市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

これでいいのか群馬県環境行政…住民の意見などお構いなしに群馬県が東邦亜鉛に与えたサンパイ場使用許可

2013-01-15 22:07:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題

■1月14日の大雪のため15日は遠出を控えて、畑で野良仕事をしていたら、夕方の午後4時ごろ、なにやら大気に嫌な臭いがして、口の中が苦くなり、頭が痛くなりました。ほとんど無風状態で、快晴のはずなのに空がなんとなくどんよりとしていたため、東邦亜鉛安中製錬所の排気塔からの排ガスのせいだと直感し、さっそく安中製錬所の総務課に連絡をしました。

 30分ほどして、環境担当の2名の職員(中島氏、上原氏)がやってきて、インタビューに応じましたが、そのころには北風が吹き始めたので臭いはあまり感じなくなりました。臭いが東邦亜鉛の南側の北野殿地区に立ち込めたのは、大気の逆転現象だと思われます。

 大気の逆転層は、晴れて風のないときに夕方から夜間にかけて地表から熱が放出されて大気が冷却される放射冷却に伴って発生することが多く、冬季によく出現するからです。また、前線の影響により発生する場合もあります。逆転層が発生すると、層の内部では大気汚染物資が拡散しにくく、無風の場合とく滞留しやすくなります。

 東邦亜鉛安中製錬所の職員らは、東邦亜鉛の排気塔から出る排ガスの臭いは知らないと見えて、いぶかしげな顔をしていましたが、北野殿で生まれ育ち、生活している住民は、かつて、東邦亜鉛から出る亜硫酸ガスをはじめとする東邦亜鉛公害特有の臭いを嗅ぎ分けることができます。

■2名の職員らは、帰社後どのような報告書を書くのか、あるいは書かないのかは定かではありませんが、ちょうどよい機会だったので、東邦亜鉛安中製錬所が住民の知らないうちに造成し、群馬県に対して石綿含有物質を含む安定五品目と呼ばれる産業廃棄物を埋め立てる最終処分場の許可手続きの進捗状況について尋ねてみました。

 すると、既に昨年のうちに、サンパイ最終処分場の完成検査の合格通知が群馬県の西部換気用森林事務所から交付されたというのです。

 当会のブログ http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/920.html3readmore で報告したとおり、群馬県知事が平成24年6月8日付で東邦亜鉛に対して、「廃プラスチック類〔石綿含有産業廃棄物を含む〕、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず〔石綿含有産業廃棄物を含む〕、がれき類〔石綿含有産業廃棄物を含む〕(以上5種類)」を処理できる安定型産業廃棄物最終処分場の設置許可証を、住民の知らないうちに交付していました。

 当会が、昨年12月3日に群馬県廃棄物・リサイクル課と東邦亜鉛安中製錬所を訪れた際には、双方ともに「平成24年6月8日付の設置許可に基づき、群馬県西部環境森林事務所が実際にサンパイ場の完成検査を実施していて、まだ完成検査の完了通知が到来していないため、使用許可はまだ出ていない」という趣旨の説明でしたが、実際にはその時既に、完成検査が完了して、使用許可が出されていた可能性があります。

 あれほど、「石綿含有産業廃棄物を含む」という文言の重大性について、再考の上、変更手続きを行うように群馬県と東邦亜鉛の双方に申し入れたのに、住民の意向は、一顧だにされず、行政と業者の間で、どんどん手続きが進められてしまいました。

■このため、ただちに東邦亜鉛安中製錬所の総務課に電話をして、事の次第を確認したところ、やはり、「石綿含有産業廃棄物を含む」という文言を削除しないまま、群馬県から使用許可が出されていたことが判明しました。また、あれほど東邦亜鉛には「使用許可が出る前に、必ず、「石綿含有産業廃棄物を含む」という文言を削除するための修正許可申請をきちんと県に出すように釘を刺しておいたにもかかわらず、東邦亜鉛は、結局、修正もなにもしていなかったことが判明しました。

 総務課担当責任者(吉沢氏)は、当会の質問に対して「きょう、西部環境森林事務所に年始の挨拶がてらうかがって、この件でうちあわせたところだ。完成検査の合格通知がきたが、実際にサンパイを入れる前に、「石綿含有産業廃棄物を含む」という文言については削除するつもりだ。どうやって削除するかについては、処分場の運用要領の中で、考えたい」という趣旨のコメントをしました。

 つまり、わかり易く言えば、処分場の運用マニュアルに、石綿含有産業廃棄物は入れないように規定する文章を入れることで、対応するという意味になります。これでは、群馬県の設置許可条件が変わるわけではないので、石綿含有のサンパイを入れても、法的に問題ないというお墨付きになってしまいます。

■さらにびっくりしたのは、地元の区長らから出されている災害防止協定の締結について、東邦亜鉛に意向を聞いたところ、総務課担当責任者は「当社としては、地元とそういう協定を締結することは考えていない」と断言しました。これを地元の区長らが聞いたら、どう思うでしょうか。

 さすがに少しは後ろめたいと思っているのか、東邦亜鉛は「協定は締結しない代わりに、いつ、どんな性状のサンパイを処分場にどれだけ入れたか、について、ホームページ上で公表する方式を考えている。また、地元住民が希望すれば、サンパイの投棄の記録を閲覧できるようにする」と追加で説明をしました。

■あれほど、地元住民が意見書のなかで、東邦亜鉛のサンパイ場の設置について問題点や提案を記載したにもかかわらず、結局無視された形となりました。やはり、サンパイを巡る群馬県の環境行政では、「政」「官」「業」のトライアングルが強固であり、この中には「民」の存在は全く意識されていないことが痛感させられます。

 カドミウム公害問題であれだけ世間を騒がしにもかかわらず、半世紀近く経過しても、未だに周辺土地のカドミウム等重金属の汚染土壌の除染をやろうとしない東邦亜鉛の企業体質と、それを助長してきた群馬県環境行政の本当の姿を、ここに見ることができます。

【ひらく会情報部】

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