市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

グラフぐんまの作成費透明化のため、住民監査請求の陳述が県庁26階の監査委員監査室で開催

2012-11-22 23:31:00 | オンブズマン活動
■本日平成24年11月22日(木)午後3時30分から1時間の持ち時間で、群馬県庁26階にある監査委員監査室で、「群馬県職員措置請求書」、いわゆる住民監査請求にかかる陳述を行いました。最初に、監査委員事務局長が注意事項の説明を行い、続いて矢島管理課長が「合図をしたら挙手をして氏名を述べてから陳述するように」と補足説明を行い、次に4人の監査委員の紹介がありました。

監査委員を前にしての陳述に先立ち許可された写真撮影。監査委員4名は正面向かって右から富岡・代表監査委員、横田委員、県議会から織田澤委員、新井委員。


県庁26階でエレベータを降りると正面に張り紙があった。

エレベータホールから突き当たりを左にいくと監査委員事務局。

突き当たりにも行先表示の張り紙がしてあった。

陳述出頭者は入口で名前を書かされる。

陳述傍聴人の守るべき事項としてあれこれ注意が細々と指示されている。群馬県の権威主義の一例か。

 その後開始された陳述の内容は概ね次の通りです。

**********
 請求者が提出いたしました、平成24年10月23日付「群馬県職員措置請求書」及び、平成24年10月31日付の群馬県監査委員による群監第202-7号「群馬県職員措置請求書の補正について(通知)」により、地方自治法第242条に定める請求の要件を具備しているかどうか判断する必要があるとして通知された指示に基いて、請求者が提出いたしました平成24年11月12日付「補正書」について、請求者は次のとおり陳述いたします。
 請求者は、「県政写真誌「グラフぐんま」製作・発行委託業務」の一連の契約行為のうち、財務会計上「どのような理由」で違法又は不当なのかについて、補正書で次の2つの要点を挙げて整理して説明しました。
(1)適正な予定価格かどうか
(2)適正な入札かどうか
 今回、せっかくの陳述の機会を賜りましたので、これらのことについて更に説明を加えておきたいと思います。
 釈迦に説法のようでたいへん申し訳ありませんが、予定価格というのは、国や地方公共団体が業者などと各種の契約を締結する際に、契約を担当される役人のみなさんが、競争入札や随意契約にかける事項の価格について、その契約金額を決める基準として、あらかじめ作成しなければならない見込み価格のことです。これは予算決算及び会計令第79条や同第99条の5に定められています。「予算決算及び会計令」というのは長たらしい法律名称なので、以降は「予決令」と略して呼ぶことにいたします。
 予定価格は原則として、総額について定めることとされておりますが、例外として、単価について定めることも予決令第80条で認められております。また、この予定価格は、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならないと、予決令第80条第2項に明記されています。なお、競争入札では、落札額は予定価格の制限を超えることができないと、会計法第29条の6に定めてあります。
 さらに昭和44年12月17日付大蔵省会計検査院第4438号の通達によれば、100万円以下の契約は予定価格を省略して良いこととなっております。ただし、可能な限り積算を行なうべきとされております。
 予定価格は、契約金額を決定し適正な契約を行うための基準となるものであり、次のような役割を果たします。指名競争入札、随意契約において対象業者の格付を決定する際の基準になったり、入札及び随意契約の際の協議等において、落札決定するかどうかの基準になったりします。
 予定価格の算定は、通常、業務担当者が積算基準や各種価格資料(価格調査月刊誌、業者見積、公共工事設計労務単価等)に基づいて積算を行ない、契約担当官等が積算額に基づいて予定価格を決定します。通常は積算額=予定価格となります。積算には市場計算方式と原価計算方式があります。
 前者は、あらましの設計図書や仕様書等にもとづき、想定される工事や調達品の価格を調査して適正な価格レベルを算出する方法で、後者は工事や調達品の材料は工数の内訳を割り出して、それらの単価と数量をもとにコストを積み上げて、最後に適正な利潤を勘案して算出する方法です。通常は、これら2つの方法を大なり小なり勘案して、予定価格を算出して決めるようです。
 請求者も、仕事がら、積算を行なったことがあります。予定価格を決定する場合には、仕様書をきちんと固めておいて、それに基づき項目に漏れの内容に確認しつつ、また、作業に必要な工数は、国や業界団体が公表している数字を参考にして、材料の多寡や周辺条件を加味して、課題とならぬよう、また漏れの内容に適正に計算して、妥当な数値をはじき出します。一方、算出した結果が、その時点での市場価格に照らして過大、過小ではないかどうか、詳しい仕様を隠したりして、一般的な価格動向を業者に参考見積もりとして提出させて、見積価格=予定価格が適正かどうかの判断材料とします。
