市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

諸簡易郵便局長による8.9億円詐欺事件と安中市土地開発公社元職員による51.2億円詐欺横領事件の比較

2016-11-18 23:25:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■長野県小諸市諸東房134-19にある「諸簡易郵便局」を舞台にした詐欺事件で、2015年4月に日本郵便から委託契約を解除されていた元局長が、1年7カ月後の2016年11月17日に詐欺容疑で長野県警に逮捕されるというニュースが報じられました。安中市で21年前の1995年5月に発覚した市土地開発公社元職員による51.125億円の巨額詐欺横領事件に比べると5分の1にも満たない犯行額ですが、類似点について分析してみました。

長野県小諸市内にある犯行現場となった諸簡易郵便局。
 郵便局は全国に約24,000局あり、このうち約4,000局が簡易郵便局です。しかし、まだ簡易郵便局が不足しているらしく、日本郵便ではホームページで「あなたの『簡易郵便局』を開きませんか」として、簡易郵便局受託者を募集しています。↓
http://www.post.japanpost.jp/owner/challenge/

 ちなみに首都圏では、東京都、神奈川県、埼玉県、群馬県、山梨県では募集している地域はないとしています。
〇簡易郵便局受託者募集地域↓
http://www.post.japanpost.jp/owner/area/

 ご当地の安中市内にも、17の郵便局があります。
http://map.japanpost.jp/p/search/search.htm?&cond200=1&&&his=sa1&&type=ShopA&area1=10&area2=%B0%C2%C3%E6%BB%D4&slogflg=1&areaptn=1&selnm=%B0%C2%C3%E6%BB%D4
 ①安中岩井郵便局(群馬県安中市岩井五反田2471-1)
 ②安中原市郵便局(群馬県安中市原市1-14-23)
 ③安中後閑郵便局(群馬県安中市中後閑695-5)
 ④安中上野尻郵便局(群馬県安中市安中1-19-2)
 ⑤安中東横野郵便局(群馬県安中市鷺宮2357-8)
 ⑥安中郵便局(群馬県安中市安中3-24-7)
 ⑦磯部郵便局(群馬県安中市磯部1-14-16)
 ⑧横川郵便局(群馬県安中市松井田町横川404-8)
 ⑨郷原簡易郵便局(群馬県安中市郷原589-1)
 ⑩九十九簡易郵便局(群馬県安中市松井田町国衙90-1)
 ⑪細野郵便局(群馬県安中市松井田町新井377-1)
 ⑫秋間郵便局(群馬県安中市東上秋間1513-2)
 ⑬松井田下町郵便局(群馬県安中市松井田町松井田695)
 ⑭松井田郵便局(群馬県安中市松井田町新堀1374)
 ⑮西横野簡易郵便局(群馬県安中市松井田町人見1036-3)
 ⑯中野谷簡易郵便局(群馬県安中市中野谷甲2353)
 ⑰板鼻郵便局(群馬県安中市板鼻2-6-8)

 このように安中市内にある17局のうち簡易郵便局の名称のあるのは郷原、九十九、西横野、中野谷の4局です。しかし、板鼻郵便局は当会の知る限り現局長は筆者の同級生であり、先代の局長は筆者の高校の校長をしており、世襲となっています。また局の所在も、筆者の同級生の自宅に隣接しており、いわゆる業務委託契約形式で日本郵便と契約を結んでいることが考えられます。

 また筆者の元勤務先の知人のなかには、実家が山梨県の郵便局をやっており、30代のころ、実家の郵便局を継ぐと言って勤務先を突然退職した者もおります。

■さて、今回の約8億9000万円の詐欺事件が起きた「諸(もろ)簡易郵便局」は、日本郵政のHPによると、局コード:11846、住所:〒384-0043 長野県小諸市諸134-19、取扱業務:郵便・貯金・為替・振替・生命保険、開設:1963年3月1日、そして、2015年3月2日に「一時閉鎖」されたとあります。

 なぜ「永久閉鎖」でないのか、分かりませんが、「簡易郵便局の窓口を一時閉鎖いたします。詳細は以下のとおりです。 お客さまにはご不便をおかけいたしますが、窓口閉鎖中は周辺の郵便局や社員の訪問等によるサービスをご利用いただきますようお願い申し上げます。」というメッセージがJPのHPに掲載されています。

 それではこの事件を報じた記事を見てみましょう。

**********NHK NEWS WEB 2016年11月17日11時52分
8億9000万円詐取か 元簡易郵便局長を逮捕
 長野県小諸市にあった簡易郵便局の元局長が「高い利率の商品がある」とうその話をもちかけて、顧客から800万円余りをだまし取ったとして、詐欺の疑いで逮捕されました。日本郵便の調査では、元局長は顧客およそ180人から合わせて8億9000万円をだまし取っていたと見られ、警察が被害の実態解明を進めています。
 逮捕されたのは、小諸市にあった諸簡易郵便局で去年まで局長を務めていた南澤まち子容疑者(67)です。警察の調べによりますと、南澤元局長は、おととし10月から去年2月にかけて、小諸市内の60代の男性に「高い利率の商品がある」とうその話をもちかけて、3回にわたって800万円余りをだまし取ったとして、詐欺の疑いが持たれています。
 警察によりますと、調べに対し、南澤元局長は容疑を認めているということです。日本郵便の調査で南澤元局長は、顧客の高齢者などおよそ180人に対しうその投資話を持ちかけるなど、不正な取り引きを繰り返し、およそ10年間で合わせて8億9000万円をだまし取っていたと見られることが明らかになっています。警察は、金の使いみちを調べるとともに、被害の実態解明を進めています。
 長野県小諸市にあった簡易郵便局の元局長が逮捕されたことについて、日本郵便信越支社は「被害を受けられたお客さまに多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。再発防止に全力で取り組んで参ります」というコメントを出しました。

**********信濃毎日新聞(信毎Web)2016年11月17日
元簡易郵便局長 強制捜査へ 県警・小諸署 詐欺容疑
 小諸市の諸(もろ)簡易郵便局の局長を務めていた60代の女が、利用者に架空の金融商品を勧めて総額約8億9千万円をだまし取ったとされる問題で、県警捜査2課と小諸署は近く、この元局長について詐欺の疑いで強制捜査に入る方針を固めたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。
 問題は昨年2月、同市の小諸郵便局に利用者から問い合わせがあり発覚。日本郵便信越支社(長野市)によると、元局長は発覚の10年ほど前から小諸市を中心とする利用者約180人に「半年で1割の利子が付く」などと架空の金融商品を勧め、主に諸簡易郵便局内で金を受け取っていた。1991年8月から同郵便局長だった。
 問題発覚後の昨年7月、日本郵便の代理人弁護士は、利率が異常に高いなど「取引条件が極めて不自然」なため、利用者の側にも一部過失があるとして、同社が認定した被害額の5割を補償する条件で和解を利用者に提案した。
 これに対し、和解に応じた利用者がいた一方で、補償条件に応じなかった少なくとも32人が裁判や裁判外紛争解決手続き(ADR)を通じて賠償や返還を求めている。
 同支社は昨年3月に諸簡易郵便局を閉鎖し、同4月に元局長との委託契約を解除している。

**********産経ニュース2016年11月17日10:50
元簡易郵便局長を逮捕 長野、顧客の現金詐取疑い
 長野県警は17日、架空の金融商品を薦めて顧客から現金をだまし取ったとして詐欺の疑いで、長野県小諸市の諸簡易郵便局の局長だった無職、南沢まち子容疑者(67)を逮捕した。
 日本郵便信越支社(長野市)が昨年10月、南沢容疑者が約180人から計約8億9千万円を詐取していたと発表。県警が捜査していた。
 平成26年10月~昨年2月、小諸市の60代男性に高利率の金融商品があるなどと嘘を言い、3回にわたり現金810万円をだまし取ったとしている。
 信越支社によると、南沢容疑者は顧客に「金を預けてくれれば半年に1割の利子を付ける」などと言っていた。17年ごろから昨年2月まで、現金詐取を繰り返していたとされる。

*********日テレNews24 2016年11月17日 13:01
元簡易郵便局長の女が詐取 被害約9億円か
 長野県小諸市にある簡易郵便局で、客の男性から現金810万円をだまし取ったとして、元局長の女が逮捕された。この簡易郵便局では、過去10年間で8億9000万円の詐欺被害があったとみられている。
 詐欺の疑いで逮捕されたのは、小諸市の諸簡易郵便局の元局長、南沢まち子容疑者(67)。去年2月までの4か月間、市内に住む60代の男性に「数か月で1割の利息がつく預貯金ができる」などとうその話を持ち掛け、3回にわたって現金810万円をだまし取った疑いが持たれている。容疑を認めているという。
 日本郵便信越支社によると、南沢容疑者は去年3月までの約10年間に約180人の客から総額8億9000万円をだましとったとみられている。警察が余罪を追及していく方針。

