、不明である。
    すなわち、本件市道は、通行の用に供されるものであるが、本件道路用鉄鋼スラグは、いかなる意味においてもこれを妨げていないし、むしろ路盤材として通行の便に資している。
    また、原判決の趣旨が、仮に本件道路用鉄鋼スラグが存在することで、本件市道の利用者等の健康に悪影響を及ぼしたり、周辺環境を汚染したりする危険性があるという事実認定に基づき、所有権の内容の実現が妨げられているということであるとしても、それは事実誤認である。すなわち、本件市道はアスファルト舗装により被覆措置が講ぜられており、本件道路用鉄鋼スラグに含まれるふっ素を理由として具体的な健康被害等がもたらされる蓋然性は極めて低いものであり、かつ、本件道路用鉄鋼スラグが地下水等の環境に影響を与えないように地下水等は常時監視されており、仮に地下水に溶け出すなどの問題が発生した場合には、控訴人と補助参加人との間で合意した費用負担の下、控訴人は直ちに対策を購じることが可能である(乙4)。
    加えて、原判決は、過去の裁判例との関係でも誤った判断をしている。すなわち、東京地裁平成24年1月16日判決(以下「東京地判平成24年」という。)は、昭和43年10月から昭和45年9月頃までの間に、焼却灰や耐久消費財などの廃棄物を埋め立てたことが原因で、土地が汚染されていたとして、物権的妨害排除請求権に基づく費用償還請求

<P17>
が争われた事案において、「本件廃棄物(特定有害物質を含む。)は、本件土地に埋め立てられることによって、同土地の構成部分となっているものであるから、これについて、原告による妨害状態が継続して存在していると解することはできない。」と判示し、廃棄物であっても、土地に埋め立てられることによって同土地の構成部分になっており、妨害状態が存在していると解することはできないことを明らかにしている(以上、丙16)。この点、本件訴訟の事案においても、本件道路用鉄鋼スラグは本件市道のアスファルト舗装のドに、本件市道の構成部分となっていることから、妨害状態が存在しないことは明らかである。
 (ウ)要件②(妨害排除請求権の相手方)が認められないこと
    妨害排除請求権の相手方は現に妨害を生じさせている事実をその支配内に収めている者であることを要する。
    この点につき、原判決は、東京高裁平成8年3月18日判決(以下「東京高判平成8年」という。)が、所有権に基づく妨害排除請求権の相手方は、その所有権を侵害する物の所有権を有する者に限られず、現に存する侵害状態を「作出」した者もその排除の義務を負うとした判示を引用したうえで、補助参加人が侵害状態を「作出」した者であると認定し、補助参加人が妨害排除請求権の相手方となるとした(原判決18頁)。
    しかし、東京高判平成8年は、複数の産業廃棄物業者が長年にわたり自ら山林に投棄を続けていた事案である。確かに、このような事案であれば、産業廃棄物の山林への投棄行為が侵害状態の「作出」と評価することは容易であろう。一方、本件訴訟の事案では、補助参加人は 、適法な商行為として、商品たる本件道路用鉄鋼スラグを製造・販売したのみであり、その後の本件道路用鉄鋼スラグの本件市道における使用に関与しておらず、本件市道整備の一環として補助参加人の本件道路 用鉄鋼ス