 予定価格の取扱いには特に、慎重な対応が求められます。予定価格が漏洩すると安価な契約を行うことや公正な入札を行うことが阻害されるからです。したがって、札を開けるまでは秘密にしておかなければなりません。予定価格は、発注者側でさえも、ごく限られた担当者及び責任者しか知らされないのが通常であり、予定価格を決めた人は、通常、入札会場には出席せず、別室で隔離された場所に待機して、外部との接触を絶つのが常です。
 予定価格が記載された予定価格調書は入札が行われるまで厳重に密封して鍵のかかった金庫に保管されなければなりません。但し、近年になって、競争入札の透明性を高める目的で事前に公開されるようになった時期がありました。予定価格の事前公表で、契約担当者が予定価格を漏洩して利益を誘導する危険性が排除されたことから、市民オンブズマンとして評価をしたことがあります。ところが、平成19年度以降になって、それまでは、こうした予定価格の事前公表案件が増加していましたが、次第に、一般競争入札において同額入札が頻繁に発生するようになりました。そのため、くじ引きで落札者を決める件数も増加したのでした。
 予定価格の事前公表の場合、積算が適切に行われない限り、予定価格の意味がなくなってしまいます。予定価格の内訳や中身がきちんとしていなければ予定価格は単なる目安となってしまい、応札する業者の積算努力を減退させてしまいます。結局、業者間の談合を誘発して、落札価格が高どまりとなる結果となってしまうという問題点が出てくるようになります。そのため、平成20年3月31日に総務省、国土交通省は連名で、各自治体に通達を出し、事前公表の取り止めを促す対応をしています。
 近年の公共事業・公共調達に関して、入札価格が高止まり傾向にあり、税金の無駄遣いにつながっていないかとの批判が出ています。実際に、市民オンブズマン群馬の調査では、八ッ場ダム関連の公共事業については、落札率、すなわち、予定価格に対する入札価格の比率が非常に高止まりしており、官製談合の疑いを抱かせる案件が目に付いていました。これは、発注者側の国交省の八ッ場ダム工事事務所長が、県知事の後援会長でもある用地買収交渉の地元側対策委員長を兼ねている金融機関の理事長の誕生会が伊香保で開催された際に、工事関係の業者が100社あまりも列席するなかで、県知事とともに誕生会に参加し、八ッ場ダム工事の進捗説明や今後の方針などを説明するなどして、官と業者の癒着によるもので、官製談合の温床が厳然として存在するためです。
請求者は、こうした官製談合等の温床を撲滅するために、これまでも、そして今後とも活動をしております。
 一方で、最近では工事内容や調達品に求められる品質・性能が高度化・複雑化してきているのも事実です。受注者側の技術革新が進む中で、工法やデザインの多様化・効率化によって、予定価格の根拠となる設計図書や仕様が一様性だけではくくれない事案が出てきています。このような場合、発注内容を定義づけることが難しくなってしまい、業者の選定基準を予定価格のみで一概に規定することが困難になってくる事例も増えてきているのも事実です。
 こうした傾向に対処するために、企画競争型・公募プロポーザル型等の調達方法が採用される事案も増えています。しかし、この方法だと、予定価格が形骸化しやすい、という指摘、つまり、採用された提案に基づく見積の金額どおりに認めざるを得ないということになりやすいという現象が指摘されています。
 このように、契約行為に至るまでの過程にはそれぞれ一長一短があるにしても、きちんと積算を行い、入札を公平、公正に行い、競争性を担保しつつ、地方自治法の基本である最小のコストで最大の効果を得るという努力が必要なのです。
 今回の県政写真誌「グラフぐんま」製作・発行委託業務に関する一連の契約行為については、肝心の情報開示が不十分であるため、契約行為が公正性、公平性、競争性を担保しつつ実施されたのかどうかについては、非常に疑問があり、また、その結果として、契約金額が、他の自治体の相場に比べて高すぎる感が否めません。また、公金を投入して作成された成果物が、県民全てが無料でアクセスできる環境に置かれていないことは、公金の使途にふさわしくないと考えます。
 また、公金を使って成果物に掲載される広告についても、発注者側である群馬県が積算の際に、まったく把握しようとしないのも問題です。群馬県のブランドで発行する成果物ですからそこに掲載される広告というのは通常のそのへんのフリーペーパー誌とは比較にならないほど、高い効果があるはずです。実際に、群馬銀行はそのようなコメントを請求者に寄せてきています。トータルで、コストを把握して、その中で、応札者に競争してもらい、最小のコストで最大の効果のある成果物を得るための努力を日々重ねることが群馬県には求められているのです。
**********