**********毎日新聞2016年11月17日 11時29分(最終更新 11月17日 11時29分)
詐欺容疑 元郵便局長を逮捕 長野、客の金計8.9億円
 長野県警は17日、架空の金融商品を勧めて顧客から現金をだまし取ったとして、同県上田市上野、諸簡易郵便局の元局長、南沢まち子容疑者(67)を詐欺容疑で逮捕した。日本郵便信越支社(長野市)は昨年10月、南沢容疑者が2015年2月までの約10年間で、顧客約180人から計約8億9000万円をだまし取ったと発表し、県警に告発していた。容疑を認めている。
 逮捕容疑は14年10月~15年2月、同県小諸市の同郵便局で、60代の男性客に「数カ月で10%の利息が付く商品がある」などとうそをつき、3回にわたって現金810万円をだまし取ったとしている。【ガン・クリスティーナ】

**********朝日新聞2016年11月17日11時09分
元郵便局長、顧客から詐取容疑 10年間で被害9億円か 小諸市
 顧客から現金約800万円をだまし取ったとして、長野県警は17日、 同県小諸市にあった諸(もろ)簡易郵便局の元局長南沢まち子容疑者(67)=同県上田市上野=を詐欺の疑いで逮捕した。 容疑を認めているという。
 日本郵便の調査で、被害者は約180人、 被害額は計約8億9千万円に上ることが明らかになっており、県警は全容解明を進める。
 捜査2課などによると、南沢容疑者は2014年10月から15年2月にかけて、 小諸市内に住む60代の顧客男性に「預ければ数カ月で10%の利息がつく」とうその説明をし、 3回にわたって現金計810万円を受け取り、だまし取った疑いがある。
 日本郵便信越支社が昨年10月に発表した調査結果によると、 南沢容疑者は10年以上前から昨年2月下旬まで同様の詐取行為を繰り返していたという。
**********

■ネットで調べるとこの事件は2015年3月発覚していたことが判ります。そして同7月には次のネット報道がなされていました。

**********まいじつ2015.10.25 07:30
まるで映画『紙の月』…8億9千万円詐欺の郵便局元局長女性がひた隠しにした生活
 まるで映画『紙の月』のような犯罪だ。
 「仕事中も化粧っ気がなく、郵便局近くの自宅への行き帰りの私服も地味で、普通の近所のオバチャン。とてもじゃないが、9億円近くも騙し取った悪人には見えませんでしたよ」
 こう語るのは、簡易郵便局長という身分を使い、郵便局利用者から多額の金を騙し取った女性を知る人物。
 日本郵便信越支社(長野市)は10月13日、今年4月まで小諸市の諸簡易郵便局に勤めていたこの女性、南澤まち子元局長(66)が、近隣地域の顧客約180人から総額約8億9000万円もの金を騙し取っていたと発表した。10年ほど前から郵便局を訪れた客相手に「半年で1割の利子が付く」などと高利回りの架空投資話を持ちかけ、現金を受け取っていたという。
 今春、顧客が別の郵便局に問い合わせたのをきっかけに発覚。社内調査に「私的に使用するための現金欲しさで騙した」と認めたという。南沢元局長は1991年8月から郵便窓口の業務を受託。今年4月に日本郵便との契約を解除された。
 「元局長は母親の後を継ぎ簡易郵便局を経営していました。自分の土地に郵便局があって給料の他に賃貸料ももらっているから給料2重取りみたいなものです。それが世襲でやってるから、金には困らないのはずなのですが…。客は親の代からの人が大半で、元局長を子供の頃から知る人ばかりだったため、この架空投資話を頭から信じ込んでいたようです。少なくても100万円、多い場合は7000万円もの投資に応じた客もいたとされ、中には通帳と印鑑を長年預けっぱなしにしていた人もいたそうです」(地元紙記者)
 南澤元局長は現金を預かった際、日本郵便の「預り証」を発行していたが、それを保管していた客は半数にも満たないという。
 「小諸市内で生まれ育った元局長は夫との2人暮らし。その夫が経営していた会社が10年ほど前に倒産し、投資話を始めたのはちょうどその頃。そのため借金を肩代わりしたのではという話も聞きます」(近隣住民)
 信越支社の事情聴取にもカネの使い道を「借金の返済と車の購入」と答えている南澤元局長だが、別の近隣住民からは、こんな話も聞こえてくる。
 「彼女の自宅に入るとブランドもののバッグや高級そうな洋服が掛かっていました。小諸で買い物をすると目立つので、わざわざ車で軽井沢や上田の繁華街へ出掛けて買い物をするのだと言っていました」
 発覚する直前は、被害者への支払いで自転車操業のようだったというが、それでも実質6億円強は焦げ付いたまま。詐欺容疑で刑事告訴されれば、警察の捜査で「自宅からごっそり金品が出てくるのでは」と地元では囁かれているという。
 11月の日本郵政グループ上場を前に、とんでもないオバチャンの悪事が発覚したものだ。
それにしても、どうしてみんなこんなにお金持ってるのだろう。今回の事件は騙す方が悪いのは当然としても騙される方も欲深いような…。
**********

■上記の報道記事によれば、容疑者は、1991年8月から母親のあとを継ぎ同簡易郵便局を引き継ぎ、2015年4月に日本郵便との契約を解除されるまでにほぼ24年間、局長をしており、日本郵便から給料と土地の賃貸料が毎月支払われていたことになります。それだけで十分暮らして行けたはずでしょうが、なぜ詐欺に手を染めたのか、安中市のタゴ51億円事件と対比させながら検証してみます。

(1) 元局長は計約8億9千万円をだまし取っていた、と日本郵便信越支社(長野市)が、発表した。
(2) 信越支社は、すでに返済された分などを除く実質的被害は約6億円とみており、補償手続きを進めている。
(3) 信越支社の説明によると、南沢元局長は年ほど前から2015年2月下旬まで10年ほどの間、窓口に訪れた顧客に「100万円を出せば、半年で約1割の利子を支払える」などとうその説明をし、現金を受け取っていた。
(4) 現金と引き換えに、郵便貯金の手続きなどで使う「預かり証」を渡していた。
(5) 南沢元局長は調査に対して「最初は借金返済のためにだまし取った」「その顧客への支払額を調達するために別の顧客から同様の手口で現金をだまし取る行為を繰り返した末、金額が膨らんだ。」と説明している。
(6) 2015年春になって顧客が、別の郵便局に問い合わせたのをきっかけに発覚し、南沢元局長は4月に日本郵便との契約を解除された。
(7) 問題発覚後の2015年7月、日本郵便の代理人弁護士は、利率が異常に高いなど「取引条件が極めて不自然」なため、利用者の側にも一部過失があるとして、同社が認定した被害額の5割を補償する条件で和解を利用者に提案した。
(8) これに対し、和解に応じた利用者がいた一方で、補償条件に応じなかった少なくとも32人が裁判や裁判外紛争解決手続き(ADR)を通じて賠償や返還を求めている。
(9) 信越支社は2015年3月に諸簡易郵便局を閉鎖し、同4月に元局長との委託契約を解除した。


 タゴ事件との類似点は、「同一職場での長期配置」がまず挙げられます。タゴの場合も15年間も市土地開発公社に配置されていました。

 続いて「発覚遅れで犯行額増大」です。監査機能が働かない、あるいは存在しないため、歯止めが利かずに犯行額が青天井で膨れ上がり、発覚した時には仰天するほどの金額になってしまいました。

 さらに「正確に特定しきれていない被害額」が挙げられます。この理由はきちんとした帳簿や帳票類が存在しないことから、正確な犯行額は容疑者でされも判らないと思われます。今回の事件では約8億9000万円という犯行額だと伝えられていますが、おそらくもっと多額に違いありません。タゴ事件の場合も約51億125万円という警察の捜査結果が出ていますが、記録がなく、容疑者のおぼろげな記憶による供述をもとに適当に推測したことがうかがえます。当会ではさらに少なくとも数億円は犯行額が上乗せされるのではないかとみています。参考までに当会のチラシをご覧ください。
2006年安中市土地開発公社巨額詐欺横領事件(通称「タゴ51億事件」)
http://newmatsuida.web.fc2.com/madom.htm

 最後に「使途不明金が多額」であること。使途不明金がきちんと確認されないうちに、日本郵便では、弁護士を使って利用者にも半分は過失があるとして同社が確認した被害額の5割を補償するというふうに、被害者に持ちかけていたことは、理解に苦しみます。まず、事件発覚の時点ですぐに警察に告発し、捜査を開始して、使途不明金を可能な限り減らして、どの程度回収できるのかを確認すべきだったと思われます。