<P18>
ラグを使用したのは、渋川市の判断によるものであるところ、補助参加人のかかる製造・販売行為をもって侵害状態の「作出」と評価できるとはおよそ考えられない。また、そのような事実関係を前提にすると、仮に本件道路用鉄鋼スラグが何らかの意味で妨害を生じさせているとしても、補助参加人が、本件市道の路盤材としてアスファルト舗装の下で舗装と一体化している本件道路用鉄鋼スラグを支配内に収めているとは考えられない。言い換えれば、補助参加人は、本件道路用鉄鋼スラグに対して何らの権利も事実上の支配も有しておらず、これを排除せよと求められても法的にも事実上もそのようなことは不可能である。
    この点、原判決の判断によれば、補助参加人が本件道路用鉄鋼スラグを製造・販売し、渋川市が平成19年に本件道路用鉄鋼スラグを含む砕石を敷砂利として使用した後、平成25年に本件JIS規格に新環境基準が追加された瞬間から又はその瞬間に敷砂利として使用された時点に遡って、補助参加人が侵害状態を作出したことになると思われる。しかし、仮にかかる行為が侵害状態の作出と評価できるのであれば、あらゆる商品の売買契約において、事後的にJIS規格を含む強行法規性のない基準を満たさなくなると、製造者はユーザーから妨害排除請求権を行使されることになりかねない。かかる結論は明らかに不当であるから、このことからも原判決が不当であることは容易に理解される。
    以上を要するに、原判決は、東京高判平成8年と、本件訴訟の事案がおよそ異なることを看過し、補助参加人が侵害状態を「作出」した者で あると安易に判断しているが、かかる判断は不当である。
    なお、補助参加人は、補助参加人が理論的に妨害排除請求の相手方となり得ないことについて、現在、民法学者が作成した意見書を書証として提出を準備している。
 (エ)要件③(客観的違法性)が認められないこと

<P19>
    妨害排除請求権は、所有者と妨害者との間に妨害を正当化するような法律関係がある場合、その効力が阻止され、所有者は妨害を受忍しなければならないとされている。
    この点、渋川市と補助参加人との間では、平成27年12月11日に本件協定書が締結され(乙4)、その後、両者の間で本件市道上に存在する本件道路用鉄鋼スラグについては被覆措置をした上で撤去しないことを合意している(乙5)。すなわち、これらの合意により、 渋川市と補助参加人との間で、本件道路用鉄鋼スラグが本件市道上に存在するこ との問題は既に解決済みである。
    控訴人が補助参加人に対して妨害排除請求権を有するものではないことはこれまで述べたとおりであるが、仮にこれが肯定されるとしても、上記のとおり、本件道路用鉄鋼スラグが本件市道上に存在することを正当化する法律関係があるといえるから、渋川市が補助参加人に対して本件道路用鉄鋼スラグの撤去を求めることができない。原判決は、かかる法律関係を看過したものであり、不当である。

 (5)小括
    以上のとおり、争点③に関する原判決の判断は明らかに不当である。

 2 争点④に関する原判決の判断について
 (1)原判決の判断内容
    原判決は、地方公共団体の執行機関は、当該地方公共団体の事務を、自ら の判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負担し(地方自治法138条の2)、地方公共団体の財産については、常に良好の状態においてこれを管理する義務(地方財政法8条)を負っているところ、控訴人が補助参加人に対して本件道路用鉄鋼スラグの撤去請求権を行使しないことを正

<P20>
当化する事実は認められないとして、控訴人が補助参加人に対し、本件道路用鉄鋼スラグの撤去請求権を行使していないことは違法であるとした。また、控訴人が、本件工事は土壌汚染対策法等の関連法令及び本件対応方針からすると適正である以上、補助参加人に対して本件道路用鉄鋼スラグの撤去請求をすることができない旨、及び本件工事によってふっ素の健康被害を防ぐことができるため、廃棄物処理法19条の5第1項が定める生活環境の保全上支障及びそのおそれがないという主張に対して、かかる公法上の適合性をもって、直ちに、既に発生している本件市道の所有権に基づく妨害排除請求権としての本件道路用鉄鋼スラグの撤去請求権を行使しないことが正当化されないとした(原判決19及び20頁)。

