市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

群馬県信用組合元支店長現金ネコババ事件の発表から1ヵ月目の現状報告

2010-11-25 22:06:00 | 群馬県内金融機関不祥事件

■10月22日に群馬県信用組合の松井誠理事長が、同信組の47歳の元支店長が、顧客から預かった現金2080万円を口座に入れずネコババしていたことを発表してから、1か月が経過しました。

この件で、当会は、新聞発表の内容から、不自然な対応に終始した同信組の対応の背後に組織ぐるみの何かがあると感じ、ブログでそのことを報じたところ、同信組をめぐるさまざまな情報が寄せられました。

 その過程で、実際に被害者が多数出ているにもかかわらず、同信組側が「着服問題が発覚する前に元支店長が、別の就業規則違反で依願退職し退職金を受け取った」ことや、「同信組は退職金相当額の返還を求める民事訴訟を起こしたが、顧客への被害が弁済されていることから男性の刑事告訴はしない方針」などと、顧客の信頼を失う事件を起こしながら不祥事を隠蔽しようとする体質が、以前から染みついていたことが分かってきました。

■そもそも、元支店長が、その立場を利用して、顧客が信頼して預けた現金をネコババして「パチンコや消費者ローンの返済に使った」と告白しているにもかかわらず、内部調査結果も公表せず、「弁済が済んでいるから」などと一方的に説明して、この元支店長の氏名を明らかにしないのは、明らかに事件の実態を知られたくないという組織的な意図を感じさせます。

 上毛新聞の報道では、この元支店長の47歳の男は、「着服以外にも、男性は業務で知り合った企業や個人から私的な借金を繰り返しており、今年3月時点で2者から計590万円を借りていた。それまでに返済した分も合わせると、15者から計5930万円を借りた」とあり、被害者?は15の個人や会社に上るとしています。

■上毛新聞の報道内容も、その情報源は同信組の発表ですから、実態は定かでありません。顧客から「私的な借金」をしたのか、それとも口座に入れるからと預かった現金のことを、他にも被害者が出ていたことを公表すると更なるイメージダウンになるため、このように言い換えているのかもしれません。

 15人を相手に承諾した上での金銭貸借だったのか、知らない間に使われていたということなのか、何度か読んでもよく理解できないからです。

■いずれにしても、5930万円もの大金を12人相手に動かし(一人平均なんと500万円!に相当)、3人から2080万円を騙し取ったというふうに報道記事から読み取れます。したがって、少なくとも元支店長が起こした事件でトータル15名の被害者がいたのではないかと当会は考えて、被害者の会を立ち上げたわけです。

 その後、各方面から新たな情報が寄せられました。11月23日までに寄せられた情報から判明したいくつか事項を紹介します。

(1)群馬県信用組合の本部の役割
 同信組のホームページによれば、本部として事務本部(安中市原市668-6、電話027-382-2433)と営業本部(富岡市七日市871-1、電話0274-64-1717)に分かれており、前者は「本店営業部」(電話027-382-6939)、後者は「富岡支店」(電話0274-62-4131)を兼ねています。
 では、松井誠理事長や専務理事、常務理事ら幹部はどっちにいるのでしょうか。どうやら、理事長や常務理事らは営業本部のある富岡に出勤しているようです。松井理事長は富岡市の黒岩に住んでいるので、安中の事務本部より、富岡の営業本部の方が、距離的に近いのかもしれません。
 では、なぜ本部を2か所に分散したままにしておくのでしょうか?どうやら、安中の事務本部は、今回の不祥事件の発表のように、何か起きた時に、クレーマーをまず安中に連れて行き、「富岡の営業本部に聞いてみないと分からない」だとか、「営業本部まで行って確認してくる」などとして、時間稼ぎをするために使っているようです。
 事務本部などと称して、ホームページではあたかも「本店所在地」が安中市原市の事務本部にあるかのように、装っていますが、実態は何をしているのか分かりません。営業に関する一切を富岡の営業本部で取り扱っているのであれば、本店所在地も富岡にするはずですが、なぜかそうしないのは不思議だという声が寄せられています。