 報道によれば、2015年4月に業務委託契約を解除されてからも、車を買い替えたり夫婦で遠出の旅行をしたりするなど、羽振りの良い生活が続いていたそうです。タゴ事件の場合でも、配偶者に1億円(警察の捜査結果では5000万円)、実母に300円(同140万円)、実弟の経営する運送会社に?億円(当会の推測では数億円)が流れていました。

■1995年に発覚した安中市の多胡51億円事件と言い、24億円を着服した長野市の長野県建設業厚生年金基金元事務局長の坂本事件といい、そして今回の小諸市の事件と言い、なぜか旧信越線沿線での着服事件が多いのが気になるところです。

 この事件についての一般市民の感想としては、騙したほうは勿論悪いが、こんな荒唐無稽な儲け話に騙されたほうにも落ち度がある、などというコメントが意外に多くみられます。確かに一理ありますが、簡易郵便局長とは業務委託契約を交わす際に、日本郵政による条件の一つとして「社会的責任のある個人」であることが挙げられています。

 したがって、今回のような詐欺横領犯的な体質をもつ人物を局長に任命した責任を抜きには、被害者に対して一律半分の補償で手打ちを持ち掛けるのは、「片手落ち」と言わざるを得ないでしょう。

【ひらく会情報部】

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アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・アカハラ情報不開示でオンブズの提訴を東京地裁が受理か

2016-11-17 23:32:00 | 群馬高専アカハラ問題
■学科長による陰湿なアカハラ行為が繰り返されてきた群馬高専では、被害学生や教職員らによる勇気ある学校長への告発が為されたにもかかわらず、肝心の校長は原因者の学科長をいまだに処分しようとしません。このまま事件の真相を究明せず、自身の責任を明確化させないようにして、来年春の異動で次の天下り先に滑り込む作戦かもしれません。そのため、アカハラの被害の実態を明らかにしておく必要があると考えた当会は、アカハラに関する情報公開を群馬高専に請求しましたが、却下されたため、10月26日に東京地裁に情報不開示決定処分の取り消しを求める訴状を提出しました。
〇2016年10月26日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・アカハラ情報不開示に対してオンブズマンが東京地裁に提訴
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2156.html#readmore

 ところがその後、一向に東京地裁から連絡が来ないので変だなと思っていた矢先、実は10月28日付で、東京地裁の民事第3部B2係から事務連絡が到来していたことが、当会事務局の調査で判明しました。
〇事務連絡:PDF ⇒ 20161028ae.pdf

 そこで急遽11月16日付で必要な書類を東京地裁に簡易書留で郵送しました。
〇回答書及び必要書類:PDF ⇒ 20161116nab.pdf

■今回のトラブルは、原告の肩書について、市民オンブズマン群馬として群馬高専に対して情報開示請求をしていたのですが、訴状を作成する際に、原告の肩書を確認することを失念したため、当会代表者個人名で記入してしまったことにあります。

 大変初歩的なミスでしたが、これで原告適格が認められて、晴れて訴状が被告である群馬高専の元締めの国立高等専門学校機構に届けられることが期待されます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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政務調査費を巡る高崎市議会のドタバタ・・・議長・後閑太一議員の修正届

2016-11-16 22:12:00 | 政治とカネ

■11月14日に当会会員が、高崎市役所で平成26年度の政務活動費の調査を敢行しましたのでさっそく報告内容を見ていきましょう。

高崎市議会議長・後閑太一センセイが自分に出した政務活動費収支報告書修正届。




 今回の調査の過程で、市議会議長でもある後閑太一議員の修正届がありました。そこでよくよく見ると、宛先が届け人と同じ議長の後閑太一になっていました。不謹慎かもしれませんが、ドロボーがドロボーを裁いているシーンが思い浮かんでしまいました。まさにブラックジョークのようで、調査に当たった当会会員のかたも思わず笑ってしまったそうです。

 そこで後ろに控えていた高崎市職員にこの件を問うたところ、「そういう制度ですから」との返答に続き、「私もおかしいとは思う」とその職員も言っていたとか(!)。

 そして、またしても血税が野放図に使われた現場は、例の「さくらホール」でした。


↑後閑太一センセイの政務活動費収支報告書(議員用)。↑

■この政務活動費としての費消時期は、請求書と領収書の日付によれば「平成26年10月5日」となっています。開催日は記入されておりませんので、いつ開催されたのかは不明ですが、仮に平成26年10月5日だとすると、その日は日曜日で友引でした。


↑後閑太一センセイの領収書等整理票(さくらホール櫻井式典(有))。↑


↑これも同様(さくらホール櫻井式典(有))。↑

 「参加人数は430人」との記載はありますが、やはり本当に開催されたかどうか非常に疑わしいと言わざるを得ません。

 旧榛名町選出議員が、高崎市剣崎にあるこの会場を用意するのも何か不自然です。

 さくらホールには、榛名に「はるなさくら邸」というのがありますが、家族葬向けの施設でとても430人は入りません。だとすると、やはり剣崎の「さくらホール」で行われたのでしょうか?

 「さくらホール」のHPを見ても大ホールや玄関にとても430人が入れるとは思えませんね。葬式の様に順々に流れるように429人が後閑センセイに拝礼でもしたのでしょうか?
〇さくらホール http://sakura-hall.jp/hall/

 ちなみに、平成25年・27年に同様な催しは開催されていませんでした。

■後閑センセイのこの年の修正額は30万9千円です。我々平民市民が時給800円で働いた場合、2カ月も働かないと稼げない金額です。

 センセイ自らこの不自然な経緯を説明する責任があると思いますが、修正さえ済ませてしまえば、「もう安心」とばかりに、喉元過ぎれば熱さを忘れてもらっては困りものですね。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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館林市内の湿地の埋め土に使われた溶融スラグについて排出元のJFEグループがオンブズマンの質問に回答拒否

2016-11-15 23:24:00 | スラグ不法投棄問題
■館林市内の道路わきの湿地農地で発覚した溶融スラグを使った埋め土事件で、当会会員による調査の結果、現場から直線距離で85kmある千葉市のJFE千葉製鉄所構内のJFEグループ会社のジャパン・リサイクル会社からトラック数百台分の溶融スラグが、同社の溶融スラグの取引先である(有)ケイユウ商事に土木資材の名目で渡り、ケイユウ商事が(有)三恵に運搬を依頼して、館林市内の農地に搬入したことが判明しました。

我らが「サンパイ110番」のある県庁16階(南)の廃棄物・リサイクル課不法投棄対策係。しかしなぜか110番しても腰が重い。

 このことについて、当会会員が館林市役所に確認したところ、同市では残土条例が制定されておらず、市内外や県外から得体の知れないものを持ち込まれて造成されても、取り締まる術がないことが判明しました。

 そこで当会会員は通称「サンパイ110番」で知られる、群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課の不法投棄対策係に通報したところ、なんと「群馬県残土条例が規制の対象としている3000㎡未満のようなので、県外から残土が持ち込まれても問題ない」のだそうです。

 しかし、持ち込まれたのは残土ではなく、溶融スラグです。スラグは本来、廃棄物処理工程を経て「道路路盤材」という製品になることはありますが、それ以外の場合鉱さいとして、原則的には特別管理産業廃棄物のはずです。したがって、処分方法としては遮断型産業廃棄物処分場にしか持ち込めないことになります。

 もし有害物質等の含有量が一定の基準以下のものであれば「鉱さい」の許可のある管理型最終処分場で処理することになりますが、なぜ、農地に数百台もの溶融スラグが搬入できるのでしょうか?

 また、当会会員からこの事件の通報を受けた群馬県の「サンパイ110番」では、なぜ当会会員に対して「残土条例に該当しないから問題ない」と言ったのでしょうか?

