市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

台風19号(ハギビス)が遺した満水の八ッ場ダム・・・果たして洪水防止に役立ったのか?

2019-10-22 22:18:00 | 八ッ場ダム問題

■台風19号は、、2019年10月6日3時にマリアナ諸島の東海上で発生し、12日19時前に伊豆半島に上陸後、関東地方を斜めに横断していきましたが、上陸前から長時間にわたり激しい降雨が続き、関東地方や甲信地方、東北地方などで記録的な大雨となり、甚大な被害をもたらしました。この結果、2018年に気象庁が定めた「台風の名称を定める基準」に基いて、浸水家屋数が1万棟以上など、基準条件に相当する見込みとなり、1977年(昭和52年)9月の沖永良部台風以来、42年1か月ぶりに命名される見通しです。政府は台風被害に対して激甚災害の指定を行ったほか、台風としては初となる特定非常災害の認定を行いました。また、災害救助法適用自治体は18日夕方までに13都県317市区町村にのぼり、1995年の阪神大震災以降の自然災害で最多となり、東日本大震災の8都県237市区町村や2018年の西日本豪雨の11府県110市町村を超えて過去最大となりました。
 そうした中、なぜか巷では「八ッ場ダム」のことが取りざたされているようです。なかには「税金の無駄遣いではなかった」として、当時の政権政党だった民主党による計画一時中止を批判する声も聞こえてきます。本当に八ッ場ダムは税金の無駄遣いではなかったのでしょうか。

八ッ場ダム湖を見下ろす「丸岩」と呼ばれる標高1120mの峰。長野原町大字横壁の南方にあり、戦国時代には城があった。北面は赤い岩肌をむき出した100m余の絶壁となり、南は岩峯から続く稜線が起状しながら須賀尾峠へと伸びている。この岩峰の名を冠した「丸岩会」が2005年9月26日、水没する地区の代替地交渉に当たる代替地分譲連合交渉委員会の萩原昭朗委員長の誕生日に合わせて開かれた。そこには萩原委員長と国交省幹部、小寺知事及び100社に上る地元ゼネコン等の参加社が集い、昼はゴルフ大会、夜は伊香保の温泉旅館で大宴会を催し、県知事の挨拶のあと、八ッ場ダムの事業説明が国交省の現場事務所長から行われたりした。この情報が当会の八ッ場ダム問題への取り組みの端緒となった。

**********NHK News Web 2019年10月16日11時17分
八ッ場ダム 台風19号で満水に
 来年春の完成を前に試験的に水をためる「試験湛水」が行われている長野原町の八ッ場ダムで、台風19号による大雨で急激に水位が上がり、貯水率が100%に達したと工事事務所が発表しました。
 八ッ場ダムはダム本体のコンクリートの打設工事がことし6月に終了し、今月1日から試験的に水をためてダムの強度や安全性を確かめる「試験湛水」という最終工程が進められてきました。
 八ッ場ダム工事事務所によりますと、今月1日の時点では、ダムの水位は標高481.5メートルの地点でしたが、15日午後6時ごろに貯水できる最高位の標高583メートルに達し、貯水率が100%になったということです。
 当初、満水までは3か月から4か月かかる見通しでしたが、台風19号による大雨で今月12日から13日にかけて急激に水位が上がりました。
 工事事務所によりますと、13日の午後4時ごろからは水位を調整するための放流操作が行われましたが、これまでのところ下流の自治体への影響は確認されていないということです。
 八ッ場ダムでは、今後は水位をゆっくりと下げて、のり面の強度などダムの安全性を確認し、建屋などの工事を年度内に終えて、来年度から本格的な運用が始められるということです。

**********日経BP 2019年10月21日05:00
2019年台風19号 1日で満水になった八ツ場ダム、一変した景色を写真で比較
 群馬県長野原町で10月1日から試験湛水(たんすい)を始めていた八ツ場(やんば)ダムの貯水率が、台風19号のもたらした大雨で一気に100%近くに到達。付け替え前のJR吾妻線の鉄橋などがダム湖の底に沈み、周辺の風景は大きく変わった。

台風19号が通過した後の10月13日午後2時に撮影した八ツ場ダム。利水放流管から泥混じりの水が噴き出し、土煙を上げる。堤体上空でのドローン飛行は許可が必要なため、許可が不要なダム下流の吾妻峡からドローンを離着陸させて撮影した(写真:大村 拓也)

台風19号通過時のダム湖への流入量(赤線、右軸)と貯水位(青線、左軸)の変化(資料:国土交通省八ツ場ダム工事事務所)

堤体上流の右岸展望台から、台風襲来前の10月5日に撮影。ダム湖の水位は標高約493m。洪水吐きの左側にある選択取水設備の根元に水面がわずかに見えていた(写真:大村 拓也)

右岸展望台から10月10日に撮影。水位は標高約518m(写真:大村 拓也)

右岸展望台から10月13日に撮影。水位は標高約578m(写真:大村 拓也)
 国土交通省八ツ場ダム工事事務所によると、10月11日午前2時から13日午前5時にかけて、長野原観測所で累計347mmの降雨を観測。ダム湖への流入量は12日朝から増加し始め、同日午後8時ごろには毎秒2500m3の最大流入量を記録した。降雨を観測した11日午前2時から13日午前5時までに、約7500万m3の水をダム湖にため込んだ。
 この間、ダム湖の水位は標高518.8mから573.2mまで約54m上昇し、常時満水位の583mまであと高さ10mほどに迫った。
 ダムは利水放流管を使って毎秒約4m3ずつ下流に放流していたものの、常用洪水吐きと非常用洪水吐きのゲート操作は実施しなかった。流入量のほぼ100%がダム湖に貯留されたことになる。
 八ツ場ダム工事事務所によると、常時満水位まで水がたまった10月15日時点でダムの堤体やダム湖の周辺に異常は確認されていないという。今後は1日当たり1m以下のスピードで水位を下げながら、最低水位である標高536.3mまで水を抜き、ダム湖周辺の法面などに問題がないかどうかを確かめる。
(大村 拓也=写真家)
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■その上で、今回の台風19号による豪雨災害において、八ッ場ダムの果たした役割について、二つの観点からの記事を見てみましょう。最初は、「日本を救ったから、税金の無駄ではなかった」という評価です。

**********週刊FLASH(2019年11月5日号)2019年10月24日 11時0分
税金の無駄ではなかった…「巨大ハコモノ」台風19号から日本を救う

首都圏外郭放水路(写真提供・国土交通省江戸川河川事務所)
 10月13日、ラグビー日本代表がスコットランド代表を撃破し、W杯8強入りを決めた舞台・日産スタジアム(横浜市)の周囲は、その数時間前まで冠水していた。
「競技場周辺は遊水地ですから、当然です。あまり知られていませんが、国土計画上は、スタジアムのある窪地は川なんです」
 こう話すのは、岸由二・慶應大名誉教授だ。
 遊水地は、ふだんは競技場の駐車場などとして使われている。スタジアムは、柱に支えられる「高床式」で、遊水地の水が流入することはないという。日産スタジアムが、台風19号の大雨による鶴見川の氾濫を、未然に防いでいたのである。
「鶴見川流域には、日産スタジアムのほかにも、多くの遊水地があります。ふだんは水を抜いてありますが、災害のときだけ水を入れるのです。川の流域にある団地などにも、調整池があります。その数は、4900カ所。国と自治体が、流域全体の問題として取り組んだ結果です」
 じつは、台風上陸前にもっとも危惧されていたのは、東京都東部の大水害だった。“首都水没” は、日本の破滅に直結する。その最悪のシナリオを回避できたのはなぜか。
「大きな要因は2つ。台風の進路と治水対策の結果です」
 こう語るのは、リバーフロント研究所技術参与の土屋信行氏。元東京都職員で、長年、治水対策に関わってきた。
「東京都東部には、低い土地に何本も大河川が流れています。しかし、上流にダム、中流には調節池や遊水地、下流にも放水路など、幾重にも対策がとられているんです」(土屋氏)

10月16日の八ッ場ダム。水位は高いまま
 そのひとつが、2009年、“ハコモノ” と揶揄され、民主党政権時代に無駄な公共事業の象徴として批判を浴び、事業中止で注目を集めた「八ッ場ダム」だ。
「江戸川上流の八ッ場ダムは、完成直後で、試験湛水を始めたところでした。台風上陸後には、ほぼ満水になり、約1億トンの雨水をここで受け止められた。
 しかし、もし本格運用が始まり、水がすでにためられていたら、今回の雨量を受け止めることはできなかった。幸運だったといえます」(同前)
 さらに、建築マニアからは “地下神殿” と呼ばれる「首都外郭放水路」も活躍していた。埼玉県春日部市などを走る国道16号線の直下約50mの深さに設けられた放水路で、利根川水系の中小河川の水を、江戸川に放水するための施設だ。地下放水路としては世界最大級の規模を誇る。
「放水路は5つの川から水を取り込めますが、今回すべて同時に取り込んだのは稀な状況です」(江戸川河川事務所)
“地下神殿” が10月12日から15日にかけて江戸川に排出した水は、50mプール約8000杯ぶん、東京ドームなら約9杯ぶんという途方もない量だ。
 東京都内でも、「神田川・環状七号線地下調整池」が威力を発揮していた。
「台風直撃後は49万トン、最大貯留量の9割まで水がたまった」(東京都第三建設事務所)というから、ぎりぎりの攻防だったのだ。
 日本列島を襲った台風19号は、死者80人以上、全国60以上の河川で堤防を決壊させる甚大な被害をもたらした。「税金の無駄」と揶揄された「巨大ハコモノ」たちは、たしかに首都圏の破滅を防いだ。
 しかしその力をもってしても、被害をゼロにはできなかった――。
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■次は、「利根川の氾濫を救えたのか」という視点の記事です。執筆者は八ッ場ダムの

**********朝日新聞デジタル2019年10月23日
八ツ場ダムは本当に利根川の氾濫を防いだのか?
~治水利水の両面で必要性は失われている~

 利根川水系の八ツ場ダムは、来年3月完成の予定で10月1日から試験湛水が行われているが、今回の台風19号により、貯水量が一挙に増加した。八ツ場ダムの貯水量が急増したことで、「台風19号では利根川の堤防が決壊寸前になった。決壊による大惨事を防いだのは八ツ場ダムの洪水調節効果があったからだ」という話がネットで飛び交っている。10月6日の参議院予算委員会でも、赤羽一嘉国土交通大臣が試験湛水中の八ツ場ダムが下流の利根川での大きな氾濫を防ぐのに役立ったとの認識を示した。
 しかし、それは本当のことなのか。現時点で国交省が明らかにしているデータに基づいて検証することにする。

台風19号の大雨で水かさが増した八ツ場ダム=2019年10月16日、群馬県長野原町
★八ツ場ダムの洪水位低下効果は利根川中流部で17㎝程度★
 10月13日未明に避難勧告が出た埼玉県加須市付近の利根川中流部についてみる。
 本洪水で利根川中流部の水位は確かにかなり上昇したが、決壊寸前という危機的な状況ではなかった。加須市に近い利根川中流部・栗橋地点(久喜市)の本洪水の水位変化を見ると、最高水位は9.67m(観測所の基準面からの高さ)まで上昇し、計画高水位9.90mに近づいたが、利根川本川は堤防の余裕高が2mあって、堤防高は計画高水位より2m高いので、まだ十分な余裕があった。なお、栗橋地点の氾濫危険水位は8.9mで、計画高水位より1m低いが、これは避難に要する時間などを考慮した水位であり、実際の氾濫の危険度はその時の最高水位と堤防高との差で判断すべきである。
 八ツ場ダムの治水効果については2011年に国交省が八ツ場ダム事業の検証時に行った詳細な計算結果がある。それによれば、栗橋に近い地点での洪水最大流量の削減率は8洪水の平均で50年に1回から100年に1回の洪水規模では3%程度である。本洪水はこの程度の規模であったと考えられる。
 本洪水では栗橋地点の最大流量はどれ位だったのか。栗橋地点の最近8年間の水位流量データから水位流量関係式をつくり、それを使って今回の最高水位9.67mから今回の最大流量を推測すると、約11,700㎥/秒となる。八ツ場ダムによる最大流量削減率を3%として、この流量を97%で割ると、12,060㎥/秒になる。八ツ場ダムの効果がなければ、この程度の最大流量になっていたことになる。
 この流量に対応する水位を上記の水位流量関係式から求めると、9.84mである。実績の9.67mより17㎝高くなるが、さほど大きな数字ではない。八ツ場ダムがなくても堤防高と洪水最高水位の差は2m以上あったことになる。したがって、本洪水で八ツ場ダムがなく、水位が上がったとしても、利根川中流部が氾濫する状況ではなかったのである。
★河床の掘削で計画河道の維持に努める方がはるかに重要★
 利根川の水位が計画高水位の近くまで上昇した理由の一つとして、適宜実施すべき河床掘削作業が十分に行われず、そのために利根川中流部の河床が上昇してきているという問題がある。
 国交省が定めている利根川河川整備計画では、計画高水位9.9mに対応する河道目標流量は14,000㎥/秒であり、今回の洪水は水位は計画高水位に近いが、流量は河道目標流量より約2,300㎥/秒も小さい。このことは、利根川上流から流れ込んでくる土砂によって中流部の河床が上昇して、流下能力が低下してきていることを意味する。河川整備計画に沿った河床面が維持されていれば、上述の水位流量関係式から計算すると、今回の洪水ピーク水位は70㎝程度下がっていたと推測される。八ツ場ダムの小さな治水効果を期待するよりも、河床掘削を適宜行って河床面の維持に努めることの方がはるかに重要である。
★利根川の上流部と下流部の状況は★
 以上、利根川中流部についてみたが、本洪水では利根川の上流部と下流部の状況はどうであったのか。利根川は八斗島(群馬県伊勢崎市)より上が上流部で、この付近で丘陵部から平野部に変わるが、八斗島地点の本洪水の水位変化を見ると、最高水位と堤防高の差が上述の栗橋地点より大きく、上流部は中流部より安全度が高く、氾濫の危険を心配する状況ではなかった。

利根川の増水で冠水し通行できなくなった道路=2019年10月13日、千葉県銚子市唐子町
 一方、利根川下流部では10月13日午前10時頃から水位が徐々に上昇し、河口に位置する銚子市では、支流の水が利根川に流れ込めずに逆流し、付近の農地や住宅の周辺で浸水に見舞われるところがあった。八ツ場ダムと利根川下流部の水位との関係は中流部よりもっと希薄である。八ツ場ダムの洪水調節効果は下流に行くほど小さくなる。
 前述の国交省の計算では下流部の取手地点(茨城県)での八ツ場ダムの洪水最大流量の削減率は1%程度であり、最下流の銚子ではもっと小さくなるから、今回、浸水したところは八ツ場ダムがあろうがなかろうが、浸水を避けることができなかった。浸水は支川の堤防が低いことによるのではないだろうか。
 なお、東京都は利根川中流から分岐した江戸川の下流にあるので、八ツ場ダムの治水効果はほとんど受けない場所に位置している。
★ダムの治水効果は下流に行くほど減衰★

利根川の河川敷にあるゴルフ場は増水で冠水した=2019年10月13日、千葉県野田市瀬戸
 ダムの洪水調節効果はダムから下流へ流れるにつれて次第に小さくなる。他の支川から洪水が流入し、河道で洪水が貯留されることにより、ダムによる洪水ピーク削減効果は次第に減衰していく。
 2015年9月の豪雨で鬼怒川が下流部で大きく氾濫し、甚大な被害が発生した。茨城県常総市の浸水面積は約40㎢にも及び、その後の関連死も含めると、死者は14人になった。鬼怒川上流には国土交通省が建設した四つの大規模ダム、五十里ダム、川俣ダム、川治ダム、湯西川ダムがある。その洪水調節容量は合計12,530万㎥もあるので、鬼怒川はダムで洪水調節さえすれば、ほとんどの洪水は氾濫を防止できるとされていた河川であったが、下流部で堤防が決壊し、大規模な溢水があって凄まじい氾濫被害をもたらした。

