■安中市のメール配信サービスでは、主に振込め詐欺と火災情報が殆どですが、7月31日(水)の未明から3通の火災情報の配信がありました。このときは、「峠の湯付近で建物火災が発生」という内容だったので、まさか峠の湯そのものが火事だとは思いもよりませんでした。
↑7月31日未明に発生した火災でエントランス棟が消失したため、峠の湯入口に設置された「臨時休業」の看板。↑
-----元のメッセージ-----
差出人: 安中市メール配信サービス <annaka@city.annaka.gunma.jp>
宛先: ogawakenpg <ogawakenpg@aol.com>
送信日時: 2013/7/31, 水, 2:56
件名: 火災発生のお知らせ
安中市【火災情報】
2時40分頃、安中市松井田町坂本、うすい峠の森公園交流館 峠の湯付近で建物火災が発生しました。消防車が出動しています。付近の皆様は十分注意して下さい。 ≪消防局通信指令課配信≫
-----元のメッセージ-----
差出人: 安中市メール配信サービス <annaka@city.annaka.gunma.jp>
宛先: ogawakenpg <ogawakenpg@aol.com>
送信日時: 2013/7/31, 水, 3:34
件名: 火災発生のお知らせ
安中市【火災情報】
2時40分頃、安中市松井田町、うすい峠の森公園交流館 峠の湯付近で発生した建物火災は、2時44分に第2出場になりました。消防車が出動しています。付近の皆様は十分注意して下さい。 ≪消防局通信指令課配信≫
-----元のメッセージ-----
差出人: 安中市メール配信サービス <annaka@city.annaka.gunma.jp>
宛先: ogawakenpg <ogawakenpg@aol.com>
送信日時: 2013/7/31, 水, 7:12
件名: 火災鎮火のお知らせ
安中市【火災情報】
2時40分頃、安中市松井田町坂本で発生した火災は7時06分に鎮火しました。≪消防局通信指令課配信≫
■消化活動のため第2次出動をしたり、鎮火までに4時間以上かかっていることから、尋常な火災ではないな、と思っていましたが、翌日の8月1日の新聞報道を見て仰天しました。
**********2013年8月1日毎日新聞地方版
火災:人気の日帰り温泉、半焼し長期休館へ−−安中 /群馬
↑火災で壁面のガラスがすべて割れた「峠の湯」の建物=安中市松井田町坂本で↑
31日午前2時25分ごろ、安中市松井田町坂本の日帰り温泉施設「峠の湯」から出火。安中署によると、鉄筋2階建て約2450平方メートルのうち、中央部分の約800平方メートルを半焼、けが人はなかった。
同施設の高橋寛支配人(63)によると、焼けた部分の1階にはロビーラウンジと売店、2階にはソファーの休憩所と小さな売店があった。いずれも火を使う器具はなかったという。前夜は午後9時に営業を終え、同10時過ぎに清掃業者が施錠して帰った後は無人だったという。高橋支配人は「営業中ではなく、けが人もいなかったことが、せめてもの救いです」と肩を落としていた。長期間の休館となる見通し。
「峠の湯」は、日帰り温泉施設として2001年に開設。信越線の旧線跡を利用して整備された遊歩道「アプトの道」のほぼ中間点にあり、平日でも300人前後、旧盆などには1000人以上が利用している。
碓氷線文化財インストラクターの代表、佐藤健一さん(77)は「アプトの道を歩く人たちが休憩や食事をし、温泉に入る人も多かった。代わりとなる施設がないだけに休館のダメージは計り知れない」と話している。【増田勝彦、奥山はるな】
**********2013年8月1日東京新聞群馬版
「峠の湯」で火災 当分の間休館へ 安中・松井田
三十一日午前二時半ごろ、安中市松井田町坂本の日帰り温泉施設「峠の湯」から出火。三棟あるうち中央の一階部分約五百平方メートルと二階部分約三百平方メートルを焼いた。安中署が出火原因を調べている。
↑焼けた「峠の湯」中央の棟=安中市↑
市などによると、中央の棟は一階に受付、事務室、土産物の売店があり、二階には売店やソファ休憩所があった。関係者によると、二階売店と近くのエレベーター付近が激しく燃えていたという。風呂やレストラン、大広間などがある両隣の棟に被害はなかった。
峠の湯は、合併前の旧松井田町が地域振興中核施設として、近くで湧き出た温泉を引いて一九九九年に開業。「碓氷峠鉄道文化むら」を運営する碓氷峠鉄道交流記念財団が、市の指定管理者として営業しており、昨年一月に入館者が二百万人を超えた。
市によると、当面休館するといい、岡田義弘市長は「ご迷惑をかけおわび申し上げる。再建する方針を決めた。焼けなかった棟が使えるか診断して対応を決めたい」と話した。(樋口聡)
**********2013年8月1日上毛新聞社会面
安中・松井田「峠の湯」 温泉施設1棟焼く
けが人なし 当面は営業休止
