■大同スラグ問題で、有毒スラグを農業地帯の農道にばら撒いたうえ、当会の撤去要請にも耳を貸さずに、公金でスラグの上に蓋をするなど、違法・不法行為三昧の群馬県を相手取り、平成27年4月30日に提訴したこの事件も、早くも1年半が経過します。そうした最中、11月11日(金)午前10時30分から第7回目も口頭弁論期日が前橋地方裁判所の2階にある21号法廷で開かれました。
冒頭に裁判長から、今回期日における原告被告双方からの提出資料の確認が行われました。まず初めに原告からの11月4日の準備書面(11)の陳述、及び甲号証の49から52まで、これらを写しで提出したことを陳述しました。被告からは今回の期日には特に提出文書はありませんでした。
続いて裁判長は「双方に伺いたい件がある」として、「萩生川西地区区画整理補完3工事というのが問題となっているが、それはどこか、ということ。証拠で出ている地図のなかの、ここだと特定できるのか。たとえば甲8号証とか、甲19号証の地図の中で、ここだとわかれば教えてほしい」と質問してきました。
原告はいきなりの質問で面喰いました。補完3工事というのは、提訴前の住民監査請求に先立ち、我妻農業事務所を訪問して現場の位置を確認してから現地に赴いた経緯は覚えていますが、その際、渡された地図に基づき、数か所の現場を訪れたことは記憶しています。ただし、しばらく時間が経過したため、頭の中の記憶が整理しきれませんでした。
〇2014年6月5日:敷砂利に大同スラグを使った東吾妻町の農道に急遽舗装を被せ証拠隠滅を図る県環境行政の臭い物にフタ体質↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1309.html#readmore
〇その際に吾妻農業事務所から入手した地図。5か所の舗装箇所が示されている。↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/html/hagyuchikudaidoslaghosou.pdf
裁判長は被告群馬県側にも確認を求めました。乙16号証にも工事場所が示してあるとのことです。裁判長は農道舗装工事の場所はどこかをしきりに特定したがりました。被告は、乙16号の1枚目に4か所が示されていて、2枚目に1か所が示されていると述べました。これは、原告の記憶とも一致します。区画整理補完3工事の中に農道舗装工事が含まれていることは双方確認できていることになります。
■そのことを確かめると裁判長は口調を変えて、被告に対して噛んで含めるように質問を始めました。
被告側もなんとなく怪訝な面持ちで裁判長の口元を見ています。裁判長はおもむろに「まずは、ゆっくりと一度言うから、意味が分からなければ聞いてほしい」と切り出しました。
そして裁判長は、「被告は、『下層路盤材は基準値内であるが、風評被害を避けるためもあって補完工事をした』と主張した。その主張は、それから話が前提になっているのか?という質問だ。『前提となっているのか?』という部分をこれからゆっくりと述べる。風評被害を防ぐことができるということは、仮に、下層路盤材から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出される恐れがある場合であっても、その後、『アスファルト整備をすれば環境基準を超えないこととなる』ということを前提にしているのか?風評被害というのは、『それをしたら安心だ』という意味だから、もし、その(有害物質が)検出されるおそれがある場合でも、『アスファルト整備をすれば環境基準を超えない』ということが肯定できないのであれば、風評被害は防げないのではないか、と思っての質問だ。風評被害を防ぐことができるということは、仮に、下層路盤材から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出される場合があっても、その後、アスファルト整備をすれば環境基準を超えないこととなる、ということを前提にしての主張なのか?」と被告に尋ねました。
被告はすぐに答えられずにいましたが、裁判長に「そうでしょ?」と促されると「はい」と短く答えました。
■裁判長は続けて「それはわかっているんでしょう?(被告が)言っていること。もともと被告の主張が環境基準を超えていないという主張であることは確かだ。だから、風評被害で、風評被害というのは害がないのに風評があるから、ということなんだね?」と言いました。被告は「はい」と頷きました。
裁判長は「でも、風評被害を防ぐために、つまり避けるために、ということは、その工事をすれば安心する、という意味だろうから、じゃあ、アスファルト整備というのは六価クロムとかフッ素がある時に効果のあることなのか?効果がないのであれば、風評被害を避けるためというのは、言っているだけで気休め以外の何物でもないと思う。質問の意味は分かるか?」と重ねてゆっくりとした口調で被告に念を押しました。
被告訴訟代理人は「わかります。ここでいう風評被害の原因が、汚染されているかどうか、なんとなくそれがこう周囲に、あのう、なんか、えーと、手が触れない状態で露出しているとか、あるいはそれが、あのう、風にのってこう散逸するとか、そういう不安、それが風評被害の原因になるので、それは舗装すれば、そういう不安は解消されると・・・」というふうな答えをしました。
裁判長は「そういうことだとすると、やはり(準備書面に)書いてもらったほうが良いかもしれませんね?」と促すと、被告は「はい」と答えました。
裁判長は「風評被害の意味だが、そうするとアスファルト整備というのは、必ずしも、六価クロムとかフッ素を防ぎきるわけではない。フッ素とか、六価クロムがある、この場所とは別の問題なのだが」と前置きをして、そして「フッ素とか六価クロムが検出される、そういう場所があったときに、アスファルト整備をすれば環境基準を超えないことになるという、そういうもの、そういうことではないのか?」と、アスファルト整備の意義について被告に確認を求めたところ、被告は「そうではないんです」と答えました。