 (2)原判決の不当性
    原判決の不当性は、控訴人が令和2年10月6日付控訴理由書の第2で詳細に述べるところであるので、補助参加人は、詳細は主張しない。補助参加人としても、控訴人同様、公法上の適合性を担保し、ふっ素の健康被害を防ぐことができる被覆工事をしたにもかかわ らず、それが私法上の妨害排除権を行使しない正当な理由にならないというのは不当と考える。ただし、本件で問題となっているふっ素の健康被害に関して以下補足する。
    まず、ふっ素は自然界に通常存在する自然由来の物質であり、市販のペットボトル飲料や歯磨き粉にも含まれている物質であるうえに、市販のペットボトル飲料においては、新環境基準のふっ 素の溶出量基準(0.8mg/リットル)を超えて いるものもある(丙17)。
    そして、本件JIS規格の新環境基準は、溶出量基準と含有量基準を含むところ、まず、ふっ素の溶出量基準(0.8mg/リットル)は、道路用路盤材に含有されるふっ素が地下水等を汚染し、飲料水として長期的に摂取されることを念頭に置いた基準であり、これを超える0.9~1.2mg/リ

<P21>
ットルの範囲の飲料水中のふっ素濃度は、軽度の斑状歯を12%から46%のヒトに発生させるとの報告があることを根拠としている(丙18)。しかし、ここでいう斑状歯のうち軽度のものは専門家でないと検知できないようなものである。したがって、溶出量基準である0.8mg/リットルを超過したふっ素を摂取したとしても、直ちに人体に悪影響を及ぼすようなものではない。実際に、WHOの飲料水ガイドラインは1.5mg/リットルとされており、アメリカ環境保護庁(EPA)の暫定飲料水基準では2mg/リットルとさ れている(丙18)。
    また、含有量基準は、ふっ素の直接経口による摂取(主に幼児が直接口に することを想定) に留意し、斑状歯発生予防の観点から4000mg/kgという数値が設定されている。また、この濃度レベルであれば、年間1、2回程度見られるといわれる幼児の非意図的な土壌の多量の摂食に伴う急性影響の観点からも問題ないとされている(丙19・24頁)。つまり、ふっ 素の含有量基準は、ふっ素を含む道路用路盤材からふっ素を直接摂取する場合 に提供される基準であり、4000mg/kgという数値も、上記(1)と同様、軽度の斑状歯を予防するという観点から算出されている。
    以上を要するに、新環境基準のうち溶出量基準とは、道路用路盤材に含有されるふっ素が地下水を経て人体に摂取することを念頭に置いた基準で、含有量基準とは、直接の経口摂取を念頭に置いた基準である。本件では、本件道路用鉄鋼スラグが新環境基準を超えていても、溶出量基準については、本件市道から250メートル以内に井戸を利用している住民がいないことから、実質的に問題にならないし、超えたとしても直ちに人体に悪影響を及ぼさすものではない。含有量基準については、本件工事によってアスファルトで被覆され、直接経口により摂取できない状態にすることで、経口摂取を防ぐことができるので、同じく実質的に問題にならない(以上については原判決16頁も参照)。

