市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【安中市庁舎建替え問題】官製アンケート中間報告のトリックに係る公開質問に対し市から不明確な回答届く

2021-06-06 22:23:00 | 安中市庁舎建替えに伴う予算過大問題
■5月19日までに安中市がホームページに掲載した安中市庁舎建替え問題に関する官製アンケートの中間報告について、とりわけ注目を集めた「問9」の設問では、「どのような庁舎整備が良いと思いますが?(☑は1つ)」に対して、選択肢回答法として「現在の本庁舎の場所に建て替えるのが良い」「旧安中高校跡地に建て替えるのがよい」「その他の場所に建て替えるのが良い」「現在の旧庁舎・中庁舎を耐震補強するのが良い」「その他(自由意見)」が提示されました。

 その回答結果として、安中市は、上記の設問項目以外にも「無回答」と「無効」を含めてカウントし、なんと※印の注釈で「『無回答』(5.4%)が3位」などと記しています。このため、市民の間では、現在の本庁舎の場所で建替えたいという安中市民の声を捻じ曲げて、あたかも僅差であるかのようなコメントを加えることにより、「なんとかして旧安中高校跡地で建替えたい」とする安中市の本音が垣間見えるとして、当会に通報がありました。

 そこで当会は、5月31日に安中市役所を訪れて、企画経営部の町田部長と同部秘書政策課の田中課長に面談し、次の内容の公開質問状を提出しました。
*****5/31安中市長あて公開質問状*****ZIP ⇒ j.zip
                          令和3年5月31日
〒379-0192
群馬県安中市安中一丁目23-13
安中市役所
市長 茂木英子 様
                   〒379-0114 安中市野殿980
                   小川 賢
                   TEL:090-5302-8312
                   FAX:027-381-0364

       庁舎整備等に関する市民アンケート集計
       中間報告書の内容について(公開質問)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、安中市本庁舎のうち、市の業務に使用されている旧庁舎、中庁舎が老朽化していることから、安中市は2015年5月頃より、庁内事前準備組織を立ち上げて、新庁舎建設に向け、検討課題の洗い出しを始め、2017年9月に「庁舎建設に関する報告書」をまとめ、市長に提出しました。
 その後、安中市は、令和元年12月に「庁舎に関わる市民懇談会」の委員を募集し、令和2年3月に同委員を選出して委噸し、同年6月から10月にかけて5回に亘り「安中市庁舎に関わる市民懇談会」が開催され、その結果をまとめた提言書が同年11月に市長に提出されました。
 それを受けて安中市は、令和3年4月5日から同30日までの期間、「安中市役所の庁舎整備等に関する市民アンケート」を実施しました。そして集計作業を進めた結果、同5月19日までに中間報告が市のホームページに掲載されました。
 ところがこの中間報告の内容について、住民からいくつか疑問点や不明点が提起されています。
 そのため、こうした事項について、当該自治体としてのご見解を確かめたく、下記のとおり質問をさせていただきます。
                                 敬具

                  記

【質問1】
 アンケートの送付対象者を4,000人とした根拠について教えてください。

【質問2】
 抽出した世代ごとの割合は、基礎とした世代別人口統計の数値が定かではありません。今回のアンケートに際して、安中市が使用した人口統計の出典元と、各世代(10歳未満、10歳代、20歳代、30歳代、40歳代、50歳代、60歳代、70歳代、80歳以上)の数字を教えてください。

【質問3】
 弊職が、ネットで入手できる資料をもとに試算してみると、20歳代から70歳代に対して市が送付対象者として抽出した送付対象者の割合が8.1~8.5%の範囲にあることが分かります。ところが、80歳代以上は6.0%、10歳代は4.3%となっております。10歳代については、今回アンケート対象を16歳以上としたことから、10歳から15歳までが対象から除外されたため、約半数になっているのではないかと推察されます。この推察に間違いはありませんか。

【質問4】
 一方、後期高齢者は全員を対象とした場合に比べて2~3割少ない割合でアンケートを配布したことになります。無作為抽出であればこのような差異は世代ごとで起こるはずがありません。なぜこのようになったのでしょうか。認知症や、寝たきりの市民は、なんらかの基準で、抽出対象から漏れたのでしょうか。わかりやすく説明してください。

【質問5】
 アンケートの場合、回答結果については、無回答や無効に分類される項目がどうしても生じます。今回の回答結果の週間(ママ)報告に際して、無回答と無効は、合計に入れているものといないものが混在しています。唯一、(☑は1つ)とされている「問9」に限り、無回答と無効がともに合計に加算されています。この理由はどのような根拠に基づくものでしょうか。分かり易く説明してください。