裁判長は「(準備書面には)そういうことを、よく分かるように書いてほしい。で、そうだとすれば、アスファルト整備をした後も、鑑定すれば、鑑定することで六価クロムとかフッ素が出てくるという可能性があるということだね?そういうことか?」と被告に細かいニュアンスを確認したところ、被告は「はい」と答えました。
ここのところは重要なので、さらに裁判長は「そうだね。認識は同じか?例えばアスファルト整備をしたあとでも、その下に特価クロムとかフッ素があれば、検査すれば、フッ素とか六価クロムは検出されるということであれば、アスファルト整備をしたあとでも、測定する価値があるということで、そういうことでよいか?」と被告に念を押したところ、被告は「はい」と答えるのみでした。
■続いて裁判長は今度は原告のほうを向いて「で、裁判所から原告に質問だが、今からでも、検査すればいいと(原告は)しきりに言っているが・・・」と述べ始めました。原告は何かしら高揚感で思わず「はい、はい、はい」と3度も立て続けに返事をしてしまいました。
そして裁判長は本日の訴訟指揮の中で最も重要な一つを原告に提案してくれました。「そういう場合は、鑑定の申立てをするのが普通だが、鑑定の申し立て」をする気が(原告には)あるのか?」と質問しました。原告は「ああ、そうか。それは手続き上の問題で知らなかったのだが、ぜひそういう申立てをしたい」と答えました。
すると裁判長は、生徒に教える先生のような感じで、原告に対して「不思議に思った。(原告が)言っている『今から調べればいい』という意味を考えていくと、鑑定という方法があるということを説明したほうがいいと思った」と語ってくれたのでした。思わず被告は「
ありがとうございます。ではぜひそれを申し立てたいと思います」と声を弾ませました。
裁判長は「結局、きょう最初から聞いていることは、仮に鑑定するとすれば『ここがその場所である』ということで、場所をまず確定しないことには始まらないからね」と、これまでの種明かしをしてくれました。原告は「わかりました!その通りです!」と力強く答えました。
■鑑定という方法を原告に示唆してくれた裁判長は「なお、手続き的なこととしては、最終的な負担は判決で決めるのだが、鑑定申立てをした場合には、申立てした側がそれにかかる費用を予納していただかないといけないので、いくらくらいかかるか分かるか?」と俄かに難しい質問を原告に投げかけてきました。
原告は「見積もらないと(いくらかかるのか)わからないので・・・。ちょっと私も、造船の事は詳しいのだが、土木のほうは余り詳しくないので・・・」と少し口ごもってしまいました。
裁判長は「前に片山化学に調査嘱託などをした関係からすると、だいたい一度やったときにいくらくらいしたか、は分かるものだが?」というので、原告は「だから、(有毒スラグの)上に簡易舗装してしまったので、それはいわゆるプロファ設計のように、県が公金でボーリングをして、サンプリングして測るということになる。一方、片山の場合は、(工事現場で)拾い出したやつをそのまま持ち込んだという形態なんだと思う」と感想を述べました。
裁判長は「今の被告の話だと、アスファルトの上からでも検出できるという話みたいだ。いずれにしてもどういう方法がもっともよいか、という事について検討しておいたほうがいい」と有益なサジェッションを原告にくれました。
■その時被告から「すいません。ボーリングしないとダメだ」とコメントが放たれました。裁判長は「もしそうだとすれば、そのお金もかかる」と原告に言いました。
金策が必要になることがわかった原告らは、互いに顔を見合わせて「さて、どうするかな。どくのくらいかかるのかなあ」と嘆息したあと、「あのう、検出されたら、いずれにしても原告側の(とりあえずの)負担になるのか?勿論、証拠になるわけだから、承知の上だが」と裁判長に尋ねたところ、裁判長は「今から検査すればいいではないか?と何度も言うので、『うーむ、だったら鑑定になるはずなのに、なぜ調べないのかな?』とずっと疑問に思っていた」と原告に鑑定という方法があることを伝える機会を探っていたことを明かしました。
原告は「なるほど、本来は道路管理者の許可を得なければいけないのでね。道路管理者はそっち(=被告)なんで、どうせイエスというわけはないんでね。もしOKが出るんだったらそういう話はどんどんやりますよ」と言いました。すると裁判長は「そういうふうに先回りして心配する前に、まず原告として、これは重要だから、というふうに考えているから(検査のことを)言ったのだろう?」と、原告がグズグズ言うのをバッサリと切り捨てました。原告は「はい、考えている。その通りだ。おっしゃる通りだ」と直ぐに応じました。
裁判長は「だったら鑑定の申立てをしてみては?」と言い、原告は「はい」と頷きました。
■続いて裁判長は「で、被告は被告で、(原告が提示してきた鑑定について)その方法ではベストではない、このほうがいいとか、それはできないとか、また意見を頂くことになると思う」と語りました。原告としては「そうですね。もっと早い時点で(鑑定という方法に)気付けばよかったかもしれなかったが、よくわかりました」と言いました。
裁判長は次に被告のほうを向いて「最初に戻って、区画整理補完3工事の対象となった場所はどこかということで、書証を用いて説明してほしい。それから、農道舗装工事についても、そのうちの一部だということだけれども、書面にて説明してほしい。書証を用いて準備書面で書いてほしい。それから下層路盤材は基準値内であるが風評被害を避けるためだという意味として先ほど言ったことが前提でないというのであれば、こういう事だという説明をしてほしい。先ほど話した内容は、期日調書の別紙にするので、それは違うということ、そういうことを前提としていないならば、前提としていない、ということで送ってもらいたい」と指揮をしました。
