市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

八木田恭介県議と萩原渉県議の政務活動費不正支出の監査結果で分かったズサン支出と無責任の実態

2020-11-14 22:15:00 | 県内の税金無駄使い実態
■8月5日に当会事務局に太田市在住の県民のかたからいただいた1通の投書をもとに、当会は「八木田恭之県議会議員及び萩原渉県議会議員の政務活動費及び旅費の二重請求」について、9月14日、住民監査請求書を群馬県監査委員宛に提出しました。その後、補正手続を経て、10月12日に陳述と追加証拠をしていたところ、11月11日付で群馬県監査委員から当会に監査結果通知が配達証明郵便で届きました。さっそくその内容について分析と併せてご報告します。


当会代表あてに11月12日に届いた監査委員事務局からの配達証明郵便の封筒。

 なお、これまでの経緯は次のブログ記事を参照ください。
○2020年9月22日:八木田恭介県議と萩原渉県議の政務活動費及び旅費の二重請求について住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3211.html
○2020年10月13日:八木田恭介県議と萩原渉県議の政務活動費及び旅費の二重請求に関し監査委員の面前で陳述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3221.html

■群馬県監査委員から送られてきた住民監査請求に係る監査結果は次のとおりです。

*****監査結果通知*****ZIP ⇒ j.zip
                         群監第202-24号
                         令和2年11月11日
 小川 賢 様
                    群馬県監杏委員 丸 山 幸 男
                    同       林     章

          住民監杏請求に係る監査結果について

令和2年9月14日付けで収受した標記請求に係る監査結果は、別紙のとおりです。

                    群馬県監査委員事務局
                    特定監査係
                    TEL:027-226-2767

*****監査結果*****ZIP ⇒ j.zip
<P1>
            群馬県職員措置請求監査結果
第1 主文
   本件措置請求を棄却する。
第2 請求人
   群馬県安中市野殿980番地
   小川 賢
第3 請求書の提出
   令和2年9月14日
   なお、請求人に対し、同月18日に補正を求め、同月25日に補正が行われた。
第4 請求の内容
 1 請求の要旨
   県議会議員の議員報酬等支給条例(昭和26年群馬県条例第9号。以下「支給条例」という。)第5条により、議会の開会中、県議会議員に対して、旅費として1日につき6,200円が支給されている。これは調整日や議案調査日などの行事がない日でも、議会に登庁するだけで支給される。
   ところが、八木田議員と萩原議員は、議会開会中の旅費(以下「本件旅費」という。)の支給日と同日に「県庁に行った」、「前橋に行った」として、政務活動費の支払を受けている。
   当日2往復したのであればともかく、仮にそうでなかった場合、選良たる議員にとって、これらの二重請求や過大請求が単なるうっかりミスによるものとはおよそ考えにくく、とりわけ4期目の萩原議員の場合、今までにも同様な二璽請求を繰り返してきた可能性もあり、選良たる責任感の欠如に加え、故意に行った可能性も指摘される。
   よって、二重請求・過大請求の可能性がある金額は、違法不当な支出であると認められる。
   県民が日々、汗水垂らしてまじめに働き、納税義務を果たして納付した血税のうち、二重ないし過大に掠め取られたことにより、群馬県が本来果たせるべき行政事務事業が、両議員により、その分無効にさせられたことが県の損害として生じる。
   監査委員は、群馬県知事に対し、八木田議員に違法不当に支出された政務活動費56,425円及び支払から返還までの法定利息を加えた金額と、萩原議員に違法不当に支出さ れた政務活動費84,360円及び支払から返還までの法定利息を加えた金額につき、両 議員に各支出額(以下「本件政務活動費」という。)を返還させるなど、必要な措置を講じるように勧告することを求める。
 2 事実証明書(各事実証明書の表題は、措慨請求書における請求人の記載をそのまま記載した。ただし、陳述までに請求人から追加提出された資料は、当監査委員において表題を記戟し、事実証明書19及び20として付番した。)
  (1) 事実証明書1 No.093 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年5月分】
  (2) 事実証明書2 No.096 八木田議員 政務活動費支払証明書(交通費)【令和元年7月】
  (3) 事実証明書3 No.097 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年7月分】
  (4) 事実証明書4 No.099 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年8月分】
  (5) 事実証明書5 No.101 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年9月分】
  (6) 事実証明書6 No.103 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年10月分】
  (7) 事実証明書7 No.107 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年12月分】
  (8) 事実証明書8 No.113 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和2年3月分)
  (9) 事実証明書9 No.859 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年9月】

<P2>
  (10) 事実証明書10 No.869 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年10月】
  (11) 事実証明書11 No.879 萩原議員 政務活動費自動車使用記緑簿【令和元年11月】
  (12) 事実証明書12 No.888 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年12月】
  (13) 事実証明書13 No.900 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和2年2月】
  (14) 事実証明書14 No.910 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和2年3月】
  (15) 事実証明書15 令和元年第2回定例会議事日程
  (16) 事実証明書16 令和元年第1回臨時会議事日程
  (17) 事実証明書17 令和元年第3回定例会議事日程
  (18) 事実証明書18 令和2年第1回定例会議事日程
  (19) 事実証明書19 政務活動費情報公開度ランキングについて
  (20) 事実証明書20 住民監査請求に係る陳述資料
 3 訂正依頼書
   本件措置請求書に誤記があったため、請求人から訂正依頻吾が送付され、令和2年9月17日付けで収受した。
第5 監査委員の除斥
   本件措置請求の審理に当たり、議会選出の監査委員は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「地自法」という。)第199条の2の規定により監査に加わらないこととなった。
第6 補正について
 1 補正依頼
   本件措置請求については、地自法第242条第1項に規定する請求の要件を具備しているかどうか判断するに当たり不明な点が存在したことから、請求人に対し、令和2年9月18日付けで補正依頼通知を送付し、同月25日に補正書が提出された。
 2 補正書の内容(当監査委員が補正を求めた事項に対する請求人の回答をまとめたも の)
  (1) 誰に関する措置請求かについて
    本件措置請求書の見出しには、群馬県知事に関する措置請求の要旨と記載されているのに対し、請求の対象となる執行機関又は職員については、八木田恭之県議会議員及び萩原渉県議会議員と記載されていたため、今回の措置請求は、監査委員が、誰に対して必要な措置を勧告することを求めるものなのかを確認する必要がある。
(回答)請求人から群馬県知事に対して必要な措罹を勧告することを求める旨の回答があった。
第7 請求の受理
   本件措置請求は、地自法第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、令和2年10月1日に受理を決定した。
第8 監査の実施
 1 監査対象事項
   群馬県議会議員に対する政務活動費の支出について
 2 監査対象機関
   議会事務局総務課(以下「(議)総務課」という。)
 3 請求人の陳述及び証拠提出
   令和2年10月12日、地自法第242条第7項の規定により、請求人の陳述を聴取した。また、請求人から事実証明書19及び20が追加提出された。

<P3>
   また、萩原議員の違法不当に支出された政務活動費について、67,710円から84,360円に訂正する旨の申出があった。
 4 監査の実施
   令和2年10月23日、(議)総務課に対し、監査委員による対面監査を行った。また、これに先立ち監査委員事務局職員による事務ヒアリングを行った。
第9 監査の結果
 1 (議)総務課の主張及び説明
  (1) 務活動費の趣旨について
    普通地方公共団体の議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し交付されるものである(地自法第100条第14項)。
  (2) 政務活動費の交付対象について
    群馬県政務活動費の交付に関する条例(平成13年群馬県条例第31号。以下「政務活動費条例」という。)第2条の規定により、議会の会派に対して交付している。
  (3) 政務活動費(交通費)及び旅費について
    政務活動費(交通費)は、政務活動費条例別表のとおり、政務活動のため日常的に必要な交通費に充当することができる。
    旅費は、支給条例第5条の規定により、議員が議会の招集に応じて会議又は委員会等に出席した場合に支給される。
    政務活動費(交通費)と旅費の併給については、用務先が複数あり、議会活動の用務先と政務活動の用務先が分けられる場合は、それぞれ支出できるが、用務先が1つであり、同じ場所で議会活動と 政務活動の両方を行った場合は、政務活動費(交通費)は支出できない。また、議会開会中の議案調査日における政務活動費(交通費)は、旅費と路程が重複しない範囲で、政務活動である限りは認められる。
  (4) 政務活動費(交通費)及び旅費の重複における議会事務局の確認について
    政務活動費(交通費)と旅費の支出記録との突合を行っている。また、会派に対しては、政務活動費マニュアルに沿って処理するよう指導している。しかし、本件政務活動費と本件旅費の重複は、発見できなかった。
  (5) 本件政務活動費の訂正報告及び返還について
   ・ 現状、群馬県では訂正報告に関する規定(ルール)はない。
   ・ 自由民主党及びリベラル群馬(以下「両会派」という。)から、自主的に政務活動費の訂正報告書が提出され、その内容を審査したところ、適正と認められたため、これを受理して政務活動費の支給額の再確定を行った。
    また、これにより残余額が発生したため、過年度戻入として、両会派に対し納入通知書を発行し、返還を求めた。
  (6) 本件政務活動費の返還における法定利息(又は遅延損害金)について
    両会派に対し、法定利息は求めていない。政務活動費条例に法定利息や遅延損害金を求める規定はなく、民法(明治29年法律第89号)第704条に規定する悪意の受益者とは考えていないので、法定利息は不要と考えている。悪意の受益者と考えていない理由については、両議員は当初の収支報告書提出時に不適切な支出が含まれている認識はなかったと考えるためである。
    また、政務活動費条例には政務活動費の収支報告書の提出期限を定めた規定はあるが、残余金の返還期限を定めた規定はなく、残余金の返還は期限の定めのない債務である(平成25年11月18日福岡地裁判決)。