鬼怒川が氾濫した現場で、ガードレールにつかまりながら救助に向かおうとする茨城県警の救助隊=2015年9月10日、茨城県常総市
 この鬼怒川水害では4ダムでそれぞれルール通りの洪水調節が行われ、ダム地点では洪水ピークの削減量が2,000㎥/秒以上もあった。しかし、下流ではその効果は大きく減衰した。下流の水海道地点(茨城県常総市)では、洪水ピークの削減量はわずか200㎥/秒程度しかなく、ダムの効果は約1/10に減衰していた。
 このようにダムの洪水調節効果は下流に行くほど減衰していくものであるから、ダムでは中下流域の住民の安全を守ることができないのである。
★本格運用されていれば、今回の豪雨で緊急放流を行う事態に★
 本洪水の八ツ場ダムについては重要な問題がある。関東地方整備局の発表によれば、本洪水で八ツ場ダムが貯留した水量は7500万㎥である。八ツ場ダムの洪水調節容量は6500万㎥であるから、1000万㎥も上回っていた。
 八ツ場ダムの貯水池容量の内訳は下の方から計画堆砂容量1750万㎥、洪水期利水容量2500万㎥、洪水調節容量6500万㎥で、総貯水容量は10750万㎥である。貯水池の運用で使う有効貯水容量は、堆砂容量より上の部分で、9000万㎥である。ダム放流水の取水口は計画堆砂容量の上にある。
 本洪水では八ツ場ダムの試験湛水の初期にあったので、堆砂容量の上端よりかなり低い水位からスタートしたので、本格運用では使うことができない計画堆砂容量の約1/3を使い、さらに、利水のために貯水しておかなければならない洪水期利水容量2500万㎥も使って、7500万㎥の洪水貯留が行われた。
 本格運用で使える洪水貯水容量は6500万㎥であるから、今回の豪雨で八ツ場ダムが本格運用されていれば、満杯になり、緊急放流、すなわち、流入水をそのまま放流しなければならない事態に陥っていた。

肱川が氾濫し、浸水した野村地区=2018年7月7日朝、愛媛県西予市
 今年の台風19号では全国で6基のダムで緊急放流が行われ、ダム下流域では避難が呼びかけられた。2018年7月の西日本豪雨では愛媛県・肱川の野村ダムと鹿野川ダムで緊急放流が行われて、西予市と大洲市で大氾濫が起き、凄まじい被害をもたらした。今年の台風19号の6ダムの緊急放流は時間が短かったので、事なきを得たが、雨が降り続き、緊急放流が長引いていたら、どうなっていたかわからない。
 ダム下流で、ダムに比較的近いところはダムの洪水調節を前提とした河道になっているので、ダムが調節機能を失って緊急放流を行えば、氾濫の危険性が高まる。
 八ツ場ダムも本豪雨で本格運用されていれば、このような緊急放流が行われていたのである。
 以上のとおり、本豪雨で八ツ場ダムがあったので、利根川が助かったという話は事実を踏まえないフェイクニュースに過ぎないのである。
★必要性を喪失した八ツ場ダムが来年3月末に完成予定★
 八ツ場ダムは今年中に試験湛水を終えて、来年3月末に完成する予定であるが、貯水池周辺の地質が脆弱な八ツ場ダムは試験湛水後半の貯水位低下で地すべりが起きる可能性があるので、先行きはまだわからない。
 八ツ場ダムはダム建設事業費が5320億円で、水源地域対策特別措置法事業、水源地域対策基金事業を含めると、総事業費が約6500億円にもなる巨大事業である。

自民党の二階俊博幹事長(左から2番目)は八ツ場ダムを視察し、ダム本体上で説明を受けた=2019年10月17日、群馬県長野原町
 八ツ場ダムの建設目的は①利根川の洪水調節、②水道用水・工業用水の開発、③吾妻川の流量維持、④水力発電であるが、③と④は付随的なものである。
 ①の洪水調節については上述の通り、本豪雨でも八ツ場ダムは治水効果が小さく、利根川の治水対策として意味を持たなかった。利根川の治水対策として必要なことは河床掘削を随時行って河道の維持に努めること、堤防高不足箇所の堤防整備を着実に実施することである。
 ②については首都圏の水道用水、工業用水の需要が減少の一途をたどっている。水道用水は1990年代前半でピークとなり、その後はほぼ減少し続けるようになった。首都圏6都県の上水道の一日最大給水量は、2017年度にはピーク時1992年度の84%まで低下している。これは節水型機器の普及等によって一人当たりの水道用水が減ってきたことによるものであるが、今後は首都圏全体の人口も減少傾向に向かうので、水道用水の需要がさらに縮小していくことは必至である。これからは水需要の減少に伴って、水余りがますます顕著になっていくのであるから、八ツ場ダムによる新規の水源開発は今や不要となっている。
 八ツ場ダムの計画が具体化したのは1960年代中頃のことで、半世紀以上かけて完成の運びになっているが、八ツ場ダムの必要性は治水利水の両面で失われているのである。
 八ツ場ダムの総事業費は上述の通り、約6500億円にもなるが、もし八ツ場ダムを造らず、この費用を使って利根川本川支川の河道整備を進めていれば、利根川流域全体の治水安全度は飛躍的に高まっていたに違いない。
○嶋津暉之(しまず・てるゆき) 水源開発問題全国連絡会・共同代表
 1943年生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得満期退学。2004年年3月まで東京都環境科学研究所勤務。八ッ場あしたの会運営委員。著書に『水問題原論』(北斗出版)、『やさしい地下水の話』(共著、北斗出版)、『首都圏の水が危ない』『八ッ場ダムは止まるか』、『八ッ場ダム 過去・現在そして未来』(以上共著、岩波書店)などがある。
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■八ッ場ダムがあまりにもタイミングよく試験湛水を行っており、劇的にその風情を変えたことから、ダムの効能がもてはやされすぎてしまった感があります。

 国交省の観測記録によれば、「降雨を観測した10月11日午前2時から13日午前5時までに、約7500万m3の水をダム湖にため込んだ」とあることから、確かにその分の水量は下流に影響を及ぼさなかったのは事実です。したがって、「10月13日未明に避難勧告が出た埼玉県加須市付近の利根川中流部でいえば、八ツ場ダムの洪水位低下効果は17㎝程度あった」ことになります。

 これを、八ッ場ダムの効果としてどのように評価できるかどうか、がポイントとなります。ゼロよりも17センチ低い方が堤防に対する負荷としては低減されたことは事実です。

 しかし、今回は試験湛水という特別なタイミングに合致したまでで、もし八ッ場ダムが本格運用を始めていたら、使える洪水貯水容量は6500万㎥でしたから、今回の豪雨で溜め込めた約7500万㎥の水量のうち、余剰の1000万㎥は、そのまま緊急放流しなければならなかった筈です。そうすれば、逆に台風が過ぎ去ったあとの利根川の流量を増やす結果を招いたことでしょう。

 今回、巷間で取りざたされている八ッ場ダム礼賛設は、どうも胡散臭い気がします。なぜなら、八ッ場ダムを推進してきた政府自民党が、官僚と一緒に異様にはしゃいでいるからです。

**********産経新聞2019年10月15日11:20
【台風19号】自民が対策本部会合 「八ッ場ダムが氾濫防止に」の報告も

【台風19号】水位が上昇した八ッ場ダム=14日午前8時6分、群馬県長野原町(本社ヘリから、恵守乾撮影)
 自民党は15日午前、台風19号の影響で広範囲にわたり被害が出ていることを受け、災害対策本部の会合を党本部で開いた。出席者からは、早期の激甚災害への指定や被災地のライフライン復旧を求める声が相次いだ。
 二階俊博幹事長は会合で「一日も早く(被災者が)元の生活ができるよう、全国各地から情報収集すると同時に的確な対応をしてもらいたい」と語った。
 群馬県長野原町の「八ッ場ダム」が川の氾濫防止に役立ったとの報告もあった。群馬県選出の国会議員は「民主党政権のときに(ダム建設が)ストップされて本当にひどい目にあった。われわれが目指してきた方向は正しかった」と述べた。

**********毎日新聞2019年10月16日 20時00分(最終更新 10月16日 23時41分)
八ッ場ダム、効果あった? 赤羽国交相、氾濫防止の大きな要因になったとの見方示す

八ッ場ダム=2019年10月、西銘研志郎撮影
 「コンクリートから人へ」のスローガンの下、旧民主党政権が2009年に建設中止を表明したものの、11年に方針転換して建設再開を決定するなど紆余(うよ)曲折を経た八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)。16日の参院予算委員会で、自民党の松山政司氏が、このスローガンを引き合いに出し、台風19号での八ッ場ダムの「効果」を尋ねた。
 赤羽一嘉国土交通相は「本格的な運用前の試験(湛水(たんすい))を開始したばかりで水位が低かったため、予定の容量より多い約7500万立方メートル(の雨水)をためることができた」と説明。下流の氾濫防止の大きな要因になったとの見方を示した。
 安倍晋三首相は「八ッ場ダムは大変な財政的負担もあったが、果たして後世に負担を残したのか」と述べ、「財政は何世代にもわたり対応しなければならないが、同時に後世の人たちの命を救うことにもなる。そういう緊張感の中で正しい判断をしていくことが大切だ」と政策の正当性を強調した。さらに「(政府の)国土強靱(きょうじん)化基本計画に基づき、必要な予算を確保し、オールジャパンで国土強靱化を進める」と訴えた。
 旧民主党出身の玉木雄一郎・国民民主党代表は同日の記者会見で「八ッ場ダムを復活したのも民主党政権だ」と反論。立憲民主党の福山哲郎幹事長も記者団に「これだけ頻繁に災害が起こる国土になっている日本で、安心・安全な国土形成のための議論をしていくべきだ。鬼の首を取ったような議論をするのは今の段階で適切ではない」と述べ、批判した。【浜中慎哉、東久保逸夫】
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■巨額の公費を投入し、長年にわたって事業を引き延ばし、官僚や政治家により利用されてきた八ッ場ダムですが、当会は税金の無駄遣いの観点から、この事業の問題点を追及してきました。それらは2015年6月27日(土)午後1時35分から30分間、国土交通省主催の公聴会で公述人として、有害スラグ問題を主体に、発言した内容に凝縮されています。
○2015年7月1日:八ッ場ダム建設工事にかかる公聴会で有害スラグ問題を主体にオンブズマンが公述
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1652.html

 この他にも、八ッ場ダムを巡る官僚による利権の構図の一端である齋藤烈事件を追及してきた経緯もありました。
○2015年6月5日:八ッ場ダム測量業務の贈収賄を巡る斉藤烈事件の協立測量の幹部らがみずほ銀行から融資詐取で逮捕
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1637.html
○2010年9月1~4日:八ッ場ダム推進でアブク銭にあずかりたい国交省職員の気持ちを体現した斉藤烈事件(その1~4)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/522.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/523.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/524.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/525.html
○2010年9月5日:八ッ場ダム推進でアブク銭にあずかりたい国交省職員の気持ちを体現したもう一つの協立測量事件(その5)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/526.html
○2009年10月18日:八ッ場ダム問題解明の鍵を握る斉藤烈事件の刑事保管記録閲覧を巡る東京地検の対応
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/351.html
○2009年10月7日:八ッ場ダムの不正の典型・・・斉藤烈事件の刑事記録閲覧許可を東京地検に督促
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/343.html

 さらに、巨大ダム事業で生み出された巨額の公費投入の結果、そのカネが自民党のみならず民主党にも還流し、政治色に染められていった過程も追及してきました。この7月から群馬県知事に就任した一太知事も、ちゃっかりとダム建設業者から献金を受けていました。
○2009年12月19日:税金が政治家に流れムダな事業で談合した金がまた政治家へ…八ッ場ダムの利権スパイラル
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/388.html#readmore

 そしてそのカネの一部は当然、移転に揺れた地元住民らの生活にも影響を与えました。
○2009年10月18日:八ッ場ダムで権力を相手に立派にカネの生る木を育てた御仁の話・・・週刊新潮の場合
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/350.html

 さらには、マスコミもそのカネの力でペン先を鈍らせてしまいました。
○2009年10月16日:民主政権下における「記者クラブ」制度のありかた・・・八ッ場ダム報道の例
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/348.html#readmore

■そもそも、当会が八ッ場ダム問題にかかわり始めたのは、今から10年以上前の2009年冬でした。地元関係者のかたがたから、あまりにも酷い地元有力者を中心とした政官業による利権の構図の実態が当会に報告されたためです。最近で言えば、関電を手玉に取った高浜町元助役を軸とした政官業の癒着の構図にそっくりです。
○2009年2月28日:政官癒着の権化・税金ムダ遣いの象徴/カネまみれ八ッ場ダム物語
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/197.html
○2009年3月1日:八ッ場ダム物語/巨額利権の間接恩恵?かみつけ信組への資本注入
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/198.html
○2009年3月2日:八ッ場ダム物語/丸岩会に所長を講師派遣した国交省の言い分
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/199.html

 その後、国交省の現地事務所を舞台とした職員による汚職事件が密かに発覚していたことが分かり、その刑事記録を調べるため、東京地検と交渉しました。
○2009年7月10日:八ッ場ダム控訴審に向け公金ムダ遣い実態解明のため刑事記録閲覧を東京地検に請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/282.html

 同じころ、政治的にも変動が起き、自民党から民主党へ政権交代が起きました。民主党政権化では当初の鳩山政権下で、前原国交省が八ッ場ダム凍結を宣言しましたが、次の野田政権下で前田国交省が方針転換をして、一転、八ッ場ダム建設推進へと舵を切り替えてしまいました。しかし、この政治変動のおかげで、八ッ場ダムの利権の実態が世間に知られることになったのでした。とりわけ、地元有力者を中心とした丸岩会の存在が、当会のブログを見た週刊誌の報道により広く拡散し、前時代的な利権構造が浮き彫りにされました。
○2009年9月1日:民主党政権誕生が迫り、断末魔のあがきの八ッ場ダム推進派関係者
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/326.html
○2009年9月22日:政官業癒着と税金ムダ遣いの象徴・・・八ッ場ダム推進派による丸岩会の所業
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/336.html
○2009年10月3日:八ッ場ダムを取り巻く政官業癒着のシンボル丸岩会の関係先リスト
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/340.html
○2009年10月5日:週刊ポスト10月16日号の衝撃記事!「背信のゴルフコンペ」が指摘する群馬の恥部
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/342.html
○2009年10月11日:今回はダム役人に焦点・・・八ッ場ダム問題を扱った週刊ポストの記事第2弾!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/345.html

■こうして巨額公共投資による利権が生んださまざまな歪みや思惑を伴いながら、人的にはコネ、癒着、文書偽造、背任、着服、横領などが繰り返され、物的には、ダム湖内に違法に投棄されたフッ素や六価クロム入りの有害スラグはそのまま残置され、草津温泉万代鉱から大量に湧出する強酸性の湯を石灰ミルクの注入で中和させる事業により、直下に造った生成物沈殿専用の品木ダムに溜まった堆積物の除去も半世紀を経て周辺の処分施設が満杯となるなど、課題をそのままダム湖に水没させて、八ッ場ダムが来春から本格稼働することになります。

 筆者の誕生年と同じ1952年に建設省が長野原町長にダム調査を通知してから67年を経て、総事業費が約6500億円の巨大事業がようやく稼働の運びになりました。評価の切り口はさまざまですが、本当に投入費用に見合った治水、利水に役立てられるのかどうか、評価は後世代に委ねることになることでしょう。当会の八ッ場ダムについての評価は、無駄遣いがつきものの大型公共工事の負の遺産の典型として位置付けております。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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【行政の犯罪】公文書改ざんを告発し続ける住民に対し依然沈黙する一太知事に知ってほしい事実

2019-10-21 23:25:00 | 藤岡市内保安林を巡る行政犯罪
■行政はコンプライアンス(法令順守)重視でなければなりません。ここ群馬県の場合、群馬県・県内市町村しかり、そして群馬県警・県内各警察署しかりです。ところが、そうした行政の根幹を揺るがす事態が、藤岡市内の山林で平成8年に勃発し、平成から令和になった今もなお解消されません。被害にあった藤岡市在住の当会会員は、この驚くべき行政悪を正すため7年余りにわたり苦しみながらも戦い抜いてきました。

