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大同スラグ訴訟・・・萩生農道のスラグに蓋をする舗装工事は、建設副産物の現場内利用だった!

2017-12-10 23:48:00 | スラグ不法投棄問題

■平成27年4月30日の提訴から既に2年6カ月余りが経過しました。大同有毒スラグの農道への不法投棄問題にかかる舗装工事費用の返還を責任者である吾妻農業事務所長(当時)に求めることを群馬県知事に義務付ける住民訴訟の第13回口頭弁論が、2017年12月1日(金)午前10時から前橋地裁21号法廷で開かれ、遂に大同スラグ訴訟は結審までに至ることになりました。

萩生スラグ裁判が結審を迎えた第13回口頭弁論の翌日の2017年12月2日に訪れた萩生川西地区の支道27号線の様子。アスファルトを一部盛り上げ雨水により盛り土が流れないよう追加工事が行われたようだ。豪雨によりスラグがむき出しになった疑いがある。


■この支道27号線は、舗装工事の一種である敷砂利舗装の上に、なぜか補足材を足してアスファルト舗装を施しました。この支道を所管する吾妻農業事務所は、ステージコンストラクション(段階的施工法)中の下層路盤だと主張していますが、群馬県監査委員は敷砂利であることを認めています。この敷砂利舗装はなんと、大同有害スラグで出来ています。情報開示請求で得られた写真を見ていきましょう。
*これらの写真は、萩生スラグ裁判で甲34・甲35号証として裁判所に提出しています。
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1837.html#readmore


市道27号線の入口の舗装後と着工前の写真。

 このとおり、着工前の状態は大同特殊鋼(株)由来のスラグ100%の状態でした。↑




萩生川西農道舗装・市道27号線NO,5+10 地点の路盤厚の確認の写真。

 総厚17cm補足材の厚み11㎝となっています。


2014年6月に萩生川西地区を訪れた時の写真。

 その時この支道27号の敷砂利は、一面スラグだらけでした。そこでスラグの濃度をチェックすべくスコップで表面を少しひっかき、アルカリと反応すると赤くなるフェノールフタレーン試薬をふりかけてみました。


するとあっという間に真っ赤に色づいてしまった。

 なんと100%の生一本状態のスラグ砕石が使われていたのでした。大同特殊鋼(株)と(株)佐藤建設工業はスラグに含まれるフッ素を希釈したと見せかけるため天然石と混合することを思いつきましたが、極悪非道の(株)佐藤建設工業は、全く約束を守っていなかったようです。このスラグは群馬県が廃棄物に認定しています。この萩生地内にスラグを持ち込んだ原因者(株)佐藤建設工業に撤去させなければなりません。

■ご覧いただいたように吾妻農業事務所は当会の“有害スラグを撤去してからのアスファルト舗装をして欲しい”の願いを無視して、有害スラグに蓋をするように舗装をしてしまいました。

 大同スラグ裁判で当会は、群馬県が廃棄物に認定したスラグを廃棄物処理法に基づいて撤去すべきである、と主張してきました。今回は、農道にアスファルト舗装工事を施工する工事の適正性の側面から、別の切り口で見直して考えてみましょう。

・何よりも先ず、この支道27号は、2013年7月に敷砂利工により舗装が完成しています。敷砂利舗装が構築物となっているとも言えるでしょう。大同スラグは一度使用済みの建設資材と考えることができます。

・このスラグ敷砂利舗装の上に2014年6月、別の砕石を11cm補足してアスファルト舗装をかける工事を吾妻農業事務所は発注しました。この工事は、厚さ6cmの元々あったスラグ敷砂利をそのまま利用し、新たな砕石を補足してアスファルト舗装を完成させた工事と考えることができます。
・現場にある一度使用済みの建設資材を、群馬県ではそのまま利用することを認めています。建設工事から出る大量の廃棄物を抑制することができるからです。しかしそれには条件があるようです。群馬県内の建設工事で遵守すべきマニュアルである群馬建設工事必携を見てみましょう。


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12.建設工事で発生する建設副産物の 現場内利用の取扱いについて
http://www.dobokunews.pref.gunma.jp/cgi-bin/cbdb/db.exe?page=DBDownload&did=420&rid=24&fid=96&ct=1&fileext=.pdf

1.建設副産物の現場内利用の取扱いについて
「群馬県建設リサイクル推進計画2002」-第4章具体的施策-1.排出抑制の推進 -(4)建設廃棄物の排出抑制により現場内利用を推進しているところであるが、取扱いについて下記により対応することとする。

○性状について
 現場内利用する場合、性状は市場に出回っている資材と同等の性能を有し、土壌・水質 等の環境に影響を及ぼさない性質であること。 ※木質チップについては、現場内利用上の制限があるため、資料『木質チップによるマルチング指導指針』(廃棄物政策課)に従い利用すること。

○破砕作業について
現場内において、移動式破砕機を利用する場合、下記のような条件が必要となる。
① 元請業者が処理する場合
  産業廃棄物中間処理業の許可は必要ないが、自社で保有する破砕機(機械のみの リースは可)で元請業者が実施すること。
② 元請業者以外が処理する場合
  下請業者(オペレータを含んだリースの場合も含む)により作業する場合は、産 業廃棄物中間処理業の許可を有する業者が実施すること。なお、産業廃棄物中間 処理施設(移動式)が5t/日以上の処理能力の場合は、産業廃棄物処理施設設置許可が必要である。