■この事件については、10月25日に当会のブログでも報告しました。
〇2016年10月25日:館林市内の湿地の埋め土にスラグ状の物質が大量投入?
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2153.html

 その時点では、当会は排出者のジャパン・リサイクル(株)の担当者と次のメール連絡をしておりました。以降のやりとりをご紹介します。

*****10月21日9:57ジャパン・リサイクル宛の発信メール*****
From: masaru ogawa
日付: 2016年10月21日 9:57
件名: Re: ご質問の件について(回答)
To: S.S.

ジャパン・リサイクル株式会社
総務部
SS様

毎々お世話になります。
一昨日弊員の携帯にお電話を賜り恐縮です。
こちらからお電話を差し上げようと思っていたところ、メールにて連絡を賜りありがとうございます。

質問1ですが、守秘義務とのことですが、逆有償性の有無について確認させていただくためにどうしても必要な情報であると認識しております。
この情報について共有させていただけないとすると、どうしてもその疑念が払しょくできません。

できる限りの開示努力をお願いする次第です。
再考をお願い申し上げます。

市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
Mobile 090-5302-8312


*****10月26日5:13ジャパンリサイクル宛の発信メール*****
From: masaru ogawa
Sent: Wednesday, October 26, 2016 5:13 AM
To: xxxxxx
Cc: OH
Subject: Re: ご質問の件について(回答)

ジャパン・リサイクル株式会社
総務部
SS様

CC:JFEスチール スラグ事業推進部
  OH様

毎々お世話になります。
質問1「ジャパン・リサイクルから三恵にスラグを卸す場合、トン当りいくらで売り渡しているのか?」についてですが、御社からスラグを土木資材として販売している相手先は有限会社三恵(サンケイ)ではなく、有限会社ケイユウ商事とのことで、三恵にはスラグの収集運搬を依頼しているそうですが、あらためて質問させてください。

①御社から(有)ケイユウ商事に溶融スラグをトン当たりいくらで土木資材として販売していますか?
②ケイユウ商事が(有)三恵に溶融スラグの収集運搬を依頼しているとのことですが、①の販売条件は、御社の千葉市中央区川崎町1番地にある処理施設渡しでしょうか?それとも、(有)ケイユウ商事の指定場所渡しでしょうか?
③(有)ケイユウ商事と(有)三恵の事業所在地、および、ご担当者の連絡先をご紹介いただけませんでしょうか?

以上取り急ぎお願い申し上げます。

市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
Mobile 090-5302-8312


*****10月26日16:56ジャパン・リサイクルからの受信メール*****
2016年10月26日 16:56 xxxxxx <xxxxxx@japan-recycle.co.jp>:

市民オンブズマン群馬
代表  小川 賢 様

ご質問の件につきまして、ご回答が遅くなり申し訳ありません。

現在、先日いただいたご質問①につきまして、社内にてご回答できるかどうか検討しております。
今回のご質問②③を含めて改めて回答させていただきますので、今しばらくお待ちいただきたくお願い申し上げます。

ジャパン・リサイクル株式会社
総務部  SS

〒260-0835 千葉市中央区川崎町1番地
TEL 043-262-xxxx
FAX 043-262-4786
E-mail xxxxxx@japan-recycle.co.jp


*****10月26日17:48ジャパン・リサイクル宛発信メール*****
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
日付: 2016年10月26日 17:48
件名: Re: ご質問の件について(回答)
To: SS <xxxxxx@japan-recycle.co.jp>
Cc: OH <xxxxxxxxxxx@jfe-steel.co.jp>

ジャパン・リサイクル株式会社
SS様

毎々お世話になります。

ご連絡ありがとうございます。
この件、地元ではかなり騒動となっています。
御社の責任あるご回答が無用な疑念を払しょくするために欠かせませんので、よろしくお願い申し上げます。

なにしろ、群馬県では有毒物質含有の鉄鋼スラグが大量に不法投棄されている状況にあります。さらに、県外からの残土を偽装したサンパイ搬入による各地での違法不当な埋め立て事件が多発しております。

JFEグループの御社がそのようなイメージに染められないように、ぜひ積極的な情報オープンの姿勢を期待するものです。

以上取り急ぎ。

市民オンブズマン群馬
代表 小川賢

**********

■その後、数日ほど経過しました。そして11月2日付で溶融スラグの排出者であるジャパン・リサイクル(株)から次の連絡がありました。

*****11月2日10:48ジャパン・リサイクルからの受信メール*****
From: ss <xxxxxx@japan-recycle.co.jp>
日付: 2016年11月2日 10:48
件名: Re: ご質問の件について(回答)
To: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
Cc: OH <xxxxxxxxxxx@jfe-steel.co.jp>

市民オンブズマン群馬
代表  小川 賢 様

本件スラグの販売について、10月26日付メールでのご質問3点は契約上の守秘義務がありお答えしかねますので、ご了承お願い申し上げます。

また、市民オンブズマン群馬様のホ-ムページに記載されています弊社グループのメールのうち個人名・メールアドレスにつきましては、他者に悪用される恐れもございますので、削除していただきたくお願いします。

ジャパン・リサイクル株式会社  SS
**********

■誠に遺憾ながら最終的な回答は守秘義務を理由に差し控える、つまり回答を拒否するというものです。そこで、当会からジャパン・リサイクル社と親会社のJFEスチール社に対して次のメールを発信しました。

*****11月2日ジャパン・リサイクル等への発信メール*****
From: masaru ogawa <ogawakenpg@gmail.com>
日付: 2016年11月2日 12:23
件名: Re: ご質問の件について(回答)
To: ss <xxxxxx@japan-recycle.co.jp>
Cc: OH <xxxxxxxxxxx@jfe-steel.co.jp>

ジャパン・リサイクル株式会社
SS様

毎々お世話になります。
貴コメント拝読しました。

(1)質問3点について
 守秘義務で公表できないとのことですので、当方でいろいろ分析を加え、なぜあれだけの遠距離を運搬してペイするのか?など疑問点を公表してまいります。
その過程で、御社の代表者に公開質問状等の形で確認をさせていただくこともあります。その際は、できる限りご理解を賜りたいと存じます。
 また、もし当方の分析結果の公表内容について、コメント等があればどしどしご意見をお寄せください。

(2)御社の関係者の個人名・メルアドについて 
 個人名のメルアドについては、確かにスラグ情報の開示に消極的だとして、ご懸念のような迷惑メールが発せられる可能性も勘案し、伏字にしておきます。

以上取り急ぎ。

今後とも溶融スラグの取扱には十分に周辺住民の生活・営農・自然環境への配慮をお願い申し上げます。

市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
**********

■きちんと公表できないとなると、「きっと何か後ろめたいことがあるのではないか」と勘繰らざるを得ません。

 前述のとおり、本来、産業廃棄物の「鉱さい」として定義される鉄鋼スラグや溶融スラグですが、環境基準を満たし、一定の加工処理をすれば道路の路盤材にリサイクルすることはできます。しかし、そのまま湿地帯の埋立て造成工事の土木資材として使用できるものでしょうか?

 もうひとつは、当会がJFEグループに質問しているように、「逆有償」取引なのかどうか、はっきりしないことです。このことについて、JFEグループがきちんと回答してくれれば問題はないのですが、「取引先との契約における守秘義務」を理由に回答を拒否したとなると話は別です。

■JFEグループにも伝えたとおり、「逆有償」の影がちらつくこの事件について、当会の独自の見解をもとに、検証してみましょう。

 環境省が出した、廃棄物判断5か条(本記事の末尾参照)を読むと、まずは「有価物にあたるか判断し、有価物でなければ廃棄物と考えろ」と書いてあります。

 群馬県の「サンパイ110番」を監督する廃棄物・リサイクル課の松井次長などは「一概に廃棄物とはいえない」などとコメントしそうです。しかし、そのようなコメントは言語道断です。環境省によれば、「有価物とはいえない」をまず考えなければならない、と強い姿勢で環境省は指導しています。

 そこで、個々の項目も読んでみましょう。

〇エ 取引価値の有無
占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。実際の判断に当たっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要であること


となっていて、「競合する製品や輸送費」を考えろ、と書いてあります。

 ということは、群馬県がこの事件について「どう判断するか?」にかかってくるか、次第ということになると思います。


■前置きはこの程度にして、今回のJFEグループによる溶融スラグの不法投棄疑惑事件について、輸送費の観点から分析してみました。

 群馬県の設計単価を調べると、群馬県の設計単価は実売より高いのが普通です。なぜなら、山の上や平地など平均的な単価を採用した標準単価となっているためです。
〇「平成28年度 基礎単価表(第2巻)(公表用) 群馬県」
P000-P010 PDF ⇒ pp001010.pdf
P011-P049 PDF ⇒ pp010049.pdf
P050-P111 PDF ⇒ pp050111.pdf
P112-P222 PDF ⇒ pp112222.pdf
P223-P333 PDF ⇒ pp223333.pdf

 これは平成28年9月公表のものですが、実際には4月1日から変更されていません。

 P21を見ると、地区割りが記載されていることがわかります。「館林」は太田と同じ11地区になります。

 P75、76に「太田館林」が掲載されていますが、埋め戻しで利用されるのは一般的に「山ズリ」「山砕」「切込砕石40」「再生砕石RC40」です。単価はどうなっているかというと、次のとおりです。

  「山ズリ」 @2050円/m3
  「山砕」  @2000円/m3
  「切込砕石40」  @2650円/m3
  「再生砕石RC40」 @2350円/m3

 このうち「切込砕石」は高いので比較対象外とすると、やはり「再生砕石」@2350との比較となると思います。

 条件が良ければ、物価調査会が出している「建設物価」という本に掲載されている@1850円/m3で購入可能となります(2015年9月単価)。ちなみに、この建設物価は本屋でも注文すれば買える立派な情報です。

 千葉市中央区と館林市の現場を往復するには、普通乗用車でも、高速利用で一日2回往復がせいぜいです。今回のように、(有)大恵が使った11トンの大型トラックの場合となると、一般道で2回往復に最低11時間ぐらい必要です。実際には、渋滞もあるでしょうし、普通は一日1回がやっとです。

 そこで、11トン車に少し過積載で8m3積んだとして、一日あたり
40,000円/2/8m3=2,500円/m3
です。運賃だけでも、2,500.円なので、ただでもらっても、地元の再生砕石と勝負できません。

 一日30,000円だとしても、やっと@1875です。そもそも、10時間勤務は誰もやらないのではないでしょうか?