【質問6】
 本来であれば、他の複数選択の設問と同様に、合計は、無回答と無効を除外した形で集計しなければならないはずです。さもないと市民の皆様に、無用な誤解を与えかねません。このような懸念を払拭すべく、安中市は、アンケートの中間報告について、ホームページや広報で訂正する予定でしょうか。それとも、最終報告書で訂正するつもりでしょうか。あるいは、このままシレッと黙止されるおつもりでしょうか。

 以上、質問1~6に対して、貴殿のご見解を回答賜りたくよろしくお願いします。なお、ご回答については、大変勝手ながら、書面で2021年6月4日(金)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
                                以 上
**********

■回答期限日の6月4日金曜日の午前10時過ぎに、市役所からFAXで回答書が送られてきました。さっそく見てみましょう。



 FAX送信票とともに届いた回答書の内容は次のとおりです。ついでに当会の感想コメントを赤字で付記してみました。

*****6/4安中市長からの回答FAX*****ZIP ⇒ 20210604sfaxisj.zip
21-06-04;10:09 ;発信元:安中市役所 行政課  送信先:0273810364 ;0273810503 #2/4

      (公 印 省 略)
                        令和3年6月4日 
安中市野殿980
 小川 賢 様
                     安中市長 茂木 英子
                     ( 企画経営部財政課 )

          公開質問状に対する回答について

 令和3年5月31日付けで小川賢様よりご提出のありました「庁舎整備等に関する市民アンケート集計中間報告書の内容について(公開質問)」について、次のとおり回答します。

【質問1】
 アンケートの送付対象者を4,000人とした根拠について教えてください。

回答:全ての市民の方から回答を得ることは困難である中で、全ての市民の方から回答を得た場合との誤差について、統計上、95%の信頼度〈100回アンクートを実施しても95回は同じ誤差の範囲内におさまること。)において、誤差が±3%
(有効回答数:約1,100件)~±5%(有効回答数:約400件)以内であれば、アンケート結呆として有効とされています。この考えから、有効回答数1,100件を目標とした上で、アンケート回収率を30%程度と想定した結果、送付対象者数を4,000人とすることにしました。
(←当会注:結果的に、今回のアンケートでは回収率が48.5%となり、標本数が1940件だったことから誤差は±1.5%となる)

【質問2】
 抽出した世代ごとの割合は、基礎とした世代別人口統計の数値が定かではありません。今回のアンケートに際して、安中市が使用した人口統計の出典元と、各世代(10歳来満、10歳代、20歳代、30歳代、40歳代、50歳代、60歳代、70歳代.80歳以上)の数字を教えてください。

回答:住民基本台帳等の情報を記録している庁内システムの機能を使用し、自動 生成したものであるため、人口統計は使用しておりません。(←当会注:各○○歳代の数字を質問したのに、なぜか具体的な数字を出さずに「(住基台帳等の情報を使っているが)人口統計は使用しておりません」などと、理解不能な回答をしている。やはり住基台帳等に記された市民の具体的な数字を示すと何か不都合があるらしい)

【質問3】
 弊職が、ネットで入手できる資料をもとに試算してみると20歳代から70歳代に対して市が送付対象者として抽出した送付対象者の割合が8.1~8.5%の範囲にあることが分かります。ところが、80歳代以上は6.0%、10歳代は4.3%となっております。10歳代については、今回アンケート対象を16歳以上としたことから、10歳から15歳までが対象から除外されたため、約半数になっているのではないかと推察されます。この推察に問違いはあり寄せんか。

回答:お考えのとおり対象者の年齢を16歳以上としたことから、10歳代のうち、一部の方のみを対象としております。(←当会注:「間違いありません」と答えればよいものを、なぜ言い回しを変えたがるのだろうか)

【質問4】
 一方、後期高齢者は全貝を対象とした場合に比べて2~3割少ない割合でアンケートを配布したこと1こなります。無作為抽出であればこのような差異は世代ごとで起こるはずがありません。なぜこのようになったのでしようか。認知症や、寝たきりの市民は、なんらかの基準で抽出対象から漏れたのでしょつか。わかりやすく説明してください。

