■大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、県警が2016年4月26日、廃棄物処理法違反容疑(委託基準違反など)で大同など法人3社と各社の役員ら計5人を前橋地検に書類送検していましたが、半年以上経過した12月22日に新たな情報が入ってまいりました。
**********2016年12月22日毎日新聞
<鉄鋼スラグ問題>大同特殊鋼など5人不起訴処分 前橋地検
大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、前橋地検は22日、廃棄物処理法違反容疑で書類送検されていた大同特殊鋼など法人3社と、各社の役員ら計5人を不起訴処分(容疑不十分)にした。地検は「スラグは廃棄物だと立証するには疑義が残った」と説明した。
スラグは鉄を精製する際に発生する副産物で、有害物質が含まれていなければ再生利用できる。群馬県は関係先を調査した結果、大同がスラグに環境基準を超えるフッ素が含まれていることを把握していたことや取引形態から、再生資材を装った廃棄物処理だったと判断。処理に必要な許可を受けていない会社に処理を委託したなどとして昨年9月に3社を刑事告発し、県警が今年4月に書類送検した。一方、大同は「再生資材だ」と主張していた。【尾崎修二、山本有紀】
**********2016年12月22日読売新聞
鉄鋼スラグ処分、大同特殊鋼など不起訴に
鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)が、渋川工場(群馬県渋川市)から製鉄の過程で出た鉄鋼スラグを不正に処分していたとして、廃棄物処理法違反容疑で書類送検されていた同社など3社と、同社役員(57)ら5人について、前橋地検は22日、不起訴(嫌疑不十分)とした。
同地検は「鉄鋼スラグを廃棄物と認定するには疑義がある。関係者の故意を認定することも証拠上、困難」と説明した。
ほかに書類送検されていたのは、愛知県東海市の同社子会社「大同エコメット」と、渋川市の建設会社「佐藤建設工業」の2社、大同エコメットの役員(66)と元従業員(68)、佐藤建設工業の役員(73)、従業員(65)。
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■当会が危惧していた通り、スラグ問題の刑事責任を問う刑事告発について、前橋地検から不起訴処分が下されてしまいました。
大同由来のスラグを廃棄物と認定すると発表しておきながら、いざ責任を問う場面では、『廃棄物処理法の「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」(16条)の適用を検討したが、「1300円で販売・施工されていたから『みだりに』と言えない」(群馬県廃棄物・リサイクル課 松井次長)」』と発言するなど、刑事告発したはずの群馬県、とりわけ、環境部局の幹部達が“廃棄物”なのか“有価物”なのかはっきりさせようとしない曖昧な言葉を口走るようになってしまった状況では、不起訴処分となってしまうことも無理からぬところではないでしょうか?
刑事告発人の群馬県環境部局が、環境基本法や廃棄物処理法、そして、環境省の通達などを読み込まず、勉強不足な状態に自ら陥ったことで、前橋地検により不起訴処分になってしまったとも言えるでしょう。
■「起訴」とは、検察官が特定の刑事事件について裁判所の審判を求める意思表示を言います。起訴の権限は原則として検察官のみが持っています。これを専門用語で「起訴独占主義」というそうです。検察官に起訴されると、捜査段階から裁判手続に移り、被疑者は被告人という立場になります。
「不起訴」とは、検察官が裁判所の審判を求める必要がないと判断した場合です。上記の通り、「不起訴」はその理由に応じて「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」の3種類に分類できます。
「嫌疑なし」とは、捜査の結果、被疑者に対する犯罪の疑いが晴れた場合です。
「嫌疑不十分」とは、捜査の結果、犯罪の疑いは完全には晴れないものの、裁判において有罪の証明をするのが困難と考えられる場合です。
「起訴猶予」とは、有罪の証明が可能な場合であっても、被疑者の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況(示談がまとまったかどうか等)を鑑みて、検察官の裁量によって不起訴とする場合です。これも専門用語で「起訴裁量主義」というのだそうです。
被疑者が不起訴処分を得るためには、捜査機関の保有している証拠の精査や被疑者に有利な証拠の収集(真犯人の存在やアリバイ等)、被害者との示談などを行い、検察官に対して嫌疑が不十分である旨の主張や不起訴が妥当である旨の主張を行っていくことが必要となってきます。これらの活動を全て一般市民が行っていくのは困難であることから、不起訴処分を得るためには法律の専門家である弁護人の選任が不可欠といえます。
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
※参考資料1:書類送検の様子
○2016年4月27日:【速報】大同有毒スラグを斬る!・・・「大同・佐藤 書類送検へ」各報道機関の報道ぶり(続き)↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1976.html#readmore
※参考資料2:「群馬県環境部局幹部の大同スラグに対する仰天コメント」
**********
●週刊金曜日に大同スラグ問題に関するジャーナリストの取材記事が掲載されました。この中で、大同スラグを県警に告発した群馬県廃棄物・リサイクル課の松井次長が、取材に対して発した次のコメントが印象に残ります。
「昨年9月、群馬県警が廃棄物処理法違反の疑いで大同特殊鋼に家宅捜索に入った。結局、不法投棄は間われず、同社などの委託基準違反(無許可業者への産廃処理の委託)にとどまる見込みだ。廃棄物処理法の「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」(16条)の適用を検討したが、「1300円で販売・施工されていたから『みだりに』と言えない」(群馬県廃棄物・リサイクル課 松井次長)」
詳しくはこちらをご覧ください↓↓
〇2016年1月27日:大同有毒スラグ問題を斬る!・・・「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」についての考察↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1871.html#readmore
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※参考資料3:「群馬県環境部局の大同スラグに対する言行不一致」
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こちらもごらんください↓↓
〇2016年10月5日:大同有害スラグ問題を斬る!・・・豊洲の土壌汚染問題で都知事が所信表明!群馬県との大違いを徹底検証(2) ↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2136.html#readmore