さらに裁判長は「原告に対して、今日裁判所から話したことはこれから調書にとってもらう。今からでも検査すればいいというふうに言っていた件に関して、原告のほうから鑑定する申し出をする意思があるかどうか、医師がある場合、どういう鑑定を希望するかを明確にしてほしい」と指揮をしました。勿論原告としては異存がありませんので「はい」と答えました。
■すると裁判長は「ちょっと主任裁判官から」というと、陪席の裁判官に発言を促しました。陪席の主任裁判官は「今回、被告に質問だが、結局、問題となるのは事務所長さんの行為だが、鑑定をしたところの結果、直接、応、成果というと、まあフッ素があるという場合は、それはおいといて、先ほど裁判長から言っていただいた件で考えているのだが、そもそも、敷砂利というかアスファルトを舗装していない状況で、環境基準を超えるフッ素なり六価クロムが出てきたということが仮にあったとして、それは環境法系のなんかの法理で説明しなければならないと思うが、その後にアスファルトを舗装したからその違法が解消されるという事はないという立場だが、それは大丈夫か?」と被告訴訟代理人の弁護士に尋ねました。
被告の弁護士は「違法が解消される・・・?」と怪訝そうな顔をしました。
主任裁判官は「つまり、アスファルトなりで舗装すれば、もう、その有害物質かなんかは地表から、空中なりなんなりにはもおう出てこないのだから大丈夫だという立場ではないのか?そこは」と追加的に説明しました。被告のほうを見ていた裁判長も「先ほど裁判所からそこは前提としてどうなのか、ということと、今のを併せて関連する問題なので、別紙にしてお渡しする」と声を投げかけました。
被告は「はい。環境基準越えの物質がこう実際に使われてしまった場合、今度はそれに対する対応は土壌汚染防止法によって、その、まあ、撤去するのか、あるいは、えー、被覆等をして保存するのかほぞんすることになってくるんですね。ただ今回の場合も、仮に、あのう、敷砂利として違法な、違法というか、環境基準を超える砕石が使われた場合、やはり土壌汚染防止法の観点から撤去するのか、あるいは被覆をして、あのう保存的に見るのか、というそういう判断が為されると思う」と言いにくそうに答えました。
陪席の主任裁判官は「そうすると、アスファルト整備というのは被覆とは別か?」と被告に確認したところ、被告は「同じだ」と答えました。裁判長は「やはりちょっと、やはりちゃんと説明してほしいわね」と呆れ顔でした。原告も思わず「へー、なんでもありじゃないか?やり放題じゃないか?」と口走ってしまうほど、被告の発言は驚きでした。
■そのため被告は慌てて「あのう、掘れば、環境基準を超える物質が入っているとすれば、掘れば、環境基準を超えるものが出て来る」と付け加えました。
主任裁判官は「ではアスファルト整備をしていればいいか、という方法で適法になるということも有るということか?」と尋ねると、被告は「・・・適法というか、環境基準を超える物質があるときに、まあ、被覆、まあ土壌汚染報上は被覆をすれば、まあ、あの、それでいいということになる」と苦しい答弁を余儀なくされたのでした。
裁判長は「その被覆の中にアスファルト舗装整備というものもあるということも、今回行われたことは、それに発しているかどうかもわからないんですね?」と尋ねると被告は「ああ、その土壌汚染防止上場で求められていると?多分」と述べました。
裁判長は「じゃないかということ、その辺を整理しておいてください」と指揮し、被告は「分かりました」と答えました。
これを聞いていた原告は「もともと土壌汚染じゃなくて、毒物を混ぜたものを(道路の表面に)敷くというところが悪いわけだからね?」と発言したところ、被告は「撤去が必要がどうかということは、その、土壌汚染防止法で判断することになる」というので、原告は「じゃあますます、有害物質をね、あのう、まあその風評被害ということでハッキリ言わないけれども、それを(舗装で)覆うことによってそれを回避するんだというような目的で舗装したわけですよね」と畳みかけたところ、被告は「いや、いや、それは違う」と否定しました。
原告は「だけどステージコンストラクションという言い方はどうなのか?」と更に畳みかけましたが、裁判長が「まあまあ、裁判所の方から、鑑定という手法があるということで・・・」といきり立つ原告をなだめたので、原告は「分かりました、申立てをします」とトーンを緩めました。
裁判長は「そういうわけなんだが、それをよくよく検討してこうことをしてほしいと、場所がどこかというか、ということで争いになるよりは、これからから検査をすれば、そういう問題も生じないように。そういうことだから」と、今回は原告に鑑定という方法を示唆したことで納得するように指揮してくれました。
■憤懣やるかたない原告としては「ええ、まあ、でも、ステージコンストラクションだとかね、要するに訳知りで(不法投棄を業者にさせたうえに)公金で(有毒スラグの)上に蓋をしたわけですよ、まったく(不届きな輩だ)」と最後に少しまた言わせてもらいました。
裁判長はさすがにこれには付き合いきれない様子で「次の期日を決めないと。次の事件に差しさわるので」と、本日の終幕の用意を切り出しました。原告はすぐにそれを察知して「ああ、5分前ですね、どうぞ」と裁判長に言うと、裁判長は「はい、今日はたくさん話をさせて頂いた」と感想を述べました。
原告は「ありがとうございます」と謝意を述べましたが、裁判長は「準備にどれくらいかというところで、それぞれどれくらいかかるか?」と質問してきました。
原告は「1ヶ月くらい。だが、鑑定のやり方は勉強するけれども、それを裁判所に申立てて、それでよろしいということで・・・」とグダグダ言いはじめたところ、裁判長は「申立てるんでしょ?」とピシャリと言うので、原告は「すぐに申立てます。場所の特定も。こちらの方としても資料を調べる」と述べました。
裁判長は「(スラグの投棄された)場所で争っていてはどうしようもないからね。被告は?」と被告の予定を聞きました。