<P4>
    今回の返還金の納期限は、自由民主党は令和2年10月5日、リベラル群馬は同年11月4日、納入されたのが、それぞれ同年9月30日、同年10月21日であるため、支払遅延は発生していない。
  (7) 本件措置請求における両議員の見解について
    訂正報告書の提出を受け、改めて両会派に確認したところ、両議員とも疑いを持たれたこと自体が不注意であったことを反省しており、故意によるものではないとのことだった。
  (8) 請求人の主張に対する見解について
   ア 議会開会中、議員に対して旅費として1日につき、6,200円が支給され、調整日や議案調査日などの行事がない日でも、議会に登庁するだけで支給されるとする主張について
     旅費の金額は、距離によるため、議員により異なる。6,200円は八木田議員の場合の金額である。また、調整日や議案調査日でも支給されるが、議員活動を行うために登庁しているのであり、議会に登庁するだけで支給されるとする請求人の見解は当たらない。
   イ 本件政務活動費と本件旅費の二重請求及び過大請求の可能性があるとする主張について
     1日に2往復したことを説明できる日もあるが、時間がたっているので記憶が薄れている部分もあると会派からは聞いている。
     本件政務活動費は、不当利得状態だった可能性はあるが、今回、自主的な訂正報告と返納等が行われたことにより、その状態は既に解消されたと考えている。
   ウ 自動車使用記録簿に記された行先や使用目的はいずれも自己申告であり、政務活動との因果関係についても、復命書等、第三者に対して疎明し得る証拠がない限り、不信感を禁じ得ないとする主張について
     議会として、政務活動費の使途の透明性の確保を図るため、具体的な運用を政務活動費マニュアルとして取りまとめ、会派間及び議員間において統一的な運用を図っており、自動車の走行距離による支払については、会派の代表者が証明することとされている。したがって、請求人の主張は当たらないと考える。
 2 事実関係の確認
  (1) 政務活動費の支出権限者について
    政務活動費を群馬県議会の各会派の代表者に交付(支出)する権限については、群馬県財務規則(平成3年群馬県規則第18号)第3条及び群馬県事務委任規則(昭和43年群馬県規則第72号)第5条の規定により、知事から議会事務局長に委任されている。
  (2) 知事に提出される書類について
    会派の代表者は、政務活動費条例第9条第1項及び第3項の規定により、政務活動費に係る収支報告書及び領収書等の証拠書類を、当該年度の終了の日の翌日から起算して 30日以内に議長に提出しなければならないこととされており、議長は、群馬県政務活動費の交付に関する程規(平成13年群馬県議会訓令甲第1号)第6条の規定により、当該収支報告書及び証拠書類の写しを知事に送付することとされている。
  (3) 本件旅費と本件政務活動費の支出の突合について
   ア 八木田議員
 事実証明書/令和元年度/議会活動/政務活動/本件政務活動費(走行キロ数×単価(円)=合計(円))/本件旅費支出の有無
1/5月16日/調整日/前橋市 県勤労福祉センター・消費者団体意見聴取/65×37=2,405/有
   5月21日/議案調査/前橋市 群馬自治労会館・自治労群馬県本部意見交換/85×37=3,145/有
   5月22日/議案調査/前橋市 天川原町/女性と政治を考える会/70×37=2,590/有
   5月計////220×37=8,140/
 2, 3/7月//1,200-1,020=180キロ//180×37=6,660/誤集計
7月計////180×37=6,660/
 4/8月23日/議運委・本会議/前橋市 群馬自治労会館/自治労自治体議員連合総会/85×37=3,145/有
8月計////85× 37=3,145/

<P5>
 5/9月19日/議案調査/前橋市 群馬県庁/県教組意見交換/80×37=2,960/有
   9月26日/議案調査/前橋市 福対協ビル/国民民主党群馬県連地方議員情報交換/90×37=3,330/有
   9月30日/議案調査/前橋市 敷島公園/食と環境を考える会現地調査/80×37=2,960/有
   9月計////250×37=9,250/
 6/10月3日/議案調査/前橋市 前橋市役所/前橋市職労意見交換/80×37=2,960/有
   10月8日/議運委/前橋市 群馬県庁/食と環境を考える懇親会/80×37=2,960/有
   10月29日/議運委/前橋市 群馬県庁/会派打合せ/80×37=2,960/有
   10月計////240×37=8,880/
 7/12月5日/議案調査/前橋市 群馬県庁/観光による地域振興学習会/80×37=2,960/有
   12月10日/議案調査/前橋市 県勤労福祉センター/連合群馬政策研究会/70×37=2,590/有
   12月13日/議運委/前橋市 群馬県庁/県病院労組打合せ/80×17=2,960/有
   12月計////230×37=8,510/
 8/3月2日/議案調査/前橋市 群馬教育会館/群馬県教組ヒアリング/80×37=2,960/有
   3月12日/議案調査/前橋市 群馬県庁/労働政策調査/80×37=2,960/有
   3月17日/議運委/前橋市 群馬県庁/会派打合せ/80×37=2,960/有
   3月25日/議運委/前橋市 群馬県庁/会派打合せ/80×37=2,960/有
   3月計////320×37=11,840/
   合計////l,525×37=56,425/
   イ 萩原議員
 事実証明書/令和元年度/議会活動/政務活動/本件政務活動費(走行キロ数×単価(円)=合計(円))/本件旅費支出の有無
 9/9月30日/議案調査/群馬県県庁/中小企業の支援について/150×37=5,550/有
   9月計////150×37=5,550/
 10/10月7日/委員会予備日/前橋市議会庁舎/各種団体からの要望聴取/150×37=5,550/有
   10月8日/議運委/前橋市議会庁舎/各種団体からの要望聴取/150×37=5,550/有
   10月16日/決算委/前橋市 県議会庁舎/台風19号被害状況調査/150×37=5,550/有
   10月21日/調整日/前橋市 県議会庁舎/SGDsの普及について/150× 37=5,550/有
   10月計////600×37=22,200/
 11/11月28日/議案調査/高崎/国と県との連携について/180×37=6,660/有
   11月計////180×37=6,660/
 12/12月5日/議案調査/前橋市 県民幸福度向上に向けた取り組みについて/150×37=5,550/有
   12月11日/特別委/前橋市/国体開催に向けた取組について/150×37=5,550/無
   12月13日/議運委/前橋市/群馬DCについて/150×37=5,550/有
   12月計////450×37=16.650/
 13/2月18日/議案調査/群馬県庁/産業及び経済に関する意見交換/150×37=5,550/有
   2月19日/議案調査/群馬県庁/新型コロナウイルスの防止策について/150×37=5,550/有
   2月26日/議案調査/前橋テルサ/まちづくりシンポジウム参加/150×37=5,550/無
   2月計////450×37=16,650/
 14/3月6日/議運委・本会議/前橋市/新型コロナウイルス県内拡大防止について/150×37=5,550/有
   3月16日/特別委/群馬県庁/新型コロナウイルス県内拡大防止について/150×37=5,550/有
   3月25日/議運委/群馬県庁 県全体の情報発信や誘客について/150×37=5,550/有
   3月計////450×37=16,650/
   合計////2,280×37=84,360/
 ※ 議会活動と政務活動の内容は、措置請求書における請求人の事実証明書による。
 以上のとおり、同一日に本件政務活動費と本件旅費が支出されている日があること、及び八木田議員の令和元年度7月に誤集計による本件政務活動費の支出があることを確認した。
  (4) 本件政務活動費の返還について
    両会派から、議長に政務活動費に係る収支報告の訂正報告書が提出され、議会事務局長が政務活動費交付額を再確定の上、以下のとおり、両会派に対して、請求人が主張する本件政務活動費(議員が議会出席簿に押印していない日を除く。)は、残余額の返還請求を行い、県の歳入になっていた。
    また、法定利息は請求していなかった。
   ア 自由民主党
    ・ 令和元年度訂正報告書収受日:令和2年9月14日
    ・ 請求日:令和2年9月23日(納期限:同年10月5日、納付日:同年9月30日)
    ・ 納付額:177,008円(なお、納付額には、本件措置請求以外の訂正箇所も含まれる。)
   イ リベラル群馬
    ・ 令和元年度訂正報告書収受日(第1回):令和2年9月14日

<P5>
(第2回):同年10月13日
    ・ 請求日:令和2年10月20日(納期限:同年11月4日、納付日:同年10月21日)
    ・ 納付額:66,045円(なお、納付額には、本件措置請求以外の訂正箇所も含まれる。)

第10 監査委員の判断
 1 判断
   本件措置請求において、請求人は、八木田議員と萩原議員が本件旅費の支給日と同日に、本件政務活動費の支払を受けていることは二重請求、過大請求に当たり、違法・不当であるから、監査委員は、群馬県知事に対し、八木田議員に違法・不当に支出された政務活動費56,425円及び支払から返還までの法定利息を加えた金額と、萩原議員に違法・不当に支出された政務活動費84,360円及び支払から返還までの法定利息を加えた金額につき、両議員に返還させるなど、必要な措置を講じるように勧告することを求めているものと解される。
   そして、本件措置請求において、違法・不当に支出された本件政務活動費を返還させるためには、本件政務 活動費と本件旅費の支払において、明らかな二重請求及び過大請求があり、(議)総務課が両会派に対し、本件政務活動費の返還を求めていない状態でなければならない。
   これを本件についてみるに、二重請求及び過大請求であると疑われる事例について、 (議)総務課が両会派に対し、確認を求めた結果、両会派から議長に自主的に訂正報告書が提出され、議会事務局長が政務活動費交付額を再確定の上、残余金の返還請求を行い、県の歳入になっていることで、請求人の主張する県の損害は補填されていると認められる。
   また、法定利息については、政務活動費条例には当該法定利息を求める規定はない(←当会注:規定がないならすぐ作るべき)しかし、本件政務活動費は、一般原則である民法の不当利得に当たる可能性があり、その場合、民法第704条は、「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。」と規定している。
   そして、政務活動費における悪意の受益者であるかどうかの裁判例では、「民法704条の「悪意の受益者」とは、法律上の原因のないことを知りながら利得した者をいい、政務活動費からの各支出についていえば、議員としての活動との間に合理的関連性が認められない支出(すなわち、本件条例及び本件規程の定めに違反した支出)であることについて認識していることをいうものと解すべきである。もっとも、議員としての活動との間に合理的関連性が認められるか否かは、法的評価に関わる問題であるから、当該支出が合理的関連性を有さないことが明らかな場合でない限り、合理的関連性が認められないことについて悪意であると認めることはできないというべきである(平成30年8月28日東京地裁)。」と判示している。
   本件政務活動費について、(議)総務課が会派に両議員の認識を確認したとごろ、疑いを持たれたこと自体が不注意であったことを反省し、故意によるものではないとのことであり、議員としての活動との間に合理的関連性が認められない支出であることについて認識していた事実を認めるに足りる特段の事情がないことから、悪意があるとまでは認めるごとはできず、法定利息を請求しないことが違法又は不当であるとはいえない。
 2 結論
   以上のとおりであるから、請求人の主張には理由がなく、これを棄却する。
                                以上
**********

■読者の皆様は、上記の監査結果を読んでどのような感想をお持ちになりましたか。

 最後の結論は「以上のとおりであるから、請求人の主張には理由がなく、これを棄却する。」とあり、あたかも当会の住民監査請求には意味がないような表現ですが、実質的には、当会の指摘通りに、ふたりの県議の旅費に対して、群馬県が不正に公費を支出した事実が証明され、県議が不正に受け取った公費を返還したことが明らかにされました。

