市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ訴訟・・・第7回口頭弁論を踏まえて原告オンブズマンが地裁に鑑定申立書を提出

2016-12-04 18:54:00 | スラグ不法投棄問題
■大同特殊鋼渋から工場から長年にわたり群馬県内にひろく投棄されてきた有毒スラグ問題は一向に解決に向けた道順が見えてきません。その中にあって行政の不作為を追及している当会が適している住民訴訟が、唯一の道しるべとなっております。先日の11月11日に前橋地裁で開催された第7回口頭弁論期日において、裁判長からの指揮に基づいて、原告である当会の代表と事務局長名で、提出期限日である11月30日午前11時30分に、次の内容の鑑定申立書を地裁に提出しました。
 第7回口頭弁論期日の様子は次のブログを参照ください。
〇2016年11月13日;大同スラグ訴訟・・・ようやく先行きが見えてきた感じの第7回目の口頭弁論期日の様子
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2163.html#readmore

**********
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小川賢 外1名
被告 群馬県知事大澤正明
                             平成28年11月30日

前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中

                 原告 小 川   賢     印
                 原告 鈴 木   庸     印

          鑑 定 申 立 書

 頭書事件について,次のとおり鑑定の申立をします。

第1 証明すべき事実
 「萩生川西地区 区画整理補完3工事」及び「萩生川西地区 農道舗装工事」において使用された「混合スラグ砕石」において、スラグに含まれるフッ素や六価クロム等の有害物質が環境基準の許容範囲を超えている事実

第2 鑑定を求める事項
(1)萩生川西地区で使用されたスラグと天然石との混合砕石の内、スラグに含まれる六価クロム・フッ素の含有量及び溶出量の分析調査。
(2)スラグのみを鑑定する理由
  ①常温では固体同士は混ざり合うことはないこと。
  ②日本工業規格JIS A5015道路用鉄鋼スラグではスラグと天然石を混合することを規定していないこと(甲50号証参照)
  ③群馬建設工事必携ではクラッシャランと道路用鉄鋼スラグを混合することを規定していないこと(甲51号証)

第3 鑑定の方式
 鑑定は次の要領で実施するものとする。
(1)試料採取の場所
   支道27号。この道路の入口から奥に向かって約30mの範囲。甲53号証に試料採取予定位置を示す(乙16号証の2ページ目にある支道27号線写真位置図の上にプロット)。
(2)試料採取の要領
1)採取地点と方法
  ①試料1
入口から奥に向かって、右側の舗装と未舗装の境界付近において、未舗装の部分で、地表の土を除けると現れるスラグ混合砕石と思しき砕石を拾い出し、ハンマーで割ったあと、フェノールフタレイン溶液を振りかけて、赤紫色に変色した(アルカリ性を示した)試料のみを採取袋に入れる。採取試料は20個程度とする。
  ②試料2
次に、入口から奥に約30mの距離にある左側の舗装と未舗装の境界付近において、上記①と同様の手順で、採取を行う。採取試料は20個程度とする。
  ③試料3
上記①と②の対角線上の舗装された道路の中心点において、ディスクサンダーを用いて舗装を縦横約30㎝ずつ切り取り、その中をハンドスコップで掘ると現れるスラグ混合砕石と思しき砕石を拾い出し、ハンマーで割ったあと、フェノールフタレイン溶液を振りかけて、赤紫色に変色した(アルカリ性を示した)試料のみを採取袋に入れる。採取試料は20個程度とする。
 2)採取に必要な道具
   ハンドスコップ、ハンマー、ディスクサンダー、フェノールフタレイン溶液、埋め戻し用砕石、補修用アスファルト合材は原告が用意する。また、採取作業は、原告の指定する作業者が行う。
 3)採取作業の立会人
   上記採取作業には原告の指定する作業者のほか、裁判所、原告、被告が立ち会い作業の経緯を確認する。
 4)分析
   試料袋はそれぞれ立会人の面前で封印したのち、原告の手により次の環境分析業者に送られる。
   ・エコテスト(甲54号証)