(2)「事務本部」を置く理由
 ではなぜわざわざ「事務本部」を安中市に置いているのでしょうか。それは、今回のように不祥事がバレた際の緊急一時避難場所として活用し、被害にあった顧客の前から直ちに避難させて、所在をあやふやにするためだと考えられます。今回の元支店長も、おそらく、事件発覚後は事務本部付きとして、顧客から遠ざけ、顧客に直接元支店長が接触しないように顧客から遠ざけていた可能性があります。こうすれば、顧客には、社内で調査中ですと言っておき、元支店長から顧客に説明させないようにすることができるからです。

(3)松井誠・元群銀安中支店長の就任
 群馬県信用組合の松井誠理事長は、現在、群馬県信用組合協会会長や群馬県信用保証協会理事などにも就任しておりますが、平成12年6月に同信組の理事長に就任する前までは、群馬銀行にいました。平成7年6月3日に安中市土地開発公社を舞台にした地方自治体では史上最大級の51億円巨額詐欺横領事件で元職員のタゴ邦夫に杜撰な融資を行った群馬銀行の安中支店で、事件発覚当時、支店長を務めていたことで、安中市民には有名な御仁です。
 その後、事件のほとぼりが冷めるのを待って、地元の同信組に理事長として就任したことについて、同信組の組合員の間にも「なぜ、あのような男が突然群銀から天下ってきたのだろうか、理事長としての資質についても疑問があるのに不思議だ」と首をかしげる向きが多く見られます。
 もっとも、平成12年に松井誠が合併後2代目の群馬県信用組合理事長に赴任した直後も、初代理事長から会長になった大河原清一が平成14年までは、顧客の相談や対応をしていたようです。したがって、松井誠が、同信組のトップとして発言権を付与されたた時期は、大河原清一が全信組連の理事になった平成14年以降だと思われます。なお、大河原清一は全信組連の理事を1年勤めた後、理事を辞めています。
 安中市土地開発公社51億円事件では事件に関与した関係者が、その後、優遇されているという不思議な現象が明らかになっています(例:タゴと懇意だった当時の市長、職員、職員OB、政治家、業者、親族、実弟の経営する運輸会社の事業拡大、首都高横転炎上事故の賠償責任の追及免除など)。事件の真相を知る松井誠・元群銀安中支店長も当然口封じのために特典を与えられる権利の得られる立場だったはずです。
 こうして、タゴ事件で功績を残した松井誠に、地元の信組の理事長のポストをあてがう話が出てきたとしても不思議ではありません。自ら努力して射止めた初代理事長の座を、全信組連の理事の話と引き換えに、松井誠に譲らざるを得なかった大河原清一は、さぞや、なんとかトップの座を守りたかったことでしょう。

(4)金融機関と顧問弁護士の関係
 銀行で不祥事では、銀行の幹部は顔を出さず、かならず顧問弁護士という人種が代わりに対応します。タゴ51億円の時、群馬銀行は市民団体の面会要求に対して、高橋勇雄弁護士を出してきました。安中市・公社との民事裁判でも中山新三郎弁護士ら弁護団を結成して対応にあたらせました。
 今回、元支店長の着服事件を起こした群馬県信用組合では、顧客対策のために、高崎地区の組合員総代の中から、顧問弁護士として善如寺雅夫弁護士を起用していることが明らかになりました。高崎地区の組合員の総代としては、群馬県公安委員をしている渡邊明男弁護士もいますが、なぜか同信組では、善如寺雅夫ただ一人を顧問弁護士として起用しています。
 今回の不祥事件では、元職員が勝手に不祥事件を起こし、顧問弁護士がその事後対応に追われているような印象を読者らは抱きますが、実際には、そうではなく、不正が働きやすい環境づくりを支援している、悪事がばれないよう証拠隠滅を推し進めている枢軸と考えた方が分かりやすいと思います。
 従って、裁判所には弁護士の立場で顔が利きますので、裁判沙汰を一手に引き受けて、自ら組合員として所属する同信組の負の部分を顧客に見せないようにすることが期待されています。それだけに、一旦裁判となると、なりふり構わず同信組の上層部と結託し、組織のイメージや顧客との信頼などそっちのけで、訴訟に勝つためにあらゆる手段を行使します。
 同弁護士を知る人の話では、人柄や、心の正直さ、道徳という言葉とは無縁の方だそうです。経歴に大きな負の事件をもつ松井誠理事長にとっては、きっと頼もしい存在に違いないでしょう。

