市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ問題を斬る!・・・渋川市の対応「ここが変だよ」番外編その1

2015-10-11 23:15:00 | スラグ不法投棄問題
■有害スラグ問題に揺れる群馬県ですが、原因者である大同特殊鋼やブラック佐藤建設工業が所在する渋川市ではスラグ問題にとどまらず、様々な廃棄物が不法投棄されているようです。10月10日に、朝日新聞にスクープ記事が報道されました。


**********朝日新聞2015年10月10日群馬版
2015n1010v.pdf
土中に大量のコンクリ片
渋川市の運動場の建設現場

 渋川市北橘町で建設中の運動場の土の中から産業廃棄物とみられるコンクリート片が大量に見つかった。6月の大雨で土を覆っていた擁壁が崩れ、発覚したという。工事を発注した市は全敷地を掘り起こし、ほかにも埋まっていないか調べている。業者から事情を聴き、今月中に市議会へ報告するという。
 コンクリート片が見つかったのは市が建設を進めている北橘運動場(仮称)。約5.3ヘクタールの敷地に、野球場や多目的広場などを整備し、2016年9月の完成を予定していた。
市によると、基礎部分などの造成工事は、14年6月に工事が始まり、今年2月に完成した。予定価格9605万円(税抜き)の条件付き一般競争入札で4社が入札し、市内の建設会社が9500万円(税抜き)で落札した。
 通常、擁壁を置く工事の場合、降雨の際に壁が崩れないように、壁の下部を土で固めておくが、今回の工事ではその対策が講じられておらず、雨水を排出する設備が整備されていなかったという。そのため、6月の大雨の際、雨水で重みが増した土が擁壁を押し、壁がずり落ちたとみている。
 その後、市が現場を確認したところ、擁壁がずれ落ちた部分の土の中にコンクリート片が混ざっているのを見つけたため、整地された多目的広場の数カ所を掘り起こすと、コンクリート片があちこちから出てきたという。
 市土木維持課によると、工事期間中は市職員が週1~2回、現場確認し、建設会社とも打ち合わせをしてきたが、「四六時中、監督している訳ではなく、コンクリート片が混入されたかどうかは確認できなかった」としている。不法投棄されたものであれば、廃棄物処理法違反の疑いがあるという。
 計画では、敷地外から土を持ち込むことはなく、傾斜地の高い場所の土を低い場所に移し替える工事だったといい、工事を請け負った建設会社は市の調べに、「なぜコンクリート片が混入したのかはわからない」と話しているという。
 市は、野球場予定地にもコンクリート片がないか掘り起こして調べ、確認した結果や今後の方針について議会に報告するという。(上田雅文)
***********

■当会では以前、渋川市の運動場の擁壁が、円弧滑りを起こして崩壊した様子を報告したことがあります。有害スラグ問題の発祥地の渋川市ですから、有害スラグが絡んだ事件が多発していること、また有害スラグを市自ら不法投棄させていた渋川市行政ですから、そのいい加減な体質から、円弧滑りの発生は、行政の設計ミスであると睨んでいました。
○2015年6月26日:大同有毒スラグを斬る!…渋川市で先週発生の擁壁崩壊災害!有害スラグ原因か?オンブズマンが緊急調査
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1650.html

 では、10月10日付の朝日新聞の報道記事のポイントを整理してみましょう。

(1)建設中の運動場の土の中から産業廃棄物であるコンクリート片が大量に見つかり廃棄物処理法違反の疑いがあること。

(2)事件の発端の背景に、市の設計ミスの疑いがあり、大雨で、擁壁が円弧滑りを発生したため、不法投棄の様子が偶然見つかってしまったこと。

(3)工事を請け負った建設会社は、「なぜ混入したかわからない」と有害スラグ問題のブラック佐藤建設工業と同様に、「わからない」を主張していること。

(4)産業廃棄物処理法違反の疑いがあるのに、この記事の結びは「議会に報告するという」となっていること。

■上記のそれぞれのポイントについて、解説を加えてみましょう。

(1)建設中の運動場の土の中から産業廃棄物であるコンクリート片が大量に見つかり廃棄物処理法違反の疑いがあること。

<解説>
 コンクリートは“がれき類”に分類されている産業廃棄物です。有毒物質が含まれていてもいなくても、法律に分類の規定があり、分類に当てはまれば産業廃棄物となることから、不法投棄は許されません。
 この点、大同スラグの場合、廃棄物としての認定が遅れましたが、スラグも同様に毒を含んでいようがいまいが、「鉱さい」に分類される廃棄物であり、法律を読む限り、コンクリートと同様に、不法投棄は許されないことは、明らかです。


(2)事件の発端の背景に、市の設計ミスの疑いがあり、大雨で、擁壁が円弧滑りを発生したため、不法投棄の様子が偶然見つかってしまったこと。

<解説>
 大雨による円弧滑りは、市が擁壁の下部の土を、次の工事予定のためか、掘削して取り除いてしまった状態を放置したため起きた“人災”です。市の設計ミスの疑いがありますが、渋川市議会でこの問題が取り上げられました。ところが、採決の結末は多数決により、不問とされてしまったそうです。
 この議会の行為は、市行政の不備を隠蔽する行為です。隠ぺい行為自体にも、犯罪性があるのではないでしょうか?