5)費用
   採取作業に必要な器具(ハンマー・ハンドスコップ・電動ディスクサンダー及び発電機・バーナー・転圧機、など)および作業員の人件費:5万4千円は原告が調達する。フェノールフタレイン溶液:4,860円、埋め戻し用切込砕石40~0:837円、粒度調整砕石30~0;1,150円、補修用アスファルト合材:2160円、分析費用試料1件につき:2万1, 600円及び送料;944円など、試料3件ずつ合計費用20万円程度が想定される。なお、原告がこの費用を一旦支払い被告の負担に備え裁判所に支払った領収書の写しを提出する。

                              以 上

【添付】
甲53号証 試料採取予定場所 ※PDF ⇒ b53vbgoe.pdf
甲54号証 環境分析業者の見積書 ※PDF ⇒ b54pigrexgj.pdf
**********

■この原告らによる鑑定申立に対して、被告の群馬県側が大同特殊鋼の擁護の観点からどのような反論をしてくるのか注目されます。

 なお、今後の予定としては、次のような手順で裁判が進行する予定です。また、萩生川西地区の区画整理補完3工事の対象場所は、工事を発注した被告でないと特定できませんが、おおむね乙16号証の示された箇所だと認識できます。そして、農道舗装工事は、このうち4カ所の農道で施工されています。

2016年11月30日 原告が農道舗装工事場所として支道27号線を特定し鑑定申立書を提出。
2016年12月27日 この日までに、被告が「萩生川西地区 区画整理補完3工事」及び「萩生川西地区 農道舗装工事」の各対象場所について書証を用いて準備書面を提出する予定。
2016年12月27日 同じくこの日までに、被告が、河道路盤材は基準値内であるが、風評被害を避けるためもあって補完工事をしたと主張しているが、「風評被害を防ぐことができるということは、仮に、下層路盤材から基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されるおそれがある場合であっても、その後アスファルト整備をすれば、環境基準を超えないことになる。」ことがその主張の前提でよいのか、について説明した準備書面を提出する予定。
2017年01月13日 原告らから鑑定の申立てがなされことから、被告はこの日までに意見書を提出する予定。
2017年01月20日 午前10時30分から第8回口頭弁論期日が前橋地裁で開催予定。

 引き続き、県土がサンパイまみれのまま放置されるのか、それともきちんと有毒スラグが処理され県民の安心・安全な生活が担保されるのか、読者の皆様におかれましては、当会のブログを注視していただければ幸いです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・またもや原告住民らの監査請求を却下した監査委員ら操り人形の面々

2016-12-04 10:13:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■周辺住民らが放射能汚染による周辺環境への悪影響を心配する中、住民への説明責任も果たさず、おって説明すると言いながらとうとう何も説明しないまま着工された東電グループの関電工とトーセンらによる前橋バイオマス発電事業施設ですが、このような不誠実な事業者に対して、当然、群馬県は、県民の安全・安心な生活・営農・自然環境を守ることを第一に考えて行動しなければなりません。ところが群馬県は、県土を広範囲に放射能汚染した東電のグループ会社である関電工が、汚染木材を毎年8万トン県内外からかき集めて、セシウムが含まれた水分を脱水して地中浸透させ、さらにそれを焼却して高濃度の放射線レベルを発する灰を20年間にわたり生み出し続けるというとんでもない事業に平然と手を貸しています。

 すなわち、東電グループのこの正気の沙汰ではない事業に対して群馬県は厳しく指導するどころか、通常なら義務付けられている環境アセスメントを特別措置で不要としたり、その通達を公表せずに隠していた不審な経緯を住民から指摘されても、問題ないとして、ダンマリを決め込んでいるのです。

 そのため、地元住民団体の皆さんを支援する当会では、関電工らによる放射能汚染拡大促進事業ともいえる前橋バイオマス発電に欠かせない汚染木材のチップ工場への補助金支出を食い止めるために住民訴訟を、住民の皆さんと一緒に提起しています。

■そうした中、前橋地裁で開催された第1回口頭弁論期日で、裁判長から、訴訟資格を認めようとしない被告の主張をかわすには、補助金が支出された現状を踏まえてあらためて住民監査をしてはどうか、との訴訟指揮がありました。経緯は当会の次のブログを参照ください。
〇2016年9月24日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月23日午前10時の第1回口頭弁論期日の様子
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2077.html#readmore
〇2016年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス計画への補助金を止めるため県を提訴
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2076.html#readmore

 実は、裁判長の訴訟指揮を待たずに、原告は第1回口頭弁論の直前に、補助金が支出された証拠を添えて2回目の住民監査請求を群馬県監査委員に提出していました。次のブログ参照。
〇2016年9月23日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…住民訴訟直前の9月23日午前9時半に再度住民監査請求を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2130.html#readmore