■折から、11月23日、山梨県の山梨信用金庫(理事長 高木眞壽、本店 山梨県甲府市、預金残高4,202億円)で不祥事件が発生しました。こちらは、男性融資係長(34歳)が、架空融資や現金自動預け払い機(ATM)に補充する現金を抜き取る手口などで、同信金から約3000万円(当初、被害金額が1000万円以上としていたが後に金額が2000万円以上へ、さらに3000万円へ変更された)を着服横領した業務上横領、詐欺事件です。山梨信用金庫は11月23日午後に会見を開いて詳しい内容を発表しました。

 それによると、山梨信用金庫は、この男性融資係長による業務上横領、詐欺事件を今年の4月に把握していたことを明らかにしたうえで、7ヶ月以上にわたり隠蔽し、公表しなかった理由について「客に影響がないと判断した」とし、今となっては公表すべきだったと説明しました。

 同信金によると、この男性融資係長は今年の4月までの約3年間、勤務していた北支店と石和支店で、ATMに現金を補充する担当である立場を悪用し、2007年12月から今年4月に現金自動預払機(ATM)から96回にわたり補充の際に計573万円を抜き盗って着服横領し、「着服横領した金は飲食代に充てた」と説明しているそうです。今年の春頃に担当者が代わり、事件が発覚しました。

 さらに、この事件を受け、同信金が内部調査をしたところ、ATMの現金着服以外にも、この男性融資係長が6年の長期にわたる、架空融資による着服横領、詐欺事件が発覚しました。手口は実在しない顧客から融資の申し込みを受けたように装い、実在する顧客の免許証のコピーを偽造して架空の名義人あてに融資する手口で書類を偽造するなどして架空口座を開設し、2004年3月から2009年3月までに20回にわたり同信金から計2340万円を不正に融資を引き出すなどして、だまし盗っていたことも判明しました。

 同信金の幹部は、業務上横領、詐欺事件が防げなかった原因について「現金の管理¬体制に甘さがあった、ずさんと言われても言い訳はできない」と話しています。同信金は、男性融資係長を今年の4月30日付で懲戒解雇するとともに役員や上司およそ30人も減給や降格の処分にしました。また、監督庁である金融庁には所定の届出¬を行ったとしています。

 一方、着服横領した行為は明らかな犯罪事件(業務上横領罪、詐欺罪、有印私文書偽造同-行使罪)ですが、着服横領した金額を既に家族が弁済していることを理由に、同信金は男性融資係長の氏名を公表せず秘密とし、警察への被害届けや刑事告訴もしないこ¬とを決定していますが、今回の山梨信用金庫の事件対応について、利用者からは「金額も大きく犯罪の悪質性が高いのに納得できない、ずさんで身内に甘すぎると」疑問の声が広がっています。

 山梨県内の金融機関を巡る不祥事事件では、甲府地方裁判所の公判で、山梨県民信用組合(理事長 坂井 俊次 、本店 山梨県甲府市、預金残高4,082億円)の元支店営業主任、 三浦正紀(みうら まさのり)被告(36歳)が現金約1億5000万円を着服横領したとして、業務上横領¬などの罪に問われ、2008年7月1日に懲役5年(求刑・懲役7年)の実刑判決を受け¬たほか、同信用組合元本部調査役の飯島浩(いいじま ひろし)被告(53歳)が現金約400万円をだまし盗ったとして、詐欺罪に問われ、2010年11月1日に懲役2年6月(求刑・懲役3年)の実刑判決を受け確定しています。