 ところが裁判に訴えても、司法は行政側のインチキ書類を正当とみなし、住民がいくら正当性を主張しても意に介しようとしません。警察に告発しても、さっぱり動こうとしません。そのため、マスコミにも情報提供をして取材要請をしましたが、上毛新聞編集局も朝日新聞高崎支局長もまったく関心を示しません。そのため、被害を受けた当会会員は、最後の望みをかけて、7月27日に就任した山本一太新知事に対して、直訴し続けていますが、無しのツブテです。そうした中、当会は、代表と当会会員の連名で保安林の設定に際して地権者から取得する必要のある承諾書を、9月17日付で群馬県に情報開示請求しました。

10月16日午前9時の藤岡合同庁舎。藤岡森林事務所はこの3階にある。

 なお、この件に関する当会の次のブログ記事を参照ください。
○2016年5月13日:第2の大町事件?・・・林業行政を巡る森林組合・藤岡市・群馬県の杜撰なトライアングル
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1993.html
○2017年12月23日:林務行政に係る森林組合・藤岡市・群馬県の杜撰な関係を質すために活動中の藤岡の会員からの経過報告
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2515.html
○2019年4月10日:デタラメな群馬県の林業行政…2月8日の保安林現地視察でコンプライアンス平然無視の実態報告(1)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2927.html
○2019年4月10日:デタラメな群馬県の林業行政…2月8日の保安林現地視察でコンプライアンス平然無視の実態報告(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2928.html
○2019年6月23日:筆界未定地を保安林に仕立て砂防ダムを勝手に作った藤岡森林事務所長に被害者が10時間の直談判!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2966.html
〇2019年10月9日:【行政の犯罪】公文書改ざんを告発し続ける住民に対して耳を傾けるのか・・・沈黙を続ける山本一太新知事
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3046.html

■山本一太・群馬県知事に提出した開示請求書は次の通りです。

*****9/17公文書開示請求書*****ZIP ⇒ 20190917qnjij.zip
別記様式第1号(規格A4)(第3条関係)
            公 文 書 開 示 請 求 書
                            令和元年9月17日
  群馬県知事 山本一太殿あて
            郵便番号 379-0114
            住  所 群馬県安中市野殿980
            氏  名 小川賢
            郵便番号 375-0054
            住  所 群馬県藤岡市●●●XXXX-X
            氏  名 清水剛
            電話番号 090-5302-8312 (連絡担当者名:小川賢)
 群馬県情報公開条例第12条第1項の規定により、次のとおり公文書の開示を  請求します。
<開示を請求する公文書の内容又は件名>
 藤岡市上日野田本内に平成11年10月27日に保安林指定した手続きに係る土地所有者の承諾書の写し。
 なお、この情報の開示について、9月4日(水)で森林保全課から「承諾書は基本的には個人情報と判断されますが、他方で、保安林の指定手続には公益性もあるため、公文書開示請求によって開示することの可否及び開示できる場合にはその開示の範囲については、実際に開示請求を頂いてみないと確定的なことを申し上げられません。ご検討ください」とのアドバイスをいただいております。
<開示の実施方法> ご希望の□にチェックしてください。例「■」「レ」
 1■ 閲覧、聴取又は視聴
 2■ 写しの交付 (■ 窓口での交付 □ 送付による交付)
  (1) ■ 紙(□ カラー部分を含む頁は、カラーコピーを希望する。)
  (2) □CD-R
  □ 電磁的記録を保有していない場合には、スキャナによる複写物の交付を希望する(保有する処理装置により容易に実施できる場合に限る。)
  (3) □ その他の媒体(         )
**********

 すると、9月26日付で部分開示通知が、県庁の森林保全課ではなく、藤岡森林事務所から届きました。
※公文書部分開示決定通知書 ZIP ⇒ 20190926jmisj.zip

■そして、10月16日午前9時に当会代表が藤岡森林事務所を訪れて、開示情報を受領しました。





↑開示された承諾書。↑

窓口で粘ること約2時間。しかし難くなに不開示部分の隠ぺいの正当性を主張する群馬県。
※開示された土地使用・保安林指定承諾書 ZIP ⇒ 20191016xj.zip


 受領した開示情報をチェックしたところ、「承諾日」と「承諾者の印影」が黒塗りにされていました。窓口で、担当者の松本潔志次長と富田公則主幹(技)にその理由を聞くと、「通知書に記載の通り」の一点張りでした。

 そこで部分開示通知書の「開示しない部分の概要及びその理由」を改めてみてみると「群馬県情報公開条例第14条第2号該当 (非開示部分)承諾日、印影 個人に関する情報であって、公にすることにより個人の権利利益を害するおそれがあるため」と記してありました。

 さらにご丁寧にも「注1」として「公文書の開示により得た情報は、群馬県情報公開条例第24条の規定により、適正に使用されなければなりません」という記載もあります。

■当該保安林の所有者であることを自他ともに認める当会会員いわく、「開示された承諾書に記載された氏名は、藤岡市役所職員が書いたものであり、偽造書類だ」とのことです。また「その事実は藤岡市役所の部長クラスを含む担当部署の何人かは既に認めており、公にしてもよい。(偽造文書作成と言われても)既に腹はくくっている」と当会会員に言明しているということです。

 そのことを藤岡森林事務所の担当者らに伝え、「偽造書類だからといって、承諾日と印影を個人情報だというのは無理がある。偽造との指摘がされている文書だからこそ、承諾日がいつなのか、また、印影がどのような模様なのか、開示することで、行政への信頼感が担保されるはずだ」と当会が指摘したところ、「藤岡市との信義則により、第三者には開示できない」と言い出しました。

 そこで当会からは「今回の開示請求では、この保安林の真の所有者と連名で請求手続きをしており、第三者ではなく、当事者なので、黒塗りできる理由がない。また、開示することが、藤岡市との信頼関係の醸成に不可欠となるはずだ」と何度も説明しました。

 しかし、藤岡森林事務所の担当者らは、「開示決定をしたのは、本庁の森林保全課であり、我々ではわからない」などと、逃げの姿勢を見せました。そして「どうしても聞きたければ、森林保全課森林管理係の塚越係長に電話(027-226-3255)をしてほしい」と当会に言いました。

 さっそくその場で電話をしたところ、電話に出た同課担当の石田職員いわく「(塚越)係長は現場にいっており不在となっている」とのことでした。そこで、要件を伝えるとともに、「本日午後、時間が許せば直接本庁の森林保全課を訪問し、黒塗りの理由について説明を聞きたい」と申し入れました。

 実際には残念ながらこの日は県庁の森林保全課には訪問する時間がありませんでした。この塚越係長はことし3月まで吾妻環境森林事務所の補佐(技)(森林係長)だったらしく、4月に前任者の青木均・補佐(技)(森林管理係長)の後継となった御仁のようです。もし、この人物が黒塗りを認めたとなると前任者の青木係長と同じく、偽造書類を隠ぺいする判断をしたことになります。

 なお、藤岡森林事務所の担当者らは「県民センターの情報公開係にも確認してもらった」と発言しており、やはり群馬県行政の情報隠蔽体質のなせる業と言えます。

当会では、頑なな藤岡森林事務所の担当者らから、口頭で開示できない理由を聴取したので、それらを聞き取りながらメモに記してみました。

*****10/16面談聴取メモ*****ZIP ⇒ 20191016jriexcj.zip

代筆    2019.10.16(水)09:55
部分開示の理由
・ここに書いてあるとおり、個人に関する情報であって、公にすることにより個人の権利利益を害するおそれがあるため。
・藤岡市から出てきた承諾書に対して、それが信義則に照らして市江藤なものと判断しています。
・前に小川に送信したメール(2019年6月21日)にも記したとおり、「承諾書は、市町村から受領したものであり、信義則に基づき、その内容について信頼しています」と判断します。
・信義則は県と藤岡市との関係を指します。
**********

 ちなみに、この2019年6月21日のメールとは次の内容です。

*****6/21藤岡森林事務所からのメール*****

---------- Forwarded message ---------
From: 松本 潔志64 <mats-k@pref.gunma.lg.jp>
Date: 2019年6月21日(金) 18:07
Subject: (藤岡森林事務所)6月20日来所時の件について
To: ogawakenpg <ogawakenpg@gmail.com>

小川 賢 様

6月20日におききした次の件について、回答いたします。

なお、本件回答に対する確認も含め、再度の質問がある場合は、
森林保全課が窓口として対応します。

1 保安林指定調査地図の作成方法について
 保安林指定調査地図作成当時の公図を基に調査して作成しています。

2 保安林指定承諾書の土地所有者の確認方法について
 土地使用・保安林指定承諾書は、市町村から受領したものであり、
信義則に基づき、その内容について信頼しています。

3 現地での保安林指定地の確認について
 現地立ち会いについては、県として実施しており、
平成31年2月8日に森林保全課とともに藤岡森林事務所としても同行しています。
 なお、治山ダムや土留工があるため、保安林である場所は示せますが、
杭等による区域確認まで行うには準備に時間を要します。

4 甲1051-1は一筆か筆界未定地かにより課税方法が異なることについて
 課税の状況については、県は所管外であり、回答する立場にありませんので、
藤岡市へ伝えます。

以上です。

>群馬県藤岡森林事務所
 (担当:次長 松本)
**********

 そのうえで、担当者らに内容について間違いないことを確認したうえで、余白部分にイニシャルサインでよいから、署名してほしい、とお願いしました。すると、不思議なことに「それはできない」と、強く固辞するのです。「内容に間違いないなら、サインしても問題ないはずだ」と何度も懇願しても、両名とも首を縦に振りませんでした。

なお、上記メールにおける1の公図についても情報開示請求しようとしましたが、前述の開示請求書のとおり、県では「公図は不存在」と断言しています。本来、公益的要素の強い保安林の関連文書は永久保存のはずです。それが不存在というのですから、当会会員が指摘する文書偽造の疑惑がますます強くうかがえる所以です。

■こうした事態に、改めて危機感を強くした当会会員は、「やはりトップによる判断に頼るしかあるまい」と考えて、あらためて一太知事あてに直訴状をしたためることにしました。

 そして、7月30日、8月10日、8月16日、8月19日、9月10日と、何度も何度も新知事と藤岡市長あてに「通知書」を提出して、この異常な行政手続きの緊急是正を求め続けたものの、新知事からは何の音沙汰もなく、この時点で2か月半が過ぎようとしていました。そのため、今度は「報告書」として、新知事と、藤岡市長にアピールしました。

■当会会員が10月17日新知事と藤岡市長に送った報告書と題する直訴状は次の通りです。

*****10/17県知事あて報告書*****
              報告書
                           令和1年10月17日
群馬県知事室庁内
知事  山 本 一 太 殿
TEL(027)231-2208
知事室丁内電◆2000
                      株式会社清水企画
                      会長  清 水   剛
                      T E L:0274-24-5412

               記

概要
次の下記の文は、群馬県と藤岡市の前代未聞の共同正犯 平成8年~令和1年度までの時系列
1、藤岡市長は、職員に権利義務である承諾書を偽装させて、杜撰な図面を利用し森林所有者に無断で保安林を特定し、69区区長に要望害を書かせ、それを添付し群馬県に提出した。事実
2、群馬県は、藤岡市が独自に作成した杜撰な図面を元に法務局公図を改竄して、保安林の公文書に記載した。この藤岡市が作成した図面の注意書きに(この図面は位置的なものを示すものであり権利関係には使用できません)と明記してある。この図面は50%以上も地番が違う杜撰な物である。この杜撰な図面の作成は、藤岡市が7.000万円以上をかけて市民の税金を使い、民間企業に丸投げした物である。藤岡市は権利義務のある承諾書や署名を職員に書かせ偽造し、市長立会いのもとに押印して(公文書偽造)群馬県に提出した。この杜撰な図を「正しい」と群馬県は、判断して、「照合済」と公文書に記載した。その改窟した保安林図面を群馬県職員の佐藤淳が添付して、平成9年6月農水省に提出、平成11年10月27日官報で公表された。事実
3、令和1年6月20日に、保安林の公文書を良く精査し、当時;調査士藤岡森林事務所 主任 佐藤 淳 現在は、森林事務所長として、返り咲いている。又、当時の事を良く知っている本人に聞いた。土砂流出防備上日野字田本筆界未定地陣内に1基27.000万円何基敷設したと聞いたら、私と地権者立会いのもとに5基敷設したと答えたので翌日21日藤岡市に行き経済部長秋山、農村整備増野、農林課原、税務相談課福島ら、みんなのいる前で昨日佐藤淳が話した事を説明したら全部で6基と答えたので「藤岡市はその事をいつ知ったのか教えてくれ」と話したら、「6基あることを藤岡が知ったのは、令和1年5月9日」と話した。
4、その後令和1年10月3日橋本市議立会いの元、藤岡市役所経済部長秋山と農村整備課増野の話によると、この図面は位置的なものを示すものであり権利関係には使用できませんと明記されているにも関わらず藤岡市が杜撰な物を県に提出したのは真実だと話した。権利義務のある公文書偽造と藤岡市が杜撰な図面を保安林の添付書類に使用した事に関しては腹をくくっていると部長初め数名の幹部が認めた。
5、今まで無いとされていた1基27.000万円6基の写真の写しと迂回路の手書きの杜撰な絵を経済部長が県からもらった書類だと言い所有していた。事実又以前に保安林の権利義務者承諾は不要などと県の保全課の青木が話した事と同じ趣旨の事を経済部長も話している。権利義務に関する書類は必要不可欠であり、所有者の申請が無い限り法務局の職権でもできませんと登記官も話している
6、保安林敷設地区の指定、解除等の取扱いについて [最終修正]平成19年林整治第442 号 (7) 都道府県知事は、民有林について申請をする場合において、当該指定の区域が1 箪の土地の一部であるときは当該区域の実測図及所有者承諾書の添付は義務づけている、又調査地図に地形地物を表示し、後日において 現地を明瞭にできるようにしておく。と明記されているにも関わらず何年も再三に渡りダム現場を立会し特定して欲しいと話しているのに未だに特定しておらず不動産業者も困っている。その業者が保安林場所は所有者が詳しいので所有者に聞いて欲しいなどと県職員の富田が話したと聞いた。
7、群馬県職員阿部吉治が法務局に出向き、上日野字田本筆界未定地1051·11地番の移動を頼んだ法律違反は、公正証書原本不実記載の罪です。平成24年12月7日移動されている。

 上記の行為は地方自治法にも違反します。県知事の誠意ある回答10月中までにお願いします。
**********

 藤岡市長あての報告書もほぼ同様の内容です。

■当会会員が何度も群馬県知事あてに提出してきた悲痛な叫びの書状は、本当に群馬県総務部の秘書課から知事本人に手渡されているのでしょうか。きわめて疑問です。



当会はこれまで何度か藤岡市関係者との協議の場に立ち会ってきた。写真は8月13日撮影。

 当会会員は、文書偽造を認めている藤岡市が、群馬県に間違いを指摘しても、「県報掲載の事実は変えられないから」などと意味不明のことを言っているとして、責任は群馬県にあるというスタンスなので、このように一太知事に直訴を続けてきました。しかし、いつまでも山本知事が無視をするというのであれば、他の手段を講じる必要があります。

 今回、10月末までの県知事の回答を待ったうえで、当会としても支援方法を見直しする必要を感じています。

■それにしても、偽造文書で保安林を設定し、砂防ダムを5基水増しし、多額の公金がどこかに消え、あとの尻ぬぐいの不始末を、何も責任のない地権者に押し付け、保安林にもかかわらず固定資産税を藤岡市に徴収させている群馬県の不作為は、まさに行政による犯罪であり、これを新知事が看過することは、さらに住民の行政不信を助長することになり、絶対にあってはなりません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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ネット動画発信を目論む一太知事・・・動画スタジオの補正予算1億1684万円の内訳が真っ黒け!!