被告は「1ヶ月くらい。まあ年末いっぱいくらいですね」と言うと、裁判長は「23日が休みなので、(その前は)16日となる。だから期日としては1月20日」と次回期日を指定しました。
さっそく原告らは「1月20日は差し支えありません。OKです」と回答しました。
一方、被告側も「1月20日か・・・。はい。大丈夫です」と答えました。
■裁判長は「11時に。1月20日金曜日が期日です。この部屋に来ていただくと。それはそれとして原告は早急に申立てをするということですね?」と言うので、原告は「はい」と答えました。
裁判長は「(原告からの鑑定)申立が出たら、それに対して被告の意見をお願いすることになる。どれくらいで、目途として、今月中とかでよろしいか?」と原告に質問してきたので、原告は「もちろん。今月中でいいです」と答えました。
さらに裁判長は「原告は申し宛をするかどうか、するとしたら、どういう申立てをするか、それを今月してもらう。一旦は、(鑑定に)かかる費用を予納してもらうから。そこも(鑑定を)採用したらお金がないということになるので、裁判所も出所がないので、そこも検討してほしい」と原告に念押しをしました。
一方被告に対して裁判長は「被告は11月中に原告が出した鑑定の申立てについての意見も、お願いしたいが、11月中に(原告から鑑定が)出た場合にはそこから?」と尋ねると、被告は「3週間くらい」と答えました。裁判長は「だったら(12月)23日まで?」というと、被告は「年内にお願いできないかということで」と答えました。
すると裁判長は「いつまでということか?23日は休みだし、例えば12月27日までに」と被告に期限日を決めるように求めたところ、被告は「12月27日」と答えました。
裁判長は、今度は原告に対して「原告は、場所の特定をするということで、それはいつまでか?」と尋ねたので、原告は「鑑定申立て並行して調べるので、今月中に出す」と答えました。
裁判長は「被告は、12月の27日、原告が鑑定の申立てをしたことに対しては1月の13日までに」と指揮をとり、最後に「では今日はこれにて。じゃあ来週明けてから、FAXで今日うかがったことを確認をするということで」と言葉を残し、本日の第7回目の口頭弁論期日を終わったのでした。時間は11時になろうとしていました。既に、次の裁判の関係者が入廷を始めようとするところでした。
↑第7回目の口頭弁論期日を終えて、県庁へとゾロゾロと徒党を組んで歩いて戻る県庁職員ら。こころなしが肩を落として歩いているように見えるのは気のせいか。↑
↑いつも思うのだが、我々原告住民は仕事を休んで裁判所に行くのだが、県庁職員らは公務として給与をもらいながら公務をさぼってゾロゾロと裁判所に行く。また裁判費用も我々住民は手弁当だが、県庁職員は全て我々の税金を使って弁護士を起用する。ならば、弁護士に任せて自分たちは公務に精励するのが務めという者ではないだろうか。↑
■こうして第7回目の口頭弁論期日はドラマチックに展開されました。何よりも重要なのは原告に対して「鑑定」という手段を裁判所から教示いただいたことは何より収穫でした。
しかし、鑑定には、場所の特定とサンプリングの採取及び分析という作業が伴うことになり、場所の特定作業とともに費用面での見積作業も必要になります。当会の総力を投入して、最善の方法で11月末までに鑑定申立てができるように準備に邁進する所存です。
※上記のやりとりは当事者の記憶と、傍聴者のメモを基に当会が独自に作成したものであり、決して正確なものではありません。正式には今週裁判所から送られてくる期日調書が正となりますので、予めご了承ください。
【11月17日追記】
2016年11月17日11:37に前橋地裁民事第2部合議係から、2016年11月11日午前10時30分に行われた口頭弁論の調書の別紙部分がFAXで当会事務局に送られてきました。内容は次のとおりです。
*****第7回口頭弁論調書*****
(別紙)
被告
1 「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の対象場所は、乙第16号証の1ページ及び2ページの黄色部分及びオレンジ色部分が対象場所の一部である。他にも対象場所がある。
2 「萩生川西地区 農道舗装工事」の対象場所は、乙第16号証の1ページ及び2ページの黄色部分で、上記1の「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の中に「萩生川西地区 農道舗装工事」が含まれている。
原告ら
1 「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の対象場所は、乙第16号証の1ページのオレンジ色部分と記憶している。1ページ及び2ページの黄色部分は、上記工事の対象かもしれないがはっきりしない。だいたいそのあたりだと思うが、正確に調査したい。
2 平成28年11月末日までに鑑定の申立てを検討する。
裁判長
1 被告に対し、
(1) 平成28年12月27日までに、「萩生川西地区 区画整理補完3工事」及び「萩生川西地区 農道舗装工事」の各対象場所について、書証を用いて準備書面を提出されたい。
(2) 被告は、下層路盤材は基準値内であるが、風評被害を避けるためもあって補完工事をしたと主張しているが、「風評被害を防ぐことができるということは、仮に、下層路盤材から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されるおそれがある場合であっても、その後アスファルト整備をすれば、環境基準を超えないことになる。」ことがその主張の前提でよいのか、平成28年12月27日までに準備書面で説明されたい。
(3) 原告らから鑑定の申立てがなされた場合には、平成29年1月13日までに意見書を提出されたい。
2 原告らに対し、
(1) 平成28年11月末日までに、「萩生川西地区 区画整理補完3工事」及び「萩生川西地区 農道舗装工事」の各対象場所を特定されたい。