■このように山梨の事件も非常に群馬県信用組合の事件と共通性があります。事件を巡り金融機関が氏名を公表しない場合は、背後に後ろめたい事情があることがうかがえます。

 元支店長の氏名を公表せず、警察にも告訴したがらない群馬県信用組合の対応についても同様なことが言えるでしょう。

■群馬県信用組合への意見、苦情、相談の連絡先は、同信組のHPによれば、次のとおりとなっています。近いうちに、被害者の会として、今回の事件について相談に行くことも検討中です。

【当組合へのお申し出先】
「お取引先店舗」又は「コンプライアンス室」にお願いしたします。
コンプライアンス室
住所:群馬県富岡市七日市871-1
電話番号:フリーダイヤル0800-800-4333

受付時間:午後8時30分~午後5時30分(土日・祝日及び金融機関の休日を除く』
※苦情とのお申し出は当組合のほか、筑しんくみ苦情相談書・しんくみ苦情等相談書をはじめとする他の期間でも受け付けています(詳しくは、当組合コンプライアンス室へ土蔵談ください)。
<群馬地区しんくみ苦情等相談所>
住所:〒371-0026前橋市大手町3-3-1(群馬県中小企業会館2階)
電話番号:027-232-3120
受付日:毎週、月~金(祝日及び金融機関休業日を除く)
受付時間;9;00~17:00
<しんくみ苦情等相談所>
住所:〒104-0031東京都中央区京橋1-9-1
電話番号:03-3567-2456
受付日:毎週、月~金(祝日及び金融機関休業日を除く)
受付時間;9;00~17:00
相談所は、公平・中立な立場でお申し出を伺い、お申し出のお客様の了解を得たうえ、当該の信用組合に対して迅速な解決を要請します。
東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会が設置畝いする仲裁センター等で紛争の解決を図ることも可能ですので、「当組合、コンプライアンス室」または「しんくみ苦情等相談所」へお申し出ください。また、お客様が直接、仲裁センター等へ申し出ることも可能です。

【群馬県信用組合元支店長現金ネコババ事件被害者の会】

※参考資料
群馬県信用組合のHPから
■概要
設立:昭和63年4月1日(合併)
本店所在地:安中市原市668-6
出資金:6⑥7百万円
代表者:理事長 松井誠
預金高:1,903億円
貸出金:826億円
役職員数:279名(男200名、女79名)
事業内容:預金業務、貸出業務、為替業務、国・地方公共団体・会社等の金銭の収納業務、各種業務の代理または媒介業務
国債・投資信託・保険商品の窓口販売業務

■役員
理事長: 松井  誠
専務理事: 新野 正行
常務理事: 黛 一夫
常務理事: 新井 敏正
常勤理事営業推進部長: 五十嵐 公
常勤理事総務部長: 高間  勉
常勤理事監査部長: 石川 隆司
理事: 小林 徹
理事: 松井 徹郎
理事: 吉田  毅
理事: 武井  宏
理事: 清水 邦宏
常勤監事: 高橋 正夫
監事: 市川 悦老



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2 コメント

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Unknown (ひらく会j情報部)
2010-11-18 19:54:11
当会のブログの愛読者の皆様へ

 平素より、当会のブログをご愛読賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、本日午前8時過ぎに、下記のような、当会の記事内容と無関係な迷惑コメントが寄せられました。
 このような反応も、記事の内容の軽重を客観的に評価するひとつの指標として、当会ではあえて消去しておりません。
 当会のブログ愛読者のご理解を賜りたく、また、引き続き当会のブログをご愛読くださるよう宜しくお願い申し上げます。
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Unknown (ひらく会事務局)
2010-11-22 03:17:45
当会のブログの愛読者の皆様へ

 平素より、当会のブログをご愛読賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、1時間半ほど前の、本日午前1時44分に、下記のような、当会の記事内容と無関係な迷惑コメントが寄せられました。
 同じ記事に立て続けにこのようなコメントが寄せられたのは初めてです。相当、インパクトのある記事として、受け止めていただいたため、こうした反応が寄せられた可能性があります。
 このような反応も、記事の内容の軽重を客観的に評価するひとつの指標として、当会ではあえて消去しておりません。
 当会のブログ愛読者のご理解を賜りたく、また、引き続き当会のブログをご愛読くださるよう宜しくお願い申し上げます。
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