2019-10-20 22:18:00 | 県内の税金無駄使い実態
■かつて、国際協力事業団(JICA)職員としてニューヨークに駐在していたこともある山本一太新知事ですが、ブログなどを駆使して、その発信力は政界屈指と言われています。その人物が7月27日に群馬県の第20代知事に就任して3か月半が過ぎようとしています。その新知事が得意とするネット動画配信のためのスタジオを、県庁最上階に設置する計画が8月23日に発表されて以来、当会は、前知事が愛人と週末を頻繁に過ごしていた県庁近くの副知事公舎を活用して、そこに設置するよう群馬県総務部広報課と管財課に9月2日に文書で申し入れて、さらに、9月4日の時点で、広報課長に「動画スタジオのレイアウトを見せてほしい」とお願いしたところ、広報課長は「県議会で補正予算案が議決する前に、県民に見せるわけにはいかない」と拒否しました。そのため、9月20日に動画スタジオのコスト内訳について開示請求をしていたところ、10月16日に部分開示されました。しかし、実質的には真っ黒けなので、不開示も同然です。

「何かが始まる予算」と題する山本一太の知事コラム(ぐんま広報令和元年10月6日発行P5)。「何か」とは、血税の無駄遣いであってはならない。ましてやそれが、「自我作古」=「自分が歴史を創り出す」=「自らが集団の中で手本となって、周囲に良き道を示し、礎となる」の前例にしてはならない。

 この件の経緯については次のブログも参照ください。
○2019年8月27日:ネット動画発信を目論む山本一太新知事が県庁内に動画スタジオを設置検討か!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3011.html
○2019年9月2日:ネット動画発信を目論む山本一太新知事に動画スタジオは県庁最上階でなく副知事公舎に設置を提唱!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3014.html
〇2019年9月11日:ネット動画発信を目論む山本一太新知事の動画スタジオに、なんと補正予算1億1684万円!!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3018.html

 こうした中、群馬県は9月10日に補正予算案として、動画スタジオの整備費に1億1684万円を盛り込むことを発表し、10月10日に県議会は可決してしまいました。

**********上毛新聞2019年10月10日
動画スタジオ1.2億 可決 知事「重く受け止める」
 県庁23階展望ホールヘの動画スタジオ整備費約1億1700万円を含む補正予算案が県議会本会議で賛成多数で可決された9日、山本一太知事は定例会見で、「(共産党の2人を除く)ほとんどの方から支持していただいたことをうれしく思うし、重く受け止めたい」と述べた。
 スタジオ整備を巡り、県議会の常任委員会で批判的な意見や、費用の適正さを県にただす発言もあった。同日の本会議では反対討論も行われた。こうした議会側の動きに山本知事は「批判が出てくるのはむしろ健全」との受け止めを示し、批判や指摘を踏まえながら来年4月の運用開始に向けて準備を進める考えを強調した。
 会見で、整備後の具体的な目標設定に関する質問には明言を避けつつ、既存のメディアとの連携強化に言及。「群馬県にしかない新しいメディアミックスをつくるという目的もある。そういう総合的な中から目標を紡ぎ出していきたい」とした。

**********毎日新聞2019年10月10日
県議会可決、補正予算案44億5742万円 動画スタジオ費用含む /群馬
 県議会第3回定例会の本会議が9日開かれ、山本一太知事肝いりの動画スタジオ設置費用1億1684万円を含む総額44億5742万円の一般会計9月補正予算案など計33議案を賛成多数で可決した。【西銘研志郎】
 スタジオ設置は山本氏が「県の魅力の発信拠点」と位置づけているもので、議会後の定例記者会見で山本氏は「補正予算案はほとんどの県議から支持してもらいうれしく思うし重く受け止めたい」と語った。
 スタジオは県庁32階に設置予定で、カメラ5台やパソコン4台、スポットライト22台などの機材設備に加え、空調や防音などの施設工事もある。だが具体的な動画の閲覧回数(PV数)の目標値も示されないまま多額の税金を使用してのスタジオ設置には疑問視する声もある。予算採決前の反対討論では、共産党の酒井宏明氏が「何をどのように発信するのか十分な議論がないまま1億円以上の税金を投入するのは県民の理解が得られない」と指摘した。
 定例会見で動画スタジオ設置に反対する意見について問われた山本氏は、「疑問点や批判点があることは賛否両論で良い。議論が出ていることについては真摯(しんし)に受け止め、分析し今後の運営などに生かしていきたい」と語った。
 この他、県議会では県側から豚コレラ対策に関する追加補正予算案が示された。予防ワクチン接種支援や感染野生イノシシの捕獲地点から半径10キロ圏内の「監視対象農場」に指定された養豚場の飼育豚の早期出荷対策など総額約8億9623万円を計上。10日の県議会本会議で採決される。

**********群馬県HP 「知事記者会見抜粋」2019年10月9日
https://www.youtube.com/watch?v=pSAQobH9tHA&feature=youtu.be
第10回定例記者会見要旨(10月9日)
■日時 令和元年10月9日(水)午後3時02分~3時48分
■会場 記者会見室
■出席者 県:知事、副知事、総務部長ほか
       記者:記者クラブ所属記者等 22人
■記録作成 広報課(報道係)
◆令和元年10月9日記者会見動画(You Tube:外部リンク)
○県庁動画スタジオについて
(記者)
 スタジオの件なんですけれども、今日、整備費を含めた補正予算が可決されました。今でも約1億1700万円は高いっていう声があるんですけれども、その点に関して、改めて知事としてどうお考えですか。
(知事)
 今日の県議会でですね、補正予算の議決をしていただきました。動画スタジオについてもいろんな意見はあるんですが、動画スタジオを含む補正予算について、共産党会派を除く全ての方々が賛成をしていただいたと。要は政治は基本的に議会で支持されるかどうかっていうことだと思うので、それは大勢の方が、ほとんど県議会の方々からこの補正予算を支持していただいたと、このことを本当に嬉しく思いますし、重く受け止めたいと思っています。
 今、おっしゃったように、いろいろ委員会等々でも出た疑問点、あるいは批判、賛否両論ですごくいいんじゃないかっていう人もいるんですが、こういう異論が出たことについては、やはり真摯に受けとめて、そこら辺の指摘はよく分析しながら、これで4月に向けての建設が始まりますから、今後の運営とか、ここからプログラムをどういうものを作っていくかっていうのを全てしっかりと詳細に議論していこうと思うので、その中に生かしていきたいと思います。
 あの、やっぱりこのままスッと行くんじゃなくて、メディアの方でもいろいろ書いていましたけれども、やはり批判があるっていうのは私は当然だと思っていて、こちらが一つの見方をしても、また違う意見の人もいるわけであって、批判が出てくるっていうことは、むしろ健全だと思っていますから、そういうところもしっかり含めて、とにかく動画スタジオで目に見える実績を出す、県民の皆さんから最後は評価を受けるわけで、やっぱり拠点として非常に機能して良かったと思われるような施設にしていきたいと思います。
(記者)
 今ですね、目に見える実績を出すという話だったと思うんですけれども、今の段階で、例えば1日の動画の再生回数が何件だとか、そういう具体的な目標設定は。
(知事)
 それは、現時点ではですね、なかなか申し上げるのは難しいと思うんですけれど、動画の再生回数だけじゃないので、基準は。
 例えば、そこでインターネットの番組作りますよね。私がキャスターをやることもあれば、そうじゃないケースもあると思うんですけれども、ここは、今ある既存のいろんなメディアとのメディアミックス(注:宣伝を効果的にするために、新聞・雑誌・テレビ・インターネット・ダイレクトメールなどのいろいろな広告媒体を組み合わせること)も考えていかなければいけないと。場合によっては、まだちょっと申し上げられませんけれども、今までとちょっと違うメディアと組んだりとか、いろんなことをやる中で総合的に評価されるべきものなんだと思うんです。自民党でやっていた「直滑降ストリーム」、自民党の番組の中では圧倒的な視聴率だったんですが、アクセス数だけではなかなかわからないところもあるので、ただあそこ(県庁32階)にスタジオを作って、インターネットの番組を作るっていうよりは、これを拠点にして、群馬県にしかない新しいメディアミックスを作るっていう目的もあるので、そういう総合的な中から目標をちょっと紡ぎ出していきたいなと思っています。
 それから最上階に作るっていうのは、そこのスペースは本当にもったいないとずっと前から思っていて、やはりあそこに動画スタジオを作る、発信拠点を作るということによって、大勢の方々が来てくれるようにしたいと。別にインバウンド対策じゃないんですが、それでもあそこが発信の拠点だということで、あの32階、この間も申し上げたとおりトリップアドバイザーのいわゆるリピーター満足度でもすごく高いので、そこをもうちょっとうまく活用すればですね、本当にいい発信拠点になるんじゃないかと思っています。
 いずれにしろ、どうやって(効果を)測るのかはなかなか難しくて、例えば、動画スタジオに政府の主要な大臣とか毎月呼ぶとしますよね、その効果をどう測るかっていうのはなかなか難しいなと思ったり。
 しかし、閣僚が頻繁に(群馬)県に来るということはないので、そこから流れも変えたいと思いますし、そういう意味でも、あらゆる意味でいい発信拠点になると思っています。
 いずれにせよ、ちゃんとご批判とかいろんな指摘を踏まえて、これをどうやって克服していくかっていうのがね、すごく良いチャレンジだと思っています。
**********

■一太知事の記者会見のコメントを見る限り、「まずは入れ物を新たに作って、来年度からそこに中身を入れる。中身はあとのお楽しみ。“何か”が始まることに議会が指示してくれえたから嬉しい」ということのようです。

 それでは、少なくとも議会に対して、どのような補正予算案を執行部である知事部局は提示し説明したのでしょうか。


場所選定に係る情報公開請求書。

費用請求に係る情報公開請求書。

 9月20日に公文書開示請求をしていたところ、10月2日に県民センターから電話があり、開示日の打診がありましたが、多忙の為10月16日に開示を受けることにしました。

 当日開示されたのは次の資料です。

<総務部広報課テレビ広報係>
◆公文書部分開示決定通知書 ZIP ⇒ 201910172jmiqnlj.zip
・積算データ

・業者見積根拠







◆公文書不存在決定通知書 ZIP ⇒ 201910172jmiqnlj.zip
・発注仕様書
・議案書(県民センターの閲覧室で常時開示しているとの理由で)
・維持管理方法やそのコスト、アドバイザなど番組制作のための人件費の内訳、また、動画発信による広告収入の見通し(人件費などは補正予算ではカバーしいないとの理由で)

<総務部管財課県庁舎保全係>
◆公文書部分開示決定通知書(積算データ) ZIP ⇒ 201910171zf.zip
・群馬県庁32階スタジオ設置工事設計料算定・監理料算定

・県庁舎32階動画スタジオ設置工事改修工事

◆公文書部分開示決定通知書(場所選定) ZIP ⇒ 201910172i.zip
・動画スタジオ設置案

・動画スタジオ検討案


◆公文書非開示決定通知書 ZIP ⇒ 201910171zf.zip
・業者見積根拠

■ご覧いただいた通り、広報課が動画スタジオ用の機器材、管財課が動画スタジオ設置のための改修工事(設計・監理・設置)を見積もっています。

 そして、補正予算の妥当性の基礎となる積算データについては、すべて真っ黒になっています。

 県議会に提出された議案書では、機器材(税込み62,224,063円)と改修工事(設計・監理料税込み7,260,000円+設置コスト税込み47,355,000円=54,615,000円)の合計金額しか記されていないため、県議会としては、内訳の根拠を確かめないまま、可決してしまったことになります。

 しかも機器材については、「県庁用スタジオ配信・収録システム1/3~3/3」として想定機材の見積書が、どこか分からない業者から、「株式会社REDMusic」あてに提出されたものが、そのまま広報課に回されて、積算根拠とされてしまっています。複数社から見積もりをとらないまま、一太知事がアドバイザーとして就任を依頼した関係者の関与する企業が、おそらく懇意にしている納入業者からの見積もりをそのまま広報課に提出し、広報課はそれをもとに補正予算の根拠にしたことになります。
※参考URL:株式会社REDMusic URL ⇒
https://www.facebook.com/pg/%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BEREDMusic-186144144866815/about/
住所:東京都港区南青山2-2-15-839
代表取締役:宇佐美友章
取締役:丸山茂雄
監査役:阿部忠樹
設立日:2013/03/18
categories:音楽制作スタジオ · 音楽レッスン・楽器レッスン · イベントプランナー

 そのような1者見積もりによる積算では妥当性の根拠は担保できないはずです。

 当会では、黒塗りの開示情報については審査請求を、根拠のない1者見積もりによる補正予算案の決定については住民監査請求を視野にいれて検討したいと考えています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「RDMusic」
**********上毛新聞2019年08月30日
民間アドバイザーと首席補佐官に3氏 山本知事が構想固める

ネット番組で菅官房長官と語り合う山本知事(左)=8/19日午後、高崎市(代表撮影)(8月20日付紙面より)

左から片貝和晶氏、森原誠氏、宇佐美友章氏
 群馬県の情報発信や政策立案の強化に向け、外部人材などの活用を検討していた山本一太知事は29日までに、民間人ら3人をアドバイザーや補佐官に据える構想を固めた。ネットメディア戦略アドバイザーに、番組制作などを手掛けるREDMusic(東京都)代表の宇佐美友章氏(55)、政策アドバイザーには民間シンクタンク「青山社中」(同)COO(最高執行責任者)の森原誠氏(39)を起用。知事を補佐する「首席補佐官」も新設し、県財政課次長の片貝和晶氏(48)を抜てきする。
◎民間アドバイザー起用で政策実現へ
 関係者によると、アドバイザー2人は非常勤とし、首席補佐官は現状の仕事と兼務する方向。山本知事は副知事2人の刷新と併せ、アドバイザーを月内に任命する意向を示していた。近く正式発表する。
 ネットメディア関連では既に知事直轄の「G―SNSチーム」が立ち上がり、広報課と秘書課の担当職員が会員制交流サイト(SNS)を活用した情報発信に力を入れている。動画スタジオを県庁32階展望ホールに整備する方針も打ち出しており、今後はより効果的な情報発信に向けた戦略づくりが欠かせない。
 山本知事は自身のネット番組「直滑降ストリーム」や、PR動画の制作などで以前から宇佐美氏と交流があり、長年の信頼関係を踏まえてアドバイザーへの就任を打診したとみられる。
 政策を巡り、山本知事は国内外の先進事例を研究する部署横断的な取り組みを進める方針を示しており、森原氏に関わってもらいながら「群馬モデル」となり得る施策を模索する。
 首席補佐官は知事と幹部らによる協議に立ち会い、知事をサポートする役割を担うとみられる。
 宇佐美氏はニコニコ動画の番組制作など音楽を軸にしたメディアプロデュースを手掛け、ネット技術コンサルティング企業「未来検索ブラジル」の企画部長も務めている。広島大中退。
 森原氏は総務省を経て企業に転職。ボストンコンサルティンググループのアソシエイト・ディレクターの肩書も持つ。東京大卒、米国UCLA法科大学院修了。
 片貝氏は1995年に県庁に入庁。企業局総務課財政係長、総務部財政課交付税係長などを歴任し、2018年4月から現職。筑波大大学院環境科学研究科修士課程修了。
**********


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高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その3)

2019-10-20 01:38:00 | 群馬高専アカハラ問題
■当会では更に、悪辣な情報不開示体質の徹底的な是正を目指す戦略的観点から、10月7日に提訴を行った訴訟(第一次訴訟)と並行して、もうひとつの訴訟(第二次訴訟)を起こすことにしました。

 その背景を説明する上で、「そもそも高専組織がエンドレスに生産してくる『やり過ぎおバカ不開示』の源泉は果たしてどこにあるのか?」という問題をもう一度別の視点から考え直してみましょう。実は、(その1)で説明した事情とはまた異なった事情が、高専組織をむしばんでいるのです。

東京高等裁判所、知的財産高等裁判所、東京地方裁判所、東京簡易裁判所が入居する高さ92メートル、地上19階・地下3階の東京高等地方簡易裁判所合同庁舎前の歩道。合同庁舎内部に設置された法廷の数は150を超え、一日当たりの利用者数は1万人を超えるとされている。1984年竣工。


我が国の裁判所で唯一、庁舎入口に金属探知機ゲートと手荷物検査のためのX線手荷物検査機が常時設置されており、裁判所職員、検察庁職員、法務省職員、弁護士、司法修習生以外の一般人は、金属探知機ゲートを通過し手荷物検査を受けないと中に入れない。なお、法曹関係者と一般人とでは、入場ゲートが異なる。敷居を跨ぐ時点で既に一般住民はハンディを背負わされていることが分かる。