(2) 鑑定の申立てをするのであれば、どのような鑑定をするか明確にされたい。
以上
**********
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
冒頭に裁判長から、今回期日における原告被告双方からの提出資料の確認が行われました。まず初めに原告からの11月4日の準備書面(11)の陳述、及び甲号証の49から52まで、これらを写しで提出したことを陳述しました。被告からは今回の期日には特に提出文書はありませんでした。
続いて裁判長は「双方に伺いたい件がある」として、「萩生川西地区区画整理補完3工事というのが問題となっているが、それはどこか、ということ。証拠で出ている地図のなかの、ここだと特定できるのか。たとえば甲8号証とか、甲19号証の地図の中で、ここだとわかれば教えてほしい」と質問してきました。
原告はいきなりの質問で面喰いました。補完3工事というのは、提訴前の住民監査請求に先立ち、我妻農業事務所を訪問して現場の位置を確認してから現地に赴いた経緯は覚えていますが、その際、渡された地図に基づき、数か所の現場を訪れたことは記憶しています。ただし、しばらく時間が経過したため、頭の中の記憶が整理しきれませんでした。
〇2014年6月5日:敷砂利に大同スラグを使った東吾妻町の農道に急遽舗装を被せ証拠隠滅を図る県環境行政の臭い物にフタ体質↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1309.html#readmore
〇その際に吾妻農業事務所から入手した地図。5か所の舗装箇所が示されている。↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/html/hagyuchikudaidoslaghosou.pdf
裁判長は被告群馬県側にも確認を求めました。乙16号証にも工事場所が示してあるとのことです。裁判長は農道舗装工事の場所はどこかをしきりに特定したがりました。被告は、乙16号の1枚目に4か所が示されていて、2枚目に1か所が示されていると述べました。これは、原告の記憶とも一致します。区画整理補完3工事の中に農道舗装工事が含まれていることは双方確認できていることになります。
■そのことを確かめると裁判長は口調を変えて、被告に対して噛んで含めるように質問を始めました。
被告側もなんとなく怪訝な面持ちで裁判長の口元を見ています。裁判長はおもむろに「まずは、ゆっくりと一度言うから、意味が分からなければ聞いてほしい」と切り出しました。
そして裁判長は、「被告は、『下層路盤材は基準値内であるが、風評被害を避けるためもあって補完工事をした』と主張した。その主張は、それから話が前提になっているのか?という質問だ。『前提となっているのか?』という部分をこれからゆっくりと述べる。風評被害を防ぐことができるということは、仮に、下層路盤材から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出される恐れがある場合であっても、その後、『アスファルト整備をすれば環境基準を超えないこととなる』ということを前提にしているのか?風評被害というのは、『それをしたら安心だ』という意味だから、もし、その(有害物質が)検出されるおそれがある場合でも、『アスファルト整備をすれば環境基準を超えない』ということが肯定できないのであれば、風評被害は防げないのではないか、と思っての質問だ。風評被害を防ぐことができるということは、仮に、下層路盤材から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出される場合があっても、その後、アスファルト整備をすれば環境基準を超えないこととなる、ということを前提にしての主張なのか?」と被告に尋ねました。
被告はすぐに答えられずにいましたが、裁判長に「そうでしょ?」と促されると「はい」と短く答えました。
■裁判長は続けて「それはわかっているんでしょう?(被告が)言っていること。もともと被告の主張が環境基準を超えていないという主張であることは確かだ。だから、風評被害で、風評被害というのは害がないのに風評があるから、ということなんだね?」と言いました。被告は「はい」と頷きました。
裁判長は「でも、風評被害を防ぐために、つまり避けるために、ということは、その工事をすれば安心する、という意味だろうから、じゃあ、アスファルト整備というのは六価クロムとかフッ素がある時に効果のあることなのか?効果がないのであれば、風評被害を避けるためというのは、言っているだけで気休め以外の何物でもないと思う。質問の意味は分かるか?」と重ねてゆっくりとした口調で被告に念を押しました。
被告訴訟代理人は「わかります。ここでいう風評被害の原因が、汚染されているかどうか、なんとなくそれがこう周囲に、あのう、なんか、えーと、手が触れない状態で露出しているとか、あるいはそれが、あのう、風にのってこう散逸するとか、そういう不安、それが風評被害の原因になるので、それは舗装すれば、そういう不安は解消されると・・・」というふうな答えをしました。
裁判長は「そういうことだとすると、やはり(準備書面に)書いてもらったほうが良いかもしれませんね?」と促すと、被告は「はい」と答えました。
裁判長は「風評被害の意味だが、そうするとアスファルト整備というのは、必ずしも、六価クロムとかフッ素を防ぎきるわけではない。フッ素とか、六価クロムがある、この場所とは別の問題なのだが」と前置きをして、そして「フッ素とか六価クロムが検出される、そういう場所があったときに、アスファルト整備をすれば環境基準を超えないことになるという、そういうもの、そういうことではないのか?」と、アスファルト整備の意義について被告に確認を求めたところ、被告は「そうではないんです」と答えました。
