市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

51億円事件の巨額使途不明金のカギとなるタゴお宝絵画等6点を死蔵する岡田市長を支持した前橋地裁

2011-08-21 09:58:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■タゴ51億円事件発覚から既に16年が経過しています。ところが、昨年の平成22年4月、一昨年9月に千葉刑務所を公式に出所したタゴの妻が、元安中市土地開発公社理事監事として夫と親しかった現安中市長の岡田義弘・同公社理事長に対して、「真贋は不明だが、夫所有と思われる」絵画6点を損害賠償の債務履行の一部にしたいと提供し、岡田理事長が同年5月に受け入れていたことが、安中市の平成22年6月21日の市議会全員協議会で報告されました。


8月19日に前橋地裁から特別送達で送られてきたタゴお宝絵画等6点の図柄の不開示処分取消請求の棄却判決文の入った封筒。

 そこで、当会では、さっそく同年6月25日付で関連する行政文書開示請求を安中市に行なったところ、7月8日で一部の情報が非開示あるいは不開示とされたため、同年7月27日付で異議申立てを行いましたが、同年11月29日に安中市情報公開・個人情報保護審査会(当時の会長:采女英幸氏)の答申を受けた岡田義弘市長は、同年12月15日に当会に対して異議申立て棄却通知を送りつけてきました。

 その後、広報あんなか平成23年3月1日号で、安中市にテレビ東京の人気番組「なんでも鑑定団」がやってくるという記事が掲載された為、真贋不明のタゴお宝絵画等6点をプロにただで鑑定してもらえる絶好の機会と考えた当会は、3月10日付で岡田市長に、「ぜひ、この機会に、安中市土地開発公社が保有しているお宝絵画等6点を鑑定して、真贋を確かめていただきたい」と要請書を提出し、応募の要請をしました。

 ところが一向に岡田市長は応募する気がないので、やむを得ず当会が応募しようとしましたが、応募用紙を見ると、鑑定してもらいたい出品物の写真を添付する欄がありました。そのため、市長対話の日に岡田市長に写真の提供を再度要請しましたが、またもや拒否されたため、異議申立て棄却通知から半年が経過する直前の6月13日に、岡田市長を相手取り、前橋地裁に公文書不公開処分取消請求を行いました。

 そして、平成23年7月20日に前橋地裁で第1回口頭弁論が行われましたが、内藤裁判長は双方の主張が出尽くしたとして、即日結審し、8月17日に判決文を郵送すると明言しました。そして、8月18日に判決文が届くと思いきや、実際には8月19日に特別送達郵便で届けられました。切手1050円の消印を見ると「前橋 23.8.18 18-24」とあるので、実際には判決の翌日の夕方に投函されたことがわかります。

■判決結果は予想されたとおり、「原告の当会の請求を棄却する」とあり、安中市の岡田市長の主張を100%勘案し、当会の主張は100%無視した結果となっています。全文を見てみましょう。

**********
平成23年8月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 継田美貴
平成23年(行ウ)第10号 公文書不公開処分取消請求事件
口頭弁論終結日 平成23年7月20日
            判           決
   群馬県安中市野殿980番地
        原      告    小  川     賢
   群馬県安中市安中一丁目23番13号
        被         告    安   中    市
        同 代 表 者 市 長    岡  田  義  弘
        同訴訟代理人弁護士      渡  辺  明  男
        同指定代理人         田  中     毅
        同              富  田  千  尋
        同              須  藤  陽  一
            主        文
           1 原告の請求を棄却する。
           2 訴訟費用は,原告の負担とする。
            事 実 及 び 理 由
第1 請求
1 安中市長が原告に対し平成22年7月8日付けでした公文書の一部不開示処分のうち,絵画等6点に関するビジュアル情報を不開示とした部分を取り消す。
2 訴訟費用は,被告の負担とする。
第2 事案の概要
1 本件は,原告が,処分行政庁である安中市長に対し,平成22年6月25日付けで絵画等6点に開するビジュアル情報(以下F本件文書)という。)を含む公文書(行政文書)の開示を請求したところ,安中市長が同年7月8日付けで本件文書を含む行政文書の一部不開示処分(以下「原処分」という。ただし,