 しかし、今回の住民監査請求で当会が問題点として挙げた次のことについては、まったく監査結果に触れられていないか、もしくは反映されていません。

①1キロメートルあたり37円という旅費の算出根拠は、公共バス料金がベースとなっており、個人が自家用車を使って移動している場合は燃料代のみにすべきであり、実勢にそぐわない。
②自動車使用記録簿に記された行先や使用目的はいずれも自己申告であり、政務活動との因果関係を示す証拠(復命書、打合せメモなど)の提出が必要なのではないか。
③県議らが不正利得として受け取っていた旅費は、今回の監査請求が端緒となって返還されたが、一定期間、県議らの不正利得であったことから、法定利息が加算される必要がある。


 さらに、今回の監査結果から、あらたに次の疑問点や課題点が生じます。

a) 二重請求による不法利得としての法定利息の考え方
 監査結果では、不当利得について民法704条を根拠として「悪意の受益者」の場合に限り、法定利息を付して返還しなければならないが、今回の場合、「1日に2往復したことを説明できる日もあるが、時間がたっているので記憶が薄れている部分もある」と2名の県議のそれぞれの所属会派から聞いていると議会事務局の総務課が監査委員に対して説明したことから、二重請求に当たることを認識していて、今回このことがバレてしまったため仕方がなく返還に応じたことが窺える。したがって、この場合、民法第704条は,「悪意の受益者は,その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において,なお損害があるときは,その賠償の責任を負う。」と規定していることから、利得者である会派が「悪意の受益者」であると考えるのが妥当である。
 ところが、監査委員の判断によると、今回の場合「悪意の受益者とは、法律上の原因のないことを知りながら利得した者をいい」さらに「政務活動費からの各支出についていえば、議員としての活動との間に合理的関連性が認められない支出(すならち、本件条例及び本件規定の定めに違反した支出)であることについて認識していることをいう」と定義付けているにもかかわらず、「もっとも、議員としての活動との間に合理的関連性が認められるか否かは、法的評価に関わる問題であるから、当該支出が合理的関連性を有さない個tが明らかな場合でない限り、合理的関連性が認められないことについて悪意であると認めることはできない」などと、煙に巻く回答で胡麻化している。
 1日に2往復したことが疎明されない限り、県議として、あるいは会派として、政務活動費の運用のガイドラインはそもそも熟知していたことになるから、二重請求をした事実について、議員活動との間の合理的関連性は関係ないはず。よって、法定利息も含めて返還しなければならない。

b)議会事務局の果たすべき役割
 議員から会派を通じて提出された政務活動費の申告内容について、今回、議会事務局が二重請求など不適切な内容について、チェックできなかったことについての反省が全く見られない。
 監査結果の中で、議会事務局総務課は「政務活動費(交通費)と旅費の支出記録との突合を行っている。また、会派に対しては、政務活動費マニュアルに沿って処理するよう指導している。しかし、本件政務活動費と本件旅費の重複は、発見できなかった」と監査委員に対して説明しているだけで、そこに反省や謝罪を示す言葉は皆無である。
 そもそも、議会事務局がきちんと業務責任を果たしていれば、今回の二重請求や水増し請求は容易にチェックでき、会派を通じて議員らに指導できたはず。
 しかし、それを怠りながらも、反省の色が全く示されない。法定利息さえ、不当利息者の議員らに請求するつもりもない。これでは、議会事務局の存在価値が見いだせない。

c)監査委員(ないし同事務局)の果たすべき役割
 監査報告では、当会が問題提起した「自動車使用記録簿に記された行先や使用目的はいずれも自己申告であり、政務活動との因果関係についても、第三者への疎明し得る証拠が必要だ」とする指摘に対して、「政務活動費の運用について、マニュアルとしてとりまとめて会派や議員により統一的な運用が図られていることから、今回の場合会派代表者が証明しているので、当会の主張は当たらない」などと、とんでもない判断をした。
 これでは、監査委員としての責務を放棄したも同然であり、群馬県の監査制度の無責任体制は今回も露呈したと言える。

d)政務活動費の「自主的な」訂正報告と返還の時期や金額についての疑義
 監査報告では、議会事務局の主張や説明として、「現在、群馬県では訂正報告に関する規程(ルール)はない」と明記している。しかも、今回の住民監査請求日である9月14日と同日に、八木田恭介県議が所属するリベラル群馬と、萩原渉県議が所属する自由民主党の両会派から、訂正報告書が提出され収受されている。なお、リベラル群馬からは10月13日にも第2回目の訂正報告書が提出され収受されている。
 そして、議会事務局では、リベラル群馬の2件の訂正報告書を踏まえて、10月20日にリベラル群馬に対して、66,045円(本件住民監査請求分56,425円以外の訂正箇所を含む)を請求し、翌10月21日にリベラル群馬から納付された。
 他方、自民党の1件の訂正報告書を踏まえて、9月23日に自民党に対して、177,008円(本件住民監査請求分84,300円以外の訂正箇所を含む)を請求し、1週間後の9月30日に自民党から納付された。
 通常、当会が住民監査請求をした日と当日に、訂正報告書が出せるものだろうか。たしかに、太田市在住の県民のかたは、2020年8月5日に当会をはじめ、各マスコミ機関や群馬県監査委員にも、今回の政務調査費の不正支出について通報していた。そのため、某マスコミ社が、当会の住民監査請求の9月14日以前に、既に議会事務局にコンタクトしていた。そのため、旅費(交通費)の不正支出について、議会事務局から会派に対して、「不正がバレた」という情報はその時点で既に連絡されていたことは間違いない。
 とはいえ、当会が住民監査請求をした日に合わせて、訂正報告書が提出されるのはあまりにもタイミングが良すぎる。おそらく、これはまずいと思い、急遽訂正報告書を作成したか、あるいは日付をバックデートして同日に合わせたか、議会筋での事情が垣間見える。
 また、訂正報告書記載の金額が、両会派ともに今回の住民監査請求分以外の訂正箇所も含まれていることから、当会の住民監査請求がもとで、他の不正支出もヤバいと感じて、その分も訂正分に繰り入れた可能性も考えられる。

 以上a)からd)までの疑義を考えますと、新たに監査委員事務局ないし群馬県議会議長に対して次の情報開示請求をすることで、経緯を確認する必要がありそうです。

(1)議会事務局総務課が会派に両議員の記載を確認したところ「疑いを持たれたこと自体が不注意であったことを反省し、故意によるものではない」とのことであったとしている旨裏付ける文書(聞き取りメモなどを含む)
(2)自民党とリベラル群馬が議会事務局に提出した政務活動費の訂正報告書(計3件。収受印のあるもの)
(3)自民党とリベラル群馬に対して議会事務局が出した請求書
(4)上記(3)に基づく両会派からの納付の事実が分かる情報


■それにしても、今回の住民監査では、議会選出の監査委員2名が地方自治法199条の2の規定を理由に除斥され監査に加わりませんでした。政務活動費の不正の根絶のためには、むしろ、自らの議会、会派、所属議員が関わった不正支出について、きちんと正面から取り組んだ方が、身に染みるはずだと思われるからです。
※第百九十九条の二 監査委員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、監査することができない。

 最後に、今回の不正支出を指摘して通報していただいた太田市在住の県民のかたに、この場をお借りして、当市民オンブズマン群馬から厚く御礼を申し上げたいと存じます。

【11/27追記】
 本日別件で安中市役所を訪れて、行政課職員と面談していたところ、本件監査結果の公表が、11月20日の群馬県報のページ10から16にかけて掲載してあることが判明しました。さっそく調べてみたところ、間違いなく本件監査結果の公表が為されていることを確認できました。

ZIP ⇒ p1016.zip

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…当会の上告理由書と上告受理申立書が最高裁第三法廷に到着

2020-11-09 22:32:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■2019年10月31日に前橋地裁で全面敗訴となった東電グループの関電工による前橋バイオマス燃料・発電施設の差止を求める住民訴訟は、2020年1月6日付で控訴理由書を東京高裁に提出しました。その後、控訴審第1回期日が2020年3月9日(月)14時30分から東京高裁4階424号法廷でひらかれ、即日結審しました。その後、コロナ禍の影響で判決が遅れ、言渡しが行われたのは同6月22日(月)でした。一審判決全面支持の判決で原告敗訴が決まりました。そのため、地元住民の皆さんと相談の上、上告を決意し、7月6日に上告手続きを取り、2020年8月28日に上告理由書と上告受理申立書を提出していたところ、2020年11月5日付で最高裁第三小法廷から到着通知が届きました。


 なお、2018年4月25日(水)午後4時30分に開かれた第8回弁論準備以降、これまでの本件裁判に関する情報は次のブログ記事を御覧下さい。
○2018年6月15日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月20日前橋バイオマス補助金返還第9回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2669.html
○2018年8月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け被告が第7準備書面提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2716.html
○2018年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月5日前橋バイオマス補助金返還第10回弁論に向け原告が準備書面(8)提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2737.html
○2018年10月2日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10月26日前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け原告が証拠申出書を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2767.html
○2018年10月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論に向け被告第8準備書面が届く
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2772.html
○2018年10月27日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…10.26前橋バイオマス補助金返還第11回弁論準備でついに証人尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2795.html
〇2019年1月22日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…1.30前橋バイオマス発電訴訟第12回弁論準備に向けて被告陳述書2通が到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2864.html
○2019年2月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還第12回弁論準備で4月24日に尋問決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2876.html
○2019年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金返還訴訟が7月17日に結審!判決は10月31日(木)14時!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2980.html
○2019年10月31日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟の10月31日14時の判決を傍聴しよう!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3061.html
○2019年10月30日:【速報】東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟で原告住民全面敗訴判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3065.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決のこれが全文!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3066.html
○2019年11月1日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3067.html
○2019年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3073.html
○2020年1月18日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日が3月9日14:30東京高裁424号法廷で開催
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3113.html
○2020年2月26日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…控訴審第1回期日3月9日が迫り群馬県から控訴答弁書
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3120.html
○2020年7月7日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…6月22日の控訴審敗訴判決により、7月6日最高裁に上告!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3178.html
○2020年8月8日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…なんと福島県でも除染を隠れ蓑にした木質バイオ発電計画が進行中
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3188.html
○2020年8月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…当会が上告理由書と上告受理申立書を東京高裁第22民事に提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3197.html