【結論】
やはり、この館林におけるJFEスラグの不法投棄疑惑事件は、「逆有償」そのものです。遠く群馬県まで持ってきたのは、JFEグループとその取引先の完全な「失敗」だったと言えるのではないでしょうか

 あとは群馬県のサンパイ110番次第ですが、これまで当会が何件か通報しても、一度も動きませんでした。その意味では、JFEグループが溶融スラグの投棄先と群馬県にしたのは、「成功」だったかもしれません。

 なぜなら先日、群馬県の「サンパイ110番」にうかがってこの事件についての対応をヒヤリングしたところ、「現場に行って調べてはいる」とのことでした。しかし、当会が、「鉱さいの処分先は原則、遮断型産業廃棄物処分場しかないはずだと思いますが、溶融スラグをそのまま農地に搬入することはできるのでしょうか?」との問いに対しては、明確な回答が得られなかったからです。

■やはり群馬県はスラグ不法投棄のタックスヘイブンなのでしょうか?

【市民オンブズマン群馬事務局からの経過報告】

※関連情報「環境省の指導」
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj-1_D9pvrPAhXEFpQKHc2tDCgQFggcMAA&url=https%3A%2F%2Fwww.env.go.jp%2Fhourei%2Fadd%2Fk040.pdf&usg=AFQjCNFVthLz8RMO88mivsohesHvjcJxHw
**********
行政処分の指針について(通知)からの抜粋
<P3>
(2) 廃棄物該当性の判断について
① 廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること。
廃棄物は、不要であるために占有者の自由な処理に任せるとぞんざいに扱われるおそれがあり、生活環境の保全上の支障を生じる可能性を常に有していることから、法による適切な管理下に置くことが必要であること。したがって、再生後に自ら利用又は有償譲渡が予定される物であっても、再生前においてそれ自体は自ら利用又は有償譲渡がされない物であることから、当該物の再生は廃棄物の処理であり、法の適用があること。
また、本来廃棄物たる物を有価物と称し、法の規制を免れようとする事案が後を絶たないが、このような事案に適切に対処するため、廃棄物の疑いのあるものについては以下のような各種判断要素の基準に基づいて慎重に検討し、それらを総合的に勘案してその物が有価物と認められるか否かを判断し、有価物と認められない限りは廃棄物として扱うこと。なお、以下は各種判断要素の一般的な基準を示したものであり、物の種類、事案の形態等によってこれらの基準が必ずしもそのまま適用できない場合は、適用可能な基準のみを抽出して用いたり、当該物の種類、事案の形態等に即した他の判断要素をも勘案するなどして、適切に判断
<P4>
されたいこと。その他、平成12年7月24日付け衛環第65号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知「野積みされた使用済みタイヤの適正処理について」及び平成17年7月25日付け環廃産発第050725002号本職通知「建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針について」も併せて参考にされたいこと。
ア 物の性状
利用用途に要求される品質を満足し、かつ飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境の保全上の支障が発生するおそれのないものであること。実際の判断に当たっては、生活環境の保全に係る関連基準(例えば土壌の汚染に係る環境基準等)を満足すること、その性状についてJIS規格等の一般に認められている客観的な基準が存在する場合は、これに適合していること、十分な品質管理がなされていること等の確認が必要であること。
イ 排出の状況
排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされていること。
ウ 通常の取扱い形態
製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理されている事例が通常は認められないこと。

取引価値の有無
占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。実際の判断に当たっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要であること。
オ 占有者の意思
客観的要素から社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用し若しくは他人に有償譲渡する意思が認められること、又は放置若しくは処分の意思が認められないこと。したがって、単に占有者において自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができるものであると認識しているか否かは廃棄物に該当するか否かを判断する際の決定的な要素となるものではなく、上記アからエまでの各種判断要素の基準に照らし、適切な利用を行おうとする意思があるとは判断されない場合、又は主として廃棄物の脱法的な処理を目的としたものと判断される場合には、占有者の主張する意思の内容によらず、廃棄物に該当するものと判断されること。
なお、占有者と取引の相手方の間における有償譲渡の実績や有償譲渡契約の有無は、廃棄物に該当するか否かを判断する上での一つの簡便な基準に過ぎず、廃プラスチック類、がれき類、木くず、廃タイヤ、廃パチンコ台、堆肥(汚泥、動植物性残さ、家畜のふん尿等を中間処理(堆肥化)した物)、建設汚泥処理物(建設汚泥を中間処理した改良土等と称する物)等、場合によっては必ずしも市場の
<P5>
形成が明らかでない物については、法の規制を免れるため、恣意的に有償譲渡を装う場合等も見られることから、当事者間の有償譲渡契約等の存在をもって直ちに有価物と判断することなく、上記アからオまでの各種判断要素の基準により総合的に判断されたいこと。さらに、排出事業者が自ら利用する場合における廃棄物該当性の判断に際しては、必ずしも他人への有償譲渡の実績等を求めるものではなく、通常の取扱い、個別の用途に対する利用価値並びに上記ウ及びエ以外の各種判断要素の基準に照らし、社会通念上当該用途において一般に行われている利用であり、客観的な利用価値が認められなおかつ確実に当該再生利用の用途に供されるか否かをもって廃棄物該当性を判断されたいこと。ただし、中間処理業者が処分後に生じた中間処理産業廃棄物に対して更に処理を行う場合には産業廃棄物処理業の許可を要するところ、中間処理業者が中間処理後の物を自ら利用する場合においては、排出事業者が自ら利用する場合とは異なり、他人に有償譲渡できるものであるか否かを含めて、総合的に廃棄物該当性を判断されたいこと。
② 廃棄物該当性の判断については、法の規制の対象となる行為ごとにその着手時点における客観的状況から判断されたいこと。例えば、産業廃棄物処理業の許可や産業廃棄物処理施設の設置許可の要否においては、当該処理(収集運搬、中間処理、最終処分ごと)に係る行為に着手した時点で廃棄物該当性を判断するものであること。
**********

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…第2回口頭弁論直前に県から届いた被告第1準備書面の驚くべき内容

2016-11-14 23:13:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■2016年1月23日の読売新聞記事によれば、東京電力福島第一原発事故で「汚染状況重点調査地域」に指定された自治体のうち、除染を終えたのに指定が解除されていない自治体が、福島を除く7県49市町村に上ることが、環境省への取材でわかりました。この原因は、 同省が除染で出た汚染土の処理を解除条件としながら、福島以外では処分先が決まっていないためです。事故から5年が経過する中、汚染土は学校敷地内などに保管されたままで、自治体に困惑が広がっていると結論づけています。



 国は、放射線量が比較的高い地域を抱える8県の99市町村を汚染状況重点調査地域に指定しています。局地的に線量の高い「ホットスポット」のあった首都圏の自治体も含まれており、このうち福島を除く7県では58市町村が除染実施計画を作り、49市町村が昨年11月中旬までに除染を終えましたが、残る9市町は終えていません。

 群馬県では、2011年12月28日付で桐生市、沼田市、渋川市、安中市、みどり市、下仁田町、中之条町、高山村、東吾妻町、川場村、片品村、みなかみ町の12 市町村が汚染状況重点調査地域指定を受けました。このうち、片品村とみなかみ町は、空間線量の測定の結果、空間線量率が減少し、汚染状況重点調査地域の指定の要件となった事実の変更があったとして、実際には森林地帯はまだまだ放射線量レベルが高いのになぜか2012年12月27日付けで指定が解除になりました。両自治体とも観光地なのでなんらかの配慮がなされたようです。

 除染実施計画を策定し、除染を実施している市町村は、桐生市、沼田市、渋川市、みどり市、下仁田町、中之条町、高山村、東吾妻町、川場村の10自治体で、安中市は恣意的な調査の結果、面的除染が必要な区域が確認されていないとして、除染実施計画さえ策定しようとしませんでした。

 このように、今でも除染の手が付けられていない群馬県の森林から放射能汚染された木材を運び出しチップ化して燃焼させると放射性物質の濃縮が起こり、燃焼灰の線量が著しく高くなることは明らかです。にもかかわらず、群馬県では東電グループの関電工が事業主体となって、赤城山南麓の電中研の敷地で20年間に亘り毎年8万トンもの放射能汚染木質燃料を燃やし続ける計画が進められています。