裁判長は「(準備書面には)そういうことを、よく分かるように書いてほしい。で、そうだとすれば、アスファルト整備をした後も、鑑定すれば、鑑定することで六価クロムとかフッ素が出てくるという可能性があるということだね?そういうことか?」と被告に細かいニュアンスを確認したところ、被告は「はい」と答えました。
ここのところは重要なので、さらに裁判長は「そうだね。認識は同じか?例えばアスファルト整備をしたあとでも、その下に特価クロムとかフッ素があれば、検査すれば、フッ素とか六価クロムは検出されるということであれば、アスファルト整備をしたあとでも、測定する価値があるということで、そういうことでよいか?」と被告に念を押したところ、被告は「はい」と答えるのみでした。
■続いて裁判長は今度は原告のほうを向いて「で、裁判所から原告に質問だが、今からでも、検査すればいいと(原告は)しきりに言っているが・・・」と述べ始めました。原告は何かしら高揚感で思わず「はい、はい、はい」と3度も立て続けに返事をしてしまいました。
そして裁判長は本日の訴訟指揮の中で最も重要な一つを原告に提案してくれました。「そういう場合は、鑑定の申立てをするのが普通だが、鑑定の申し立て」をする気が(原告には)あるのか?」と質問しました。原告は「ああ、そうか。それは手続き上の問題で知らなかったのだが、ぜひそういう申立てをしたい」と答えました。
すると裁判長は、生徒に教える先生のような感じで、原告に対して「不思議に思った。(原告が)言っている『今から調べればいい』という意味を考えていくと、鑑定という方法があるということを説明したほうがいいと思った」と語ってくれたのでした。思わず被告は「
ありがとうございます。ではぜひそれを申し立てたいと思います」と声を弾ませました。
裁判長は「結局、きょう最初から聞いていることは、仮に鑑定するとすれば『ここがその場所である』ということで、場所をまず確定しないことには始まらないからね」と、これまでの種明かしをしてくれました。原告は「わかりました!その通りです!」と力強く答えました。
■鑑定という方法を原告に示唆してくれた裁判長は「なお、手続き的なこととしては、最終的な負担は判決で決めるのだが、鑑定申立てをした場合には、申立てした側がそれにかかる費用を予納していただかないといけないので、いくらくらいかかるか分かるか?」と俄かに難しい質問を原告に投げかけてきました。
原告は「見積もらないと(いくらかかるのか)わからないので・・・。ちょっと私も、造船の事は詳しいのだが、土木のほうは余り詳しくないので・・・」と少し口ごもってしまいました。
裁判長は「前に片山化学に調査嘱託などをした関係からすると、だいたい一度やったときにいくらくらいしたか、は分かるものだが?」というので、原告は「だから、(有毒スラグの)上に簡易舗装してしまったので、それはいわゆるプロファ設計のように、県が公金でボーリングをして、サンプリングして測るということになる。一方、片山の場合は、(工事現場で)拾い出したやつをそのまま持ち込んだという形態なんだと思う」と感想を述べました。
裁判長は「今の被告の話だと、アスファルトの上からでも検出できるという話みたいだ。いずれにしてもどういう方法がもっともよいか、という事について検討しておいたほうがいい」と有益なサジェッションを原告にくれました。
■その時被告から「すいません。ボーリングしないとダメだ」とコメントが放たれました。裁判長は「もしそうだとすれば、そのお金もかかる」と原告に言いました。
金策が必要になることがわかった原告らは、互いに顔を見合わせて「さて、どうするかな。どくのくらいかかるのかなあ」と嘆息したあと、「あのう、検出されたら、いずれにしても原告側の(とりあえずの)負担になるのか?勿論、証拠になるわけだから、承知の上だが」と裁判長に尋ねたところ、裁判長は「今から検査すればいいではないか?と何度も言うので、『うーむ、だったら鑑定になるはずなのに、なぜ調べないのかな?』とずっと疑問に思っていた」と原告に鑑定という方法があることを伝える機会を探っていたことを明かしました。
原告は「なるほど、本来は道路管理者の許可を得なければいけないのでね。道路管理者はそっち(=被告)なんで、どうせイエスというわけはないんでね。もしOKが出るんだったらそういう話はどんどんやりますよ」と言いました。すると裁判長は「そういうふうに先回りして心配する前に、まず原告として、これは重要だから、というふうに考えているから(検査のことを)言ったのだろう?」と、原告がグズグズ言うのをバッサリと切り捨てました。原告は「はい、考えている。その通りだ。おっしゃる通りだ」と直ぐに応じました。
裁判長は「だったら鑑定の申立てをしてみては?」と言い、原告は「はい」と頷きました。
■続いて裁判長は「で、被告は被告で、(原告が提示してきた鑑定について)その方法ではベストではない、このほうがいいとか、それはできないとか、また意見を頂くことになると思う」と語りました。原告としては「そうですね。もっと早い時点で(鑑定という方法に)気付けばよかったかもしれなかったが、よくわかりました」と言いました。
裁判長は次に被告のほうを向いて「最初に戻って、区画整理補完3工事の対象となった場所はどこかということで、書証を用いて説明してほしい。それから、農道舗装工事についても、そのうちの一部だということだけれども、書面にて説明してほしい。書証を用いて準備書面で書いてほしい。それから下層路盤材は基準値内であるが風評被害を避けるためだという意味として先ほど言ったことが前提でないというのであれば、こういう事だという説明をしてほしい。先ほど話した内容は、期日調書の別紙にするので、それは違うということ、そういうことを前提としていないならば、前提としていない、ということで送ってもらいたい」と指揮をしました。
さらに裁判長は「原告に対して、今日裁判所から話したことはこれから調書にとってもらう。今からでも検査すればいいというふうに言っていた件に関して、原告のほうから鑑定する申し出をする意思があるかどうか、医師がある場合、どういう鑑定を希望するかを明確にしてほしい」と指揮をしました。勿論原告としては異存がありませんので「はい」と答えました。