 このため、2回目の住民監査請求の結果通知が待たれていましたが、期限ぎりぎりの2016年11月28日付で、群馬県監査委員事務局から監査結果通知が請求人である地元住民団体の事務局長と当会の代表あてに郵送されてきました。
※住民監査結果通知(甲第14号証を予定): PDF ⇒ b1420161201qzm.pdf

■内容は上記のPDFをご覧いただくことにして、第2回目の住民監査請求に対する監査委員の判断とはいったいどのようなものだったのでしょうか。さっそく見ていきましょう。赤字は当会のコメントです。

*****住民監査結果通知*****
第7 監査委員の判断
 本件措置請求に関して、認定した事実関係を基に監査委員が判断した結果は、次のとおりである。
1 判断
 地自法第242条に規定する住民監査請求は、地方公共団体の長、職員等の違反又は不当な行為等により、地方公共団体が被った損害を補填し、又は損害を被ることを防止するために、当該地方公共団体の住民が住民全体の利益を確保する見地から必要な措置を講ずべきことを請求する制度であり、もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とするものである。
 本件措置請求において、請求人は、本件補助金の交付を含む平成27年度9月補正予算案を決定した群馬県議会平成27年第3回前期定例会における議決の撤回を求めていると解される。
 しかしながら、議会の行為は、住民監査請求の対象外である。 ←【当会注】原告らは、県議会の議決の違法性のことを言っているのではなく、群馬県が県議会に上程してこの補助金を平成27年度の補正予算として位置付けたことを問題だといっているのである。住民軽視、特定企業偏重の群馬県は、屁理屈をこねて、監査委員に説明し(おそらく説明の機会もなく、監査委員事務局の職員が仲間である実施機関の職員の意を汲んでこのようなハレンチな判断を監査委員がしたことにしたのであろう)。監査委員が県職員らの危うり人形であることを雄弁に物語っている。
 よって、本件措置請求のうち、本件補助金を平成27年度補正予算から支出することを決めた措置の撤回を求めるとする部分は、不適法である。 ←【当会注】この後に監査委員が指摘しているように、議会の議決が法令上違法な支出を適法だと権威付けるものではないわけです。にもかかわらず、相反する主張をしているところを見ると、やはり監査委員(この中には議員2名の他に有識者として弁護士と会計士がいる)のコメントを聞きながら、自らの都合のよいように監査委員事務局の職員らが結果通知を改竄した可能性がある。
 また、請求人は、本件補助金交付申請に基づく本件補助金の交付を差止めるよう求めているものと解される。
 本件補助金の交付については、平成28年7月4日、群馬県財務規制(平成3年群馬県規則第18号)第3条の規定により、知事から権限を委託された渋川森林事務所長が、本件議決に基づき、交付決定したものである。
 しかしながら、「議会の議決があったからというて、法令上違法な支出が適法な支出となる理由はない。(略)監査委員は、議会の議決があった場合にも、長に対し、その執行につき妥当な措置を要求することができないわけではないし、ことに訴訟においては、議決に基づくものでも執行の禁止、制限等を求めることができるものとしなければならない」(最大判昭和37年3月7日民集16巻3号445頁)のであるから、知事は、議会の議決があった場合であっても、法令に違反すると認められた場合において、その執行につき是正措置を講ずるかどうかを検討する義務を負っているというべきである。
 これに基づき本件をみるに、県は、国森林整備加速化補助金を財源として、県森林整備加速化基金を造成し、国が定めた補助対象基金事業を実施する者に対して、その事業に要する経費の一部を県森林整備加速化補助金として交付しており、補助対象基金事業メニュー、事業主体、補助率等は、国の森林整備加速化・林業再生事業実施要綱に規定されているところ、本件補助金の補助対象事業である本件施設整備事業は、同要綱別表3(林業成長産業化総合対策)の「3 木質バイオマス利用施設等整備」に該当するというのであるから、本件議決に基づく渋川森林事務所長の本件補助金交付決定に違法又は不当というべきものはないと解される。 ←【当会注】補助金とは、政府が直接的または間接的に公益上必要がある場合に、民間や下位の政府に対して交付する金銭的な給付のことである。今回の関電工主導のバイオマス発電事業は、自らの親会社が興した原発事故による放射能汚染された森林の除染が目的であるから、当然、被告に対してもその目的の意義と安全性について説明することはもちろんのこと、周辺住民が抱く危惧や懸念に対してきちんと説明責任が果たされなければならない。その上で事業を進めてもよいことになったとすれば、原因者である東電がすべての費用を負担すべきであり、原発事故の被害者である我々県民が支払った税金も原資となっている補助金が、原因者の尻拭いに費消されてはならないのは当然のことである。