■もともと、公文書の開示・不開示の判断というものは、情報公開法とその解釈はもちろんのこと、判例等に至るまで精通している必要があり、それなりの専門性を要する作業です。よって、情報公開の専門部署ならともかく、何の知識も経験もない事務員が素人判断でできるものでは到底ありません。

 この前提を踏まえながら、高専組織の文書開示システムに焦点を当ててみましょう。各高専の文書開示は各高専の権限で行えることになってはいるようですが、各高専には情報公開専門の部署も職員も存在しません。そして、矢面に立つ総務課がそのような専門性を要する作業を完璧にこなせる訳もありません。加えて、個々で勝手に判断していると、「ある情報がA高専で開示されたのにB高専で不開示」といったようなチグハグ対応にもつながってしまいます。

 よって少なくとも最近では、各高専に情報開示請求がなされると、おおむね高専機構本部と「情報共有」がなされているようです。まして「オンブズマン事案」ともなれば、何が命取りになるかも分からないため、即座に高専機構本部との綿密な連携が取られているようです。

 ところが、その高専機構本部でも、取りまとめ役となる情報公開の担当職員は一応いるものの、あくまで総務課総務係の括りであって、情報公開専門の部署は設けられていません。しかも、その担当職員も、たまたまそこに配置になった一事務員というだけで、情報公開法やその運用に関する知識のあるプロでも何でもありません。当会が高専機構本部と関わってきた過程の中でも、情報公開の担当職員は毎年入れ替わっており、最低限の引継ぎだけなされただけの素人が対応に回ってきます。

■というわけで、「素人集団」の高専組織がすがる先となるのが、高専機構の顧問弁護士です。具体的に言えば、東京銀座にオフィスを構える「田中・木村法律事務所」で、文科省やその関連組織(もちろん高専機構含む)の御用達弁護士と目されています。

 田中・木村法律事務所の概要についてはこちらの記事も参照ください。↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2230.html

 事務所名に最初に冠されている田中和弁護士については、既に弁護士業から退いており名前だけが残っています。なので、2番目に名前の来る木村美隆弁護士がトップとして切り盛りしている事務所です。これまで「オンブズマン案件」に対して木村弁護士が直接出てきたことはなく、当会ではその姿をハンコでしか見たことがありません。実際に当会が相対することになった事務所員は、その部下の藍澤幸弘弁護士です。

■読者の皆様は「国の御用達弁護士なのだから、さぞや一流のエース弁護士なことだろう」と戦々恐々のことかもしれません。確かに、木村・藍澤弁護士の能力には目を見張るものがあり、当会がかつて戦った群馬高専アカハラ関連情報不開示取消訴訟でも、その恐ろしい実力を遺憾なく発揮しました。

 例えば、訴訟の序盤では、基本的な判例集である民集(最高裁判所民事判例集)の判例を知らないことを裁判長直々に突っ込まれ、慌ててデタラメ主張を撤回する一幕を披露しました。
※参考:https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2293.html

 最高裁の判例といえば、我が国の司法においてほぼ絶対的な指針であり、司法試験にあたっては欠かせない暗記事項だということは子供でも知っていることです。しかし木村・藍澤弁護士は、これを知らないまま司法試験に合格するという天才的な偉業を成し遂げたのです。こんな英才弁護士に当会ごときが敵うわけありません。

 さらに木村・藍澤弁護士は、1か月半をかけてたった2ページの準備書面を出してくるというとても丁寧な仕事ぶりを見せる一幕もありました。その非常に丁寧に作りこまれた2ページの中で、大金を払った事実上の依頼主である群馬高専の学科名をまず間違え、ついでに当会の名前も間違え、当会を非難する証拠には本ブログをそのまま印刷して出してくるだけという茶目っ気を見せたことは、弁護士のお堅いイメージを崩そうとする両弁護士の気概とユーモアが感じられるものでした。
※参考https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2388.html

 しかも、「オンブズマンが訴訟経過をブログで公表しているから不開示が当然」という眉唾物の理屈を延々主張し続け、挙句の果てにはそれを主理由に大金を投じて控訴まで行ってくるという粘り強さを見せました。当会としては、「なら、仮にブログでの公表を取りやめたら大人しく全部開示するのか?」と突っ込みを入れたくなったことは言うまでもありません。自分自身を信じ続ける心の強さとその不屈のガッツには、当会も学ぶべき所が多いと言えます。
※参考:https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2546.html

こうした両弁護士のたぐいまれなる実力がどこから来ているのかを考えてみましたが、常に切磋琢磨しなければ生き残れない街や企業の弁護士に比べて、なまじ国とズブズブのコネがあって甘やかされていることが仇になっているのかもしれません。せっかく法学部やロースクールでみっちり法を学び、超難関の司法試験を突破し、手厚いサポートのもと司法修習を受けても、弛まぬ実力の研鑽を止めて怠けてしまうと、どんどん腐り落ちて素人に毛が生えたレベルまで堕ちてしまうようです。

■そして、

①高専機構の「情報不開示アドバイザー」となっているこの弁護士が、

②開示対応に悩む機構側に、適当なデタラメを片端から吹き込んでは、

③「墨塗り」に「お墨付き」を得た高専機構と各高専が、ベタベタ好き勝手に文書を塗り潰して出してくる……


という流れが、「やり過ぎおバカ不開示」が尽きることなく湧き続ける大きな原因のひとつであり、最初に提示した疑問の答えということになります。

 実際に、当会が不開示に対する抗議や審査請求などを行った際には、素人の一職員が自分でイチから考えて書いてきたとも思えない独特の文体の不自然な屁理屈や、妙な形での答申例などの援用が、たびたび当会への「説明」としてなされてきます。裏でどこの銀座の弁護士が蠢いているのか、言及するまでもありません。

 通常、弁護士は一種の代理人として矢面に立ち依頼人の代わりに火の粉を被る職業ですが、一方で田中・木村法律事務所の弁護士は依頼人に火の粉を被らせて自分は安全圏からそれを眺めているというアベコベな業務を行っています。アドバイザー気取りで適当な大ボラを吹き込み、懇意にする高専機構を好き勝手動かして当会の活動を妨害し続けているあげく、混乱を引き起こし続ける当の自分はコソコソ高専機構の裏に隠れて名前も出されずのうのうと増長を続けているのです。このように陰湿で卑怯な嫌がらせに屈するわけにはいきません。

■しかし当会ではこれまでも、幾度となく「やり過ぎおバカ不開示」には審査請求を行い、(文書不開示側に大変有利な審査請求システムですら)その多くを撤回させてきました。群馬高専アカハラ関連情報不開示取消訴訟でも、全部開示は叶わなかったものの、審査請求と行政裁判の合わせ技によって、当初の「存否応答拒否」状態から大きくひっくり返して文書を開示させることができました。

 こうした経緯からしてみれば、多少は「眉にツバを付けて」弁護士の「アドバイス」を聞くようになってもいいはずですが、それにも関わらず、なぜ高専機構側は木村・藍澤弁護士様にすがり続け、その「有難いお言葉」を鵜呑みにし続けるのでしょうか。あるいは、なぜ木村・藍澤弁護士は、自らの情報開示に対する無知を自覚・反省して、より適切なアドバイスを行うように認識を改善しないのでしょうか。

 その理由の一端は、皮肉にも、文書不開示取消を求めてきた当会自身のこれまでの基本姿勢にありました。

■当会ではこれまで、不開示取消の可能性が少しでもあるものをすべて審査請求や行政裁判の対象として含め、広範に不開示取消を求める主張を行ってきていました。もっとも、一片でも多く不開示取消を求める姿勢自体は、情報公開を活動の柱とするオンブズマンとして基本的な態度であり、それ自体に一切問題はありません。

 しかし、こちらが100、向こうが0を求める状況で審判をすると、基本的には0以上100未満のどこかで落ち着きます。すると必然、高専機構側にも「主張が認められた部分」ができてしまいます。そうなると、「(一部であれ)オンブズマンの『間違った』主張から不開示箇所を守った」「こちらの主張にも正しい部分があった」という逃げ口上が成立してしまいます。

 高専機構側のそうした詭弁を象徴した減らず口は、これまで何度も飛び出してきました。前回の訴訟終了後に群馬高専の猿田事務部長(当時)に見解を聞くと「うちの主張した部分は認められてます」と発言されたり、また文書を無理に全部不開示としたことについて責任者の謝罪を求めた際は黙殺されて、あげく、「オンブズマンの見解と機構の見解のすれ違いを訴訟で埋め合わせただけなので、機構に何ら責任は無い」と末端の露払い職員からシャアシャアと強弁を言い放たれる始末でした。
※参考↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2632.html
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2652.html

 高専機構は給料を貰いながら適当に鼻歌交じりで墨塗りを行える立場であり、国民側はそれに壮絶な労力と時間と金銭的負担を払って不開示の取消を求めなければならない立場なのですから、そもそも対等ではありません。だからこそ、不開示処分には細心の注意を払わなければならず、一片の瑕疵も許されるものではありません。そうした前提をすべて無視して、「片端から墨塗りにして、文句がついても少しでも主張が認められればOK」などというような詭弁を平気で言い放つ高専機構の情報公開に関するバカげた認識に、しっかりとNOを突き付けなければならないと当会は決意しました。

■問題点をまとめると、広範に不開示取消を求めてきた当会のこれまでの基本姿勢が、結果的に高専機構と弁護士側に「戦果」を掴ませてきてしまったわけです。そこで、一度、極めて争点を限定した裁判を起こし、0or100の勝負を仕掛けるという手を試してみることにしました。不開示を取り消させるという実益を兼ねて、しっかり法廷で戦略的に「勝ち戦」を積み重ねていくことが、地道で長い道のりながらも確実な方法です。

 その戦略を実行するにあたり、ちょうど高専機構側による出来立てホヤホヤの「やり過ぎおバカ不開示」がありました。群馬高専のアカハラ犯雑賀洋平が沼津高専に「高専間人事交流」を利用して逃亡した際の文書を開示請求したところ、なぜか交流期間がことごとく墨塗りにされて出てきたのです。当該情報については、実際にその期間「交流」するものであり、最終的には遅かれ早かれ明らかになるものなのですから、墨塗りにする意味がまったく理解できません。

 この点について、当会から高専機構本部の担当職員にいつもの通り直接抗議を行いましたが、案の定豆腐にカスガイでした。そこで当会から、今回の件でも例の弁護士に意見を頂戴しているのかと聞くと、担当職員は特に隠すそぶりもなく素直に認めました。

○2019年10月3日:群馬高専アカハラ犯雑賀教授の沼津逃亡経緯情報を開示請求!高専機構本部にて受領した文書の中身は…
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3041.html

■もはや、一刻の猶予も許されません。木村・藍澤弁護士らによる半ば嫌がらせに等しいやり過ぎ不開示を即刻止めなければなりません。こうしている間にも、両弁護士らが高専機構に適当なことを吹き込んではせっせとのり弁文書が生産され、当会はその対応に忙殺され、高専組織の隠蔽体質はますます悪化することになります。もっとも、当会のリソースをそちらに割かせ、「本丸」であるアカハラ事件等にできるだけ注力させないのが狙いなのかもしれませんが、であれば、本丸攻めの傍ら徹底的に訴訟を起こして、根競べを仕掛けるほかありません。

 裏でネチネチ姑息に嫌がらせを続ける両弁護士を、しっかり表舞台に引きずり出し、当会と直接刃を交えさせる必要があります。

■当会では以上の背景から、2つ目の訴状を10月18日(金)に東京地裁に提出しました。

 当日は、11時35分高崎発Maxときに乗車し、12時36分に東京駅に着き、いつものように丸の内線に乗り換えて、12時50分に霞ヶ関駅に到着しました。裁判所の玄関で手荷物チェックを受けたあと、早速14階の東京地裁民事受付に向かいました。

 14階南側の民事受付で整理券発券機で、画面の訴状提出ボタンを押して出てきた「19番」の番号札を持って長椅子に腰かけて待っていると、午後1時のチャイムがなりました。昼休みも窓口で受け付けていますが、18番のひとが手続きをしている横の窓口に職員が来て「19番のかた、どうぞ」と声をかけられたので、カバンから裁判資料一式を取り出して、窓口に提出しました。

 先日10月7日の1つ目の訴状を提出した際の職員とはことなり、今度の職員は窓際で横向きの席にいたかたなので、当会が提出した書状をテキパキと見た後、席に戻り、ものの3分もしないうちに、受付票をくれました。今度は前回とことなり、ちゃんと行政訴訟である「行ウ」のコード番号が付けられています。

 当該職員は「ではこれで受け付けますので、印紙と切手を準備してきてください。その際は、番号札は不要なので、ここで声をかけてください」と指示してくれました。



 さっそく地下1階の郵便局で、収入印紙1万3000円分と6000円の切手セットを購入して、ふたたび14階の民事受付に戻り、担当職員に声をかけて、訴状の正本(裁判所用)の表紙左上に収入印紙を貼り、切手セットを渡すと、訴状提出手続きが完了しました。壁の時計を見ると13時20分でした。

 こうして、第二次訴訟の事件番号は令和元年(行ウ)第549号で、担当は東京地裁民事第51部担当となることが決定しました。


14階南側にある民事受付窓口には「午前中提出の協力のお願い」と題する張り紙がしてあり、そこには「当窓口では、午後2時30分ごろから午後5時00分までの時間帯は非常に混雑するため、訴状等の提出は、窓口が比較的空いている午前9時から正午までの時間帯を利用されますようご協力をお願いします。」と記されている。午後1時で整理番号19番なので、毎日数十件の訴状提出があることになる。次回以降もできるだけ午後2時までに裁判資料を提出できるようにしたい。

■提出した訴状及び付属文書の内容は以下のとおりです。

*****訴状*****ZIP ⇒ i22191018.zip
              訴    状

                           令和元年10月18日
東京地方裁判所民事部 御中

                   原   告  市民オンブズマン群馬
                   上記代表者  代表  小 川  賢

 〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10(送達先)
        原   告    市民オンブズマン群馬
        上記代表者    代表  小 川  賢
         電 話 090-5302-8312(原告代表・小川直通)
         または 027-224-8567(原告事務局)               
         FAX 027-224-6624

 〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2番地
        被   告     独立行政法人国立高等専門学校機構
        上記代表者     理事長  谷 口  功
         電話 042-662-3120(代表)
         FAX 042-662-3131

法人文書不開示処分取消請求事件
 訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
 貼用印紙額   金1万3000円

第1 請求の趣旨
 1 被告が原告に対し,令和元年9月17日付高機総第95号法人文書開示決定(以下「本決定」)において不開示とした箇所のうち,別紙に示す情報について不開示を取消せ。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

第2 請求の原因
 1 請求に至る経緯
   原告は,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」)に基づき,被告に対し,令和元年8月9日付で,「群馬工業高等専門学校(以下「群馬高専))電子情報工学科の教員である雑賀洋平氏(以下「雑賀氏」)が,平成31年度から沼津工業高等専門学校(以下「沼津高専」)専攻科に高専間人事交流で期限付き異動していることについて,当該人事交流の申し出,申し入れおよび受け入れ,配置の過程すべてに関して,群馬高専・沼津高専・高専機構が保有する文書の一切(議事録・電子メール・メモ等も含む)」に対する情報開示請求(以下「本請求」,甲1)をおこなった。
   それに対して,被告は令和元年9月17日付本決定(甲2)をおこなったが,本決定中において,雑賀氏にかかる内示された派遣期間についての情報(以下「派遣期間情報」)を,「法第5条第四号ヘに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示とした。実際の関連開示文書及びその不開示状況を甲3ないし甲4に示す。この派遣期間情報不開示処分は,法に照らして明らかに失当とみられるため,行政事件訴訟法第十二条の規定に基づき,その取消を求める訴えを提起する。

 2 請求の前提となる事実
   被告独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「高専機構」)は,高専機構法(平成15年法律第113号)に基づき、群馬高専及び沼津高専を含む全51の高等専門学校(以下「高専」)を設置・運営し,また各高専の(常勤)教員は,高専機構教職員就業規則(高専機構規則第6号)に基づき採用され職務に従事する被告高専機構の職員である。
   また,高専教員を他高専に一定期間派遣する「高専間人事交流」は,「高専・両技科大間教員交流制度実施要項(平成19年4月26日制定,甲5)」の規定に基づき行われるもので,原告が本請求において対象とした雑賀氏の高専間異動もこの制度によるものであり,その規定に従う。
   当該制度の実際の運用としては,例年夏に各高専が高専機構理事長に対して「高専間人事交流」の対象教員を推薦し,秋に同理事長が派遣の対象校及びその期間を決定して内示するという流れであることが認められる。