■2020年11月7日に最高裁第3小法廷から届いた記録到着通知書の内容は次のとおりです。

*****記録到着通知書*****ZIP ⇒ 202011073lm.zip
〒379-0114                    令和2年11月5日
群馬県安中市野殿980
 小川賢 殿

 令和2年(行ツ)第260号
 令和2年(行ヒ)第298号

                 最高裁判所第三小法廷
                    裁判所書記官  山之内 憲二

            記 録 到 着 通 知 書

 現裁判所から下記事件記録の送付を受けました。今後は,当裁判所で審理することになりますのでお知らせします。
 なお,審理する上で書面を提出してもらう必要が生じたときは連絡します。その際には,提出する書面に当裁判所における事件番号(下記1)を必ず記載してください。
               記
1 当裁判所における事件番号
  令和2年(行ツ)第260号
  令和2年(行ヒ)第298号
2 当事者
  上告人 兼 申立人  小川賢
  被上告人兼相手方  群馬県知事 山本一太
3 現裁判所及び原審事件番号
  東京高等裁判所
  令和元年(行コ)第316号
  当裁判所所在地  〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号
  ダイヤルイン   03-3264-8555・8556・○8560
**********

■ところで上告手続き上は、上告理由書や上告受理申立て理由書が提出されると、事件記録が控訴審裁判所から上告審裁判所に送られます。この段階で、最高裁での事件番号がつき、担当する小法廷(最高裁は、第一小法廷、第二小法廷、第三小法廷の3つの小法廷に、民事事件も刑事事件も全部係属します)が決まります。今回は第三小法廷が担当ということになります。8月28日に上告理由書と上告受理申立て理由書を東京高裁に提出したので、最高裁に届けられるまでなんと2か月余りかかったわけです。

 記録が上告審裁判所に届くことで、一審原告の当会はもとより、被告の群馬県にも「記録到着通知書」が送られたはずです。しかし、これは文字通り事件記録が上告審裁判所の最高裁に着いたというだけで、決して上告なり上告受理申立てが受理されたという通知ではありません。今回、最高裁第三法廷からの記録到着通知によって、最高裁での事件番号は、上告が「行ツ」第260号、上告受理申立ては「行ヒ」第298号と割り振られました。ちなみに、通常の民事事件では、上告は「オ」、上告受理申立ては「受」という符号が付きます。

 日本に1つしかない最高裁は3つの部(小法廷)に分かれており、3つの部15人の裁判官で年間数千件にのぼるすべての上告や上告受理申立て事件が処理されることになります。

 上告事件、上告受理申立て事件には、機械的に担当調査官と主任裁判官が割り当てられ、まず調査官が上告理由書、上告受理申立て理由書を読んで事件を持ち回り審議事件と(審議室)審議事件に分類します。

 事件の大半は、持ち回り審議事件とされて、調査官報告書と1審・2審判決、上告理由書・上告受理申立て理由書等をセットにして、順次その事件を担当する小法廷の裁判官に回覧され、異論がなければ審議を終了し、その時点で上告棄却・不受理となります。この場合、最初に主任裁判官が検討し、その後他の裁判官が検討します。その過程で主任裁判官や別の裁判官から異論が出されて(審議室)審議事件にした方がよいとなれば、(審議室)審議事件になりますが、そういうことは極めて少ないようです。

 (審議室)審議事件の場合、比較的詳細な調査官報告書が出され、各裁判官が事前に調査官報告書や上告理由書・上告受理申立て理由書等を検討した上で、原則として週1回その小法廷の裁判官が一堂に会して開かれる審議の場で各裁判官が意見を述べ、議論することになります。

 審議事件となるのは全体の5~6%で、最高裁に係属する事件の約95%は持ち回り審議事件となると言われています。

 それぞれの裁判官が1日に記録検討をして判断をする事件は20件から30件に上り、簡単な事件では記録検討が数分で終わることもあるそうです。(審議室)審議事件での審議では、各裁判官が自分の意見を書いた審議メモを配布することも多く、口頭であまり激烈なやりとりはないそうです。

■このように、最高裁の事件の大半は口頭弁論を開かずに上告棄却・上告不受理とされています。上告棄却の判決・決定も大抵「適法な上告理由に該当しない」と書かれているだけで、上告不受理の決定には理由は書かれません。

 しかも、その判決・決定がいつ来るかは、口頭弁論が開かれなければ予告されず、時期は予測できません。当会の経験でも、環境アセスメントの評価書の写しの交付を情報非開示とされた裁判で、著作権法が争点となった時は、上告して実に4年後に突然棄却通知が来たことがあります。他方、多くの場合、2か月前後で棄却通知が来ました。

 実際に、2019年に最高裁が行った上告棄却決定(1671件)の記録到着後決定までの期間は2か月以内が597件、2か月超3か月以内が422件、3か月超6か月以内が487件、6か月超1年以内が142件、1年超2年以内が22件、2年超5年以内が1件、同じく2019年に最高裁が行った上告不受理決定(2020件)の記録到着後決定までの期間は2か月以内が686件、2か月超3か月以内が524件、3か月超6か月以内が611件、6か月超1年以内が187件、1年超2年以内が11件、2年超5年以内が1件です。

 こうして、原判決を破棄する可能性はおよそ1%で、取下げその他が2%前後、残り97%が上告棄却または却下、ないし不受理となるようです。しかし、今回の事件は福島原発事故を起こした東電の子会社による放射能汚染間伐材由来の木質バイオマス燃料を使った発電事業です。原発問題、環境問題の観点から最高裁がしっかりと事件の重要性と判決の意義を認識してくれるはずです。

■さっそく、前橋バイオマス発電事業施設のある地元住民の皆さんにも報告しましたが、それにしても、我が国の裁判とは、なんと時間がかかるものなのでしょうか。

 当のバイオマス発電事業は、2018年3月4日に営業運転を開始してから、既に2年8カ月も経過してしまいました。連日、県外ナンバーを付けた大型トラックも含め、木質燃料を満載したトラックが頻繁に施設に入っていくのが目撃されています。

 そうした中で、2020年7月15日に前橋バイオマス発電(株)の第5期決算が公告されました。これを見ると、多額の赤字が計上されています。しかも、同社の過去3年間の決算の推移を見ても、この傾向は継続中です。

*****第5期決算公告*****
発表日 2020年07月15日
会社名 前橋バイオマス発電株式会社
住所  群馬県前橋市古市町215番地6
代表  福本 雅邦
会社ホームページ  http://www.maebashi-bio.jp/
親会社・関連会社等 https://catr.jp/companies/57f8f/43264
決算末日  2020年03月31日
純利益   ▲2862万7000円 (赤字縮小)
利益剰余金 ▲2億6054万5000円 (赤字拡大)
総資産   45億0494万1000円 (▲4.87%)


*****第4期決算公告*****
発表日 2019年06月28日
会社名 前橋バイオマス発電株式会社
住所  群馬県前橋市古市町215番地6
代表  福本 雅邦
会社ホームページ  http://www.maebashi-bio.jp/
親会社・関連会社等 https://catr.jp/companies/57f8f/43264
決算末日  2019年03月31日
純利益   ▲7815万6000円 (赤字縮小)
利益剰余金 ▲2億3191万8000円 (赤字拡大)
総資産   47億3544万8000円


*****第3期決算公告*****
発表日 2018年06月27日
会社名 前橋バイオマス発電株式会社
住所  群馬県前橋市古市町215番地6
代表  野本 健司
会社ホームページ  http://www.maebashi-bio.jp/
親会社・関連会社等 https://catr.jp/companies/57f8f/43264
決算末日  2018年03月31日
純利益   ▲1億1578万8000円
利益剰余金 ▲1億5376万1000円

**********


直近3難関の決算一覧。

■他方、前橋バイオマス発電の売電収入は次のとおり想定できます。
**********
発電量     年4,300万キロワットアワー
売電価格    32円/キロワットアワー
1日の発電量  118,000キロワットアワー
1ヶ月の売上高 1億1300万円
1年の売上高  13億円
**********

 これでも利益が出ないとなると、どのようなカラクリが背後にあるのが、誰でも疑うでしょう。そもそも同社の株主は(株)関電工と(株)トーセンですが、隣接する施設として(株)前橋バイオマス燃料から燃料の木質チップを購入しており、この前橋バイオマス燃料の株主は、トーセンと関電工に加えて、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合です。

 ちなみに、群馬県森林組合連合会(県森連)の八木原勇治・会長は、県森連に長年勤務しながら、自民党青年部を創設したり、知事選や国会議員をはじめとする各種の選挙で重要な役割を果たしてきた御仁で、2015年9月11日に県森連会長に就任した際の祝賀会には自民党の政治家が大勢来賓として顔を出していました。また、群馬県素材流通協同組合の代表理事は橋爪洋介・県議会議員兼自民党県連副会長です。

 こうしてみると、前橋バイオマス発電事業に対しては、その事業手続の過程で環境アセスメントを免除するなどして、早期稼働のために群馬県が全面的に協力をした理由が、よく見えてきます。

■こうして、群馬県民の安心・安全な生活環境の保全より、政治家の圧力のほうを最優先する群馬県の環境行政に対して、一石を投じた本件訴訟は、いよいよ最高裁第三法廷で審議されることになりました。

 東電と行政と自民党が仕組んだこの無謀な事業に対して、日本の司法の最高機関が、三権分立の機能を保てるのかどうかを示すかを判定する意味でも、本件裁判の結果がどのように下されるのか、地元住民はじめ、県民の皆さんとともに注視していきます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「バイオマス発電の欺瞞」
 今回の訴訟を通じて、節目節目で記事を書いて発表していただいた電子出版の株式会社オルタナ(東京都目黒区駒場)の記者のかたが、つい最近、バイオマスに関する記事を掲載したのでご紹介します。
**********オルタナ2020年11月2日
「輸入バイオマス発電」にご用心
 電気料金の請求書を見ると「再エネ発電賦課金」という項目がある。その使いみちは「環境に配慮された再生可能エネルギーのため」と私たちは信じて支払っているわけだが、実はそうでないかもしれない。環境NGOによると、この賦課金によって「海外の森林や生態系が破壊されている」という。一体何が起きているのか。(編集委員・栗岡理子)
★電気代が海外の森林を破壊する★
 再エネ発電賦課金は再生可能エネルギーの利用を促進するための費用で、私たちは毎月電気の使用量に応じて、電気代の一部として支払っている。
 電気事業者には、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を使って発電された電気を、国が定める価格で一定期間買い取ることが義務付けられているためだ。
 これを固定価格買取制度(略称:FIT)と呼び、買い取りに要した費用が、再エネ発電賦課金として電気利用者に転嫁されるのだ。
 FITの下、この再エネ発電賦課金はバイオマス発電燃料の買い取りなどに利用される。
現在、再エネ発電賦課金を使って発電されるバイオマス発電燃料は国産のものばかりでなく、外国から輸入されるものも多い。
 しかし、これら輸入バイオマスは、輸送時に発生するCO2などの温室効果ガスに加え、調達方法などが適切でないため環境破壊につながっているケースが多々見受けられる。