原処分のうち,本件文書を不開示とした部分を,特に「本件処分」という。)をしたため,本件処分の取消しを求めた事案である。
2 本件の前提事実(当事者間に争いのない事実及び当裁判所に顕著な事実)
(1)安中市情報公開条例(以下「本条例」という。)の規定
1条 この条例は,行政文書の開示を請求する権利を明らかにするとともに,市の保有する情報の一層の公開を図り,もって市政に対する理解と信頼を深め,市の説明責務が全うされるようにするとともに,公正で民主的な市政の推進に資することを目的とする。
2条1項 この条例において「実施機関」とは,市長,教育委員会,選挙管理委員会,公平委員会,監査委員,農業委員会,固定資産評価審査委員会及び議会をいう。
2条2項 この条例において「行政文書」とは,実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして,当該実施機関が保有しているものをいう。以下略
4条1項 実施機関は,行政文書の開示を請求する権利が十分に尊重されるようこの条例を解釈し,及び運用するとともに,行政文書の適切な保存及び迅速な検索をするために,行政文書の適正な管理に努めなければならない。
5条 何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。
6条1項 前条の規定による開示の請求は,実施機関に対し,次に掲げる事項を記載した請求書を提出してしなければならない。以下略
18条 開示決定等について行政不服審査法による不服申立てがあったときは,当該不服申立てに対する裁決又は決定をすべき実施機関は,次の各号のいずれかに該当する揚合を除き,安中市情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない。以下略
24条2項 実施機関は,法人の設立に当たり,市が2分の1以上を出資している法人の保有する情報であって,実施機関が保有していないものについて,当該情報の公開の申し出があったときは,当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる。
(2)原告は,本条例6条1項の規定により,平成22年6月25日付け行政文書開示請求書をもって,安中市長に対し,本件文書のほか,新聞記事で報じられた安中市の元職員の妻が安中市土地開発公社(以下「公社」という。)に提出したという絵画等6点に関する一切の情報を開示するよう請求した。
(3)安中市長は,原告の上記開示請求に対し,平成22年7月8日付けをもって,本件文書の不開示などを内容とする行政文書部分開示決定をし(原処分),そのころ,原告に対して通知した。
(4)原告は,行政不服審査法の規定に基づき,平成22年7月28日,安中市長に対し,本件文書のほか,原処分で不開示とされた文書等の開示を求めて異議申立てをした。安中市長は,原告の異議申立てについて,安中市情報公関・個人債権保護審査会に諮問した。
(5)安中市長は,平成22年12月15日,上記の諮問を受けて,原処分の一部を取り消したが,本件文書を不開示とした処分(本件処分)に対する異議申立てを棄却し,そのころ,原告に対し,異議申立てに係る決定書の謄本を送付した。なお,本件処分に対する異議申立てを棄却した理由は,本件文書は公社に写真及び画像データとして存在している情報であるが,その真贋が不明なうちにこれら情報が公になった場合,公社の経営に予期せぬ支障を及ばすおそれも否めず,また,公になった情報の影響で適正な価格での換価処分ができなかった場合には,公社に損失を与える可能性も考えられることから,公社から実施機関の安中市長に対する情報の提供は現在も行われていないので,実施機関には本件文書は存在しておらず,不存在のため開示することはできないというものである。
(6)原告は,平成23年6月13日,本件訴えを提起した。
3 原告の主張
(1)本件文書が情報として示す絵画等6点は,公社の経理を兼務していた被告の元職員が巨額の詐欺横領事件を起こし,その損害賠償の支払として,元職員の妻が公社に差し入れたとされるものである。この事件に関しては,元職員に編されて融資を実行した群馬銀行が,公社とその経営母体の被告に対し民事訴訟を提起したところ,平成10年12月に和解が成立したが,公社と被告が巨額の和解金を最長103年の期間にわたって支払うという内容になっている。
(2)元職員は懲戒免職前に上記の絵画等6点を取得したから,その情報を示した本件文書は,本条例2条2項が定める文書,図画及び電磁的記録に該当する。そして,上記のとおり,最長103年の期間にわたって和解金を支払う債務を負った被告が,本件文書を保有していないはずはなく,また,本条例の趣旨からして非公開事由は厳格に解釈されなければならないから,本件文書は開示されなければならない。被告について,本件文書が不存在であるという根拠は見当たらない。
(3)したがって,本件処分は違法である。
4 被告の主張
(1)元職員が絵画等6点を取得した行為は,公務員として行った行為,すなわち,職務行為に当たらないことは明らかであるから,本条例2条2項が定める文書等に該当しない。
(2)本件文書は,被告とは別法人の公社に記録用として存在しているものであり,公社が保有する情報のすべてを被告が保有しているわけではなく,被告(安中市長)に存在しないのは確固たる事実である。
(3)したがって,本件処分について違法性はない。