<P22>
第5 結語
   以上の補助参加人の主張をまとめると以下のとおりである。
   ① 渋川市が本件市道に敷砂利として敷設していた本件道路用鉄鋼スラグは産業廃棄物ではない。
   ② 本件道路用鉄鋼スラグはそもそも物理的にも法的にも本件市道上に独立した動産として存在しない。
   ③ 仮に何らかの意味で本件道路用鉄鋼スラグが本件市道上に存在するとしても、それによって本件市道の所有権の実現には何ら欠けるところはないことから、そもそも渋川市に対する所有権侵害が存在しない。
   ④ 仮に本件市道の所有権侵害が存在するとしても、渋川市は市道腋備の一環として自ら本件道路用鉄鋼スラグを本件市道に使用したものであり、補助参加人は、単に本件道路用鉄鋼スラグを製造して出荷したに過ぎず本件道路用鉄鋼スラグが本件市道に使用されたことに一切関与していないし、既にいかなる意味においても本件道路用鉄鋼スラグに対して支配を有していないから、補助参加人は本件道路用鉄鋼スラグに係る妨害排除請求の相手方となり得ない。
   ⑤ 仮に補助参加人が妨害排除請求の相手方になりうるとしても、渋川市と補助参加人との間では、本件協定書等の合意がされ、本件道路用鉄鋼スラグが本件市道に存在する問題は解決済みであるから、渋川市は補助参加人に対して妨害排除請求はできない。
   原判決の判断は、多くの事実誤認、最高裁判例の判断基準への違背、法解釈の誤り及び法適用の誤りを含む。また、そもそも判断の根拠となる説明が不足しており、理解に苦しむ箇所が多くある。そのため、本件訴訟は、補助参加人が産業廃棄物を本件市道上に投棄したかのような事実誤認に基づきなされたのではないかという印象すら与える。
   しかし、事実としては、補助参加人は、鉄鋼スラグを加工して本件道路用鉄鋼スラグを製造し、市場で流通された後、渋川市がこれを含む砕石を自らの判断で本件市道の敷砂利として使用したというものであって、補助参加人が本件市道上に鉄鋼スラグを排出又は投棄したというような事実は存在しない。原判決は、このような基本的な事実関係を誤認し、道路用鉄鋼スラグをして産業廃棄物と誤解し、法的に認められるとは考えられない妨害排除請求権を肯定し、本件訴訟の結論を大いに誤ったものと言わざるを得ない。
   したがって、原判決には、審理不尽、理由不備の違法があるので、破棄を免れない。
                             以 上
**********

■今回の補助参加人としての大同特殊鋼の準備書面(1)を提出した訴訟代理人の名前を見ると、次の3名の弁護士が関与していることがわかります。いずれも北浜法律事務所の東京事務所に所属しています。北浜法律事務所は1973年4月設立、2020年10月1日現在、所属メンバーは弁護士88名、外国法事務弁護士2名、中国律師1名、弁理士1名、司法書士1名から構成されています。

【木曽裕】
スペシャルカウンセル / 弁護士

<概要>
「いかに隠すか」よりも「いかに出すか」という目線こそが不祥事を起こした企業の命運を左右する時代です。
そのためには、適切な調査活動によって裏付けのある事実を特定することが大前提ですが、ここを正常化のバイアスによって矮小評価する企業が、企業価値を毀損します。
また、事実を認識しているのに、その影響度を矮小化することで外に出すタイミングを逸し、隠ぺいに次ぐ隠ぺいを繰り返してしまう企業もあります。
日本において理屈だけではない、現場の問題点も踏まえた実務経験に裏付けされている弁護士は、そう多くない中、当事務所はその答えを提示できることでしょう。
<主な案件実績>
・厚生労働省、いわゆる「消えた年金事件」
・検査データ改ざん事件
・食品偽装事件
・大型談合事件
・役員個人不正事件
・企業刑事弁護
・その他、企業研修、講演、執筆多数
<経歴>
1997年10月 司法試験合格
2000年03月 司法修習修了(第52期)
2000年04月 東京地方検察庁検事を拝命
2000年06月 大阪地方検察庁に配置換
2001年04月 同庁堺支部に異動
2003年04月 東京地方検察庁公判部に配置換
2004年04月 千葉地方検察庁刑事部(風紀係)に配置換
       横浜地方検察庁特別刑事部検事兼任
2005年04月 奈良地方検察庁(指導、風紀及び暴力係)に配置換
2007年04月 京都地方検察庁特別刑事部(財政経済・公安労働係)に配置換
       大阪地方検察庁特別捜査部検事兼任
2008年01月 北浜法律事務所・外国法共同事業に入所
2009年01月 パートナー弁護士に就任
2009年07月 公認不正検査士資格取得
2012年01月 弁護士法人北浜法律事務所東京事務所に移籍(第一東京弁護士会)
2016年06月 パートナー辞任、スペシャルカウンセル就任
<公職・役職など>
2008年05月 立命館大学(朱雀キャンパス)協力弁護士
2008年05月 国土交通省近畿地方整備局発注工事にかかる不正事案再発防止検討委員会委員
2008年10月 厚生労働省標準報酬遡及訂正事案等に関する調査委員会調査チーム調査員
2010年03月 総務省有線音楽放送事業の正常化に関する検討チーム委員
2011年08月 奈良市ガバナンス監視委員会委員長
2015年06月 株式会社王将フードサービス監査役(独立社外監査役)
2016年06月 株式会社王将フードサービス常務取締役執行役員
       総務本部長兼総務部長 海外事業部長 デリバリー事業担当役員
2020年08月 滋賀県「文化財保護不適切事案検証会議」会長
・一般社団法人日本公認不正検査士協会 理事
・特定非営利活動法人広報駆け込み寺 正会員
・特定非営利活動法人デジタル・フォレンジック研究会 会員