発電などに使われる木質ペレット(イメージ)©Racool_studio
 国際環境NGOのFoEジャパン(東京・板橋)は、この再エネ発電賦課金が「海外の森林や生態系を破壊する原資となっている」と指摘する。
 「バイオマス発電に使われる木質ペレットは、多くが北米やベトナムから輸入されている。残材では足りずに天然林を皆伐している事例も報告されている」(満田夏花事務局長)。
なぜ、このようなことが起きるのだろうか。
★「カーボンニュートラル」って本当?★
 その背景には、バイオマスを燃やしても二酸化炭素排出量(CO2)としてカウントされない「カーボンニュートラル」の考えがある。
 カーボン(炭素)を大量に含んだ木材を燃やしても、木材は成長過程で光合成によりCO2を吸収し、炭素の形で体内に貯め込んでいる。その木材を燃やしてCO2を出しても、CO2はプラスマイナスゼロ、つまりニュートラル(中立)であるため、CO2排出量としてカウントしないでよい、というのがカーボンニュートラルの考え方だ。
 これはレジ袋有料化の例外とされた「バイオマス素材の配合率が25%以上のもの」の根拠にもなっているものだ。バイオマスがプラスチック重量の25%以上を占めるレジ袋については、バイオマス素材がカーボンニュートラルな素材であり、地球温暖化対策に寄与するとして、有料化の対象外とされた。
 しかし、カーボンニュートラルの考え方の危うさについては以前から多くの科学者や環境団体によって指摘されている。実は最近、米NGOが日本の経済産業省や林野庁長官などに要請書を提出したのだが、そのなかにもこの指摘があった。
★米NGO17団体が経産省宛てに要請★
 さる10月2日、米NGO 17団体はFoE経由で日本の関係機関宛てに、木質ペレットをFITの対象から外すよう求める要請書を提出した。
 このなかで、米国南部で天然林を伐採して木質ペレットを生産している現状を示し、この木質ペレットを「再生可能エネルギー」の名の下で生産消費することは「グリーンウォッシュ」(見せかけの環境配慮)だと指摘。日本に対し、再生可能エネルギーの定義と「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」から木質ペレット森林系バイオマスを除外することを求めた。
 目標が温室効果ガスの削減であるなら、再生可能エネルギーとして木質ペレットを使用することは、目的に合わないというのがその理由だ。
 洪水を防止したり、生物多様性を保全したりするなどの機能を持つ天然林を伐採し、その丸太全体を利用して作った木質ペレットを燃やすことは、確かにカーボンニュートラルどころの話ではない。
 米ノースカロライナ州政府も公式文書の中で、木質ペレット産業が伐採、加工、輸送を通じて同州の炭素排出量を増加させていることを明確に認めているという。
 木質ペレット生産現場の実態は、私たちが持つ「バイオマスは環境に良い」というイメージとはかけ離れているようだ。
 満田事務局長は、「FITの調達基準はゆるゆるで、こうした非持続可能な燃料を排除することができていない」という。
 昨今、バイオマス発電については良い話を聞かない。カーボンニュートラルの考えは確かに一理あると思う。しかし、HIS角田バイオマスパーク(宮城県角田市)や三恵福知山バイオマス発電所(京都府福知山市)のバーム油発電も同様だが、カーボンニュートラルだから環境負荷が低いと考えるのは早計だ。
 直接生産地を見る機会のない輸入バイオマスを原料とする発電については、特に用心が必要だ。
**********

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【スラグまみれの群馬県】有害スラグ不法投棄を巡り行政が公共事業を隠れ蓑に隠蔽を図る現場を緊急ルポ!①

2020-11-08 22:21:00 | スラグ不法投棄問題
■群馬県中にダンプトラックで不法投棄された有害スラグ問題は、未解決なまま今日まで至っています。群馬県内のスラグには次の2種類の不法投棄事例があります。
大同特殊鋼(株)渋川工場が排出し、(株)佐藤建設工業が天然石と混合し、毒を薄めたとみせかけた鉄鋼スラグ問題で、群馬県により「有害廃棄物」に認定されています。
東邦亜鉛(株)安中製錬所が排出し、(有)岡田興業・(株)岡田工務店・(株)大野工業・(株)石井商事、及び悪徳庭師クラフトガーデンにより不当投棄された非鉄スラグ問題で、こちらも先日「有害廃棄物」に認定されました。

 どちらの廃棄物も土壌と接する方法に使用すると土壌を汚染する恐れがあることが廃棄物認定の決め手と説明されていますが、公共事業に使用されたスラグは使用場所の特定も不十分なまま放置されています。有害スラグは廃棄物に認定されたからには、撤去して最終処分場に埋設するのが廃棄物処理法の決まりです。法律はみんなで守らねばなりません。

 そんな有害スラグについて、調査依頼が当会に寄せられましたので、調査特別チーム「リットン調査団」に久しぶりに出動要請を行いました。


群馬県吉岡町にある前橋渋川バイパスの一角に、怪しい重機と大型土のう袋が置かれているという情報が寄せられた。これはなんだ!

 今回の調査場所はこちらです。↓↓

黒い点で示した場所です。https://www.google.com/maps/search/%E5%90%89%E5%B2%A1%E7%94%BA+%E4%B9%97%E9%A6%AC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96/@36.4440502,139.0338992,219m/data=!3m1!1e3

*****リットン調査団のスラグ調査レポート*****
 有害スラグ不法投棄特別調査チーム「リットン調査団」集合(^^)/。

団長A:皆さんお元気でしたか?久しぶりにスラグ調査の要請がありました。

団員B:噂では榛東村がソフトバンクソーラーの下に投棄されたスラグの撤去を悪徳事業者の(株)佐藤建設工業に請求したらしいがとうなっているんかいね?

団員C:え~そんな事があったのですね。あの悪人(株)佐藤建設工業が素直に撤去に応ずるとはとても思えませんな。

団員D:しかし榛東村はえらい!スラグ問題発祥の市:渋川市などはどうしているのでしょう。撤去などせずにアスファルトで蓋をかぶせる工事はしているらしいけど。

団員A:国土交通省は人知れず片づけられる場所に限り撤去しているね。そんな国土交通省が所管する道路わきに謎の物体が出現したという情報じゃ。久しぶりに徘徊調査に出発じゃ!


渋川から前橋に向かう国道17号前橋渋川バイパスに設置されたよしおか温泉に下りる側道に入ると謎の物体があるという。


おお、黄色い大型土のう袋があるぞ、この中身はコンクリートらしいが、コンクリートもがれき類という名の立派な廃棄物じゃ。廃棄物保管場所の看板の設置が必要じゃ。国土交通省はち~~とも理解しないようじゃの。群馬県廃棄物リサイクル課はまた見て見ぬフリか、あの課は必要なのかな。仕事をしないなら人件費がもったいないのう。その時、お~い!その奥になんかあるぞの声が・・・。


本当だ何か建設重機がフェンスに囲まれているぞい。重機の向こうに青いブルーシートも見えるね。


フェンスには何やら白い看板があるぞ。近寄って見てみよう。


「廃棄物 保管施設」なのだそうだ。看板の設置者は悪徳建設資材販売業社の(株)佐藤建設工業と組んでスラグによる不当利得を儲けまくった沼田土建株式会社だそうな。スラグと言えば、“沼田土建”と思いつくほど有名な会社じゃな。保管する廃棄物の種類は、鉄鋼スラグを含む材料(アスファルト・砕石)と書いてあるね。鉄鋼スラグが含まれるなら、きちっと廃棄物の種類を「鉱さい」と書かんかい!いつになったら正しい表示をおぼえるんじゃ!


ブルーシートで分からなかったが、なんかボコボコ盛り上がってものが置かれているね。


あ!ブルーシートの隙間を発見。沼田市の国道17号沿いに積み上げられていた、黒い大型土のう袋のようだ。このなかに有害廃棄物に認定された鉄鋼スラグが入っているのか?いったいどこから持ち込まれたのか?
*****リットン調査団レポート次回その②につづく*****

■群馬県では、大同特殊鋼株式会社につづき東邦亜鉛株式会社も鉛・ヒ素入りスラグを不法投棄していたことが発覚しました。どちらのスラグも群馬県や高崎市が公共工事に使用されたスラグの場所を特定していません。

 高崎渋川線バイパスや上信自動車道、榛東村・吉岡町・渋川市・中之条町・東吾妻町の県道にたくさん使用されていますが、群馬県はスラグの特定をしようとしません。(株)佐藤建設工業や(有)岡田興業の試験成績表が提出されている公共工事現場を調べれば簡単にわかるのに、撤去するのが嫌なので調査しないのです。

 この隠ぺい体質は大沢知事から山本知事に代わってから余計にひどくなっています。群馬県の廃棄物行政は地に落ちています。正しく廃棄物処理法に基づき県民の生活環境を守っていただきたいものです。

 当会では微力ながら、引き続き、“きれいなぐんまちゃん”を取り戻すため活動を続けてまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・このシリーズ続く】

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【出張!オンブズマン】石原名誉教授問題への再追加開示請求に同校がしぶしぶ明かした出来レースメール記録

2020-11-03 23:01:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■長野高専きっての有害天下り校長として同校に3年間の暗黒時代をもたらし、今なお続く同校の腐敗と倫理崩壊のスパイラルを作った石原祐志。圧力と口利きで無理やり石原を高専校長に押し込み、その後ろ盾となっていた文科省トップ幹部・佐野太の失脚に伴い、石原も理研の名ばかり部長に流れていきました。

 ところが、跡を継いだ土居信数校長は、教職員らにほぼ何も伝えないまま、抗議も意に介さず、石原祐志への長野高専名誉教授称号授与を強行してしまいました。石原氏はちゃっかりと産総研のインチキ事業体にも天下りで潜り込んでおり、そこで授与もされないうちから称号をひけらかす有様でした。

 その後、この石原への名誉教授授与問題について、昨年の秋から年末にかけ内部文書の開示請求を行い経緯の洗い出しを試みたところ、名誉教授授与は石原自身が在任時代から仕込んだ出来レースであった疑惑が強く浮かびあがりました。ところで開示文書を精査すると、隠されている不足情報の存在が示唆されたため、当会では今年6月に追加開示請求を行いました。しかしそこでまた、新たな未知情報の存在が示唆され、全容解明どころかむしろ謎は深まるばかりでした。そこで当会では、まだ隠されている情報のベールを剥ぐべく、8月に再追加開示請求を提出していました。

○2019年12月29日:【長野高専】天下り石原名誉教授問題…同校と産総研の開示文書で「授与」と「活用」の経緯を暴く!(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3099.html
○2020年8月7日:【出張!オンブズマン】長野高専J科セクハラ退職問題&石原名誉教授授与強行問題で同校から届いた開示文書
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3187.html

■その後、同校から指示された開示手数料300円を振り込むと、9月17日付で以下の法人文書開示決定通知書が郵送されてきました。

*****石原名誉教授関連再追加開示通知*****ZIP ⇒ 20200918ljmi33nxgj.zip
                            長野高専庶第33号
                            令和2年9月17日