第3 当裁判所の判断
1 証拠(甲7,9)及び弁論の全趣旨によれば,
①公社の代表者理事長は安中市長の岡田義弘であるが,公社は,公有地の拡大の推進に関する法律に基づき,群馬県知事の認可を得て設立された法人であり,被告とは別個に独立した法人であること,
②本件文書が情報として示す絵画等6点は,公社の経理を担当していた被告の元職員が公社を舞台に巨額の詐欺横領事件を起こし,その損害賠償の支払に充てるため,元職員の妻が公社に差し入れたものであり,公社は,その写真及び画像データとして本件文書を保有していること,
③公社は,本条例2条1項所定の実施機関に含まれていないから,公社の保有する文書は,本条例に基づく開示請求の対象にならないこと,
④安中市長は,原告の本件開示請求や原処分に対する異議申立てを受け,公社について被告が2分の1以上を出資している法人であることから,本条例24条2項により,公社に対して本件文書を提出するよう求めたところ,公社は,経営に支障を及ぼすおそれがあるなどの理由で,その提出を拒否したこと,
 以上の事実が認められる。
2 上記認定にかんがみれば,安中市長が本件文書を保有していないことは明らかであって,被告(安中市長)について本件文書は不存在であるといわざるを得ない。
 本条例24条2項は,実施機関(安中市長)が保有していないものの,一定の条件を満たす法人が保有する情報について,当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができるとしているが,この規定は,当該法人に対して情報提出に関し任意の協力を求めることができる旨を定めたものであって,情報の提供について強制力はないから,当該法人の任意の協力が得られない以上,実施機関について文書(情報)が存在しないのは,やむを得ないところである。
3 以上のとおり,本件文書を不開示とした本件処分について,違法な点はない。
第4 結論
 よって,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。

前橋地方裁判所民事第1部
         裁判長裁判官    内   藤   正   之
            裁判官    城   内   和   昭
            裁判官    和 久 井   智   子

これは正本である。
平成23年8月17日
 前橋地方裁判所民事第1部
 裁判所書記官 継田美貴
**********

■前橋地裁の内藤裁判長は、安中市土地開発公社の岡田義弘理事長が保有しているタゴお宝絵画等6点の情報を、安中市の岡田義弘市長が岡田義弘公社理事長に開示を求めても、岡田義弘理事長が開示を拒否しているので、安中市には情報が不存在なので開示できないという詭弁を追認しました。

 このように、公社の元職員で単独犯とされたタゴ邦夫とは平成54年の安中市土地開発公社説理事前後からずっと懇意だった当時市会議員だった岡田義弘市長の詭弁をそのまま認めた裁判所の姿勢は、16年前に安中市を揺るがせた51億円事件当時の、「臭いものにはフタ」という、この事件に対する司直や司法の対応が未だに少しも変わっていないことをはっきりと安中市民に示しました。

■当会が主張した、安中市情報公開条例第2条2項で定めた「この条例において『行政文書』とは,実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして,当該実施機関が保有しているものをいう。」に則った判断は、今回裁判所で完全に無視されました。

 今回、タゴからお宝の絵画等6点を預かっていた富岡市在住のタゴの親友から返却された絵画等6点は、タゴが安中市職員として在職中、「美術館を作る計画があるので、購入したい」として、親友を通じて県内外の骨董商から購入していたもので、明らかに「実施機関の職員が職務上作成し取得した図画」です。

 このことを無視した判決は明らかに不当ですから、当会は近日中に東京高裁に控訴の手続をとることにします。

【ひらく会事務局】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする