市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

1カ月後に迫ったタゴ事件103年ローン14回目和解金支払と市税滞納について公開質問状を市長に提出

2012-11-24 23:46:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■我が国の地方自治体としては、安中市土地開発公社を舞台にした史上最大の巨額詐欺横領事件(我々安中市民はタゴ51億円事件と呼んでいます)が発覚したのは1995年5月18日でした(実際には、前日の夕方に一部の関係者が認識)。それから17年半が経過したことになります。

昨年末、群馬銀行にタゴ51億円事件の13回目の和解金として2000万円振り込んだとされる平成23年12月22日付の群馬県信用組合(けんしん)あての総合振込依頼書。驚いたことに、群馬銀行に2000万円振り込むのに、事件発覚当時、タゴと懇意だった群銀安中支店長の松井誠が現在理事長を務めている群馬県信用組合に対して、群銀安中支店への振込依頼書を発行していることだ。51億円事件の関係者で、とりわけ元職員と近い関係にあった岡田義弘市長(元公社理事・監事。事件当時は県議)から松井誠けんしん理事長(元群馬銀行安中支店長)が、事件発覚後17年目にして、タゴ尻拭い金に関与しているとはなんと安中市民を愚弄する構図か。


 この事件は、安中市土地開発公社の経理その他実務を担当していた都市計画課の職員が、昭和54年(1979年)4月の土地開発公社の立ち上げから16年もの間、同一職場に勤務しているうちに、経理のチェックのズサンさに目を付け、次第に横領をエスカレートさせたのです。友人に地元信用金庫に勤務する人物がいたため、次第に金融の内側を知るようになりました。そして1987年から群馬銀行からの借入手続で、同行の役所関係の書類チェックがいい加減なことに便乗し、群馬銀行だけをターゲットにして1995年5月にかけて、総額約48億円をだまし取り、自分自身はもとより、親族、友人、知人、愛人、同僚、上司、政治家、暴力団などに配り、このうち警察の捜査でも使途の分からない不明金が14億円以上もあります。

■元職員のタゴは、上記のうち時効分を除いた約32億円分について、1995年6月に逮捕されて詐欺罪などで起訴され、1996年4月8日に懲役14年の実刑判決を受けました。一方、1995年10月に民事事件として群馬銀行が、「公社と市に使用者責任がある」として貸金返済を求める民事訴訟を提訴しました。裁判は次第に密室で行われるようになり、前橋地裁は、1998年8月に両者に和解案を提示し、これをもとに交渉が進められ、12月9日に合意に達しました。その和解条項は次の通りでした。
 ①銀行側は返済請求額のうち、9億3600円と10数億円に上る利息と損害遅延金の支払いを免除。
 ②土地開発公社と安中市が連帯して残りの債務24億5000万円のうち、4億円を1998年12月25日に支払い、 1999年から10年間は2000万円ずつ分割で返済。その後は同公社の財政状況や経済情勢の推移を見ながら、 年間支払額が2000万円を下回らない範囲で返済。最長で103年かけての返済になる。

 かつて安中市土地開発公社の理事監事を歴任し、事件発覚直前に市議から県議に鞍替えし、事件発覚直後に市内でばらまかれた怪文書で事件への関与を指摘されて被疑者不詳のまま怪文書の作者を告訴した岡田義弘氏は、2006年4月23日の安中市と松井田町の合併市長選を制し、2006年6月から安中市土地開発公社の理事長にも就任しました。

 そして、群馬銀行に和解金として事件の尻拭い金を支払いはじめてから10年後の2008年12月に、岡田市長はこの巨額詐欺横領事件の尻ぬぐいに関する説明会を旧安中市と旧松井田町で開きました。それは、最初の10年間の最終期限である2008年12月25日の10回目の尻拭い金を支払う前に、住民説明会を開催して、既に安中市・公社は群馬銀行に対して引き続き10年間、同様に毎年2000万円ずつ公金を支払うという約束をしたことを住民に後付けで形式的に説明するのが目的でした。

 2009年12月25日に岡田市長は第2ラウンドの10年間支払いの初回、累計で11回目の支払いとなる2000万円を群馬銀行に振り込みました。その後、2010年12月、2011年12月とそれぞれ累計で12回目、13回目のタゴの尻拭い金が群銀に支払われ、今年は1カ月後に14回目の支払い時期が迫っています。

 そうしたなかで、先日市民に配布された広報あんなか平成24年11月1日号の5頁目で、「もしあなたが市税を滞納してしまうと」と題する記事が掲載されました。あまりにも身勝手な論理なので、本日、市長との対話の機会に、岡田市長に次の公開質問状を手渡しておきました。

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                    2012年11月23日
安中市長 岡田義弘様
                    安中市野殿980番地
                     小川  賢
          公 開 質 問 状
 貴職におかれましては、安中市行財政に日夜取り組まれ、そのご尽力に対して、市民として敬意を表します。
 さて、安中市役所内の安中市土地開発公社で1995年5月18日に発覚し、同6月3日に新聞報道された史上空前絶後の巨額詐欺横領事件の和解金として、今年も12月25日のクリスマスに2000万円もの公金が安中市の債務保証付きで、元職員に騙されたと主張していた群馬銀行に支払われるようです。
 安中市土地開発公社のかつて理事・監事であり、現在の理事長でもある貴殿も記憶されていることと存じますが、巨額詐欺横領事件を知った市民らの相当数のかたがたが、当時、市税の支払いをためらった経緯があります。このような大規模な横領が市役所内で起きていたことに誰も気づかなかったという不自然さ、血税を原資とする公金の取扱いのズサンさに納税者として不安を感じたためです。事実、その後の刑事記録を見ると、課税台帳の改ざんも行われていたことが判明しました。
 あれから17年半が経過しましたが、貴殿を含めて事件関係者による、この前代未聞の巨額詐欺横領事件の真相についてのきちんとした説明と、責任の所在の確認、そして責任ある対応措置は未だに行われてきておりません。
 こうした状況のもとで、先日市民に配布された広報あんなか平成24年11月1日号(Vol.80)の5頁目に、「もしあなたが市税を滞納してしまうと」と題する記事が掲載されました。
このことについて、次の質問があります。
―――巨額詐欺横領事件にかかる不当利得金への課税懈怠処分に関する質問―――
Q1.元職員の場合、配偶者に横領金1億5千万円が流れたことが警察の捜査で判明しています。まだ、元職員と離婚せずに県内で同居しているようです。また、元職員の実弟は母親とともに運輸会社を経営していますが、横領金の一部がやはり流用されています。にもかかわらず、なぜ差押をしなかったのですか?なぜ、巨額の不当利得が見逃され、市税の課税を行わなかったのですか?
Q2.元職員は安中市都市計画課兼土地開発公社の上司や同僚に、高価な鍋島や古伊万里の骨董を見せびらかしたり、1着80万円もするスーツを着たりして登庁していました。当然、こうした元職員の不釣合いな振る舞いに対して疑問を抱かなければならないはずですが、市役所の七不思議と揶揄するだけで、誰も元職員の収入について不審を抱きませんでした。そもそも、安中市は法律に基づいて、すべての財産について調査する権限を持っているはずです。調査を受けた勤務先・金融機関などはその調査に協力しなければならず、個人情報保護法に触れることはないのですから、元職員の収入に不審を抱いて調査していれば、早期に横領が発覚して、51億円もの巨額横領にはなり得なかったはずです。勤務先が市役所なのに、市役所の税務課や財政課はなぜこのような元職員の行状を見逃して、所得の捕捉をしなかったのですか?市役所の怠慢ではないですか?
Q3.元職員やその親族らは、一生かけて横領金の償いをすると刑事裁判の法廷で陳述していますが、いまだに償いをした形跡がありません。また、安中市もこの17年間で、元職員の財産差押えによる損害金の回収を僅か1300万円しか行っていないようです。市税に至っては全く回収しようとしないまま、結局棒引きとしてしまいました。今からでも遅くないので、元職員及びその親族らの財産調査を行い、納税する資力が十分あると判断した場合、給与の差押や預貯金の差押、生命保険の差押などを執行する予定はありますか?また、執行する場合、元職員及びその親族らが分割納付を望む場合は、やむを得ない事情として納期限内を認めるつもりはありますか?
Q4.元職員の横領事件による不当利得への課税はなぜか行われませんでした。納税は国民の義務であり、税金はすべての債務に優先すると法律に定められています。元職員やその関係者だけが、不当利得への課税を免れることができたため課税できないというのは、一般市民納税者には全く理解できません。なぜこのような措置が元職員らだけに適用されたのでしょうか?
Q5.元職員らの場合、すでに納期限日を過ぎているのかもしれませんが、延滞金も課せられてこなかったと思われます。税金は納期限内納付が原則であり、納期限内に納付している人との公平性を保つため、延滞金が徴収されるはずです。なお、延滞金を納付しない場合、滞納処分(財産差押)の対象となるはずです。元職員らの場合、なぜ、延滞金からも課税をまぬがれることができたのでしょうか?
Q6.広報あんなかの記載記事のように、脱税や滞納は決して許される行為ではありません。脱税や滞納には毅然たる対応が必要なのは当然です。ところが、巨額詐欺横領事件を起こした安中市の場合、事件に関わる対応について市民の目は厳しいものがあります。上記のように、巨額横領事件の尻拭いをするために公金が流用されています。群馬銀行に22世紀の2101年まで毎年、安中市土地開発公社を通じて2000万円を和解金として支払う上で、市民の血税が失われているのです。
 市税を滞納する市民に対して、一方的に問答無用で税金を強制的に徴収することは、30億円以上もの横領金による不当利得に対して市税を課税しなかった元職員らとの公平性を欠くことになります。また、巨額の不当利得に対して市税を棒引きにしたことは、2101年まで、市の財政を圧迫し、住民サービスに支障をきたす結果を生んでいることになります。このため、善良な市民納税者の代弁者として、「税金の棒引きは許さない」を合言葉に、市は毅然とした態度で、なぜ元職員ら事件関係者らへの市税の課税を行わなかったのか、また今後元職員ら事件関係者らへの課税をどうするのかについて、きちんと市税滞納者に説明をしてから、滞納処分を行いますか?
 なお、本質問状は貴職に提出する際にネット上で明らかにし、また貴職のご回答を得た上で、あるいは得られなかったときに、再度ネット上で回答の有無及び内容を明らかにしてまいりたいと考えます。同時にその経過を含めてネット上でも明らかにし広く安中市民に広報してまいる所存です。つきましては、平成24年11月30日(金)限り、下記に郵送又はFAX、もしくはE-mailにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。
          記
〒379-0114 群馬県安中市野殿980番地
電話 382-0468 FAX 381-0364 E-mail ogawakenpg@aol.com
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■岡田市長は、期限までに内容を検討して法律に則って回答することを約束しました。当会からは、「このまま孫子の代まで、我々の世代の付けを残すのは避けなければならないので、群馬銀行に対して、早急に和解事項の見直しのための交渉を行いましょう」と岡田市長に要請しました。

 岡田市長はこの要請に対して次の趣旨の返事をしました。

①市税滞納の話は、タゴ事件の和解とは切り離して考えなければならない。
②和解をしたのは自分ではなく、前市長の中島さんだから、中島さんになぜ和解をしたのか聞かないとわからない。
③自分なら、決して和解などしない。裁判で最後まで決着を付けた。
④もし、自分に和解条項を見直すことになれば、もういちど群馬銀行と裁判をしなければならない。
⑤和解条項を見直すのを自分に要請するなら、市民として署名を集めてきてほしい。そうすれば考えなくもない。
⑥既に裁判で決まっているのを覆すのは、行政の継続性の観点から困難である。
⑦公社としては、税金は1円も使っていないので、安中市には損害を与えていない。

■これに対して当会から、次のコメントを伝えました。

①公社の運営は、安中市からが公共事業として公社に委託している事業で成り立っており、委託費として安中市から5%程度の事務費が支払われているはず。また、資本金500万円は安中市から全額出資されており、公社が銀行から借入れをする場合、すべて安中市が保証人となっている。つまり、公社は安中市と連結決算になっている。
②貴殿は、公社の責任者として当会が責任所在を追及して公社関係者28名(元職員を含む)を相手取って提訴した損害賠償請求事件において被告のひとりだったが、他の26名(なお元職員は裁判にも終始出廷せず)が和解の意向を示したにもかかわらず、最後まで和解に応じず、勝訴を勝ち取っている。従って、この裁判では和解条項は裁判所から示されておらず、最高裁の判断は、公社は市と別法人だから、市民に損害はなく市民が公社に損害を請求できないということになり、公社は市から支援を受けずに公社独自で和解金の返済を行う責任を自ら受け持ったことになる。
③こうした観点から、貴殿は群馬銀行に対して常に交渉をして、安中市の債務保証なしで群馬銀行に対して公社独自で和解金を支払えるようにすべきではないのか。
④群馬銀行は、安中市の保証なしでは公社の事業に対する融資はできないというはずだから、必然的に群銀と安中市・公社との間で交わされた和解条項の解消を群銀に求めて認めてもらうことが必要である。
⑤もし、群馬銀行が交渉に応じないのであれば、和解を解消し、再度訴訟も辞さないという強い決意で臨んでほしい。

■ところが、岡田市長は、行政の継続性と主張し、前任市長が決めた和解条項を遵守するのが務めだとし、当会が提訴した公社関係者の責任を問う住民訴訟に対して最高裁まで争った後、岡田義弘として勝訴したのであるから当会=住民がとやかくいう権利は存在しない、などと、支離滅裂の矛盾した論理を繰り返すのみでした。

 挙句の果ては、当会が立てた看板が壊れたままにしておくのは「環境問題から問題だ」などと、訳のわからない反論をする始末なので、当会からは「それをおっしゃるのであれば、ご自宅の裏にある東邦亜鉛の所有地で、古くなった風呂桶をつかって書類焼却をしたりせずに、また、同社の敷地内に放置してある選挙用の看板等をきちんとかたずけるのが先決ではないのでしょうか」と申し上げたところ、それに対する反論はありませんでした。

 最高裁で、タゴ51億円事件の損害は公社のみで、安中市には損害がないから、市民がこの件で、タゴ事件の損害賠償を提起する資格はないということで、勝訴判決を得た岡田義弘氏は、市長として、また土地開発公社理事長として、公金を一切投入せずに、タゴの尻拭いをする責任と義務がありますが、どうやら、最高裁の判決を反故にしていることをなんとも思っていない様子です。

■このままあと89年間、2101年まで行政の継続性とやらで、毎年群銀に2000万円ずつ支払うつもりなのか心配になった当会では、岡田市長に「次回も出馬するのでしょうか。あるいは、ご子息の信弘氏にバトンタッチするのでしょうか」と問うたところ、岡田市長は「そんなことはあんたの知った事ではない」と一蹴しました。

 最近、岡田市長の地元の北野殿で配られる物品に「岡田信弘」と書かれた熨斗袋が見られるようになりました。住民の間では、岡田市長が後継としてなにかを考えているのではないかという声があがっています。

【ひらく会情報部】

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