 3 請求の理由
   別紙に示す派遣期間情報は,実際に高専機構理事長により決定・内示されたもので,変更の余地がある内部検討案などではなく,実際の派遣がそのように行われることを示す情報であることが認められる。
   しかし,派遣先高専である沼津高専が毎年発行・公表を行っている広報誌「沼津高専概要」の2019年度版において,雑賀氏の同校への所属が公表されており(甲6),今後この掲載状況を継続して確認することで,雑賀氏の沼津高専への在籍状況が確認できることがうかがえる。
   また,派遣元高専である群馬高専も,そのHPにて全教員のリストを公開しており(甲7),「高専間人事交流」によるものも含めて,採用・異動・昇進・退職状況は随時反映・更新されている。したがって,雑賀氏が当該派遣期間を満了し,群馬高専に戻った際は,当然これに反映されることがうかがえる。
   したがって,将来,雑賀氏が派遣期間を満了した際は,その事実を上記手段で何人も知り得るのであって,当然派遣期間もそこから把握可能なのであるから,明らかに派遣期間情報は法第5条一号ただし書きイに規定のある「慣行として公にすることが予定されている情報」に該当するのであって,「法第5条第一号ただし書きに該当するとは言えない」などとする被告の処分は失当というほかない。

   更に,沼津高専は毎年3月と7月に広報誌「沼津高専だより」を作成し,すべてそのHP上で公表しているが,そのうち沼津高専だより第115号(令和元年7月31日発行)において,雑賀氏の同校着任挨拶が掲載されていることが確認できる(甲8)。
   この着任挨拶中において,雑賀氏自身が「沼津高専で1年間,教育・研究に携わる機会を賜りましたことに心より御礼申し上げます」と明記しており,明らかに派遣期間にかかる情報を同氏自身の意思のもと公表していることがうかがえる。
   したがって,雑賀氏に係る派遣期間情報は現時点においてすら公開情報なのであって,別紙に係る情報を新たに開示したところで,被告が不開示根拠とする法第5条第四号ヘに規定のある「人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」が生じる可能性は無いと断定せざるを得ず,別紙部分を不開示とすべき合理的な理由は一切認められない。

   また,上記公表事実等の有無に関わらず,派遣期間情報は,単に特定教員が,その期間,実際に派遣先高専で勤務することを示すだけの情報であり,それが開示されることにより,被告高専機構の人事に特段の不公平が生じる又は内部教員等を委縮させ高専間人事交流制度の円滑な実施を困難ならしめるといった不具合が生じることは極めて想定しがたい。よって,派遣期間情報は法第5条第四号ヘの要件のうち「人事管理に係る事務に関する情報」であることは満たすとしても,肝心の「公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれを生じさせる情報」と明らかに解されないことから,かかる被告の処分は何ら根拠の無いものと言わざるを得ない。

第3 むすび
   以上のとおり,本決定のうち別紙に示す情報について不開示とした処分が違法であることは明らかであるから,すべて取消を求める。
                             以上

=====別紙=====
別紙 請求の趣旨
            不開示処分取消請求箇所

・文書5及び9「平成30年10月10日付け 平成31年高専・両技科大間教員交流制度派遣推薦者の派遣決定について(通知)」について,「交流期間」。
・文書17-3「平成31年度高専・技科大間教員交流制度」(通知別添表)のうち,雑賀洋平氏に係る「派遣期間」の記述。

                             以上

=====証拠方法=====
              証拠方法

 1 甲1号証 令和元年8月9日付法人文書開示請求書
 2 甲2号証 令和元年9月17日付高機総第95号法人文書開示決定通知書
 3 甲3号証 平成30年10月10日付け30高機人第72号「平成31年高専・両技科大間教員交流制度派遣推薦者の派遣決定について(通知)」
 4 甲4号証 30高機人第72号通知及び別添「平成31年度高専・技科大間教員交流制度」
 5 甲5号証 高専・両技科大間教員交流制度実施要項
 6 甲6号証 2019沼津高専概要(抜粋)
 7 甲7号証 群馬高専HPの教員紹介ページ
 8 甲8号証 沼津高専だより第115号(抜粋)

=====附属書類=====
 1 訴状副本     1通
 2 証拠説明書    1通
 3 甲号証写し   各1通
**********

○証拠説明書 ZIP ⇒ i22191018.zip
○甲号証
 甲1-7
ZIP ⇒ bpv.zip
 甲8 ZIP ⇒ bw.zip

○原告・被告の適格証明書類 ZIP ⇒ 201910181iiij.zip
201910182iiiej.zip

■(その1)でご報告しているとおり、この10日前に訴状を提出した第一次訴訟である「令和元年(行ウ)第515号」については、第一回口頭弁論が12月12日の11時半から開廷することがすでに決定しています。そこで、負担軽減のため、書類上の事件としては別ですが、この第二次訴訟(事件番号(行ウ)第549号)の口頭弁論期日を第一次のそれと併合してもらい、並行して審理を進めてもらうよう裁判官に申請を行う予定です。

 仮にたとえ裁判官が併合を認めない場合でも、当会としては粛々と裁判を進める所存です。

■当会では、高専組織の情報隠し体質の是正を狙ったこれら2つの訴訟は、訴状ではいずれも「法人文書不開示処分取消請求事件」と事件名を記しておきましたが、ブログ記事では訴訟の本質を分かりやすく表現するために、まとめて「高専過剰不開示体質是正訴訟」と呼称することを決定しました。

 訴訟である以上時間はかかりますから、地裁判決はおそらく東京オリンピック後になることが見込まれます。更に、その判決を受けて高専機構・当会がもし控訴・上告を行えば、もっと伸びていくことになります。当会では、高専組織の体質の是正を長期プロジェクトのひとつとして位置づけ、根気強く取り組んでいく覚悟です。

■さて、今回の訴訟では当然、被告高専機構の「懐刀」である木村・藍澤弁護士が出動して、法廷で相まみえることになるでしょう。

 今後の流れとしては、当会の方で第二次訴訟の口頭弁論期日を確定させたのちに、木村・藍澤弁護士謹製の答弁書が送られてくるのを待ち、そして12月12日に新たなる戦いのゴングが鳴らされるということになります。

 高専過剰不開示体質是正訴訟の進捗については、都度ご報告してまいります。











【11/7追記】
 その後、当会では10月23日に東京地裁の担当部署へ2訴訟の期日合併のための上申書を提出していましたが、本日東京地裁民事第51部の書記官に確認したところ、高専機構を相手取った事件番号「令和元年(行ウ)第549号」は、併合の申出が出されていた民事第2部扱いの事件番号「令和元年(行ウ)第515号」とは切り離して、「別々に審理することが、先ほど裁判官の判断として連絡があった」とのことです。
 という訳で、出廷負担軽減の為の訴訟合併は、2訴訟の進行の足並みが揃わないと判断されたのか、残念ながら却下されてしまいました。
 また、民事第51部扱いの事件番号「令和元年(行ウ)第549号」の第1回弁論期日については、一両日中に、都合のよい日時についての打診の文書を発出する予定であることも、同書記官から伝達がありました。
 なお、民事第2部扱いの第515号事件は、第1回口頭弁論が12月12日の11時半から開廷予定です。

【11/28追記】
■その後、11/11に東京地裁民事第51部の山本書記官から電話があり、ようやく期日調整開始かと思い受話器を取ると、「原告の訴状の1ページ目に、行政事件訴訟法第11条第4項に定める処分行政庁が未記載なので、これを追記した上で、別紙の形で『訂正書』に添付して郵送するように」との教示連絡でした。裁判官からの指摘の様です。

 しかし、1ページ目を全く同じ書式で書いた第1次訴訟(令和元年(行ウ)第515号)の訴状は何も問題なく受理されています。教示のあった同法同条の法解説や判例、過去事例、他弁護士等の作成した行政訴訟の訴状に至るまで片端から念入りにチェックしましたが、手元で調べられる範囲ではその様な示唆をしているものが見当たりません。そんなわけで「訂正」指示の真意が掴めずまったくお手上げになってしまいました。

 そこで翌日同書記官に折り返し電話をして、「縷々調べたが、いまいち訂正の必要性が見出せない」と告げたところ、「(原告代表は、法律で食っている人間では無いものの、)既に色々と訴訟経験を積まれているご様子なので、お手元に解説集や判例集をお持ちであろうと、根拠法に基づきすぐ理解して頂けたかと思った。つまり、訴状のなかにどこにも法律で定めた“処分行政庁”の文言が出てきていないので、1ページ目の『被告』のところを『被告兼処分行政庁』と訂正していただければよい」と詳しく真意を教えてくれました。そこで即日、訂正申立書と訂正書別紙(ZIP ⇒ 20191112_teisei_mousitatsho.zip)を作成し、郵送しました。

 それにしても、当会が起こした国相手の行政訴訟の数々において、これまで何度も同様文面の訴状が受理された上で問題なく判決まで至っている事実は確かであり、今回のような文句は初めて付いたので、始終首を傾げざるを得ませんでした。同じ地裁で裁判官によってこうも初歩的な対応がチグハグだと、こちらも参ってしまいます。

■この訴状訂正によりまた手続きの進捗が一歩遅れてしまい、ようやく1週間後に東京地裁から第1回口頭弁論の期日確定にかかる連絡がありました。当初、書記官からは、「1月中旬ではどうか」と打診をされましたが、当会の出廷者の都合がどうしても合わず、不本意ながら節分後の2月4日に期日を設定してもらうことにし、11月20日付で期日請書(PDF ⇒ 201911201_.zip)を送付しました。

 よって、第2次訴訟の第1回口頭弁論期日は以下のように決まりました。

事件番号: 令和元年(行ウ)第549号
第一回口頭弁論期日: 令和2年2月4日(火) 13:30~ 東京地裁4階419法廷


 よって、第2次訴訟については、第1次訴訟に遅れること2か月弱で開始のゴングが鳴らされることになります。第1次訴訟に比べ、期日確定と第1回口頭弁論期日が大幅に遅れてしまったことは遺憾でしたが、とはいえ、争点が多岐にわたり相当紛糾することが見込まれる第1次訴訟に対して、争点が極めてシンプルな第2次訴訟は、結審も早いことが明らかです。したがって、今回の「高専過剰不開示体質是正訴訟」全体としての進捗にはさほど影響を及ぼさないものと捉えております。

 今後、第1次・第2次の両訴訟について、第1回口頭弁論期日の1週間前に被告高専機構側から送られてくるであろう答弁書の内容に注目が集まります。
 
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

★★高専過剰不開示体質是正訴訟・提訴関連記事リンク★★

【第一次提訴のいきさつ及び訴状提出の模様について】
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その1)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3055.html

【第一次提訴の訴状内容について
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その2)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3056.html

【第二次提訴のいきさつと訴状内容について】
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その3)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3057.html

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高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その2)

2019-10-19 23:41:00 | 群馬高専アカハラ問題
■10月7日に実際に提出した訴状・証拠説明書・甲号証・その他添付書類の内容は以下の通りです。


国立高等専門学校機構本部棟。所在地:東京都八王子市、建物用途:事務所、延べ面積:1,319.79㎡、構造:RC造、規模:地上3階、竣工:2006年、設計:豊建築事務所。「国立高等専門学校を設置・運営する組織である国立高等専門学校機構本部を、従前の幕張地区から八王子市狭間に移転するため計画されたもの。ファサードは機構本部からイメージされる「規律正しさ」をグリッドやルーバーで表現。また、エントランスのデザインは大きな壁面と開放感のあるガラスで構成。建物正面に位置するエントランスホールは、執務空間を繋ぐ2層吹抜けとし、開放的な空間とした。1・2階は事務空間として明確にゾーニングすることで、来館者及び職員が利用しやすい平面構成とした。最上階は、理事長、理事及び監事の独立したエリアとし、落ち着いた環境を確保した」同建築事務所HPより。

*****訴状*****ZIP ⇒ 20191007ir4.zip
               訴    状

                           令和元年10月7日
東京地方裁判所民事部 御中

                   原   告  市民オンブズマン群馬
                   上記代表者  小 川  賢

 〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10(送達先)
        原   告    市民オンブズマン群馬
        上記代表者    代 表  小 川  賢
         電 話 090-5302-8312(原告代表・小川直通)
         または 027-224-8567(原告事務局)
         FAX 027-224-6624

 〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2番地
        被   告    独立行政法人国立高等専門学校機構
        上記代表者    理事長  谷 口  功
         電話 042-662-3120(代表)
         FAX 042-662-3131

法人文書不開示処分取消請求事件
 訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
 貼用印紙額   金1万3000円

第1 請求の趣旨
 1 被告が原告に対し,平成31年4月16日付高機総第19号法人文書開示決定(以下「本決定」)において不開示とした箇所のうち,別紙に示す情報について不開示を取消せ。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

第2 請求の原因
 1 請求に至る経緯
   平成29年8月から平成30年7月にかけ,原告は,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」)に基づき,被告に対して数回にわたり別々の法人文書開示請求をおこなったが,それらに対する開示決定において,開示文書のうち複数箇所について極めて根拠不明瞭な不開示措置がなされていることが判明した。これらの措置のうち一部については,原告が総務省の情報公開・個人情報保護審査会に審査請求を提出し,その答申を受けて撤回されたものの,なおも根拠が極めて不明朗または明白に失当とみられる不開示処分箇所が複数残っていた。そのため,原告は上記異議のある文書をまとめて対象に,平成31年3月11日付であらためて法人文書開示請求(甲1)をおこなった。結果,かかる不開示箇所についてまったく同一の本決定が下された(甲2)。実際に開示された文書およびその不開示状況については甲3ないし甲7に示すとおりである。ここで原告では,訴訟の一本化による訴訟業務負担軽減および争点明確化のため,行政事件訴訟法第12条の規定に基づき,本決定に対して提訴をおこなうこととした。
   上記経緯のため,原告が争う各文書についてはそれぞれ別々の経緯があり,したがって証拠等の時系列がやや前後することを,本件審理にあたっての留意点とさせていただきたい。

 2 別紙の1にかかる不開示処分取消請求理由
   この処分は,被告である独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「高専機構」)が毎年行っている校長候補者選考について,原告が候補者リストの開示を求めたところ,標題以外の箇所すべてについて,「法第5条第四号ヘに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2ないし甲3)。
   ここで説明を加えておくと,被告は,その運営するところである全51校の高等専門学校について,毎年,新校長の募集および選考を行っており,その仕組みは,原告の質問に対して被告自身が説明するところによれば,「校長の選考プロセスについては,理事長から,高専,理工系又は商船系の分野を有する大学,文部科学省に候補者の推薦を依頼し,推薦のあった者について,選考委員会における書類審査・面接審査を経て,理事長が任命して」おり,また,「例年,推薦される候補者は概ね20人程度で,選考を経て,校長に登用されるものは概ね10人程度」とのことである(甲8)。この点については,被告自身が回答をおこなったものであり,実際に行われているプロセスの仕組みに関する事実であることから,争いがないものと思われる。
   ここで上記処分の妥当性について検討する。被告は,本決定および開示文書において,かかる文書に記載があり不開示とした具体個別項目の内容を一切説明しておらず(不開示の妥当性の検証が不能という点で,すでに失当である),したがって原告は具体個別項目について不知である。しかし,常識的に考えれば,かかる文書には候補者氏名のほか,最低でも「①各候補者の推薦機関」,「②当該年の全候補者数がわかる情報」,「③個別の項目名」の3つの情報が含まれているはずである。
   ここからさらに検討を進めれば,候補者氏名は特定個人を示す情報として不開示は妥当であるとしても,各候補者の推薦機関については,単にその機関が当該年に校長候補者の推薦をおこなったことを示すだけの情報であり,推薦受け入れ対象機関は上記の通り被告自身がすでに言明しているのであるから,被告の人事業務に著しい影響を及ぼすとは到底認められない。また,被告が推薦を受け入れる各機関の規模を鑑みても,推薦機関名から個別具体の被推薦者を特定することは不可能であり,今後の関係各機関からの推薦が萎縮してしまうということも極めて考えがたい。さらに,当該年の全候補者数がわかる情報についても,その概数は上記のように被告自身説明するとおりであり,各年の具体的候補者数を開示したところで,被告の人事業務に著しい悪影響を及ぼすことは考えられない。個別の項目名については明らかに法の不開示事由に該当しないため不開示は失当である,したがって,最低でも上記①②③にかかる情報はまず開示されるのが当然である。
   また,その他の不開示箇所についても,被告が具体的な個別項目名を一切明かさず,原告が妥当性を検証不能な形で法を適用し全部不開示としていること自体が極めて不適切な法の運用というべきであって,かかる文書中の「③個別の項目名」を被告が明かしたのち,改めて各項目について不開示の妥当性を検証し,その上で被告の人事その他業務に重大な影響を及ぼさず,かつ核心的な個人情報でないと認められた項目に関しては当然すべて開示されなければならない。
   以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第四号ヘに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。