回答:なるべく多くの方からご回答いただきたいと苓え、また回答へのご負担を考慮し、特別養護老人ホーム等の施設に入居されている方や、80歳代以上のご高齢の方について、配慮させていたださました。(←当会注:やはり無作為の抽出ではなく、恣意的に抽出したことが、これではっきりしました)

【質問5】
 アンケートの場合、回答詰果については無回答や無効に分類される項目がどうしても生じます。今回の回答結果の中間報告に際して、無回答と無効は、合計に入れているものといないものが混在しています。唯一、(☑は1つ)とされている「問9」に限り、無回答と無効がともに合計に加算されています。この理由はどのような根拠に基づくものでしょうか。分かり易く説明してください。

回答:問9の設問においては、「無回答」は一種の意思表示の1つとしての側面もあると考えられたため、順位にも加えております。また「無効」は他の設問のうち1つのみ選択する設問と同様に、合計と割合のみ入れています。
  なお、設問全体を通して、選択肢から1つのみ選択する設問については、無回答と無効は合計と割合に入れ、選択肢から2つ以上を選択する設問については、回答者により選択数が星なるため、無回答と無効を含めて比較することが難しいため、合計、割合、順位には入れておりません。
(←当会注:問9と同じく1つのみ選択する設問である問1では「無回答」を順位に入れていない。また、問9の設問には「その他」として自由意見を記載するようになっており、問1のような単純な単数回答法にはなっていない。無回答の中には、標本として提示された調査対象が実際に見つからない場合や、設問の内容自体を理解できない=わからないという場合などが想定され、さらに無効としては、複数回答をした市民もいるのかもしれない。旧安中高校についても、壊さずに耐震補強をすればよいのではないか、という市民もいるかもしれないが、その場合は「その他」に記せばよい。したがって市が、この設問で「無回答」を市民の意向として第3位に位置づけたことは、このアンケートが特定の意向を前提に実施されたことを強く疑わせる)

【質問6】
 本来であれば、他の複数選択の設問と同様に、合計は、無回答と無効を除外した形で集計しなければならないはずです。さもないと市民の皆様に、無用な誤解を与えかねません.このような懸念を払拭すべく、安中市は、アンケートの中間報告について、ホームページや広報で訂正する予定でしょうか。それとも最終報告書で訂正するつもりでしょうか。あるいは、このままシレッと黙止されるおつもりでしょうか。

回答:質問5の回答の理由によるものですので、現状は訂正する予定はございません。(←当会注:正直に「このままシレッと黙止するつもりです」と答えればよいものを、「質問5の回答の理由によるもの」として、しっかりと答えようとする姿勢がみられない)
**********

■さて、今回、標本数が約2000であったことから、サンプリング誤差は、次の表(信頼度=95%)によれば、回答率が40%~50%にかけては、いずれも約2.2%であることを示しています。



 今回、「無回答」や「無効」さえも合計に含めて、しかも、「現在の本庁舎の場所で建て替えるのが良い」と「現在の旧庁舎・中庁舎を耐震補強するのが良い」などと設問を二重にするなど、市は姑息な手段を講じて、旧安中高校跡地への建て替えを必死に誘導しました。

 その甲斐あって、今回のアンケートの中間報告を見ると、1位の現在の本庁舎の場所が43.4%で、2位の旧安中高校跡地が40.5%とあり、その差は僅か2.9ポイントであり、それぞれ±2.2%の誤差を勘案すると、はっきりとした際がみられない、という結論が導かれることになります。

 安中市が上毛新聞に「僅差」として報道させたのも、まさにこの思惑があったのだと見る市民の方は多い事でしょう。(下図参照)



 しかし、分析力の優れた市民を煙に巻くことはできません。「無回答」と「無効」を除外したうえで、回答率を計算し直した結果を公表した市民もいらっしゃいます。その結果を見ると、1位の現在の本庁舎の場所が46.4%で、2位の旧安中高校跡地が43.2%となり、その差は3.2ポイントとなります。しかし、これでも、それぞれ±2.2%の誤差を勘案すると、「依然としてはっきりとした際がみられない」などと結論付けて、市側が高笑いするサマが目に浮かびます。



 しかし、上記のように、「現在地に建て替え」と「旧・中庁舎を耐震補強」を足せば、現在の市庁舎の場所を選んだ市民は50.6%と過半数を超え、2位の旧安中高校跡地との差は、7.4ポイントとなり、完全に市民は現在の本庁舎のある場所での建て替えなり耐震補強による長寿命化なりを希望していることが確定します。