 この計画は、2015年4~5月の連休中に突然井戸掘りの騒音に悩まされた近隣住民が不審に思って調査した結果、発覚したものです。住宅地からわずか150mの地点で何の前触れもなく始まった関電工を事業主体としたバイオマス発電施設は、行政と事業者との間でどんどん手続きが進み、群馬県の配慮で環境アセスメントも免除とされてしまいました。
※前橋バイオマス発電施設周辺の航空写真

事業主体の関電工による前橋バイオマス発電施設の立地場所は、赤城ビュータウンからわずか150m。一方電中研の建物はそれより更に距離がある。
https://www.google.co.jp/maps/@36.4715336,139.1835946,1386m/data=!3m1!1e3

 このため、近隣住民は事業主体である関電工に情報開示を求め、公開質問をなんどもしてきましたが、関電工は極めて情報公開に消極的です。群馬県に至っては、関電工のために補助金の交付をいち早く手当てする始末で、近隣住民はとうとう補助金交付を差し止めるべく、2016年7月15日に住民訴訟に踏み切りました。

 その後、9月24日に第1回目の口頭弁論期日が行われ、来る11月18日に第2回目の口頭弁論期日が迫る中、群馬県から被告第1準備書面が届きました。内容は次のとおりです。

*****被告第1準備書面*****PDF ⇒ 201611141.pdf
<P1>
平成28年(行ウ)第12号 住民訴訟によるバイオマス補助金取消請求事件
原 告 小川賢 外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明

              第1準備書面

                        平成28年11月11日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中

          〒371-0026
           前橋市大手町三丁目4番16号
           石原一関・猿谷法律事務所(送達場所)
           TEL 027-235-2040 / FAX 027-230-9622
           被告訴訟代理人弁護士 石   原   栄   一

           同          関   夕   三   郎

           同          織   田   直   樹

           同指定代理人     栗   原   紀   喜

           同          多   胡   正   洋

           同          折   田   知   徳

           同          武   藤       淳

<P2>
           同          鈴   木   利   光

           同          石   井   米   吉


第1 本件補助金交付決定及び支出について
 前橋バイオマス燃料株式会社(以下「前橋バイオマス燃料」という)は,平成28年6月28日,渋川森林事務所長に対して本件補助金交付申請書を提出した(乙1)。これを受け,同所長は,前橋バイオマス燃料に対して,同年7月4日,本件補助金交付決定を行った(乙2)。なお,渋川森林事務所艮は,本件補助金の交付決定及び支出に関する権限につき,被告より委任を受けている(群馬県財務規則第3条の表4段目ハ・ニ(乙3))。
 本件補助金交付決定に基づいて,前橋バイオマス燃料は,同年8月5日,渋川森林事務所長に対して概算払請求書を提川し,2億2230万円の支払いを請求した(乙4)。これを受け,同所長は,同月16日,補助金概算払いとして,2億2230万円を支出した(乙5)。同様に,前橋バイオマス燃料は同月19日,1620万円の概算払請求を行い(乙6),渋川森林事務所長は,同月26日に,1620万円を概算払として支出した(乙7)。以上のとおり,渋川森林事務所長は,同日までに,本件補助金交付決定額4億8000万円のうち,概算払いにより,合計2億3850万円を支出した。

第2 監査請求結果通知書の受領日について
 別途調査嘱託申立てにより明らかにする。

第3 訴状3頁乃至10頁記載の(1)から(9)についての反論
1 (1)「補助事業の目的から逸脱していること」について
(1)補助事業の目的について

<P3>
 群馬県の森林面積は,県土の3分の2を占める約42万haにのぼり,その4割強にあたる約18万haが,人の手により植え,育てられた人工林である。この人工林の多くは樹齢40年以上の成熟期を迎えており,また,1年間における人工林の成長量は90万・を超えるため(乙8),そこから採れる木材を積極的に利用することにより資源の循環を図る必要があるが,木材価格の下落等を原因として林業従事者の生産意欲は減衰し,木材の利用は進んでいない。また,手入れの行われない山林は,土壌が痩せ,保水性も低下し,土砂災害の原因ともなっている。
 現状では,森林内で伐採された木のうち,木材として利用できる部分は全体の6割程度であり,残りの細い部分や曲がった部分は利用されずに森林内に放置されている。また,切り捨て間伐(伐木を全て森林内に放置する間伐)により放置される間伐材は,年間14万㎥以上(1,000ha以上。)にも及んでいる(乙9)。したがって,これら未利用資源の有効活用が課題となっている。
 本事業により,これまで用途がなく放置されていた森林資源に年間約8万㎥の新たな需要が生まれることになる。これにより,単位面積当たりの出材量の増加が図られ,生産性が向上し,林業従事者の所得向上や森林整備の推進につながるとともに,山村地域に資源の収集や運搬など新しい産業と雇用が創られ,地域の活性化に寄与することになる。この点,本事業が有益であることは原告も訴状で認めているところである。
 更に,木材という再生可能エネルギーを活用することにより,二酸化炭素の排出を抑制し,地球温暖化の防止にも貢献することも可能である。

(2) 本件補助事業の名称についての訂正
 原告は本件補助事業を「交付金」事業であると説明するが,誤りである。本件補助事業は,国の「森林整備加速化・林業再生事業費補助金」として県に交付された補助金を県で「基金」として造成し,この基金を財源として,林業・木材産業の成長産業化を実現するために必要な事業に対して,補助を行うもの

<P4>
である(乙10,乙1)。したがって,原告の主張する森林整備加速化・林業再生交付金とは異なる別の事業である。

(3)「法令違反行為」の主張について
 原告は,放射能汚染の被害を受けた群馬県や栃木県,茨城県等においては,リスクの増大に結びつく結果をもたらすことから,放射能の除染対策に手をつけられない群馬県やその周辺の森林からの間伐材を集積してチップ化して燃焼させることは,「法令違反行為」であると主張する。
 しかし,「法令違反」の主張については,具体的法令を示さない以上,失当である。
 この点,群馬県,栃木県,及び茨城県内で生産された木材の出荷については,法令上,放射能汚染の可能性を理由とする制限は無く,全国に流通している。
 なお,福島原子力発電所事故による帰還困難区域及び居住制限区域については,放射線の空間線量が高く,長時間の作業が制限されることを理由として,同区域からの木材製品の出荷が制限されているが,これは製品としての木材自体の放射能汚染を理由とする規制ではない(乙11)。

2 (2)「補助金交付を受ける資格がないこと」について
(1) 第2段落について
 補助金の交付資格の有無の判断は,議会における予算成立後,交付決定の前に,補助金交付要綱等に基づいて行うものである。したがって,原告の主張する「県議会本会議,一般質問までは補助金を受けるための事業主体」でなかったかどうかは,補助金交付資格有無の判断に影響を与えない。

(2) 第3段落乃至第5段落について
 ア 廃材利用について(第3段落及び第4段落に対応)
   被告が事業主体から提出を受けた計画書によれば,「未利用木材」と「製材端材」のみを利用し,原告が主張する「廃材」は利用しないこととされて

<P5>
いる(乙12)。なお,仮に事業者が,この点で虚偽の申請を行い,補助交付完了後に廃棄物等を利用する場合には,間伐材等の効率的な生産体制を確立し,森林資源を活用した林業・木材産業の再生を図る補助金の目的から逸脱するため,被告としては,補助金の返還を求める可能性がある。
 イ 本事業の成熟性について(第5段落に対応)
   原告は,本事業が「行き当たりばったりで未成熟な事業」であると主張するが,次のとおり理由がない。
   すなわち,本事業及び本事業により製造された木質バイオマス燃料を利用する発電事業(以下「本発電事業」という)は,平成26年9月に建設予定地の選定を行い,平成27年10月19日に前橋市長より都市計画法に基づく開発行為の許可を受け(乙13),平成28年3月11日に経済産業省よりFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を活用するための設備認定を受けている。このように,本事業及び本発電事業は,長期にわたり計画的に準備を進めてきたものである。
  また,本発電事業と同種の未利用木材を利用する木質バイオマス発電所は,平成24年7月1日のFIT施行後に稼働開始したものが,平成27年10月末の時点で福島県,栃木県を含む全国20箇所に存在し,現在も,全国で次々と構想,着工されている(乙14)。このように,本事業及び本発電事業は,経験と実績を有するものである。