この後、公募プロポーザル型の一例としてさいたま県町田市の広報誌編集、発行の事例について資料をもとに説明しました。町田市は、写真広報誌「まちびと」を発行しています。年4回発行の季刊誌で、サイズはA4判36ページですが前頁フルカラーで、配布部数は9万5千部です。従って、年間38万部となります。配布先は、町内会や各コミュニティー単位できめ細かく配布されるとともに、町田市のHPにだれでもアクセスして自由にダウンロードできます。町田市は業者と年間税込800万円で製作・発行・配達の契約をしています。広告料はグラフぐんまと同様に業者の収入になります。単純計算で比較すると「まちびと」は1部あたりの公金投入額は約20円ですが、グラフぐんまは約77円で4倍近くかかっている勘定になります。議員出身の監査委員は、オンブズマンのメンバーの説明に頷いている者もいましたが、有識者出身の監査委員の反応は特に見られませんでした。

 続いて市民オンブズマン群馬の事務局長からも「税込みで3440万円もの公費を投入して作成しているのに、広告料について知ろうとしない群馬県の対応は怠慢である。役所の施設や病院、旅館、銀行、美容・理容院にはタダで配っておきながら一般県民には自由にアクセスできないようにして、しかも350円で販売するのは本末転倒。内容についても、大澤知事の提灯記事が多く、面白くない。だから350円の有料販売部数は伸びない」と意見を陳述しました。

■最後に、監査委員のうち代表監査委員の富岡恵美子氏から質問がありました。「補正書の2項の後段にある「さいたま市が半年ごとに1万部ずつ1部62円程度のコストではこうしている写真誌などからすると、グラフぐんまの場合、広告を募集しなくても、1冊あたりせいぜい90円程度で賄えるはずである」という記載個所について、「なぜ、90円程度で賄えると記載したのか、その根拠を説明するように」という内容でした。そこで、当会の事務局長から、「さいたま市の広報誌『楽楽楽さいたま』の場合、多分サイズはA4判で、全頁フルカラー20ページで半年ごとに1万部ずつ発行しているが、印刷コストが1部62円程度なので、毎月1万6千部印刷しているグラフぐんまの場合、変形B4判で一回り大きく、ページもカラー28ページ、モノクロ12ページと2倍のページ数だが、印刷部数が多いので1部あたりのコストはさほど増えないと思われる。さいたま市の場合には広告がなく、企画・編集はさいたま市の広報担当職員が行っていることもあり、外注委託の部分はグラフぐんまの製作を委託されている上毛新聞よりももっと少ないかもしれない。それらを勘案して、グラフぐんまの製作コストは楽楽楽さいたまの1倍半くらい高い1冊あたりせいぜい90円程度と、長年のカンで判断したもの」と詳しく説明をしました。

 その上で、「さいたま市の広報誌の場合、職員の手作りという点がポイントであり、内容をみても市民の暮らしの目線で取材し記事を執筆していてほほえましい。一方、グラフぐんまの場合は、企画以外は上毛新聞社にほとんど丸投げしており、これでは群馬県の職員がグラフぐんまを県民に広報するという意欲が有っても、そのせっかくの機会をプロの上毛新聞に委ねてしまっていることから、意欲が減退してしまう。グラフぐんまの内容がつまらないものになっているもの、それが原因の一つと考えられる。群馬県の職員は平日にソフトボール大会をやったり、企業局などでは、勤務時間中にパソコンでアダルトAVを観賞できるほど暇なのだから、もっと広報活動を盛り立て、自分たちの手で、県民目線の編集を自前で行えば、コストはもっと下がるはずだ」と付け加えました。

 他の監査委員からは質問は出ませんでした。

■代表監査委員と有識者の監査委員は終始顔をこわばらせていました。それにくらべると、議会選出の監査委員2名はリラックスした様子でした。

 監査委員らに挨拶をしても、彼らからはきちんとした返事はなく、1時間の持ち時間を10分ほど残して、陳述は全部完了しました。

 監査委員がどんな結論をだすのか、いまから楽しみです。


この日は県庁1階エントランスロビーで第2回ぐんまフランス祭というのをやっていた。

フランス祭会場の様子。

朝10時からのフランス祭開催セレモニーに集まった関係者ら。

県庁の玄関先には新旧のフランス車が多数展示されていた。トレヴィアン。

【市民オンブズマン群馬からの報告】
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前橋市と台南市の友好姉妹都... | トップ | 公舎に愛人を連れ込んで妾宅... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

オンブズマン活動」カテゴリの最新記事