 おそらく安中市ではいまごろ、「その他の場所記述欄」や「その他記述欄」の集計作業という名目で、なにやらどんでん返しの策略を練っているかもしれません。

■他方、別途安中市に対して官製アンケートについて4月はじめに質問をしていた市民に対して、先週、次の回答が為されたことがわかりました。

~~~~~~~~~~~~~
お世話になっております。
お問合せの件につきまして、回答申し上げます。
以下インラインにて失礼いたします。

> Q1.アンケート送付の時期はいつ頃でしょうか?

A1.令和3年4月5日に発送し、同月30日までを回答期間としております。

> Q2.無作為に4000人を抽出とのことですが、どのようにして無作為にするのでしょうか?地区別の分布や年齢別の分布などは考慮されるのでしょうか?無作為に抽出した場合、市の関係者(職員や市議)が含まれる場合も考えられると思いますが、関係者は除外されるのでしょうか?

A2.住民基本台帳等の情報を記録している庁内システムの機能を使用し、自動生成しております。市の関係者(職員や市議)は除外しておりません。

> Q3.アンケートの位置づけについて アンケートの結果は単なる参考でしょうか?あるいは、庁舎建設の方向性がアンケートの意見の多数決で決まるのでしょうか?

A3.庁舎建設の方向性につきましては、アンケート結果の多数決において決定するものではございませんが、結果を十分に参考にさせていただきながら、今後検討を進めてまいります。

> Q4.多数意見で方向性を決めるのだとしたら4000人は少なすぎませんか?

A4.前述の回答のとおり、多数意見において方向性を決定するものではございません。

> Q5.アンケートの集計は、選挙管理のように厳密に行われるのでしょうか?
集計作業に立会人は居ますか?

A5.市職員のみにおいて適正に集計作業を行い、立会人等は居ません。

以上を回答とさせていただきます。
何卒よろしくお願いいたします。
 (作成:財政課資産活用係)
~~~~~~~~~~

■市の上記回答のうち、とりわけ回答A3によれば、「アンケートの結の多数決において決定するものではないが、結果を十分に参考にして、今後検討を進めたい」としていることから、今後市側に対して、今回、血税を使って大勢の市民に協力を要請した結果、得られたこの官製アンケート結果を十二分に尊重することが、安中市に求められています。

 しかし、これまでも市側にとって都合の悪い結果となったアンケート結果に従わず、勝手に施策を進めた前例が安中市にはあるのです。平成の大合併で「安中市が合併相手を選ぶとしたら、どこを選びますか」というアンケートで、高崎市を合併希望相手として選んだ安中市民が多く、アンケート結果は結局公表されませんでした。

 なので、今後とも、安中市に、アンケート結果をきちんと受け止めさせて、尊重させるように仕向けるためにも、納税者市民としては、怪しげな施策の気配がしたら公開質問状で確認するほか、市が今回の結果を尊重し、決してブレないよう要望書や意見書を出し続けることが重要だと考えます。

【市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

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2 コメント

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Unknown (埼玉県職員)
2021-06-07 17:31:11
安中市庁舎問題を見て、何処も同じ印象を抱きました。
埼玉県志木市長選の争点もよく似てて、箱物だらけです。
・老朽化した市民会館、市民体育館の建て替えの是非
・新庁舎建設
・国道254号和光富士見バイパスの整備
・新型コロナウイルスによる減収世帯、事業者への支援
今は市庁舎建設、市民会館と市民体育館の建て替えよりもよりも、新型コロナウィルスワクチン接種の加速が最大の争点にならないとおかしいと思います。誰も疑問に感じないのでしょうか。
返信する
Unknown (ひらく会情報部)
2021-06-11 15:46:22
>>「埼玉県職員」さんへ
 貴コメントありがとうございます。ご指摘のとおりだと思います。
 新型コロナウイルス感染という未曽有の事態に納税者市民が直面しているのに、なぜ行政は豪勢な市庁舎を建てる方を優先したがるのでしょうか。
 安中市は、51億円巨額横領事件を起こしてもなお、誰も責任をとらずに、2103年、つまり82年後の世代にまで、元職員の豪遊のツケを払わせるという方針を続けるつもりでおり、ワクチン接種にしても、平然と10月接種予約を受け付けるなど、到底まともな市政を行っているとは思えません。
 安中市では、来年4月に市長選を控えていますが、市民の安全安心な生活環境の選挙公約は次回も空念仏に終わるのでしょうか。

  ひらく会事務局より
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