 請求人は、本件補助金の交付により、本件施設整備事業が実施され、本件燃料供給事業及び別法人が行う本件発電事業が事業化されることによって、放射性物質が拡散し、周辺環境が汚染される旨を主張するが、木質バイオマス発電事業と環境汚染の直接的因果関係を客観的に示す証拠資料は提出されていないし、仮に提出されていたとしても、本件補助金の交付は、県産木材における放射性物質の汚染状況のほか、燃料チップ製造施設に搬入される木材や発電事業によって発生する焼却灰等の管理方法も含めて、県議会において適法な手続のもとに審議され、政策的な判断として可決されたものである以上、財務会計行為の是非を問う住民監査請求においては、所論のような理由によって本件交付決定を違法又は不当とすることはできない。 ←【当会注】このくだりは、明らかに監査委員としての判断ではなく、群馬県の役人の判断であることが分かる。群馬県が県議会に上程した資料では、放射能汚染のことについて全く触れられておらず、県議会の議決でも、放射能汚染に関する議論は為されず仕舞いであった。関電工は補助金が無ければこの事業はなりたたないと言っており、放射能隠しの事業に「適法な手続きだ」と主張する監査委員の判断は明らかに群馬県の傀儡であることを示すものである。また、監査委員が政策的な判断だと主張しているが、これは県民の信託を受けた議会選出の監査委員による県民への背信行為であると言える。
 また、請求人は、本件補助対象事業者等の住民に対する説明不足、技術力不足、出資法人の社是等との齟齬等を取り上げて、その補助金不適合性を主張するが、いずれもいかなる法令に、いかなる理由により違法又は不当となるのかを示していないから、これによって本件交付決定を違法又が不当とすることはできない。 ←【当会注】関電工ら業者の説明責任の不履行について、これほどまでに理解を示す監査委員は、他の都道府県では考えられない。群馬県の監査委員はあきらかに異常だ。
 さらに、請求人は、本件発電事業に係る環境アセスメント手続の不備を主張するが、本件発電事業は、本件補助金の補助対象事業である本件施設整備事業とは別法人が行う事業であって、本件発電事業の実施に係る行政手続は、本件補助金交付決定の要件とは関わりがないから、これによって本件交付決定を違法又は不当とすることはできない。 ←【当会注】群馬県は関電工と癒着して、県民の安全・安心な生活・営農・自然環境を担保する重要な手段である環境アセスメントを、勝手に捻じ曲げたのである。にもかかわらず監査委員がこのような判断を下すこと自体、信じられないことである。前橋バイオマス燃料への補助金支出が発電事業とおこなう業者と別法人だとして、環境アセスメントの不適用を合理的だと判断する監査委員が、我が国の他の自治体にいるだろうか。監査委員は事業主体の業者の法人登記簿をしっかり精査しようとしていないことが分かる。どちらにも関電工が関与しているのは一目瞭然なのに、それをしたがらないのは、この結果通知が、監査委員事務局の職員がゴーストライターとなって作成したことをうかがわせる。

2 結論
 以上のことから、本件措置請求のうち、本件補助金を平成27年度補正予算から支出することを決めた措置の撤回を求めるとする部分は、住民監査請求として不適法であるから、これを却下する。
 また、本件補助金交付申請に基づく補助金の支払停止を求めるとする部分は、いずれも理由がないから、これを却下する。 ←【当会注】一国も早く群馬県の監査委員制度の改革が必要だ。そのためには、我々住民サイドでまともな知事と議員を選出しなければならない。
**********

■なお本件は、現在係争中の住民訴訟(事件番号 平成28年(行ウ)第12号 住民訴訟によるバイオマス補助金差止請求事件)の裁判と密接な関係があることから、原告らはさっそくこの住民監査結果を前橋地裁に甲号証として提出することにしています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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