3 (3) 「地元及び周辺住民への事業に関する周知が不徹底であること」について
  前橋バイオマス燃料らは,平成28年11月11日現在までに,戸別訪問による住民説明を2度,住民説明会を3度開催した他,地元地区の自治会長への説明会,希望する住民への説明を3度行うことにより,周辺住民に対し,事業内容,受入れ燃料,焼却灰,排ガス等の自主管理基準等について説明し周知した(甲8,9,乙15)。したがって,原告の主張する「事業内容の不透明性と情報開示への消極性」は認められない。

<P6>
4 (4) 「事業主体の出資者である関電工の社是や環境方針と合致しないこと」について
 本件補助金支出の適法性とは関わりがないため,認否反論の必要性を認めない。

5 (5) 「安全な間伐材を県内から安定的に調達することは不可能であること」について
(1) 第2段落について
  平成27年における群馬県産木材の生産量は28万5千㎥であった(乙16)。これに対し,群馬県内人工林の年間成長量は90万㎥を超えており,前橋バイオマス発電所で利用される量を勘案しても,それ以上に大量な未利用資源が県内には存在している。
   また,群馬県では,林業振興を図るため,群馬県森林・林業基本計画を策定し,各種施策を展開しており,この計画では,平成31年までに県産木材の生産量40万㎥/年,うち燃料用チップ・ペレット生産量11万㎥/年を目標としている(乙17)。したがって,前橋バイオマス発電所の受入量は現実的な数値である。

(2) 第3段落について
  前記2項(2)アで述べたとおり,事業主体から提出された計両書によれば,「未利用材」と「製材端材」のみを利用し,原告が主張する「廃材」を利用することはない。
(3) 第6段落について
  本事業は,前記1項(1)で述べたとおり,群馬県の林業振興,ひいては群馬県全体の利益となるべく実施されるものであり,これに対する補助金の交付も同じ目的である。

<P7>
6 (6) 「事業主体の信頼性に瑕疵があること」について
  被告は,事業主体より,本事業について近隣住民に反対意見があることについて報告を受けている(甲8)。

7 (7) 「放射能汚染対策に重大な不備があること」について
  事業主体においては,地域住民の不安の声に対応し,放射能汚染対策について自主管理基準を設け,それを遵守するためのバグフィルターや計測装置の設置を計画している(乙15)。したがって,少なくとも,「放射能対策が全く盛り込まれていない」という原告の主張は理由がない。
  また,被告においても,地域住民に不安の声があることを受け,環境関係法令を所管する前橋市と連携し,事業者の環境対策について確認を行っている。

8 (8) 「本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること」について
  本事業の事業主体は,前橋バイオマス燃料のみであり,株式会社卜-センは事業主体ではない。また,同社における火災事故は,補助金交付の要件に直接関わりがない。

9 (9) 「環境アセスメントを実施しないまま計画を脱法的に進めようとしていること」について
(1) 基本的考え方
  環境アセスメントは,環境影響評価法や群馬県環境影響評価条例に定める規模要件に該当する対象事業を実施しようとする事業者が,同法や同条例に基づく環境配慮手続を履行することで,自主的に環境保全上の適正な対応を行う制度である。したがって,対象事業毎の規模要件の該当の有無についても同法や同条例等の要件に照らして,事業者自らが確認し,手続の要否を判断するものである。本事業ないし発電事業においても,次のとおり,事業主体自らが手

<P8>
続の要否を判断し,被告はその判断を尊重したものである。
(2) 本事業について
  前提として,本事業における事業主体は,前橋バイオマス燃料のみであり,同社は「発電」事業を行わないため,本事業は直接環境アセスメントの対象とはなりえない。もっとも,本事業により製造した木質チップを「発電」事業で使用することから両事業は密接に関連するため,被告は,本件「発電」事業がアセスメントの対象となる要件に該当するかにつき考慮の対象とし,事業者より以下のとおり口頭にて説明を受けた。
  まず,環境影響評価法では,アセスメントが必要となる規模要件として,「発電」事業の場合,出力11万2,500KWと定めている。本件バイオマス発電事業は,火力発電所であるが,出力が6,700KWであることから,同法に定める規模要件を満たさない。
  他方,群馬県環境影響評価条例によると,本件発電事業は,工場・事業場の新設の事業として,群馬県環境影響評価条例施行規則別表1の6の項の排出ガス量規模要件(標準状態で4万立方メートル以上)に該当する場合,アセスメントの対象となる。もっとも,本件発電事業は,施設からの総排出ガス量は,同条項及びその運用(乙18)に基づき算出すると,標準状態で約3万9千立方メートル/時であり,アセスメントの対象事業とはならない。
                            以 上
**********

■訴訟に踏み切ると行政の本性が分かります。いつもは納税者である住民に対して、行政窓口では丁寧な言葉遣いですが、ごらんのとおり訴訟となると一変します。訴訟においては、県民の安全・安心を守ってくれるなどという行政に対する妄想はたちまち消し飛ぶのです。

 いずれ正式に反論するとして、一読したところ次の疑問がわいてきます。

(1) 我々住民がもっとも心配している県内の森林地帯における放射能汚染のことについて、まったく触れようとしないのはなぜか?

(2) 切捨て間伐はもともと採算に合わないからとして、ぐんま緑の県民税をつかって切捨て間伐をした木材はそのまま放置することを前提にしていたのに、これらも有用資源としてバイオマス発電の燃料に手当することになったのはなぜか?

(3) 二酸化炭素の排出抑制というなら、これまでCO2を固定してきた木材を一気に燃焼させてCO2を生み出す今回の事業の意義はなにか?

(4) 本件補助事業が交付金事業でないとすれば、群馬県が議会に上程したのは一体なんだったのか?

(5) 原告らは法令違反について、地方自治法第2条に定めた最小経費、最大効果の観点からするとこのバイオマス事業はルール違反だから法令違反行為だと主張しているのに、なぜ「具体的法令を示さない」などと被告は言えるのか?

(6) 群馬県の主張だと、木材の製品としての出荷は放射能汚染とは無関係に自由に取引できる、などと言っているが、滋賀県に不法投棄された放射能に高濃度汚染された樹皮(バーク)はなぜ撤去されなければならなかったのか?

(7) 木材の流通は自由だという主張だが、我々住民側は、集積した木材を長期間燃焼するという行為により、副産物として排出される排ガス、焼却灰、搾り汁にセシウムが含まれているのが問題だと言っているのであり、このことについてきちんと回答しないのはなぜか?

(8) 「事業主体の関電工から提出された計画書では『廃材』は利用しない」としているというが、前橋バイオマス燃料の定款に「廃材」も取り扱うと書いてある。なぜ計画書だけを鵜呑みにしたがるのか?

(9) 「事業者が虚偽の申請を行った場合には補助金の返還を求める可能性がある」というが、既に事業主体が虚偽の申請を行っているわけだから、早期に補助金の返還をもとめるべきであり、なぜぐずぐずと事業を推進させているのか?

(10) そもそも住宅地の目と鼻の先で大型のバイオマス燃焼施設を設置資料とすること自体行き当たりばったりで未成熟な事業である。被告は、県民の安心・安全で健康な生活環境と自然環境、営農環境を最優先にしなければならない立場なのに、なぜ事業主体の都合ばかり慮るのか?

(11) 前橋バイオ燃料は一度も住民に対して説明をしていないし、住民説明会開催時にも業務主体の関電工らに発言を抑えこまれている。にもかかわらずなぜ被告は「周辺住民への周知については問題がない」などという見方ができるのか?

(12) 補助金支出先の事情を調べずになぜ公金である補助金が支払えるのか?

(13) 木材を燃焼させることはCO2を放出することになるのに、なぜ木材の未利用資源の燃焼にこだわるのか?

(14) 事業主体から提出された計画書に「廃材」がないというのであれば、定款にも「廃材」の文字はあってはならない。定款に廃材という文字があることは、廃材も受け入れることを前提に事業をおこなっていることになるはず。虚偽の申請に対しては補助金を即刻回収すべきであるが、なぜそれをやろうとしないのか?

(15) 「本事業は群馬県の林業振興、ひいては群馬県全体の利益となるべく実施される」と主張する被告の無思慮な主張は到底県民の安心・安全な生活環境の保全の観点から受けれられないものである。なぜ被告は事業者側の論理で物事を考えたがるのか?

(16) 被告は事業者による放射能汚染対策に不備がないと主張するが、自主管理基準はデタラメで、バグフィルターや計測装置の設置だけでは濃縮されたセシウムの安全処理には結びつかない。最良の方法は住宅地の目と鼻の先にこうした危険な施設をつくらないことだ。にもかかわらず被告が事業者を擁護する主張を繰り広げるのはなぜか?

(17) 前橋バイオマス燃料の出資比率について、原告が何度も関電工に聞いたが、彼らは黙秘するだけだ。なぜ被告は本事業の主体としてトーセンは含まれないとの見方ができるのか?
(この点は文書提出申立てで、出資比率のデータを裁判所に申し立てる必要があると思われる)

(18)環境アセスをせずに計画を進める事業主体に対して被告はなぜそれほどまでに理解を示すのか?