【池野幸佑】
アソシエイト / 弁護士

<概要>
中国業務を得意としております。3年間の中国(上海市)駐在経験があり、中国企業との取引契約、紛争解決、ジョイントベンチャーの設立及び解消、中国からの撤退に関するアドバイス等に従事して参りました。日本国内業務についても、訴訟・紛争解決、コーポレート関連業務、M&A等、幅広く行っております。日本国内のコンサルティングファームにおけるM&Aアドバイザリー業務経験、中国大手法律事務所での執務経験も生かし、クライアントの皆様に最適なリーガルサービスを提供できるよう、日々自己研鑽に励んでおります。
<主な案件実績>
・国内中堅企業の中国南京市の企業に対する債権回収案件
・国内大手企業の中国上海市の政府系企業との合弁解消案件
・国内中堅企業の中国天津における従業員整理案件
<経歴>
2004年03月 静岡県立富士高等学校卒業
2008年03月 横浜国立大学経済学部卒業
2010年03月 中央大学法科大学院修了
2011年12月 司法修習修了(新第64期)、弁護士登録(東京弁護士会)
2012年01月 民間企業(コンサルティング)にてM&Aアドバイザリー業務に従事
2014年05月 中国上海市の法律事務所勤務
2018年03月 北浜法律事務所入所

【日野真太郎】
アソシエイト / 弁護士

<概要>
取扱業務の種類は、紛争解決、投資・M&A、国際商取引全般、損害保険であり、特に企業間紛争解決を得意としています。また、業務の過半は、国際法務に関わるものであり、特に中国帰国子女であることを活かし、中華圏(中国大陸・香港・台湾)に関わるものを多く扱っています。顧客は、日本・中華圏の上場企業からベンチャー企業まで幅広く、業種は製造業、損害保険業、IT、投資業、商社、小売を中心とします。業務に臨んでは、顧客の企業文化や御要望を踏まえ、最善の経営判断をしていただくための解決策の提案ができるよう最大限努めております。
<主な案件実績>
・製造物責任・損害保険・情報漏洩・営業秘密侵害等の企業が関わる交渉・訴訟の代理人
・日中両国に跨る紛争に関して日中両国において提起された訴訟に係る日本の訴訟における代理人
・工場機械の売買契約に係る紛争に関する国際仲裁における申立代理人
・日本企業のグローバル事業再編に係るリーガルカウンセル
・日本企業の中華圏への投資・企業買収・技術提携・撤退等の日本側リーガルカウンセル
・中華圏企業の日本への投資・企業買収・技術提携・撤退等の中華圏側リーガルカウンセル
・日本企業の中華圏における子会社のリストラクチャリングに関するリーガルカウンセル
・日本企業による原産地偽装問題に対する外部委員会による調査における、中国現地の生産拠点における文書調査・ヒアリングの実施
・日本企業の中国におけるリコール問題に関するリーガルカウンセル
・ベンチャー企業による資金調達に関する企業側リーガルカウンセル
<経歴>
1985年09月 福岡県田川郡生まれ
2004年03月 青雲高等学校卒業
2009年03月 東京大学法学部卒業
2011年03月 東京大学法科大学院修了
2012年12月 司法研修所修了(新第65期)、弁護士登録(第一東京弁護士会)、北浜法律事務所入所
2015年06月 中華人民共和国遼寧省大連市の弁護士事務所にて研修
<公職・役職など>
・第一東京弁護士会総合法律研究所会社法部会所属