   なお付記すると,被告が,各不開示箇所にかかる記載項目名等を一切明らかにしない極めて不適切な法の運用をし,結果,原告にとって各不開示箇所の不開示妥当性の検証を不可能ならしめたため,原告としては本訴状において氏名を除く箇所すべての不開示処分取消を請求せざるを得ないのであり,万が一,上記の個別な不開示妥当性の検証によって,不開示が妥当とされる箇所が一部個別に見つかったとしても,それは重大な疑義を生じさせた被告の過失に起因するものであり,原告の過失によるものでは一切ないから,別紙1の請求に関しては,判決における認容度合いに一切かかわらず,民事訴訟法第六十四条の規定に基づき,被告はかかる請求分について訴訟費用を全額負うべきであるとの判決を求める。

 3 別紙の2にかかる不開示処分取消請求理由
   この処分は,被告の運営する群馬工業高等専門学校(以下「群馬高専」)に平成25年度初めから平成28年度末まで学校長として在任した西尾典眞氏について,人事異動による退職時に当該人物が被告理事長に宛て提出した辞職願の開示を原告が求めたところ,同文書に記載のあった「辞職理由」について,被告が「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び4)。
   前提となる事実の説明を行うと,西尾典眞氏は文部科学省からの出向(被告は「人事交流」の語を使用)によって同校校長に就任しており,また,校長退任後は継続して再度同省職員として復帰している(この事実については,一切の争いがないものと思われる)。したがって,事実上,群馬高専校長就任から退任までの過程すべては,同省職員あるいは同省を出向元とした高専機構職員としての職務の範疇内であったということができる。
   また,さらに直接的な証拠として,平成29年6月6日,原告が群馬高専の山崎誠学校長(西尾氏の後任)ら幹部と面談し,同校の運営に関する事項をヒアリングした際の録音がある(甲9)。なお,この面談時の様子については被告も(原告同意のもと)録音を行っており,録音データは双方が保有しているので,発言内容自体には一切の争いがないものと思われる。
   原告があらかじめ提出してあった質問に同校幹部らが回答する中で,西尾氏の退任理由について触れた際,同校の猿田智男事務部長(当時)は,「西尾前校長の異動の理由についてだが,同氏は人事交流という形で群馬高専の校長に着任しており,交流元(文科省)のほうで色々調整があったので,交流元(文科省)へ復帰した」「人事交流で交流元に戻っただけなので退職金は出ない」と明言し,さらに山崎誠学校長も,「交流元が文科省なので,文科省に戻ったということ」「要するに元に戻っただけ」(つなぎ表現及び語尾は発言の意味を変えない範囲で省略)と発言した(甲9中マーカー箇所)。
   したがって,かかる人事異動が,西尾氏の私的な事情に基づくものではなく,出向元の文科省の公的な要請によるものであったことは,被告自身認めており明白である。言い換えれば,かかる人事は,文部科学省職員として,あるいは文部科学省から要請を受けた高専機構職員としての職務の一環として行われたものであるから,その理由については,法第5条第一号ただし書きハに定めのある「公務員等,独立行政法人の役員及び職員の職務の遂行に係る情報」に該当することが明らかであり,不開示は失当というほかない。
   以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。

 4 別紙の3(1)にかかる不開示処分取消請求理由
   この処分は,群馬高専が刊行する「校報」のうち,同校教職員らの人事異動関連情報について,原告が情報開示請求をしたところ,複数名に関する氏名およびかかる異動前後の職名等情報について,「人事関係のうち個人情報に該当する部分」とだけ呼称して区分し,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び5)。
   ところが,当該文書で不開示とされている人物(以下「不開示対象者」)のリスト上での前後には,上記情報が問題なく開示されている教職員等(以下「開示対象者」)が多数存在しているのにも関わらず,被告は,こうした不開示対象者と開示対象者の間で差別的な取り扱いをおこなっている理由を一切説明しないまま,「個人情報に該当する部分」とのみ記述して,原告にその不開示の妥当性を検証不可能な形でかかる処分をおこなった。このことは,法の運用として極めて不適切であると言わざるを得ない。
   このような,極めて不適切な形で氏名およびかかる異動前後の職名等情報を不開示としている箇所(以下「不適切不開示箇所」)の内訳と総数は,原告において数えたところ以下のとおりであった。
    ●校報129号:「退職」欄で4箇所,「退職」欄で1箇所,「配置換」欄で3箇所,「昇任」欄で2箇所
    ●校報130号:「退職」欄で4箇所,「採用」欄で5箇所
    ●校報131号:「退職」欄で7箇所,「採用」欄で5箇所,「配置換(学内)」欄で2箇所,「昇任」欄で4箇所,「兼務」欄で3箇所
   以上40箇所が,不適切不開示箇所として認められる(甲5)。なお,各年「校報」人事関係のうち「育児休業」および「育児休業復帰」欄にへの不開示処分については,原告にとって特に開示を求めたい情報ではないため,争わない。
   以下,これら不適切不開示箇所に含まれる各情報について,論点①②③に分けて,実際に不開示の妥当性を検証する。なお,各論点の対象とする範囲はやや重複する。

  【論点①】
    まず,各不開示対象者の氏名をのぞく各不開示対象者の所属・職名等情報に関しては,当該年に当該部署においてかかる人事が行われたことを示すだけの情報であり,開示されたからと言っておよそかかる特定個人を識別可能な情報ではない(特定個人の氏名が公にされていないのであれば,所属・役職から当該人物を特定することはできないし,また,公にされているのであれば,それはそもそも公領域情報である)。
    また情報の性質面から検討を深めると,採用・異動・退職等が行われたという事実自体に関する情報は,当該人事が行われた部署に属する者は氏名情報に至るまで含め当然既知であり,他部署あるいは学生に対する機密情報ではなく,各部署内で特段の事情を斟酌して当該部署内のみに情報をとどめ隠匿しなければならない性質の情報でもないから,「開示によって新たにこれらの情報が内部者ないし外部者に明かされることになってしまい,結果,各不開示対象者に多大な不利益ないし不快の念を生じさせることになる」という可能性は著しく低いものと考えられる。
    したがって第一に,各不開示対象者の所属・職名等情報(具体的には「退職」欄について「退職前の職名等」,「退職」欄について「所属・職名」,「配置換」欄について「配置換前」及び「配置換後」,「配置換(学内)」欄について「異動前の職名等」及び「所属・職名」,「昇任」欄について「前職等」及び「所属・職名」,「兼務」欄について「所属・職名」及び「前職等」)については,法第5条第一号にあたるという判断は失当であるから,不開示処分の取消を求める。

  【論点②】
    さらに,氏名情報についても,各不開示対象者に関する雇用区分による検討が必要である。例えば,同校の技術職員に関しては,開示対象者中に一切の記載がないことから,当該雇用区分がなぜか不開示対象者に含まれていることが強く伺われるが,原告が調査したところによれば,同校HPおよび同HP上にて公開されている刊行物において各年の技術職員氏名が部署及び役職ごとに,さらに採用・退職者の挨拶という形でその氏名も公表されており(甲10ないし11),各人の在籍状況・職位に加え採用・退職・異動・昇任状況等は容易に把握可能であるから,既に慣行として公にされている情報であり,法第5条第一号イに該当することは明らかであって,不開示対象者に含めるのは失当というほかない。したがって,(不開示対象者に技術職員が含まれているのであれば)技術職員らに関する記載の不開示処分取消を求める。
    さらにこのことから,この他にも雇用区分等各種事情によっては氏名等情報が開示可能であるケースの存在が強く想定されるのであり,被告が本係争に各不開示箇所にかかる不開示対象者の雇用区分等情報を明かしたうえで,個別に不開示の妥当性を検証することが必要であると考えられる(少なくとも,上記技術職員らの不開示処分取消請求に関して,審理のため被告は不開示対象者中の実際の技術職員の存否をはじめ,その内数,ひいては不開示処分対象者の雇用区分内訳(以下「不開示対象者についての雇用区分等属性情報」)を明かさなければならないと考えられるので,不開示対象者についての雇用区分等属性情報が被告により明かされ次第,原告はそれを加味したうえでさらに個別に争う)。
    以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。

    なお付記すると,被告が,各不開示箇所にかかる不開示対象者の雇用区分等情報を一切明らかにしない極めて不適切な法の運用をし,結果,原告にとって各不開示箇所の不開示妥当性の検証を不可能ならしめたため,原告としては本訴状において不適切不開示箇所すべての不開示処分取消を求めざるを得ないのであり,万が一,上記の個別な不開示妥当性の検証によって,不開示が妥当とされる箇所が一部個別に見つかったとしても,それは重大な疑義を生じさせた被告の過失に起因するものであり,原告の過失によるものでは一切ないから,別紙3(1)の請求に関しては,判決における認容度合いに一切かかわらず,民事訴訟法第六十四条の規定に基づき,被告はかかる請求分について訴訟費用を全額負うべきであるとの判決を求める。

  【論点③】
    また,「配置換」欄,「配置換(学内)」欄,「兼務」欄については,配置換および兼務という行為そのものが,独立行政法人たる被告(高専機構)が自らの職員に対し新たな職務を伝達しそれに応じて当該職員が自らの意思を差し挟む余地なく当該職務への従事を開始する過程であり,それら自体が被告(高専機構)に一貫して在職する高専機構職員としての職務に包括されると見るべきであるから,それに関する情報は法第5条第一条ただし書ハに定めのある「独立行政法人職員の職務遂行に係る情報」に該当するとみるのが妥当である。したがって,「配置換」欄,「配置換(学内)」欄,「兼務」欄に記載のある氏名,所属・職名その他情報は,上記論点①②に関わりなく開示されるのが妥当である。

 5 別紙の3(2)にかかる不開示処分取消請求理由
   この処分は,群馬高専が刊行する「校報」のうち,同校教職員らの人事異動関連情報について,原告が情報開示請求をしたところ,同情報のうち「退職」欄中の「退職理由」情報について,「人事関係のうち個人情報に該当する部分」とだけ呼称して区分し,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである。
   前提として,「退職」欄中に記載のある人物のうち,教職員については,すべて同じく高専機構職員という扱いであり,実際に,独立行政法人国立高等専門学校機構規則第6号として制定されている独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則(以下「高専機構就業規則」)の第7条において,被告理事長が採用することとなっており(甲12),また,公表されている群馬高専の業務報告からも,「常勤教職員の人件費は高専機構」と記載がある(甲13)。こうした事実から判断すれば,少なくとも法(または被告における規定)上の扱いの面では,被告高専機構の常勤教職員については学校の別なく被告がその職員として直接採用及び管理,給与支払をおこなうものであり,高専機構就業規則等のもと同一の扱いが行われるものであり,各学校は単に被告の一部署という扱いであることがうかがわれる。
   ところが,原告が別途調査したところによれば,被告の設置・運営する複数校に対して,同様の「校報」人事情報について原告が開示請求をおこなったところ,高専機構職員の退職理由等情報については問題なく開示された(甲14ないし16)。この事実から,通例公機関の職員録等人事情報の開示範囲に関しては,省庁や独立行政法人ごとに設定することになっているところ,かかる区分の情報について被告高専機構全体としての不開示規定は特に設けられていないことがうがわわれる。そして,すでに同種の情報が慣行として公にされているうえ,被告高専機構が各種法令上またはその規則上において同列に扱いまたは管理し,また同様の職位でさらに同様の職務に従事する「高専機構職員」間で異なった取り扱いをおこなう合理的理由はないから,当該情報のみ不開示とする合理的理由もないことが認められる。
   以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。

 6 別紙の4にかかる不開示処分取消請求理由
   この処分は,被告と原告の間で係争が行われた平成28年(行ウ)第499号及びその控訴・付帯控訴事件において,被告が訴訟代理人弁護士に支払った報酬等一切に関しての支払決議書の開示を求めたところ,記載項目のうち「合計金額」,「支払金額」,「うち消費税及び配分金額」にかかる情報(以下「弁護士費用等情報」)について,「法第5条第二号イに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び6)。
   被告は,弁護士費用等情報について「公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当すると主張するが,弁護士費用等情報の個別内訳ならばともかく,被告が当該弁護士事務所に支払った弁護士費用の総額に関する情報から,原告その他外部の人間にとって当該訴訟業務の内情を推察することは明らかに不可能であり,また,当該事務所の内部規定等運営上における機密情報を推察することも不可能であるから,本弁護士費用等情報を開示することによって,かかる弁護士事務所の権利または競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。
   加えて,当該弁護士事務所は,依頼者が私人や私企業ではなく,税金等を原資とした予算の運用について大きな説明責任をもつ国家機関(被告)であることを承知の上で当該案件を受注したのであるから,情報開示制度によって当該情報が開示されいささかの不快の念を覚えたとしても,それは受忍すべき限度の範囲内に留まると考えるのが妥当である。

   さらに,本弁護士費用情報にかかる不開示処分が妥当でないことを示す答申例・判例等も多数存在していることから,一部抜粋して以下【1】【2】【3】に列挙する。

  【1】総務省(旧内閣府)情報公開・個人情報保護審査会による答申例
    平成15年度(行情)答申第41号(甲17)や平成15年度(独情)答申第16号(甲18)が存在する。

    このうち平成15年度(行情)答申第41号については,総務省の公開する答申選に掲載されており(甲19および甲20),選任弁護士の報酬額が情報公開法の不開示情報に該当しないことがすでに明記されている。

   (参考:答申選掲載事件名一覧より一部抜粋)
    58 答申15(行情)41「特定訴訟に係る国側代理人弁護士と国との間の訴訟代理等に関する文書の不開示決定に関する件」
     ・選任弁護士の報酬額について,法5条2号イ及び6号ロ該当性を否定

    また,これと平成15年度(独情)答申第16号については,総務省行政管理局の作成した「情報公開法に係る主な答申等について」(甲21)においても掲載されており,訴訟代理人弁護士の報酬額は「公にすることにより,当該法人又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」ではないと明記されている。

  【2】地方自治体による答申例
    地方自治体レベルにおいては,任用した弁護士の報酬に関わる情報の開示を妥当としている例は枚挙にいとまがない。むろん従うべきが法か条例かという差異はあるものの,根本的な判断基準のところでその性質を異にするものではない。以下では任用した弁護士の報酬に関わる情報の開示を妥当とした答申例のうち4つを,被告の処分が適法でない根拠として引用する。

    例えば,神戸市平成14年答申74号(甲22)においては,弁護士の氏名,事務所の所在地,電話番号,報酬額について開示が妥当であると裁定されている。

   (参考:神戸市平成14年答申74号より一部引用)
    イ 争訟事件の処理を委任した弁護士の氏名,事務所の所在地,事務所の電話番号
      弁護士の氏名は,神戸市から争訟事件の処理を受任したことを示す情報である。これを公開しても,当該弁護士の依頼者に神戸市が含まれていることが明らかになるだけであり,これを非公開とする理由は認められない。また,事務所の所在地,事務所の電話番号についても,これを非公開としなければならない理由はない。
      したがって,弁護士の氏名,事務所の所在地,事務所の電話番号は,(中略)非公開とした決定は妥当ではなく,公開すべきである。
    ウ 弁護士に対して支払った報酬の額
  (中略)
      弁護士報酬の額が明らかになり,当該弁護士の他の依頼者が自己の支払う報酬額と異なることを知ったからといって,神戸市以外の依頼者から当該弁護士に不信,不満を抱き,信頼関係が損なわれ,当該弁護士の事業活動に支障が生じるとは認められない。
      したがって,弁護士に対して支払った報酬の額は,改正前条例第7条第2号に該当せず,これを同号に該当するとして非公開とした決定は妥当ではなく,公開すべきである。