                 法人文書開示決定通知書

市民オンブズマン群馬 小川 賢 様

                       独立行政法人国立高等専門学校機構

 令和2年8月7日付けで請求のありました法人文書の開示について,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第9条第1項の規定に基づき,下記のとおり開示することとしましたので通知します。

                     記

1 開示する法人文書の名称
  令和2年7月17日付け長野高専庶第21号にて開示した法人文書中、石原祐志前校長に送信した「【長野高専】Fwd: セクシュアル・ハラスメント防止のための研修受講確認について(依頼)」という件名の2019年4月22日8時47分付電子メールに関連して以下の文書。
・メール本文中、「★名誉教授について ご提出ありがとうございました。」との記載について、石原氏から「提出」されたものの内容と「提出」時の様子がわかる情報の一切。また、石原氏にこの「提出」を求めたことに関する情報の一切。

① 名誉教授について(メール)(2019.3.28 19:55)
② 名誉教授について(メール)(2019.3.28 20:22)
③ 名誉教授について(メール)(2019.3.29 8:38)
④ 功績調書について(メール)(2019.3.29 11:16)
⑤ セクシュアル・ハラスメント防止のための研修受講確認について(メール)(2019.4.22 0:14)


2 不開示とした部分とその理由

① 名誉教授について(メール)(2019.3.28 19:55)
不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号柱書きに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
不開示部分:功績及び業績に関する部分
理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号ヘに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当

② 名誉教授について(メール)(2019.3.28 20:22)
不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号柱書きに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当

③ 名誉教授について(メール)(2019.3.29 8:38)
不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号柱書きに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当

④ 功績調書について(メール)(2019.3.29 11:16)
不開示部分:個人の情報が記載されている部分
理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号柱書きに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
不開示部分:功績に関する部分
理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号ヘに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当

⑤ セクシュアル・ハラスメント防止のための研修受講確認について(メール)(2019.4.22 0:14)
不開示部分:個人の情報が記載されている部分
理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号柱書きに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
不開示部分:功績に関する部分
理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号ヘに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当


※ この決定に不服がある場合は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の規定により、この決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、独立行政法人国立高等専門学校機構に対して審査請求をすることができます(なお、決定があったことを知った日から起算して3か月以内であっても、決定があった日の翌日から起算して1年を経過した場合には審査請求をすることができなくなります。)。
 また、この決定の取消しを求める訴訟を提起する場合は、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の規定により、この決定があったことを知った日から6か月以内に、独立行政法人国立高等専門学校機構を被告として、同法第12条に規定する裁判所に処分の取消しの訴えを提起することができます。(なお、決定があったことを知った日から6か月以内であっても、決定の日から1年を経過した場合には処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)

3 開示の実施の方法等
 (1)開示の実施の方法等
法人文書の種類・数量等: ①22枚 ②1枚 ③1枚 ④5枚 ⑤5枚 合計:34枚
開示の実施の方法  | 閲覧 | 複写機により用紙に白黒で複写したものの交付
開示実施手数料の額 | 無料 |    40円 用紙1枚につき10円

【後略】
**********

■なんと、未知の電子メールが5通も出てきました。しかもそのうち4通は、石原がまだ学校長として在任中の2019年3月のものでした。

 昨年の情報開示によって、2019年3月20日の平成30年度第11回運営会議にて、鈴木宏が目の前にいる石原の名誉教授推薦を形式上提議して、石原校長がそれを継続議題として承認したことがすでに判明しています。あわせて、続く3月26日の第11回執行会議でも同様の結論になっていることもわかっています。こうした情報からは、石原祐志が自分で自分に名誉教授を授与するため、後任校長がつつがなく手続きを進めるよう在任中に「種を撒いた」様子がそこからうかがえました。

 それだけでも大問題でしたが、今回の開示決定により、名誉教授授与をめぐる具体的なやり取りまでもが、在任中のうちからせっせと進められていた実態がようやく明らかになってきました。

■開示通知によると、文書枚数は全部で34枚と妙に多く、印刷料(1枚10円×34枚)が300円の基本手数料をオーバーしてしまっていました。追加手数料の納付方法は開示場所の窓口支払いか振り込みしかありませんが、40円のために振り込み手数料を支払うのももったいないと考え、窓口開示を検討してみました。当会担当者としては、予定の都合上、長野高専まで赴くのは難しいものの、ちょうど東京八王子の機構本部近くに寄る用事はいくつかありました。そこで、開示文書を機構本部に転送してもらい、本部で開示を受けるということができないか、長野高専の白木職員に問い合わせてみました。

 すると10日ほど経ってから、長野高専から機構本部に照会した結果として返信がありました。しかしそれは、高専機構の情報公開規則の規定により、残念ながら長野高専における開示しか認められないというものでした。

○参考:独立行政法人国立高等専門学校機構情報公開取扱規則(機構規則第70号)
https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/resources/information/johokokaitoriatukaikisoku.pdf
**********
第16条
3 法人文書の開示は,当該文書を保有する各学校等の情報公開窓口において別表2に掲げる方法により行うものとする。ただし,理事長等が認めた場合は,開示請求を行った施設において開示を受けることができる。
**********

 付言すると、独法高専機構全体に対しておこなった開示請求であっても、開示対象となった文書が機構本部や各高専の単独保有の場合は、その保有する場所でしか開示できません。しかし、独法高専機構への開示請求の対象として引っ掛かった文書が複数地にまたがる場合、そのいずれか一箇所に集約して開示してもらうことが可能とのこと。

■仕方がないので、振込手数料550円をかけて40円を長野高専の指定口座に振り込み、あわせて郵送用切手を同校に郵送しました。すると、10月3日になって、9月30日付の送り状とともに開示文書一式が郵送されてきました。

○石原名誉教授授与経緯に関する再追加開示資料 ZIP ⇒ 202010010jij.zip
202010011p01to10ji33j.zip
202010011p11to17ji33j.zip
202010011p18to22ji33j.zip
202010012to4ji33j.zip
202010015ji3334j.zip

 では、石原祐志への名誉教授授与経緯に関する再追加開示資料として送られてきたメールの文字起こしを読んでいってみましょう。なお、メール添付として開示されてきた文書については、文字起こしはせず、都度説明を付けるに留めます。実際の元資料については、各自で上記ZIPファイルをダウンロードのうえ、お手元のコンピュータで展開して確認していただくようよろしくお願い申し上げます。

 また、いつものとおり、文書のレビューに際しての当会の注釈は緑字で示しております。重要なポイントもいくつか示しておりますので、僭越ながらぜひ注釈の方も合わせてお読みください。


*****① 名誉教授について(2019.3.28 19:55)*****
名誉教授について

■■■■■■■■■■■■     2019年3月28日 19:55
To: 石原祐志 ■■■■■■■■■

石原校長先生

お世話になっています。
人事係の■■です。

異動間際のご依頼となり大変申し訳ございませんが、先日お問い合わせのありました校長先生自身の名誉教授について、推薦する方向になる可能性が高いとのお話を受けました。【※当会注1】

ついては、功績調書及び業績一覧が必要となりますので、お忙しいとは存じますが、ご準備、作成をお願いいたします。

※■■先生、■■先生の書類を参考に添付します。

なお、授与式の日時については、新校長とともに決定したいと考えております。
差支えなければ、異動後、石原校長先生の連絡先(メールアドレス等)をお知らせくださると幸いです。

また、作成いただく功績調書等は、将来、叙勲候補用の基資料になることを申し添えます。【※当会注2】

以上、お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。

少し早いご挨拶となりますが、至らない点が多かったと思いますが、2年間ご指導等ありがとうございました。【※当会注3】
異動後につきましても、石原校長先生の変わらないご活躍をお祈りしています。

****************************************
独立行政法人国立高等専門学校機構
長野工業高等専門学校
総務課人事係 ■■■■

〒381-8550 長野市大字徳間716
TEL 026-295-7004
FAX 026-295-4356
e-mail ■■■■■■■■■
URL http://www.nagano-nct.ac.jp
****************************************


添付ファイル6件【※当会注4】
・08-07名誉教授称号授与規則.pdf 108K
・14 長野工業高等専門学校名誉教授称号授与規則に関する申合せ.doc 35K
・功績調書(■■■■).docx 26K
・業績(■■■■).docx 24K
・功績調書(■■■■).docx 26K
・業績一覧(■■■■).docx 32K


【当会注1:またまた出だしから理解に困る情報が飛び出てきてしまった。「先日のお問い合わせ」とはなんであろう。「お話」をしたのは誰であろう。「お話を受けました」などとあたかも独立した意思決定かのように書いているが、その時点で石原祐志は学校のトップその人であり、誰が「お話」をしようとその上司なのだから、利益相反もいいところである】
【当会注2:呆れたことに、名誉教授に飽き足らず、勲章授与まで視野に入れているらしい。お友達佐野太の圧力で天下り、たった3年間籍を置いただけの分際で、しかもその短期間のうちに長野高専を暗黒のどん底に陥れておきながら、勲章まで貰いたいとは、どこまでも厚かましく図々しい男である】
【当会注3:石原の在籍は3年間にも関わらず、「2年間ご指導ありがとうございました」となっている。このメールを送った人事係担当職員は黒塗りされているが、2017年から長野高専職員となった人物ということであろうか】
【当会注4:添付ファイルのうち、長野高専名誉教授称号授与規則および同規則申合せについては、昨年末の記事(本記事冒頭リンク)にて掲載したとおりなので、文字起こし割愛。また、他の業績や功績調書等については、全面黒塗りであり文字起こし困難と判断】

**********


*****② 名誉教授について(2019.3.28 20:22)*****
名誉教授について

石原祐志 ■■■■■■■■     2019年3月28日 20:22
To: ■■■■■■■■■■■■

すみません
パソコンを返したので、明日、作成します
見た記憶はないのですが、可能なら、■■■■の例はありますか?