2.基準の解説 建設工事で発生する建設副産物の現場内利用について、これまでも実施しているところで あるが、明確な取扱いを定めていなかったため、この基準を設定した。
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■性状について以下の記述があります。

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「現場内利用する場合、性状は市場に出回っている資材と同等の性能を有し、土壌・水質 等の環境に影響を及ぼさない性質であること。」
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 この記述内容について検証してみます。

・「市場に出回っている資材と同等の性能」
 萩生川西地区の農道工事は再生砕石RC40が設計図書で組み込まれています。群馬建設工事必携では、「再生砕石とは建設工事に伴い副次的に得られたコンクリート・アスファルト等」となっており、一民間企業から排出される廃棄物は使用できません。大同有害スラグは建設工事関連物ではなく、一民間企業の特殊鋼の生産から副次的に発生する有害ごみです。

・「土壌・水質 等の環境に影響を及ぼさない性質であること」
 当然のことですが、毒がある物は使用できません。大同スラグは群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課が“大同特殊鋼(株)渋川工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり”として廃棄物に認定しています。フッ素により土壌汚染の可能性が指摘されている大同スラグを現場内利用することはできません。


■萩生川西地区で進められた、一度建設資材として利用された大同有害スラグを撤去せず、現場内でそのまま利用し、農道舗装工事を完成させた行為は、群馬建設工事必携に記載されている群馬県土木工事標準仕様書に準拠せず違反状態にあります。「契約の適正な履行の確保」がされていないとも記述されています。

 群馬建設工事必携は、農道工事を発注する者(発注者)、それを受注する者(受注者)が遵守しなければなりません。萩生川西地区で進められた有害スラグを撤去せずそのまま現場内利用しアスファルト舗装した農道工事は全て群馬建設工事必携に反し、無効な契約により進められた工事となります。

■13回にわたり口頭弁論が行われた大同スラグ訴訟ですが、2018年2月に判決が示される予定となっています。しかし裁判の結果如何にかかわらず、群馬建設工事必携に違反した無効な契約に基づく農道舗装は直ちに、適正な状態にすることが強く求められます。

 具体的には、もったいない話ではありますが、アスファルト舗装を壊し、有害スラグを現場に持ち込んだ原因者の(株)佐藤建設工業に撤去させなければなりません。当然、群馬建設行為必携を軽んじる吾妻農業事務所の役人様の処罰も強く求められるわけです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考資料①:萩生川西地区のスラグ舗装は敷砂利工であること
 吾妻農業事務所はスラグ舗装をステージコンストラクション・段階的施工法実施中だと主張しましたが、群馬県監査委員が敷砂利工であることを認定しています。
 吾妻農業事務所によれば、アスファルト舗装工事をすべて完成させず、路盤工のみで解放し自然転圧をかける工法だと説明しましたが、この農道整備工事が敷砂利工として積算され、完成引き渡しを受け、敷砂利工として予算執行されているため、群馬県監査委員も“敷砂利工”だと認めざるを得なかったという事のようです。
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1569.html

※参考資料②:2014年6月の萩生川西地区・スラグ調査の様子。
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1309.html#readmore

※参考資料③再生砕石とは建設工事に伴い副次的に得られたコンクリート・アスファルト等になること。
 群馬建設工事必携11.建設副産物適正処理推進要綱
http://www.dobokunews.pref.gunma.jp/cgi-bin/cbdb/db.exe?page=DBDownload&did=420&rid=23&fid=96&ct=1&fileext=.pdf

※参考資料④群馬建設工事必携には次の記述あり。
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 群馬県内の農業土木工事は発注者・受注者とも標準土木仕様書に準拠しなければなりません。
第1編 共 通 編 第1章 総 則 (一部抜粋)
http://www.dobokunews.pref.gunma.jp/cgi-bin/cbdb/db.exe?page=DBDownload&did=420&rid=19&fid=873&ct=1&fileext=.pdf

第1節 総 則 1-1-1-1
適 用 1.群馬県土木工事標準仕様書(以下「標準仕様書」という。)は、群馬県が発注する 河川工事、砂防工事、ダム工事、道路工事、森林土木工事、農業土木工事、その他これらに類する工事(以下「工事」という。)に係る、工事請負契約書(以下「契約 書」という。)及び設計図書の内容について、統一的な解釈及び運用を図るとともに、 その他必要な事項を定め、もって契約の適正な履行の確保を図るためのものである。
2.受注者は、標準仕様書の適用にあたっては、「群馬県建設工事の監督に関する規程 (以下「監督員規程」という。)」及び「群馬県建設工事検査規程(以下「検査規 程」という。)」に従った監督・検査体制のもとで、建設業法第18条に定める建設 工事の請負契約の原則に基づく施工管理体制を遵守しなければならない。また、受 注者はこれら監督、検査(完成検査、既済部分検査)にあたっては、地方自治法施 行令(昭和22年政令第16号)第167条の15に基づくものであることを認識しなければ ならない。

※参考資料⑤大同有害スラグは、群馬県廃棄物リサイクル課が廃棄物に認定。
www.gunma-sanpai.jp/gp26/003.htm
 大同有害スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があります。

※参考資料⑥2014年県吾妻農業事務所長表彰

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