■すると裁判長は「ちょっと主任裁判官から」というと、陪席の裁判官に発言を促しました。陪席の主任裁判官は「今回、被告に質問だが、結局、問題となるのは事務所長さんの行為だが、鑑定をしたところの結果、直接、応、成果というと、まあフッ素があるという場合は、それはおいといて、先ほど裁判長から言っていただいた件で考えているのだが、そもそも、敷砂利というかアスファルトを舗装していない状況で、環境基準を超えるフッ素なり六価クロムが出てきたということが仮にあったとして、それは環境法系のなんかの法理で説明しなければならないと思うが、その後にアスファルトを舗装したからその違法が解消されるという事はないという立場だが、それは大丈夫か?」と被告訴訟代理人の弁護士に尋ねました。
被告の弁護士は「違法が解消される・・・?」と怪訝そうな顔をしました。
主任裁判官は「つまり、アスファルトなりで舗装すれば、もう、その有害物質かなんかは地表から、空中なりなんなりにはもおう出てこないのだから大丈夫だという立場ではないのか?そこは」と追加的に説明しました。被告のほうを見ていた裁判長も「先ほど裁判所からそこは前提としてどうなのか、ということと、今のを併せて関連する問題なので、別紙にしてお渡しする」と声を投げかけました。
被告は「はい。環境基準越えの物質がこう実際に使われてしまった場合、今度はそれに対する対応は土壌汚染防止法によって、その、まあ、撤去するのか、あるいは、えー、被覆等をして保存するのかほぞんすることになってくるんですね。ただ今回の場合も、仮に、あのう、敷砂利として違法な、違法というか、環境基準を超える砕石が使われた場合、やはり土壌汚染防止法の観点から撤去するのか、あるいは被覆をして、あのう保存的に見るのか、というそういう判断が為されると思う」と言いにくそうに答えました。
陪席の主任裁判官は「そうすると、アスファルト整備というのは被覆とは別か?」と被告に確認したところ、被告は「同じだ」と答えました。裁判長は「やはりちょっと、やはりちゃんと説明してほしいわね」と呆れ顔でした。原告も思わず「へー、なんでもありじゃないか?やり放題じゃないか?」と口走ってしまうほど、被告の発言は驚きでした。
■そのため被告は慌てて「あのう、掘れば、環境基準を超える物質が入っているとすれば、掘れば、環境基準を超えるものが出て来る」と付け加えました。
主任裁判官は「ではアスファルト整備をしていればいいか、という方法で適法になるということも有るということか?」と尋ねると、被告は「・・・適法というか、環境基準を超える物質があるときに、まあ、被覆、まあ土壌汚染報上は被覆をすれば、まあ、あの、それでいいということになる」と苦しい答弁を余儀なくされたのでした。
裁判長は「その被覆の中にアスファルト舗装整備というものもあるということも、今回行われたことは、それに発しているかどうかもわからないんですね?」と尋ねると被告は「ああ、その土壌汚染防止上場で求められていると?多分」と述べました。
裁判長は「じゃないかということ、その辺を整理しておいてください」と指揮し、被告は「分かりました」と答えました。
これを聞いていた原告は「もともと土壌汚染じゃなくて、毒物を混ぜたものを(道路の表面に)敷くというところが悪いわけだからね?」と発言したところ、被告は「撤去が必要がどうかということは、その、土壌汚染防止法で判断することになる」というので、原告は「じゃあますます、有害物質をね、あのう、まあその風評被害ということでハッキリ言わないけれども、それを(舗装で)覆うことによってそれを回避するんだというような目的で舗装したわけですよね」と畳みかけたところ、被告は「いや、いや、それは違う」と否定しました。
原告は「だけどステージコンストラクションという言い方はどうなのか?」と更に畳みかけましたが、裁判長が「まあまあ、裁判所の方から、鑑定という手法があるということで・・・」といきり立つ原告をなだめたので、原告は「分かりました、申立てをします」とトーンを緩めました。
裁判長は「そういうわけなんだが、それをよくよく検討してこうことをしてほしいと、場所がどこかというか、ということで争いになるよりは、これからから検査をすれば、そういう問題も生じないように。そういうことだから」と、今回は原告に鑑定という方法を示唆したことで納得するように指揮してくれました。
■憤懣やるかたない原告としては「ええ、まあ、でも、ステージコンストラクションだとかね、要するに訳知りで(不法投棄を業者にさせたうえに)公金で(有毒スラグの)上に蓋をしたわけですよ、まったく(不届きな輩だ)」と最後に少しまた言わせてもらいました。
裁判長はさすがにこれには付き合いきれない様子で「次の期日を決めないと。次の事件に差しさわるので」と、本日の終幕の用意を切り出しました。原告はすぐにそれを察知して「ああ、5分前ですね、どうぞ」と裁判長に言うと、裁判長は「はい、今日はたくさん話をさせて頂いた」と感想を述べました。
原告は「ありがとうございます」と謝意を述べましたが、裁判長は「準備にどれくらいかというところで、それぞれどれくらいかかるか?」と質問してきました。
原告は「1ヶ月くらい。だが、鑑定のやり方は勉強するけれども、それを裁判所に申立てて、それでよろしいということで・・・」とグダグダ言いはじめたところ、裁判長は「申立てるんでしょ?」とピシャリと言うので、原告は「すぐに申立てます。場所の特定も。こちらの方としても資料を調べる」と述べました。
裁判長は「(スラグの投棄された)場所で争っていてはどうしようもないからね。被告は?」と被告の予定を聞きました。
被告は「1ヶ月くらい。まあ年末いっぱいくらいですね」と言うと、裁判長は「23日が休みなので、(その前は)16日となる。だから期日としては1月20日」と次回期日を指定しました。
さっそく原告らは「1月20日は差し支えありません。OKです」と回答しました。