2019年3月28日(木) 19:55 ■■■■■■■■■■■■
**********


*****③ 名誉教授について(2019.3.29 8:38)*****
名誉教授について

石原祐志 ■■■■■■■■     2019年3月29日 8:38
To: ■■■■■■■■■■■■
Cc: ■■■■■■■■■■■■, 岩佐 達也■■■■■■■■, 富岡学生課長■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【※当会注5】

■■さん
他関係各位

念のため、石原の個人メールアドレス、携帯番号等をお伝えします
■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■

職場の方は
■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■【※当会注6】
メールはまだわかりません。

_
独立行政法人国立高等専門学校機構
長野工業高等専門学校長 石原 祐志 (いしはら ゆうじ)

Tel: 026-295-7004 Fax: 026-295-4356
E-mail: ■■■■■■■■■
URL http://www.nagano-nct.ac.jp

【当会注5:メールの同時送信先にはなぜか、事務方トップであるはずの事務部長の名前が見当たらない。先頭の全面黒塗り人物がそうなのかもしれないが、岩佐総務課長と富岡学生課長の名前は黒塗りされていないのに、おかしな話である】
【当会注6:長野高専校長を事実上更迭されて飛ばされた先が「理化学研究所 科技ハブ産連本部 科学技術ハブ推進部長」であることはとっくに周知であるにも関わらず、いちいち異動先情報まで黒塗りしたがる高専組織の隠蔽癖はどうにも理解しがたい】

**********


*****④ 功績調書について(2019.3.29 11:16)*****
【長野高専】功績調書について

■■■■■■■■■■■■     2019年3月29日 11:16
To: ■■■■■■■■■■■■【※当会注7】

石原校長先生

お世話になっています。
人事係の■■です。

■■■■、■■■■の功績調書を送付しますので、お手数ですが、作成等よろしくお願いします。

※著書論文一覧は不要です。

****************************************
独立行政法人国立高等専門学校機構
長野工業高等専門学校
総務課人事係 ■■■■

〒381-8550 長野市大字徳間716
TEL 026-295-7004
FAX 026-295-4356
e-mail ■■■■■■■■■
URL http://www.nagano-nct.ac.jp
****************************************

添付ファイル2件
・功績調書 ■■■■.doc 43K
・功績調書 ■■■■.doc 45K

【当会注7:メールの宛先が全面黒塗りになったところを見ると、石原の個人メールアドレスに送られたらしい】
**********


*****⑤ セクシュアル・ハラスメント防止のための研修受講確認について(2019.4.22 0:14)*****
【長野高専】Fwd: セクシュアル・ハラスメント防止のための研修受講確認について(依頼)

石原祐志 ■■■■■■■■     2019年4月22日 0:14【※当会注8】
To: ■■■■■■■■■■■■
Cc: 岩佐達也 ■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■

■■さん

ご迷惑をおかけします。
この研修でセクハラは全体の一部でしたので分かる資料といわれても。。。【※当会注9】
■■先生に、当日の配布資料があるか確認してください。
なければ、開催案内といつもの講師の先生のプロフィールしかないですね。

ついでに功績調書をつけておきます。

2019年4月19日(金) 15:19 ■■■■■■■■■■■■[元のメッセージ非表示]


功績調書(石原校長)最終.docx 27K【※当会注10】

【当会注8:3月29日から一気に飛んで4月22日のメールが出てきた。このメールに対する返信が、今年夏の追加開示請求によって明らかになった同日8時27分付メールのようだ。理研に移った石原から送られたこのメール自体は、4月19日に長野高専から送られた何らかのメールへの返信のようだが、元のメールはこれまでの開示資料にも含まれておらず、詳細は不明】
【当会注9:「…」の代わりに「、、、」や「。。。」を用いるのは、若者言葉では極めてよく見られる表現だが、仮にもキャリア官僚であり、当時還暦間近の学校長経験者ともあろう者が、すでに籍もない長野高専との公的なメールでこれを使うというのが信じられない。家族とのLINEか何かと勘違いしているのであろうか】
【当会注10:功績調書が「最終」ということは、最終以前の途中バージョンも存在し、提出されていたということだろうか。しかし開示資料の中にそうした途中経過をうかがわせる情報はない。メールが3月29日から一気に4月22日に飛んでいることといい、この「空白期間」のやり取りはどうにも不思議である。なお、功績調書は昨年末の開示文書中に含まれていたものと同一のため、文字起こし割愛】

**********


■このように、石原祐志は、自身への名誉教授授与方針を既成事実にして後任の土居校長に引き継いだだけかと思いきや、功績調書等資料の提出など具体的な話まで在任中に動かしていたことが明らかになりました。

 それにしても、一応にもまだ上司である石原を「推薦する方向になる可能性が高い」と明言した恥知らずで公務員倫理そっちのけの学校幹部は、いったい誰なのでしょうか。運営会議で臆面もなく眼前の学校トップを名誉教授にしようと言い出した鈴木宏副校長でしょうか。それとも、メールの送り主である人事係職員の上司、岩佐達也総務課長でしょうか。

 とにかく、小学校で転校するクラスメイトのために「お別れ会」をして餞別を贈る感覚で、国立の高等教育機関の名誉教授称号を身内でポンポンプレゼントされては、たまったものではありません。

■上記の開示メールに関する当会のコメントでも言及したとおり、今回の再追加開示請求に対する情報開示を経ても、なお微妙に経緯に関する不透明部分が残ってしまいました。そこで、最後に残った不透明部分を一掃するため、当会では、石原祐志への名誉教授称号授与過程に関する次の再々追加開示請求を長野高専宛てに提出しました。

*****11/3付再々追加開示請求(石原名誉教授問題)*****
            法人文書開示請求書
                            令和2年11月3日
  独立行政法人国立高等専門学校機構
  長野工業高等専門学校 御中

        氏名又は名称:(法人その他の団体にあってはその名称及び代表者の氏名)
         市民オンブズマン群馬   代表 小川 賢            
        住所又は居所:(法人その他の団体にあっては主たる事務所等の所在地)
         〒379-0114 群馬県安中市野殿980           
                        TEL 090(5302)8312 
        連  絡  先:(連絡先が上記の本人以外の場合は,連絡担当者の住所・氏名・電話番号)
         〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10    
                    市民オンブズマン群馬事務局長  鈴木 庸
                 TEL:027-224-8567


 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき,下記のとおり法人文書の開示を請求します。

                     記

1 請求する法人文書の名称等
(請求する法人文書が特定できるよう,法人文書の名称,請求する文書の内容等をできるだけ具体的に記載してください。)
貴学が令和2年9月17日付長野高専庶第33号にて開示した法人文書に関して、次の(1)および(2)の情報。

(1)貴学総務課人事係職員から石原祐志学校長(当時)に送信された「名誉教授について」という件名の2019年3月28日19時55分付電子メールの本文中、「先日お問い合わせのありました校長先生自身の名誉教授について」との記載に関連して、石原氏からの「先日の問い合わせ」の経緯と内容、問合せ先が分かる一切の文書。

(2)2019年3月1日から同年4月30日にかけて、貴学教職員から貴学前校長の石原祐志氏に宛てて送信されたか、同氏から貴学教職員に送信された電子メールの一切。ただし、以下①~④は除いてよい。
   ①令和元年11月12日付長野高専庶第51号における開示文書に含まれるもの
   ②令和2年7月17日付長野高専庶第21号における開示文書に含まれるもの
   ③令和2年9月17日付長野高専庶第33号における開示文書に含まれるもの
   ④本開示請求の上記第1項の対象となる開示文書に含まれるもの
**********

■石原祐志への名誉教授授与問題については、情報開示請求をしてもなお不透明部分が残り、そこを開示させれば、まだ不透明な箇所があることがわかり……とイタチごっこが続いています。今回の開示請求で完全にケリを付けたいものです。

 昭和35(1960)年10月22日生まれの石原祐志は、来年3月末で満60歳となり、理研の名ばかり部長で定年を迎えます。定年での逃げ切り、そして長野高専名誉教授の称号を握りしめての天下りを、何としても許してはなりません。

 当会では引き続き、本問題についても追及を深めてまいります。

【11/7追記】
■本記事を見た長野高専関係者から情報提供があり、今回の開示資料である石原祐志とのメールをやり取りした人事係の担当は、間違いなく北澤直樹人事係長であるとのこと。「石原校長先生」等の書き方が北澤人事係長そのものなので、内部関係者から見ればあからさまに自明とのこと。

 なお、北澤氏は2017年4月に信州大学からの人事交流的な近隣異動で人事係長になったとのこと。今年で4年目になることから、間もなく信州大学に戻っていくことが強く予想されています。

 ちなみに、本記事中で疑問とした北澤氏への「お話」についてですが、長野高専関係者の推測によれば、「北澤人事係長に直接『お話』をしたのか、今をときめく岩佐総務課長もしくは北原総務課長補佐(総務担当)を介したのかは不明なものの、『お話』の元は、長野高専屈指の悪徳ゴマすり副校長(当時寮務主事)である鈴木宏の可能性が高い」とのこと。2019年3月20日の運営会議で、退任目前となっていた目の前の学校トップである石原祐志の名誉教授推薦を言い出した張本人であることは周知のとおりですが、鈴木宏氏については何かと総務課に入り浸っている姿が内部関係者の間でよく認知されているようです。

 ところで、長野高専の副校長の任期は1期2年単位であり、これを2期4年勤めるのが慣例とされているようです。鈴木宏は、今年(2020年)4月から寮務主事4年目となるはずであり、すなわち来年(2021年)3月にその任期切れを迎えるはずでした。しかしなんと今年4月、総務主事であった松下英次副校長と「寮務主事⇔総務主事」の形でポストを相互交換し、権力ポストを内輪で回し続ける呆れた手口に打って出ました。前代未聞の「たすき掛け」人事には、長野高専教職員一同が唖然とさせられたことで有名です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【安中市庁舎建替え問題】考えるきっかけになればと意見広告2万1千部を本日朝刊折込で市内全域に配布!