■大同特殊鋼が訴訟参加のために起用した上記弁護士らは、やはり1名がヤメ検弁護士で、あとの2名は中国での弁護士業務経験を持つ弁護士登録後10年未満の若手弁護士のようです。

 この補助参加というのは、「他人間の訴訟の結果について利害関係のある第三者が当事者の一方を補助するために訴訟に自発的に参加すること」で、民法42条の「訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる」に基きます。

 補助参加の要件は、①訴訟係属中であること、②他人間の訴訟であること、③訴訟の結果について利害関係を有する第三者となっています。

 補助参加人ができる訴訟行為は、民訴法45条に定める「補助参加人は、訴訟について、①攻撃又は防御の方法の提出、②異議の申立て、③上訴の提起、④再審の訴えの提起⑤その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない」となっており、今回、大同特殊鋼は、一審でまさか敗訴になるとは思わず、敗訴になったため、とりいそぎ補助参加してきたのでしょうか。

 控訴審は霞ヶ関の東京高裁で争われます。クロをシロにすることは、本来、社会正義の実践が原則の弁護士としては、あってはならないことですが、なぜか、報酬のためには、法律を曲解して裁判のあるべき方向を歪めることが、有能な弁護士と言われるのは、一般市民としてどうにも理解できないことです。

 大同が起用したヤメ検弁護士と、横国大と東大卒の弁護士歴10年未満の若手弁護士が、渋川市を押しのけて、果たしてどのような主張を展開するつもりなのでしょうか。弁護士の矜持とはどんなものなのか、併せて注目したいと思いますs。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【スラグまみれの群馬県】有害スラグ不法投棄を巡り行政が公共事業を隠れ蓑に隠蔽を図る現場を緊急ルポ!②

2020-11-15 21:06:00 | スラグ不法投棄問題

■群馬県中にダンプトラックで不法投棄された有害スラグ問題は、未解決なまま今日まで至っています。群馬県内のスラグには次の2種類の不法投棄事例があります。
大同特殊鋼(株)渋川工場が排出し、(株)佐藤建設工業が天然石と混合し、毒を薄めたとみせかけた鉄鋼スラグ問題で、群馬県により「有害廃棄物」に認定されています。
東邦亜鉛(株)安中製錬所が排出し、(有)岡田興業・(株)岡田工務店・(株)大野工業・(株)石井商事、及び悪徳庭師クラフトガーデンにより不当投棄された非鉄スラグ問題で、こちらも先日「有害廃棄物」に認定されました。
 どちらの廃棄物も土壌と接する方法に使用すると土壌を汚染する恐れがあることが廃棄物認定の決め手と説明されていますが、公共事業に使用されたスラグは使用場所の特定も不十分なまま放置されています。有害スラグは廃棄物に認定されたからには、撤去して最終処分場に埋設するのが廃棄物処理法の決まりです。法律はみんなで守らねばなりません。
 そんな有害スラグについて、調査特別チーム「リットン調査団」が久しぶりに出動しました。今回は調査結果その②を報告します。


久しぶりにリットン調査団が有害スラグを発見!

