市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

昨年4月の出前講座以来17ヶ月ぶりに行政が開催する東邦亜鉛公害汚染土壌対策に係る9.11住民説明会

2013-09-02 12:55:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■我が国が高度経済成長と共に、その歪として発生させた公害問題から既に半世紀が経過しようとしています。水俣病も、イタイイタイ病も、四日市喘息も企業側の責任が厳しく追及され、公害再発防止の対策が取られています。ところが、安中公害の場合は、イタイイタイ病発生の認定も公にされないまま、公害裁判では東邦亜鉛の企業責任が断罪されましたが、安中製錬所周辺のカドミウム等重金属汚染土壌問題については、水田の場合は汚染土壌の上に薄く客土をしただけであり、畑地の場合は既に40年以上経過しているにもかかわらず、まだ汚染土壌の除染対策は手付かずの状況にあります。この原因として挙げられるのは、政官業の癒着と群馬県の政治風土、そして何よりも東邦亜鉛という企業体質です。

 安中製錬所周辺に在住し、農地を耕作している北野殿地区の住民らは、遅々として進まない公害汚染土壌の除染対策に業を煮やしてきました。行政の指導の下に平成9年に、地元関係住民を組織して公害防除特別土地改良事業推進委員会(略して公特事業推進委員会)が結成され、一時は関係者全員の仮同意まで漕ぎ着けました。

 しかし、コーデックス委員会で玄米中のカドミウム濃度基準が、それまで1ppmだったのが0.2ppmに変更され、より安全面で厳しい基準が国際的に適用されることになりました。また玄米以外の野菜や果実などの農産物についてもカドミウム濃度の国際基準が設定されています。

 ところが我が国では、高度成長期の公害問題発覚までに全国各地でカドミウム汚染土壌地が広がっており、国際基準をそのまま適用すると、膨大な対策費用がかかるのを懸念して、政府と業界が日本独自の甘い基準を国内法で設定してしまったのです。そのため、玄米中のカドミウム濃度は国際基準の2倍甘い0.4ppmとし、野菜等のカドミウム濃度の基準は、食品衛生法に未だに盛り込めずにいます。

■このような状況にあるため、汚染土壌の原因者である東邦亜鉛は、これ幸いと、当分公害防除対策事業が進捗しないことを見越して、この問題取り組みへの熱意が冷めてしまい、行政側も、八ッ場ダム事業と同様に、この事業が進もうが停滞しようが、事務作業を続けている限り、仕事のネタにすることができるため、何も苦労して事業の推進役を買って出ることはない、と思いがちになってしまいました。

 こうして、公害汚染土壌対策を土地改良方式で進めようとする限り、いくら地元住民の個々人が除染対策を強く熱望しても、東邦亜鉛の「個別対応は一切やらない」という一言で片付けられてしまい、それ以上事が進められなくなってしまいました。

 更に始末に終えないのが、東邦亜鉛がばらまく政治献金にたかる政治家が地元にいることです。

 こうして政官業のトライアングルの前に、カドミウム汚染地の住民は、これまで全くなす術がなかったのでした。

■そうしたなかで、今年1月に珍しく、行政側から推進委員会名義で、公特事業に関するアンケートが地元住民らに配布されました。当会も遅ればせながら7月15日にアンケートに回答しましたが、その後、行政側からも推進委員会からも、動きは全くありませんでした。

 ところが、先週末、8月31日に地元に次の案内状が配布されたのです。

**********
            平成25年8月30日
関係者各位
                    公害防除特別土地改良事業
                    推進委員会
                    会 長 木 村 晴 光
     公害防除特別土地改良事業推進委員会
       地元説明会の開催について
 初秋の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 また、碓氷川流域地区公害防除特別土地改良事業の推進につきましては、日頃よりご尽力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、標記説明会を開催致したいと存じますので、お忙しいところ誠に恐縮ですが、ご出席頂きますようよろしくお願いいたします。
          記
1 日  時   平成25年 9月11日(水)午後7時より
          (対象地区)北野殿地区
         平成25年 9月12日(木)午後7時より
          (対象地区)中野殿・東野殿・切通し地区
         平成25年 9月17日(火)午後7時より
          (対象地区)岩井地区
2 会  場   11日・12日 北野殿公会堂  (※11日に野殿地区全体を対象に開催する話もあるらしい
         17日     岩野谷公民館2階講義室
3 内  容   今までの経過及び、今後の事業推進について
※事業実施のためには、関係者の皆様の協力が必要です。重要な説明会ですので、お忙しいとは存じますが是非ご参加下さい。
                    公害防除特別土地改良事業
                    推進委員会 事務局
                    TEL 027-382-1111(内線2616)
                    FAX 027-386-4111

**********

■これを読むと、9月11日から17日にかけて、住民説明会を推進委員会と安中市が開催することが分かります。また、群馬県からも職員が参加するようです。しかし、東邦亜鉛は出席しない模様です。

 地元住民には苦い思いがあります。昨年の平成24年4月29日(土)に群馬県の担当部署の職員らに来てもらって地元で公害汚染防除事業に関する出前口座を開催した際、安中市の職員は誰も出席しませんでした。背景を調べたところ、安中市長から「出席はまかりならん」として関係職員らに指示が出されたことが理由のようです。

 そのため、地元住民らは再度住民説明会の開催が不可欠だとして、毎年8月に開催されている行政と推進委員会の協議(今年は8月7日に北野殿公会堂で開催)の場で、推進委員会の役員らが行政側に申し入れたようです。

 一方で、平成25年6月下旬から、公害地の住民らは、汚染土壌対策事業の推進を行政や原因者に働きかけるため、群馬県知事宛に請願書を提出すべく、署名活動をスタートさせていました。その結果、150名近い署名があつまり、8月26日に群馬県知事宛に提出するため、推進委員会役員ら地元関係者が県庁を訪問しました。その際、群馬県側から各関係部署ごとに数名ずつ集まって対応した際にも、住民説明会開催を申し入れたようです。

■今回の住民説明会では、前回の群馬県主体の出前口座とは異なり、推進委員会事務局の農林課が実質的に案内状を作成していることから、安中市職員らが欠席することはありえないはずです。しかし、市議から県議を経て、これまでにも東邦亜鉛と長年にわたり密着している人物が現在の安中市長であるだけに、どのような命令を市職員に出すのかどうか、ギリギリまで予断が許されないのも事実です。

■当会は、住民説明会において、少なくとも次の6項目について行政に確認することにしています。

(1)今回の住民説明会の趣旨今年1月から2月にかけて地元住民らに配布されたアンケート結果とその取り扱いについて(特に安中市長が地権者としてアンケート対応しているかどうか)

(2)汚染土壌対策事業のカギを握る膨大な客土の確保について(特に行政でも有望視されていた鷺宮の桑園跡地の開発計画から発生する大量の未汚染表土が活用できるのかどうか)

(3)原因者である東邦亜鉛の本事業に対する本気度に関して、行政がどのように認識しているのか

(4)行政が公害汚染地のカドミウム汚染状況に関するデータ情報を不開示にしている理由について

(5)再汚染問題について

(6)事業の対象範囲外における汚染土壌地の除染対策について(東邦亜鉛が個別対応には応じない宣言している状況下で行政指導をお願いできるか)

【ひらく会情報部・東邦亜鉛公害対策調査班】


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