(3)工事を請け負った建設会社は、「なぜ混入したかわからない」と有害スラグ問題のブラック佐藤建設工業と同様に、「わからない」を主張していること。

<解説>
 有害スラグ問題で、佐藤建設工業の佐藤社長は、毎日新聞の取材に対して、都合が悪くなると「わからない」を連発しました。そのくせ、有害スラグ入りの盛り土について、「(有害スラグの)混入がわずかであれば影響は少ない」などと、学者でもないのに自分勝手な理屈を並べ立てているのです。
 今回のコンクリート片不法投棄問題でも、請負建設会社は同じように、「わからない」とブラック発言をしています。問題解決に向けて、自分なりに調査するつもりはないようです。
 ブラック佐藤建設工業は、自分勝手に天然砕石に混ぜて不法投棄した有害スラグを、自ら撤去することもなく、依然として何事も無かったかのように、上武国道工事に盛り土材を納入し続けています。地域住民の不安は増すばかりです。
 国土交通省はなぜペナルティーを科すこともなく、如何わしい盛り土をブラック佐藤に納入させ続けているのでしょうか?
 同様に、渋川市は、請負建設貴社に対して、なんのペナルティーを科さずに住民の不安を余所に、工事を続けさせるつもりなのでしょうか?


(4)産業廃棄物処理法違反の疑いがあるのに、この記事の結びは「議会に報告するという」となっていること。

<解説>
 特に、このことが問題です。産業廃棄物処理法違反の疑いがあるのに、「行政は議会に報告する」という結びになっています。犯罪性が疑われている問題について、議会で承認でも取るつもりなのでしょうか?
 犯罪行為であっても、渋川市は、議会で多数派工作が行われ、この問題を不問にしてしまえば、廃棄物処理法違反という犯罪を隠蔽できると思っているのでしょうか?
 渋川市では、過去にも度々、議会で多数決により、闇にまみれてしまった犯罪行為のあったことが疑われています。


■有害スラグ問題では、渋川市議会においては珍しいことに、早期措置を求める議決がなされました。しかし、その稀な議決さえも見事に無視され、渋川市では相変わらず“大同さまのご機嫌伺い”を続けています。

 市長や行政の都合がいいように議会が運営され、めったに起こらないことですが、市にとって都合が悪い決議が仮に起きても、結局、それは無視をされてしまうのです。

 今回のコンクリート片の不法投棄は、有害スラグとは直接関係のある問題ではありませんが、番外編として“ここが変だよ、渋川市!”と叫びたいのです。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※参考情報
*********
参考:廃棄物処理法第2条
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S46/S46SE300.html
(産業廃棄物)
第二条  法第二条第四項第一号 の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
一  紙くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。)、出版業(印刷出版を行うものに限る。)、製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだものに限る。)
二  木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
三  繊維くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)に係るもの及びポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
四  食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
四の二  と畜場法 (昭和二十八年法律第百十四号)第三条第二項 に規定すると畜場においてとさつし、又は解体した同条第一項 に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律 (平成二年法律第七十号)第二条第六号 に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第一号 に規定する食鳥に係る固形状の不要物
五  ゴムくず
六  金属くず
七  ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及び陶磁器くず
八  鉱さい
九  工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物
十  動物のふん尿(畜産農業に係るものに限る。)
十一  動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)
十二  大気汚染防止法 (昭和四十三年法律第九十七号)第二条第二項 に規定するばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法第二条第二項 に規定する特定施設(ダイオキシン類(同条第一項 に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)を発生し、及び大気中に排出するものに限る。)又は次に掲げる廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであつて、集じん施設によつて集められたもの
イ 燃え殻(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第七号及び第十号、第三条第三号ヲ並びに別表第一を除き、以下同じ。)
ロ 汚泥(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(1)、第八号及び第十一号、第三条第二号ホ及び第三号ヘ並びに別表第一を除き、以下同じ。)
ハ 廃油(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハ及び別表第五を除き、以下同じ。)
ニ 廃酸(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き、以下同じ。)
ホ 廃アルカリ(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二十四条第二号ハを除き、以下同じ。)
ヘ 廃プラスチック類(事業活動に伴つて生じたものに限る。第二条の四第五号ロ(5)を除き、以下同じ。)
ト 前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで及び第五号から第九号までに掲げる廃棄物にあつては、事業活動に伴つて生じたものに限る。)
十三  燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、前各号に掲げる廃棄物(第一号から第三号まで、第五号から第九号まで及び前号に掲げる廃棄物にあつては、事業活動に伴つて生じたものに限る。)又は法第二条第四項第二号 に掲げる廃棄物を処分するために処理したものであつて、これらの廃棄物に該当しないもの
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