    また,京都市平成20年答申第82号(甲23)においても,弁護士報酬を明らかにしたからといって当該弁護士の活動に具体的な支障が生じるとは認められないとして,開示が妥当と判定している。

   (参考:京都市平成20年答申第82号より一部引用)
    2 条例第7条第2号に該当することについて
    (2)謝金の額については,評点を基に決定されるが,金額のみが明らかとなったとしても,その具体的な算定根拠までが明らかになるわけではない。
       また,謝金の額については,最高裁平成8年7月19日判決以降,他都市において公開されている事例があり,それによって当該弁護士の活動に具体的な支障が生じているとは認められない。
       さらに,弁護士の報酬については,弁護士法改正に伴い,個々の弁護士が自ら報酬に関する基準を整備し,かつ自己の報酬に関する情報を広く知らしめるよう努めることとなった。したがって,謝金の額が明らかになることによって,当該弁護士が,競業している弁護士,また,当該弁護士に依頼をしようとする第三者から,その能力についての誤解を受けるとは考えられない。
    3 条例第7条第7号に該当することについて
     ア 京都市が争訟事件を処理するにあたり弁護士へ支払う謝金の額については,他の公共事業に要する額と同様に公金の支出に関する情報であり,納税者に対する説明責任がある。
     イ 他都市において弁護士の謝金が公開されていること,また,京都市が行う他の公共事業に要する額が公開されていることにより,特段の支障が生じているとは認められず,謝金の額を公開したとしても,京都市と弁護士との間の信頼関係が著しく損なわれ,今後の争訟事件の処理という京都市の事務事業の円滑な執行に著しい支障が生じるとは認められない。

    さらに,千葉県平成15年答申第119号(甲24)を見ても,公機関が選任した弁護士の報酬額が明らかとなったとしても,その競争上もしくは事業運営上の地位に不利益を与えるものではないと判定されている。

   (参考:千葉県平成15年答申第119号より一部引用)
     しかしながら,公的機関が依頼者となる事件の弁護士報酬額は,予算の適正な執行という点からすれば,当該事件処理により確保される経済的利益の価額に基づいて客観的に決定されるべきもので,私人や会社が支払う弁護士報酬額よりも,より定型的に算出されているのが実態と考えられる。
     本件についても,実施期間は,「千葉県企業庁争訟事件の報酬等に関する規定(内規)」に定めるところの経済的利益の額に対応する額の上限額を使用し,弁護士報酬額を決定したものである。
     このようにして決定された弁護士報酬額が明らかになったとしても,事業を営む個人の競争上若しくは事業運営上の地位に不利益を与えるものとまではいえない。

    加えて,滋賀県平成29年答申第98~101号(甲25)においても,弁護士報酬は特定事案における契約状況の一端を示すにとどまるものであり,当該弁護士の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまではいえないと判断されている。

   (参考:滋賀県平成29年答申第98~101号より一部引用)
     確かに,弁護士との契約金額や委任契約の内容については,法律事務所報酬規程に基づき,事件の内容や難易度,依頼者の資力など事案毎の事情を考慮して決定されているものと考えられるところである。
     しかしながら,当該非公開情報は,実施機関と弁護士との契約内容や契約金額そのものであると認められ,これを公にしたとしても,特定事案における契約状況の一端を示すにとどまり,当該弁護士の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまでは言えない。
     当該情報が公金の支出に係る情報であることに鑑みれば,県民等に対する公開の要請が強いものと言うべきであり,実施機関の説明からは,非公開情報該当性を認めるべき具体的な理由は見当たらないものである。

  【3】公機関の選任した弁護士の報酬を開示することが妥当とした判例
    このような判例としては,大阪地裁平成8年(行ウ)118号(甲26)がある。この中で,大阪地裁は,公機関の支払う弁護士報酬は,私人や会社が支払う場合と異なり一定の基準に基づき客観的に決定されるものであり,さらにこのことを当該弁護士が承知した上で受任するものであるから,報酬額を開示しただけで当該事務所の営業上の内部方針等が明らかになったり,業務に影響を与えることはないと判定している。また,それまでにも公機関の選任した弁護士の報酬が開示されてきた事例が幾多あり,それによって具体的に当該弁護士の利益が損なわれたケースは存在しないという事実を理由として採用している。

   (参考:大阪地裁平成8年(行ウ)118号中判決理由より一部引用)
    1 本件条例六条三号本文該当性について
    (三)しかしながら,本件情報は,(中略),私人や会社が支払った弁護士報酬の場合とはやや趣が異なる。すなわち,地方公共団体が支払う弁護士報酬の額は,予算の適正な執行という点からも,日本弁護士連合及び各弁護士会が定めた報酬規定による基本報酬額や当該事件処理により確保した経済的利益の価額により,一定の基準に基づいてできる限り客観的に決められるべきものであり,依頼を受けた当該弁護士もそれを承知でこれを承諾するもので,その決定に当たって依頼を受けた弁護士との間の人間関係は考慮されるべきではない。このような意味において,地方公共団体が支払う弁護士報酬の額は,私人や会社が支払う弁護士報酬の額よりも,より定型的に算出される傾向があるといえる。このような弁護士報酬額及びその算定に当たって考慮された事項が明らかになったとしても,当該弁護士の他の依頼者が自己の支払った報酬額と比較するなどして,当該弁護士の事業活動上の内部管理に属する営業上の方針が明らかになって,当該弁護士と依頼者との信頼関係が損なわれるとは考えられない。

    2 本件条例六条八号該当性について
    (二)本件情報に係る弁護士報酬は,地方自治体が支払った弁護士報酬であって,その性質は,前判示のとおりである以上,本件情報(その額およびその算定に当たって考慮された事項)が公開されたとしても,それは,大阪市の予算執行の内容が公開されたもので,報酬額の決定が適正にされている限りにおいては,それによって,大阪市から依頼を受けた他の弁護士が大阪市に不信感を抱き,それによって,大阪市における同種の事件処理を行うにつき支障が生じる事態はあり得ないというべきである。
       また,調査嘱託の結果によれば,大阪府,徳島県及び徳島市等の地方自治体においては,すでに事件処理の依頼により支払った弁護士報酬の額を公文書公開条例に基づく請求に応じて公開した例があり,そのうち大阪府の担当者は,その報酬は府が定めた一定の基準に基づきその額を支出するという定型的な処理をしており,公開することによる具体的な支障は生じないと判断していることが認められる。

    上記の答申・判決等を見ても一目瞭然のとおり,すでにわが国の情報公開制度において公機関の選任した弁護士報酬等情報は長らく公開されてきていて,開示を妥当とする答申も蓄積されているものである。
    このように,弁護士報酬等情報(係争中の事案も含む)が幾多開示されてきたにも関わらず,被告が主張するように,開示によって「当該弁護士等の権利,競争上の地位その他正当な利益が害された」具体的な事例は,皆無と断言してよいものである(仮にそのような事例があったのだとすれば,あるいは第三者が本弁護士費用等情報からかかる弁護士事務所の正当な利益を害することのできる具体的方法があるのであれば,それは被告が立証しなければならない)。よって,そのようなおそれも,当然生じ得ないと考えるのが妥当である。
    以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第二号イに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。

 7 別紙の5にかかる不開示処分取消請求理由
   この処分は,被告高専機構の設置し運営するところである長野工業高等専門学校(以下「長野高専」)において平成21年以降に発生した同校学生の自殺事件について,同校が作成した「事件・事故等発生状況報告書」またはそれに類する文書(以下「事件報告書等文書」)の開示を,原告が求めたところ,「日時に関する記載」について,「法第5条第一号及び法第5条第四号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び7)。
   原告において当該文書を確認したところ,文書全てにわたって日・時のみならず年・月に至るまでの一切の記載が不開示とされていることがうかがえる。
   ところが,平成30年10月,原告市民オンブズマン群馬の会員が,被告に対し,「2009年5月以降に発生した長野高専学生の自殺案件すべてに関しての事件・事故等発生状況報告書」と「2009年6月以降に発生した長野高専学生の自殺案件すべてに関しての事件・事故等発生状況報告書」の開示を請求したところ,前者への開示決定(甲27)に対して後者からの開示決定(甲28)は「故■■■■君に関する報告」が抜けており,実際の開示文書もそのようになっていた。このことから,「故■■■■君に関する報告」にかかる事件は平成21年(2009年)5月に発生していたということが判明した。
   したがって,被告の保有する事件報告書等文書の同種年月日等情報は,一部について上記のとおり明らかにされ,さらに同様の手法を用いることにより,残りのすべてについても容易に判明するものである。また,開示請求をおこなう日時や開示請求者により,同種開示請求に対し異なった対応をする合理的理由もないから,事実上,事件報告書等文書に記載のある年月日等情報は何人も容易に入手可能な情報であると認められる。したがって,事件報告書等文書に記載のある年月日等情報については現に公衆が知り得る状態に置かれているものであり,これは法とその趣旨を別にする他種法令等の要請によるものもしくは報道等により偶然に明らかとなったものでもないから,法第5条第一号イに該当することは明らかである。
   付言すれば,被告は事件報告書等文書に記載のある年月日等情報の法第5条第一号及び法第5条第四号該当性を主張するが,事件報告書等文書に記載のある年月日等情報を明らかにしたとして,それはかかる事件及びそれに対する各種対応を行った年月日及び時系列を示すだけの情報であり,文書に記載のある学生を知らない外部者(原告を含む)にとっては,かかる情報から当該学生を識別・特定することは到底不可能なうえに,文書に記載のある学生を知る人物にとっては当然学生の死亡事実自体も既知なのであって,かかる情報が開示されたからといって新たに不利益が生じることは考え難い。まして,被告の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとも考え難い。
   以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号及び法第5条第四号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。

第3 むすび
   以上のとおり,本決定のうち別紙に示す情報について不開示とした処分が違法であることは明らかであるから,すべて取消を求める。
                         以上

=====別紙=====
別紙 請求の趣旨
不開示処分取消請求箇所
1 文書1-1から1-9「国立高等専門学校長一覧」に対する不開示箇所のうち,各候補者の氏名を除く箇所。
  なお,被告は不開示とした文書内の具体的項目について一切を明らかにしていないが,係争中被告が各不開示項目を明らかにした場合,その個々について不開示妥当性を別途争う。
2 文書2「辞職願」に対する不開示箇所のうち,「辞職理由」。
3 文書3-1から3-3「校報129号,130号,131号」に対する不開示箇所のうち,
(1)人事関係に関する部分であって,同書面の同一欄において,氏名およびかかる人事前後の職名等情報(以下「氏名および職名等情報」)の開示がなされている人物がいるにも関わらず,不開示決定において,それらと差別的な取り扱いを行う具体的差異および事由の説明が一切ないまま,不開示とされている人物らに関する氏名および職名等情報(訴状本文中「不適切不開示箇所」)。
なお,係争中に被告が具体的な個々の当該不開示事由を明らかにした場合は,その事由の妥当性について別途個別に争う。
(2)「退職者」欄において,独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則に基づき採用された常勤教職員についての「退職理由」。
4 文書4-1から4-3「支払決議書」に対する不開示箇所のうち,「合計金額」,「支払金額」,「うち消費税及び配分金額」。
5 文書5-1から5-8「事件・事故等発生状況報告書【第一報】・【第二報】・【最終報】」および「故■■■■君に関する報告書」に対する不開示箇所のうち,「日時に関する記載」。
                        以上

=====証拠方法=====

 1 甲1号証 法人文書開示請求書
 2 甲2号証 高機総第19号法人文書開示決定通知書
 3 甲3号証 本決定により開示された国立高等専門学校長候補者一覧(平成23年以降)
 4 甲4号証 本決定により開示された西尾典眞氏の辞職願
 5 甲5号証 本決定により開示された群馬高専校報129ないし131号の表紙及び人事関係
 6 甲6号証 本決定により開示された,原告及び被告高専機構がその当事者となった争訟において代理人弁護士に支払った弁護士費用にかかる平成28ないし30年度の支払決議書
 7 甲7号証 本決定により開示された,平成21年以降に発生した長野高専学生の自殺事件について,同校が作成した「事件・事故等発生状況報告書」またはそれに類する文書
 8 甲8号証 国立高等専門学校の校長の任命手続について
 9 甲9号証 平成29年6月6日に行われた群馬高専幹部と市民オンブズマン群馬による面談・質疑応答全内容の録音書き起こし
10 甲10号証 群馬高専教育研究支援センターメンバー構成(群馬高専HPより)
11 甲11号証 群馬高専教育研究支援センター年報第6号(抜粋)
12 甲12号証 独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則(抜粋)
13 甲13号証 平成30年度群馬高専学校要覧(抜粋)
14 甲14号証 弓削商船高専校報92・95号
15 甲15号証 津山高専校報138・139・144・145号
16 甲16号証 有明高専校報88・90号
17 甲17号証 平成15年度(行情)答申第41号
18 甲18号証 平成15年度(独情)答申第16号
19 甲19号証 答申選掲載事件名一覧
20 甲20号証 答申選
21 甲21号証 情報公開法に係る主な答申等について
22 甲22号証 神戸市平成14年答申第74号
23 甲23号証 京都市平成20年答申第82号
24 甲24号証 千葉県平成15年答申第119号
25 甲25号証 滋賀県平成29年答申第98~101号
26 甲26号証 大阪地裁平成8年(行ウ)118号
27 甲27号証 長野高専総第63号
28 甲28号証 長野高専総第64号

=====附属書類=====

 1 訴状副本     1通
 2 証拠説明書    1通
 3 甲号証写し   各1通
**********

○証拠説明書 ZIP ⇒ 20191007.zip
○甲号証
 甲1-5
 ZIP ⇒ 20191004b15.zip
 甲6-8 ZIP ⇒ 20191004b68.zip
 甲9-10 ZIP ⇒ 20191004b910.zip
 甲11-13 ZIP ⇒ 20191004b1113.zip
 甲14-16 ZIP ⇒ 20191004b1416.zip
 甲17-18 ZIP ⇒ 20191004b1718.zip
 甲19-21 ZIP ⇒ 20191004b1921.zip
 甲22-25 ZIP ⇒ 20191004b2225.zip
 甲26-28 ZIP ⇒ 20191004b2628.zip

○原告・被告の適格証明書類 ZIP ⇒ 201909261iiij.zip
201909262iiij.zip
201909263iiiej.zip

■以上の通り、訴状だけで2万字近い分量になりました。今回の第一次訴訟にあたっては、どんな小さな不開示箇所でも、正当な理由がないのであれば一切の手は抜かず、1文字でも多くの墨を剥がしとるという方針で臨んでいるからです。

 これは、国民の権利である情報公開制度をないがしろにする高専組織の情報隠し癖に対して、また、「理不尽な処分をしてもそれをひっくり返すための労力の大きさに愚民どもは怖気づき泣き寝入りしてくれるだろう」という国民を舐めに舐め切った高専組織の思い上がりに、明白に「NO」を突き付ける我々オンブズマンのメッセージでもあります。

 情報公開制度は、「原則は開示」、仕方ない部分については「例外不開示」なのであって、「ひとつでも多く不開示箇所を探してとにかく墨で塗りたくろう」という高専機構とその傘下各高専の情報公開への誤った認識と態度は、今ここで是正されなければなりません。

■当会では、これに引き続いて、アカハラ犯雑賀氏の沼津高専異動に関する情報にも焦点を当て、第二次提訴を行うことにしました。その3に続きます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項続く】

★★高専過剰不開示体質是正訴訟・提訴関連記事リンク★★

【第一次提訴のいきさつ及び訴状提出の模様について】
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その1)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3055.html

【第一次提訴の訴状内容について
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その2)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3056.html

【第二次提訴のいきさつと訴状内容について】
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その3)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3057.html

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