(19) あいかわらず環境アセスは事業者の主体性に依存し、事業者の判断を尊重するなどと、なぜ被告は言えるのか?それほどまでに事業主体を擁護する理由は何か?

(20) なぜ環境影響評価法を持ち出すのか?なぜ2割オマケをするのか?また2割オマケをするとなぜ約3.9万㎥/時となり、オマケをしないと約4.68万㎥/時となるのか?
(その根拠を示させるために裁判所の文書送付嘱託申立をする必要があると思われる)

■バイオマス発電について放射能汚染に触れたがらない群馬県は、本当にもう放射能汚染について県民に心配無用だと安全宣言をしたのでしょうか?しかし、そういう情報は聞いたことがありません。

 被告と同じく群馬県環境森林部の環境保全課のHPには次の記事が掲載されています。
http://www.pref.gunma.jp/05/e0900088.html

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群馬県放射線マップ
 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により、大気中に放出された放射性物質が群馬県にも到達し、一部の地域では国の除染基準を上回る高い放射線量が認められました。
 これらの地域では、生活圏から放射性物質を取り除くことが、現在喫緊の課題となっています。県、市町村では、昨年5月に「県・市町村放射線対策会議」を設置し、県内の線量調査や除染、ホットスポットの除去等の対策を協力して進めてまいりました。その結果、県内の放射線量は、着実に低減してきております。
 その状況を目に見える形でお示しするため、この度、「群馬県放射線マップ」を作成しました。このマップは、県と市町村が、公園等の生活圏を中心に放射線量を定期的に測定し、その数値を地図化したものです。また、皆様がお住まいの地域の放射線量も群馬県ホームページから個別に確認することができるようになっています。
 県・市町村放射線対策会議では、今後とも調査を継続してデータを更新し、正確な情報の提供に努めてまいります。
 このマップが多くの方に利用され、県内の放射能汚染の現状に対する理解が一層深まることを期待しております。
 平成25年3月
 県・市町村放射線対策会議
 平成25年5月の測定データを追加して、「群馬県放射線マップ」を更新しました。
 平成25年11月
 平成25年11月の測定データを追加して、「群馬県放射線マップ」を更新しました。
 平成26年3月
 平成26年5月の測定データを追加して、「群馬県放射線マップ」を更新しました。
 平成26年9月
 平成26年11月の測定データを追加して、「群馬県放射線マップ」を更新しました。
 平成27年2月
>1.群馬県放射線マップについて
(1)測定実施者

 県、市町村
(2)測定地点
 生活圏を中心に、公園、学校など、地域を代表する地点を選びました。
 平成23年9月は、県、市町村がそれぞれ独自に測定した数値を用いました。平成24年9月には、県全域で生活圏をカバーできるよう調整し436地点を追加、平成25年5月には、さらに9地点を追加しました。
平成23年9月:679地点
平成24年9月:1115地点
平成25年5月以降:1124地点
(3)使用した測定機器
エネルギー補償型シンチレーション式サーベイメータ
 (日本工業規格に基づき校正を行ったもの)
簡易線量計
 (日本工業規格に基づき校正済みの機器で簡易校正を行ったもの)
モニタリングポスト
 (日本工業規格に基づき校正を行ったもの)
(4)測定方法
測定高さ
 地上1メートル
測定日
 平成23年9月30日(※注)
 平成24年9月30日(※注)
 平成25年5月31日(※注)
 平成25年11月30日(※注)
 平成26年5月31日(※注)
 平成26年11月30日(※注)
(※注)基準日。実際の測定日が違う場合は、測定日の違いによる差異をなくすため、基準日の数値に補正しています。
(5)表示方法
 測定値を5段階に区分し、色別に表示しました。
 (青色)0.10未満
 (水色)0.10以上 0.20未満
 (黄色)0.20以上 0.30未満
 (橙色)0.30以上 0.40未満
 (赤色)0.40以上
 単位:μSv/h(マイクロシーベルト/時)
2.航空機モニタリング測定結果
 平成23年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故で大気中に放出された放射性物質は、関東地方にも達し、当日降雨があった地域等で地表に沈着しました。
 群馬県でも、福島県と比べ濃度は低いものの、北部の山間部を中心に一部で0.5μSv/h超の地域が認められました。
 本県に飛来した主な放射性物質は、ヨウ素131(半減期約8日)、セシウム134(半減期約2.1年)、セシウム137(半減期約30年)です。
 半減期が短いヨウ素131は、現在はほとんど存在していません。セシウムについても、平成23年9月から15ヶ月が経過した平成24年12月の時点で、おおよそ4割程度の自然減衰が認められました。
 平成25年11月時点の国の航空機モニタリング調査では、前回(平成24年12月時点)は積雪のため計測できなかった県北部山間部についてもデータが得られました。それによると平成23年9月時点と比べ、北部山間部でも放射線量が減少している状況が分かります。
詳しくは文部科学省が実施した航空機モニタリング結果をご確認ください
原子力規制委員会 航空機モニタリング測定結果(平成23年9月時点)(PDF・1.46MB:外部リンク)
原子力規制委員会 航空機モニタリング測定結果(平成24年12月時点)(PDF・3.70MB:外部リンク)
原子力規制委員会 航空機モニタリング測定結果(平成25年11月時点)(PDF・1.06MB:外部リンク)
3.県内の空間放射線量率の実測値
 生活圏を中心に、地上1メートルの空間放射線量率を調査しました。
 平成23年9月30日時点で、調査を行った679地点のうち、0.2以上0.3μSv/h未満は全体の5.6%(38地点)、0.3以上0.4μSv/h未満は0.7%(5地点)でした。なお、0.4μSv/h以上の地点は確認されていません。
 平成24年9月は測定地点を増やし、1115地点で調査を行いました。
 0.2以上0.3μSv/h未満は、全体の1.5%(17地点)でした。平成23年9月に5地点あった0.3以上0.4μSv/h未満の地点は無くなり、また、0.2以上0.3μSv/h未満の地点も、市町村数にして13から8に減少するなど、市町村等による除染対策の進捗や自然減衰により、1年前と比べ、生活圏における空間放射線量率は着実に減少してきています。
 平成25年5月は、1124地点で調査を行いました。
 平成24年9月時点に比べ、県内の空間放射線量率はさらに低減し、0.2以上0.3μSv/h未満は、全体の0.4%(5地点)に減少しました。
 平成25年11月は、1124地点で調査を行いました。
 平成25年5月時点に比べ、県内の空間放射線量率はさらに低減し、0.2以上0.3μSv/h未満は、全体の0.1%(1地点)に減少しました。
 平成26年5月は、1124地点で調査を行いました。
 平成25年11月時点に比べ、県内の空間放射線量率はさらに低減し、0.2以上0.3μSv/h未満の地点は無くなりました。
 平成26年11月は、1124地点で調査を行いました。
 平成26年5月時点と同様に、0.2以上0.3μSv/h未満の地点はありませんでした。
※単位:μSv/h(マイクロシーベルト/時)

PDF ⇒ qnbvih23.9.30j.pdf
放射線マップ(平成23年9月30日時点)

PDF ⇒ qnbvih24.9.30j.pdf
放射線マップ(平成24年9月30日時点)

PDF ⇒ qnbvih25.5.31j.pdf
放射線マップ(平成25年5月31日時点)

PDF ⇒ qnbvih25.11.30j.pdf
放射線マップ(平成25年11月30日時点)↑

PDF ⇒ qnbvih26.5.31j.pdf
放射線マップ(平成26年5月31日時点)

PDF ⇒ qnbvih26.11.30j.pdf
放射線マップ(平成26年11月30日時点)

詳細はマッピングぐんまで確認できます(外部リンク)
マッピングぐんま(群馬県放射線マップ)↓
http://mapping-gunma.pref.gunma.jp/pref-gunma/top/agreement.asp?dtp=120&dtpold=&npg=/pref-gunma/top/select.asp&npr=dtp=120/pl=3

このページについてのお問い合わせ
環境森林部環境保全課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-897-2841
FAX 027-243-7704
kanhozen@pref.gunma.lg.jp
**********

■これを見ると環境保全課は一応群馬県が放射能汚染されている実態について、ある程度認識はしている様子がうかがえます。でも、なぜ同じ部の林業振興課はそのことを準備書面に記そうとしないのでしょうか。また、同じ部の環境政策課は、なぜ事業主体である関電工に環境アセスメント不要とする行政指導を行ったのでしょうか。

 11月18日の第2回目の口頭弁論期日は10時30分から前橋地裁2階の21号法廷で開かれます。関心のある方はぜひ傍聴にお出かけください。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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