一方、被告側も「1月20日か・・・。はい。大丈夫です」と答えました。
■裁判長は「11時に。1月20日金曜日が期日です。この部屋に来ていただくと。それはそれとして原告は早急に申立てをするということですね?」と言うので、原告は「はい」と答えました。
裁判長は「(原告からの鑑定)申立が出たら、それに対して被告の意見をお願いすることになる。どれくらいで、目途として、今月中とかでよろしいか?」と原告に質問してきたので、原告は「もちろん。今月中でいいです」と答えました。
さらに裁判長は「原告は申し宛をするかどうか、するとしたら、どういう申立てをするか、それを今月してもらう。一旦は、(鑑定に)かかる費用を予納してもらうから。そこも(鑑定を)採用したらお金がないということになるので、裁判所も出所がないので、そこも検討してほしい」と原告に念押しをしました。
一方被告に対して裁判長は「被告は11月中に原告が出した鑑定の申立てについての意見も、お願いしたいが、11月中に(原告から鑑定が)出た場合にはそこから?」と尋ねると、被告は「3週間くらい」と答えました。裁判長は「だったら(12月)23日まで?」というと、被告は「年内にお願いできないかということで」と答えました。
すると裁判長は「いつまでということか?23日は休みだし、例えば12月27日までに」と被告に期限日を決めるように求めたところ、被告は「12月27日」と答えました。
裁判長は、今度は原告に対して「原告は、場所の特定をするということで、それはいつまでか?」と尋ねたので、原告は「鑑定申立て並行して調べるので、今月中に出す」と答えました。
裁判長は「被告は、12月の27日、原告が鑑定の申立てをしたことに対しては1月の13日までに」と指揮をとり、最後に「では今日はこれにて。じゃあ来週明けてから、FAXで今日うかがったことを確認をするということで」と言葉を残し、本日の第7回目の口頭弁論期日を終わったのでした。時間は11時になろうとしていました。既に、次の裁判の関係者が入廷を始めようとするところでした。
↑第7回目の口頭弁論期日を終えて、県庁へとゾロゾロと徒党を組んで歩いて戻る県庁職員ら。こころなしが肩を落として歩いているように見えるのは気のせいか。↑
↑いつも思うのだが、我々原告住民は仕事を休んで裁判所に行くのだが、県庁職員らは公務として給与をもらいながら公務をさぼってゾロゾロと裁判所に行く。また裁判費用も我々住民は手弁当だが、県庁職員は全て我々の税金を使って弁護士を起用する。ならば、弁護士に任せて自分たちは公務に精励するのが務めという者ではないだろうか。↑
■こうして第7回目の口頭弁論期日はドラマチックに展開されました。何よりも重要なのは原告に対して「鑑定」という手段を裁判所から教示いただいたことは何より収穫でした。
しかし、鑑定には、場所の特定とサンプリングの採取及び分析という作業が伴うことになり、場所の特定作業とともに費用面での見積作業も必要になります。当会の総力を投入して、最善の方法で11月末までに鑑定申立てができるように準備に邁進する所存です。
※上記のやりとりは当事者の記憶と、傍聴者のメモを基に当会が独自に作成したものであり、決して正確なものではありません。正式には今週裁判所から送られてくる期日調書が正となりますので、予めご了承ください。
【11月17日追記】
2016年11月17日11:37に前橋地裁民事第2部合議係から、2016年11月11日午前10時30分に行われた口頭弁論の調書の別紙部分がFAXで当会事務局に送られてきました。内容は次のとおりです。
*****第7回口頭弁論調書*****
(別紙)
被告
1 「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の対象場所は、乙第16号証の1ページ及び2ページの黄色部分及びオレンジ色部分が対象場所の一部である。他にも対象場所がある。
2 「萩生川西地区 農道舗装工事」の対象場所は、乙第16号証の1ページ及び2ページの黄色部分で、上記1の「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の中に「萩生川西地区 農道舗装工事」が含まれている。
原告ら
1 「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の対象場所は、乙第16号証の1ページのオレンジ色部分と記憶している。1ページ及び2ページの黄色部分は、上記工事の対象かもしれないがはっきりしない。だいたいそのあたりだと思うが、正確に調査したい。
2 平成28年11月末日までに鑑定の申立てを検討する。
裁判長
1 被告に対し、
(1) 平成28年12月27日までに、「萩生川西地区 区画整理補完3工事」及び「萩生川西地区 農道舗装工事」の各対象場所について、書証を用いて準備書面を提出されたい。
(2) 被告は、下層路盤材は基準値内であるが、風評被害を避けるためもあって補完工事をしたと主張しているが、「風評被害を防ぐことができるということは、仮に、下層路盤材から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されるおそれがある場合であっても、その後アスファルト整備をすれば、環境基準を超えないことになる。」ことがその主張の前提でよいのか、平成28年12月27日までに準備書面で説明されたい。
(3) 原告らから鑑定の申立てがなされた場合には、平成29年1月13日までに意見書を提出されたい。
2 原告らに対し、
(1) 平成28年11月末日までに、「萩生川西地区 区画整理補完3工事」及び「萩生川西地区 農道舗装工事」の各対象場所を特定されたい。
(2) 鑑定の申立てをするのであれば、どのような鑑定をするか明確にされたい。
以上
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】