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**********2016年12月22日毎日新聞
<鉄鋼スラグ問題>大同特殊鋼など5人不起訴処分 前橋地検
大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、前橋地検は22日、廃棄物処理法違反容疑で書類送検されていた大同特殊鋼など法人3社と、各社の役員ら計5人を不起訴処分(容疑不十分)にした。地検は「スラグは廃棄物だと立証するには疑義が残った」と説明した。
スラグは鉄を精製する際に発生する副産物で、有害物質が含まれていなければ再生利用できる。群馬県は関係先を調査した結果、大同がスラグに環境基準を超えるフッ素が含まれていることを把握していたことや取引形態から、再生資材を装った廃棄物処理だったと判断。処理に必要な許可を受けていない会社に処理を委託したなどとして昨年9月に3社を刑事告発し、県警が今年4月に書類送検した。一方、大同は「再生資材だ」と主張していた。【尾崎修二、山本有紀】
**********2016年12月22日読売新聞
鉄鋼スラグ処分、大同特殊鋼など不起訴に
鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)が、渋川工場(群馬県渋川市)から製鉄の過程で出た鉄鋼スラグを不正に処分していたとして、廃棄物処理法違反容疑で書類送検されていた同社など3社と、同社役員(57)ら5人について、前橋地検は22日、不起訴(嫌疑不十分)とした。
同地検は「鉄鋼スラグを廃棄物と認定するには疑義がある。関係者の故意を認定することも証拠上、困難」と説明した。
ほかに書類送検されていたのは、愛知県東海市の同社子会社「大同エコメット」と、渋川市の建設会社「佐藤建設工業」の2社、大同エコメットの役員(66)と元従業員(68)、佐藤建設工業の役員(73)、従業員(65)。
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■当会が危惧していた通り、スラグ問題の刑事責任を問う刑事告発について、前橋地検から不起訴処分が下されてしまいました。
大同由来のスラグを廃棄物と認定すると発表しておきながら、いざ責任を問う場面では、『廃棄物処理法の「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」(16条)の適用を検討したが、「1300円で販売・施工されていたから『みだりに』と言えない」(群馬県廃棄物・リサイクル課 松井次長)」』と発言するなど、刑事告発したはずの群馬県、とりわけ、環境部局の幹部達が“廃棄物”なのか“有価物”なのかはっきりさせようとしない曖昧な言葉を口走るようになってしまった状況では、不起訴処分となってしまうことも無理からぬところではないでしょうか?
刑事告発人の群馬県環境部局が、環境基本法や廃棄物処理法、そして、環境省の通達などを読み込まず、勉強不足な状態に自ら陥ったことで、前橋地検により不起訴処分になってしまったとも言えるでしょう。
■「起訴」とは、検察官が特定の刑事事件について裁判所の審判を求める意思表示を言います。起訴の権限は原則として検察官のみが持っています。これを専門用語で「起訴独占主義」というそうです。検察官に起訴されると、捜査段階から裁判手続に移り、被疑者は被告人という立場になります。
「不起訴」とは、検察官が裁判所の審判を求める必要がないと判断した場合です。上記の通り、「不起訴」はその理由に応じて「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」の3種類に分類できます。
「嫌疑なし」とは、捜査の結果、被疑者に対する犯罪の疑いが晴れた場合です。
「嫌疑不十分」とは、捜査の結果、犯罪の疑いは完全には晴れないものの、裁判において有罪の証明をするのが困難と考えられる場合です。
「起訴猶予」とは、有罪の証明が可能な場合であっても、被疑者の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況(示談がまとまったかどうか等)を鑑みて、検察官の裁量によって不起訴とする場合です。これも専門用語で「起訴裁量主義」というのだそうです。
被疑者が不起訴処分を得るためには、捜査機関の保有している証拠の精査や被疑者に有利な証拠の収集(真犯人の存在やアリバイ等)、被害者との示談などを行い、検察官に対して嫌疑が不十分である旨の主張や不起訴が妥当である旨の主張を行っていくことが必要となってきます。これらの活動を全て一般市民が行っていくのは困難であることから、不起訴処分を得るためには法律の専門家である弁護人の選任が不可欠といえます。
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
※参考資料1:書類送検の様子
○2016年4月27日:【速報】大同有毒スラグを斬る!・・・「大同・佐藤 書類送検へ」各報道機関の報道ぶり(続き)↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1976.html#readmore
※参考資料2:「群馬県環境部局幹部の大同スラグに対する仰天コメント」
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●週刊金曜日に大同スラグ問題に関するジャーナリストの取材記事が掲載されました。この中で、大同スラグを県警に告発した群馬県廃棄物・リサイクル課の松井次長が、取材に対して発した次のコメントが印象に残ります。
「昨年9月、群馬県警が廃棄物処理法違反の疑いで大同特殊鋼に家宅捜索に入った。結局、不法投棄は間われず、同社などの委託基準違反(無許可業者への産廃処理の委託)にとどまる見込みだ。廃棄物処理法の「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」(16条)の適用を検討したが、「1300円で販売・施工されていたから『みだりに』と言えない」(群馬県廃棄物・リサイクル課 松井次長)」
詳しくはこちらをご覧ください↓↓
〇2016年1月27日:大同有毒スラグ問題を斬る!・・・「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」についての考察↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1871.html#readmore
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※参考資料3:「群馬県環境部局の大同スラグに対する言行不一致」
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こちらもごらんください↓↓
〇2016年10月5日:大同有害スラグ問題を斬る!・・・豊洲の土壌汚染問題で都知事が所信表明!群馬県との大違いを徹底検証(2) ↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2136.html#readmore
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