市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

群馬県の弁護士の不祥事・・・2000年以降5件目の懲戒処分

2010-11-05 03:00:00 | 不良弁護士問題
■弁護士と聞くと、順法精神に富む法律に詳しい紳士・淑女というイメージが世間に流布しています。しかし、一口に弁護士といっても、いろいろな輩がいます。そして、常につきまとうのが不良弁護士の問題です。例えば、暴力団等の反社会勢力への脱法行為の指南や、弁護士自身が暴力団組織の一員となり、弁護士資格を失ったケースもあります。

 近年の傾向として、弁護士が実刑判決を受けるケースが増えており、暴力団を除けばわずかな弁護士集団から毎年これだけの実刑判決を受けるような組織はないとも言われています。さらに、弁護士会独自の懲戒処分を受ける弁護士も沢山います。

 つい先週も、群馬弁護士会所属の弁護士が懲戒処分を受けた記事が報じられました。

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群馬弁護士会 増田弁護士を戒告処分 依頼人批判の準備書面提出
 民事訴訟で依頼人の女性と対立し、女性に対する批判が主な内容の準備書面をいきなり裁判所に提出したのは不適切として、群馬弁護士会が弁護士法に基づき、増田智之弁護士(48)(前橋市)を戒告の懲戒処分にしていたことが、わかった。処分は10月20日付。
 女性は、増田弁護士は訴訟の当初から経過を報告したり準備書面を渡したりせずに訴訟を進め、女性を批判する準備書面を出し、突然委任契約の解除を通告したなどとして、同会に懲戒を請求していた。
 それに対し、増田弁護士は「連絡は十分にとり、書面も渡していた」などと反論していた。
 女性は、「一般の人は『弁護士なら任せて大丈夫』と普通は思ってしまう。裁判を勝手に進めることは信頼を大きく裏切る弁護士としてあるまじき行為」と批判し、「こちらの主張の多くが認められていない」と、日本弁護士連合会に異議を申し出る方針。
 増田弁護士は「準備書面は、弁護人を辞任する背景を説明したつもりだったが、弁護士会の判断は重く受けとめている。内容をよく確認して、処分の取り消しを求めるか検討したい」としている。
(平成22年10月30日読売新聞)
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 訴訟代理の依頼をしてきた依頼人に対して、あろうことか勝手に依頼人を批判した内容を裁判所に準備書面にして提出し、何の前触れもなく依頼人に対して委任契約の解除を通告したため、弁護士としてあるまじき行為だということで、群馬弁護士がこの弁護士を「戒告」の懲戒処分としたものです。弁護士を信頼して依頼したのに、このような裏切り行為をされるとは、依頼人として、許せなかったことでしょう。「戒告」では処分が軽すぎます。日弁連に異議申し立てをするのも当然です。また、懲戒処分を受けた弁護士は、依頼人から着手金を受け取っているなら、すぐに返還すべきです。

 世間では、「弁護士ならなんでも任せておけば大丈夫」と思う人が大半でしょう。しかし、それが幻想であることを全ての人に知ってもらいたいと願っています。

 すべての弁護士がきちんと事件処理をし、報告をし、依頼者が納得いく弁護をするわけではありません。むしろ、そのようなケースは非常に稀です。弁護士にまかせたおかげで、裁判が不利に展開し、敗訴に追い込まれたケースや、弁護士に仲裁を任せたら余計トラブルになったという経験者は大勢います。

■昨年10月にも別の弁護士が紹介処分を受けました。

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上告申し立て怠った弁護士、4度目処分 業務停止10カ月
 依頼人の上告申し立て手続きを怠ったなどとして、群馬弁護士会は10月30日、同会所属の石川憲彦弁護士(66)を同日付で業務停止10カ月の懲戒処分にしたと発表した。同弁護士はこれまでに3度、処分を受けており、同会の鈴木克昌会長は「会員に指導を徹底し、再発を防止したい」と話している。
 同会によると、石川弁護士は平成15年に同県伊勢崎市内の男性が勤務先を提訴した賃金などの支払い請求事件で、男性の代理人を担当。18年6月の東京高裁判決を不服とした男性が上告の意思を示したにもかかわらず、必要書類を提出期限までに最高裁へ提出しなかった。
 さらに同弁護士は男性に対し、上告審で審理が継続しているとうその報告を続けた上、同年10月には男性に無断で被告会社側との和解合意書を作成するなどした。不審に思った男性が東京高裁に問い合わせ、事実が発覚したという。
 同会によると、同弁護士は「(書類の)提出期限を失念していた。報告しなければならないと思ったが、言い出せなかった」などと話しているという。
 同会によると、同弁護士は9年8月と14年1月、17年12月にも、依頼を受けた案件に着手しなかったなどとして、それぞれ戒告や業務停止2カ月の処分を受けている。」
(平成21年10月30日産経新聞)
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 さらにその前年10月には、酔っ払い弁護士の事故が報じられました。