 その①はこちらをご覧ください。↓
○2020年11月8日:【スラグまみれの群馬県】有害スラグ不法投棄を巡り行政が公共事業を隠れ蓑に隠蔽を図る現場を緊急ルポ!①
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3234.html



 今回の調査場所はこちらです↓↓

https://goo.gl/maps/CyUPXaFuemjwV1UH8

*****リットン調査団のスラグ調査レポート*****
 有害スラグ不法投棄特別調査チーム「リットン調査団」集合(^^)/。

団長A:さて前回、北群馬郡吉岡町の前橋渋川バイパスの特設スラグ置場を調査しましたが、スラグがどこから持ち込まれたかも調査しなければなりませんね。

団員B:悪徳事業者(株)佐藤建設工業のスラグ運搬車が出入りしていた場所を思い出して、徘徊調査してみよう、しかし場所が多すぎて見つかるかどうか?

団員C:そういえば、国道17号上武道路が4車線化の工事をしていたな。スーパーコメリで農機具を見た帰りに見たぞい。

団員A:お!いいね、そこだ。ようし徘徊老人集団リットン調査団出発じゃ。!


ピンポォ~ン!正解じゃ。国道17号上武道路五代地区改良舗装その2工事だそうな。(株)佐藤建設工業がばら撒いた大同有害スラグの撤去工事と銘打って欲しいもんじゃ。


やはり睨んだ通り沼田土建株式会社の標識があるぞい。我々リットン調査団が歩けばスラグにあたるんじゃ。


あれ~。やはりせっかく持ってあった礫質土を撤去しているように見える


トラックが走る道路のそばまで、せっかく持った土を掘削しているね。カラーコーンの近くを望遠レンズで見えるかな?


カラーコーンの近くをデジタルカメラでズームアップ。なにやら黒い石が見えるぞ。


角張黒光り石じゃ。大同特殊鋼由来の有害スラグに間違いなしじゃ。ところで大同有害スラグは土壌と接しない路盤材(リサイクル砕石)として使用される訳だったよね。盛り土材に入っているじゃないか!土壌と接する方法に使用すると土壌をフッ素汚染するおそれがあると群馬県廃棄物リサイクル課が宣言していたね。道路の下のスラグも撤去したらどう? ねえ、国土交通省ってば!


(株)佐藤建設工業が運んだスラグ入り盛り土材は側道の脇まであったよね。わざわざ擁壁を建て替えるようだね。ほんとに(株)佐藤建設工業は迷惑な会社だな。路盤材ではなく盛り土材にスラグを入れたのは責任重大だ!この会社が責任を取らされるまでリットン調査団の追及は終わらないぞ!
*****リットン調査団レポートその③につづく*****

■レポートにあった通り、国土交通省が建設した上武道路の盛り土部にスラグが大量に含まれています。当時大同特殊鋼(株)のパンフレットにはスラグ混合再生路盤材(RC40)として、土壌と接しない路盤材に使用するとなっていました。

 しかし悪徳な(株)佐藤建設工業は指導を無視して、製造するすべての砕石類にスラグを投棄したのでした。あちこちでスラグ生一本の状態で土壌と接して使用されているのを大同特殊鋼(株)は黙認していたようです。

 群馬県では、大同特殊鋼株式会社につづき東邦亜鉛株式会社も鉛・ヒ素入りスラグを不法投棄していたことが発覚しました。どちらのスラグも群馬県や高崎市が公共工事に使用されていますが、土壌と接する方法によりスラグが使用されています。

 高崎渋川線バイパスや上信自動車道、榛東村・吉岡町・渋川市・中之条町・東吾妻町の県道にたくさん使用されていますが、群馬県はスラグの特定をしようとしません。(株)佐藤建設工業や(有)岡田興業の試験成績表が提出されている公共工事現場を調べれば簡単にわかるのに、撤去するのが嫌なので調査しないのです。

■この隠ぺい体質は大沢知事から山本知事に代わってから余計にひどくなっています。群馬県の廃棄物行政は地に落ちています。正しく廃棄物処理法に基づき県民の生活環境を守っていただきたいものです。

 当会では微力ながら、引き続き、“きれいなぐんまちゃん”を取り戻すため活動を続けてまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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