2020-11-01 22:10:00 | 安中市庁舎建替えに伴う予算過大問題
■安中市は、全国自治体の追従を許さない、51億円という途方もない巨額詐欺事件を25年前に起こした自治体です。安中市役所の現在の敷地の目の前の駐車場の脇に、51億円横領犯とされた元・安中市土地開発公社職員の配偶者側の実家が所有する土地があります。市役所から今場所から移転することは、あと82年間、毎年クリスマスに2000万円ずつ群馬銀行にタゴ事件の尻拭いの和解金として支払い継続を余儀なくされる子々孫々の世代に対して、事件の現場から立ち去ることを意味します。事件から25年、これ以上の風化を防ぐためにも、市役所の庁舎を建て替える場合は現在の場所でなければなりません。

 また、財政面で苦しい状態にあるはずの安中市では、まだまだ使える庁舎迄取り壊して、別の場所に移転して50億円もの血税を投入することなど、許されるわけはありません。そうした思いを有する皆様の声をひろく市民のかたがたにひろめるべく、1か月ほど前から、市庁舎建替えに伴う諸課題について分かり易く解説した意見広告の発行を計画してきました。その成果の結実として、本日11月1日の朝刊に意見広告を折込み、安中市全域の新聞購読世帯に配布をしました。

新聞に折込まれたB4サイズ意見広告A面(ページ左半分)の状況。


同じく意見広告B面(ページ右半分)の様子。

本日朝刊に折込全市に配布した意見広告。
ZIP ⇒ ras.zip

 ちなみに、安中市内の全世帯数は約2万4000軒といわれています。そのうち、関東新聞販売扱いの新聞を定期購読している世帯は1万8200軒、東京新聞販売店扱いが1万2800軒、合計2万1000軒となります。25年ほど前は旧安中市内だけで、2万7000軒くらいあったように記憶していますが、ここにも少子高齢化にともなう人口減少の影が反映されています。

■たまたま、先週10月26日(月)18時半から第5回目の市庁舎建替えに関する市民懇談会が開かれました。最終回となった市民懇談会に筆者は初めて傍聴しましたが、会長であり懇談会座長の群馬大学社会情報学部の小竹裕人・准教授も最後に総括挨拶で「時期的にもっと早期に行うべきであった」と思わず感想を漏らしたほど、この懇談会の意義が曖昧であったことを、印象付けました。

 なぜなら、もともと10年以上前に岡田前市長が、「市民ギャラリー」「美術館」「図書館」「文書館」「情報交流館」などのハコモノ建設構想を立てて、群馬県に買取り要請をしましたが、その後、興味を無くして放置していたため、このような事態を招いたからです。当時の模様は次のブログ記事を参照ください。
○2009年11月29日:岡田市長の選挙戦略・・・旧安中高校跡地にハコモノで土建業界へアメ玉作戦
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/376.html
○2009年12月27日:岡田市長の選挙戦略・・・旧安中高校跡地に40億円ものハコモノを建設する基本計画策定
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/392.html

 その後、安高跡地に関心を無くした安中市に対して、今度は群馬県側から買取り約束を遵守するように圧力がかかりました。苦肉の案として、市庁舎建替え先の最有力候補地として市の幹部らが市民に内緒で計画をデッチアゲ、もともと安中市民(有田屋一族)が保有していた土地を大正時代に教育振興や相続税対策等で群馬県に寄付して安中高校となったところを、県から高く買いとることで、またまた市民の善意が仇となり、市民の血税が群馬県に流出してしまいました。

■前述のとおり、安中市と土地開発公社は連帯して、元職員が起こした役所では史上最大級の51億円巨額横領事件の尻拭いとして、103年間、群馬銀行に対して毎年2000万円ずつ返済しなければなりません。これまで21年間支払い続けてきましたが、あと82年間、西暦2103年になるまで、支払いが続くことも考えられます。

 他方、元職員は1996年4月8日に懲役14年(未決勾留200日を含む)の実刑判決を言い渡され、千葉刑務所で服役していましたが、計算上では、既に2009年(平成21年)9月頃、任期満了で出所(一説にはもっと早い時点で仮出所したという情報もあります)しました。安中市と土地開発公社は元職員に対して総額22億2309万2000円+遅延損害金の債権を有しており、これまでの25年間で元職員からは1532万500円が弁済されましたが、未だに22億777万1500円+遅延損害金の債権が残っています。

 そのため、当会では情報開示請求として、元職員から今年に入り、これまで安中市土地開発公社に対して、一体いくら債務が支払われたのか、確認しました。その結果、2020年9月17日に部分開示通知が出されました。
※2020年9月17日:安中市行政文書部分開示決定通知書
ZIP ⇒ 20200917sjmissj.zip

 そして、2020年10月9日(金)午前9時に安中市役所で関連情報が開示されました。

■開示された情報によれば、前橋地方裁判所平成11年(ワ)第165号損害賠償請求事件で平成11年5月31日付判決により、その14日後に確定した損害賠償債務額22億2309万2000円(プラス遅延損害金)のうち、これまで返済されたのは次の金額であることが分かります。

*****●債権金額の現在までの経緯●*****
平成11年05月31日 損害賠償請求訴訟判決   2,223,092,000円
平成11年11月26日 債権差押命令申立(市税還付金)△■■■■■■■■■■円
平成18年12月06日 不動産強制競売配当       △3,808,300円
平成29年01月16日 一部納付               △30,000円
平成29年12月25日 絵画一点売却            △100,000円
平成29年12月25日 一部納付               △50,000円
平成30年03月05日 一部納付               △50,000円
平成30年12月17日 一部納付               △50,000円
令和01年12月13日 一部納付               △50,000円
令和02年01月27日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009171jis1j.zip
令和02年02月27日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009172jis2j.zip
令和02年03月30日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009173jis3j.zip
令和02年04月27日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009174jis4j.zip
令和02年05月27日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009175jis5j.zip
令和02年06月26日 一部納付               △40,000円
※ZIP ⇒ 202009176jis6j.zip
令和02年07月27日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009177jis7j.zip
令和02年08月26日 一部納付               △10,000円
※ZIP ⇒ 202009178jis8j.zip
債権元金残額                   2,207,771,500円
**********

■このように、今年に入り、元職員から「毎月1万円」ずつ返済が行われ始めたことが分かります。今年4月20日に閣議決定された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関連特別定額給付金のためか、高崎市T町に在住するとみられる元職員は、高崎市が5月21日、市内の全世帯に申請書を発送したことを受けて、6月中に10万円を受領できたためか、そのうち4万円を安中市土地開発公社の返済に充てたようです。

 今年に入ってから、元職員から基本的に毎月1万円ずつ返済することになったのは、市総務部企画課の田中課長によると、今年の3月末まで、土地開発公社の常務理事を兼務していた白石久男・建設部長が昨年12月13日ごろ高崎市T町の元職員の居宅を訪れて、5万円の支払を受けた際に、口頭で元職員と合意を交わしたとのことです。

 安中市と土地開発公社に対して22億777万1500円+遅延損害金の債務を有する元職員と、なんと口約束で毎月月末に1万円ずつ公社の指定口座に送金することで、合意したというのです。ヒジョーシキとしか言いようがありません。

 そのため、今回の市庁舎建替えを機会に、現在の市役所の駐車場わきにある元職員の配偶者の親族が所有する土地を、元職員の債務の返済の一部として譲渡するよう、安中市と土地開発公社にとって、元職員とその親族との間で交渉をするように申し入れることが重要になっています。

■先日の市議会議員を対象としたアンケート結果を見ても、元職員とその親族が有する財産をしっかりと市・公社として回収すべきであるとする回答が目につきました。当然のことと思います。既に元職員の配偶者は忘れているかもしれませんが、事件直後の夫の刑事裁判で、裁判官の前で「一生かけて償います」と宣言しており、債権者の市・公社が強く元職員と親族らに要請すれば、きっと応じる姿勢を見せるはずです。

 このように当時、元職員にたかっていた幹部や同僚職員は、ほとんど退職し、退職手当や共済年金をまるまるもらって悠々自適の余生を送っていますので、現在の安中市・公社の職員の殆どは、元職員とのしがらみがないはずです。したがって、元職員に対する債権行使を遠慮なくやれる立場にあるはずです。

■ところが、筆者が安中市の今の幹部らに、いくら元職員と債権回収のための交渉をガンガンするように促しても、全くやる気を示そうとしません。おそらく群銀への和解金は、公金というあぶく銭の為、身銭という気持ちが無いのだと思います。だからこそ、元職員が15年に渡し横領を重ねて、市役所の七不思議といわれた豪勢な出で立ちや、私生活を、市役所の目の前の駐車場わきの自宅で披露したり、職場に70万円もする背広を着てきたりしても、「タゴさん、なぜそんなに金持ちなの?」と真っ向から疑問をぶつける上司や同僚は誰もいませんでした。

 そうした風土が今また復活しているような気がするのは筆者だけではないはずです。今回の市庁舎建替えに際しては、元職員からの債権回収とセットでなければ、今後82年間にわたり、群銀に和解金2000万円払うことになっている安中市に真面目に税金を支払う気持ちが失せてしまうことでしょう。

 当会は、タゴ事件の風化を少しでも緩和し、後世にこの破廉恥な事件を語り継ぐために、証を残したいと常に考えて行動してまいります。

■なお、この問題についての意見広告ですが、今後も第2弾、第3弾の発行を計画してまいります。


【11月13日追記】
 本日の東京新聞朝刊に次の記事が掲載されました。
**********東京新聞2020年11月13日
市庁舎建設樹住民シンポ 安中
 安中市役所の老朽化問題で、建築士や測量士などの意見を踏まえた住民連続シンポジウムが、市勤労者会館松井田館で開かれた。
 この問題を巡る市民団体には、市庁舎建設を考える市民の会と、安中市まちづくり研究会がある。両会のメンバーも参加して問題について考える市民グループ「安中市まちづくりワンワンチーム」が発足し、シンポを5回開催してきた。
 今回は市内の板垣與一(よいち)記念館の宇佐美義尚さんが、「文教都市安中の再生と想像を願う市庁舎建設への一提案」と題して講演。空き家を利用して専門家の蔵書を受け入れる町中図書室など、町づくりのコンセプトを示し、現在の場所に再構築するのがベストとする案を支持した。
(樋口聡)
**********
この記事で取り上げている市勤労者会館松井田館で開催されたとされる住民連続シンポジウムの開催日が、文中に明示されていませんが、調べてみると、次のURLによれば、10月18日に開催されたことがわかります。
※参考URL ⇒
https://annakawanwan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/064312?fbclid=IwAR2j3hIusYOv_ag9Tbqw1Yi3jA7NKiiqH5TEyEN17xQmkYTb_TMKG3qw4_0
第6回 住民連続シンポジュウム 【文教都市安中の再生と創造を願う市庁舎建設への一提案】
・主催 安中市まちづくりワンワンチーム 
・日時 2020.10.18 ・場所 安中市勤労者会館松井田館
・【文教都市安中の再生と創造を願う市庁舎建設への一提案】
・提案者 宇佐見 義尚 氏 (板垣與一記念館 館長)
目次(動画の時刻)
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0:00 テーマ【文教都市安中の再生と創造を願う市庁舎建設への一提案】
4:44 はじめに 文教都市宣言の市庁舎建設
9:12 安中市文教環境の現状
12:23 安中・松井田地域における 教育・文化芸術・建物の歴史的遺産
16:00 まちづくりとしての市庁舎建設の方向性ー豊かさとは何か
19:32 文教都市の再生から創造への市庁舎建設(まちづくり)
19:50 賑わいで減税のまち安中と市庁舎建設
23:10 芸術・文化のまち安中と市庁舎建設
25:10 生涯読書のまち安中と市庁舎建設
28:00 子育てのまち安中と市庁舎建設
29:23 バリアフリー・ノーマライゼーションのまち安中と市庁舎建設
31:38 山・川・田園のまち安中と市庁舎建設
35:41 安校跡地利用と新市庁舎建設地への提案
38:36 水上報告に注目!目からうろこの諸提案
41:37 安中本庁と松井田支所の二極行政=楕円形構想
44:30 3人のキーパーソンズへの講演依頼
47:45 安中市ワンワンチームの提言
---------------------------------------

【ひらく会事務局】

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