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酒気帯び事故:容疑で弁護士を書類送検 /群馬
 安中署は10月27日、群馬弁護士会所属で元日弁連副会長の弁護士、内田武容疑者(65)=前橋市元総社町=を自動車運転過失傷害と道交法違反(酒気帯び運転)容疑で前橋地検 高崎支部に書類送検した。
 調べでは、内田容疑者は10月5日午後3時50分ごろ、安中市野殿の県道で、酒を飲んだ状態で乗用車を運転し、高崎市の無職女性(75)の乗用車と衝突、女性の頭などに軽傷を 負わせた疑い。呼気1リットル中から0.15ミリグラムのアルコールが検出された。内田容疑者は富岡市のゴルフ場で昼食時にビールと焼酎を飲み、帰宅途中に対向車線にはみ 出したという。
 内田容疑者への今後の対応について、群馬弁護士会の神谷保夫会長は「慎重に検討している。処分などについては未定」と話した。【奥山はるな】
(平成20年10月28日毎日新聞)
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 この弁護士のしでかした所業と懲戒処分の経緯については当会のブログでも次のとおり詳しく報告済みです。
2008/12/25 21:48 酒気帯び事故を起こした元日弁連副会長の内田武弁護士に懲戒請求
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/166.html
2008/12/27 1:45 飲酒事故の内田弁護士・・・群馬弁護士会が懲戒委で事案審査決定
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/168.html
2009/3/11 4:43 酔っ払い運転で人身事故の内田弁護士に、懲戒委員会で厳正処分を要請
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/204.html
2009/4/24 9:30 酒気帯び事故の日弁連元副会長、業務停止4ヶ月の非ジョーシキ
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/229.html
2009/5/10 23:47 業務停止4ヶ月を1ヶ月に・・飲酒事故の日弁連元副会長が日弁連に審査請求!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/246.html
2009/5/12 18:47 業務停止4ヶ月を除名処分に・・飲酒事故の日弁連元副会長への厳罰を求めて異議申出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/250.html
2009/5/18 4:09 酒気帯び運転事故の内田弁護士の懲戒処分で、日弁連から審査開始通知
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/251.html
2009/7/3 23:54 酔払い運転事故の内田武弁護士を審査中の日弁連懲戒委。結論は来年?
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/277.html
2009/7/27 23:13 日弁連元副会長の酔っ払い弁護士を除名できなかった日弁連の仲良しクラブ度
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/293.html
2010/7/1 12:27 八ッ場ダム銘柄の土建会社が倒産・・・破産申請代理人は酔っ払い運転事故弁護士 
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/488.html

■弁護士が懲戒処分を受けると官報に掲載されます。それを定期的にチェックしているととんでもない弁護士の実態がよく把握できます。今年は10月29日付の「官報」までに掲載された弁護士懲戒処分の公告と採決は、1月1日から当日まで61人になっています。

 群馬弁護士会所属弁護士に限って言えば、2000年以降の懲戒処分は次の4件あります。

①石川憲彦弁護士:2002年4月懲戒 業務停止2月 処分理由は債務整理で放置したこと。
②石川憲彦弁護士(桐生合同法律事務所):2006年3月懲戒 戒告 処分理由は「土地明け渡し訴訟で依頼人に説明不足」
③内田武弁護士(内田武法律事務所):2009年8月懲戒 業務停止4月 処分理由は飲酒事故
④石川憲彦弁護士(石川法律事務所):2009年10月 業務停止10月 処分理由は事件放置と虚偽報告に加えて4回目の懲戒。


 そして、今回の懲戒処分が5件目となりました。

⑤増田智之弁護士(風の詩法律事務所):2010年10月 戒告 処分理由は報告義務の懈怠等。

■弁護士の定義として「法的手続において当事者の代理人、被告人の弁護人として法廷で主張・弁護等を行うほか、各種の法律に関する事務を行う職業、またはその資格を持った者を指します。当事者の代理人としての委任契約等で報酬を得ます。我が国では、その職掌・資格に関しては弁護士法などで規定されている」とされています。

 別の定義では「当事者その他関係人の依頼、または官公署の委嘱によって、訴訟その他法律事務を行うことを職務とする者。日本弁護士連合会の弁護士名簿に登録されなければならない。なお弁護人とは、刑事訴訟において被疑者・被告人の利益を保護することを任務とする者。原則は弁護士だが、弁護士以外を選任することもある」とあります。シンボルは中央にエジプト神話マアトの「真実の羽根」との重さを比較する天秤を配した向日葵で、バッジもこのデザインによります。

 弁護士法第74条「名称独占」により、弁護士資格を持っていない者が弁護士を名乗ることは禁じられています。また、弁護士資格を持たない者が、報酬を得る目的で、紛争性のある事案について法律事務を業とすることも、原則として禁止されています(弁護士法72条)。このように弁護士は業務独占資格の一つです。

■このように、法律でさまざまなステータスを与えられている弁護士ですが、残念ながら、その実態は、我々一般人の抱くイメージとは程遠い場合があまりにも多すぎます。もっと、弁護士と言う存在を身近なものにしない限り、特権を自分の好き放題できると誤解する不良弁護士の数は減らないでしょう。

【ひらく会情報部】

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