31日午前2時半ごろ、安中市松井田町坂本の日帰り温泉施設「峠の湯」(高橋寛支配人)から出火、鉄筋2階建て建物約800平方メートルを焼いた。出火当時は無人で、けが人はなかった。
建物を所有する市は当面施設の営業を休止する。
安中署や市によると、施設は大広間とレストランのある棟、エントランス棟、入浴施設がある棟の3棟構成で、中央のエントランス棟から出火した。同棟は受け付けやロビーラウンジジ、おみやげコーナーがある。売店がある建物2階の燃え方が激しく、同署が出火原因を調べている。
施設は、JR信越線横川-軽井沢駅間の廃止に伴い、横川駅周辺の活性化を目的に2001年4月、旧松井田町(現安中市)が総額約19億円をかけて開設した。正面アーチはめがね橋を模して造られ、横川駅に隣接する碓氷峠鉄道文化むらからトロッコ列車が運行。全国的にも人気が高く、年間17万人が利用する。
市は31日、火災を知らせる文書をホームページに掲載したほか、8月2日の新聞朝刊折り込みで、市内2万2千世帯に配布する。
岡田義弘市長は「将来的に軽井沢ヘトロッコ列車の運行延伸を検討しており、新しい観光戦略の拠点となる施設として復元に努めたい」と対応を説明した。
近所に住む50代の女性は「けたたましい消防車のサイレンで起きた。いい景色を見ながら入浴できるのが峠の湯の魅力。早く戻してほしい」と話した。
**********
■さらに翌日、8月2日の新聞報道を見ると、なんと安中市と財団が連名で「出火お詫び」のチラシを市内に配布したとあります。
**********2013年8月2日東京新聞群馬版
峠の湯出火で「お詫び」配布 安中市と財団
安中市松井田町坂本の日帰り温泉施設「峠の湯」の火災で、建物を所有する市と指定管理者の碓氷峠交流記念財団が連名で「出火お詫び」を市内に配布した。
それによると、峠の湯が有る碓氷峠の森公園内の施設についてコテージ以外は当面、営業を休むとしている。
峠の湯の裏手を通る碓氷線廃線跡の遊歩道「アプトの道」には迂回を求める看板を設置した。峠の湯の敷地内にあるアプトの道のハイカー向けトイレは、電気、水道の応急措置をして使用できるようになった。(樋口聡)
**********
普段は市民に情報を積極的に提供したがらない安中市ですが、これほど迅速に全市にチラシを配布しなければならなかったところをみるとよほどこの火災事件に動揺していることが伺えます。
↑8月2日の新聞折込で市内の購読世帯に配布されたA4判チラシ。内容は次のとおり。
「峠の湯」出火のお詫び
去る7月31日午前2時40分頃、碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」内において火災が発生いたしました。
この火災に際しましては、消防関係者をはじめ近隣の皆様には、いち早く駆けつけていただき、消火活動にご尽力を賜り、心より感謝を申し上げます。
また、当施設をご愛顧いただきます皆様をはじめ関係者の方々には、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。
原因につきましては、現在関係機関により調査中ですが、この火災により施設については、当面の間、コテージ以外の営業を休ませていただきたく存じます。
市民の皆様には何かとご不便をお掛けいたしますが、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上、甚だ簡単ではございますが、まずは書面にてお詫び申し上げます。
平成25年8月2日
安中市長 岡田 義弘
(一財)碓氷峠交流記念財団
理事長 本田 英夫 ↑
■そこで、さっそく当会としても現場を確認しておく必要を痛感したため、8月2日の午後、取材陣が現場に急行しました。
やはり新聞記事や掲載写真だけでは現場の惨状はイメージできないことがわかります。現場の写真をじっくりご覧ください。
↑火災原因特定の為に待機中だった消防車両。この後間もなく戻って行った。↑
↑無残に焼けただれたエントランス棟。↑
↑吹き抜け構造だったため内部はすっかり消失。↑
↑現場に張られた立入禁止の注意書きとテープ。警察も出火原因調査中の様子。↑
↑別の角度から見たエントランス棟。新聞には半鐘とあるが、エントランス棟に限れば完全な全焼。↑
↑同2階部分。↑
↑営業再開のメドが立たない現状では管理のずさんな財団の施設から在庫を撤去しないと、二次被害に合う恐れがあるためか、在庫を撤去する出入り業者。↑
↑火災による輻射熱で全部焼け落ちたガラス張りの壁。↑
↑熱で焦げて変形した白バイ遊具。↑
↑炎で完全に燃え尽きた内部。↑
↑無残に焼けただれた現場。↑
↑東側の温泉棟とを結ぶ一階の自動販売機も丸焼け。輻射熱で外の植え込みや芝生も茶色く変色。↑
↑焼け残った鉄道遊具が痛々しい。↑
↑建物内部の消失現場の状況。↑
↑西側の食堂棟に繋がる廊下。こっちのほうも一階の燃え方が酷い。↑
↑夏休みのかき入れ時なのに、どうなることやら。↑
↑火災後もトロッコ列車は運行しているが、峠の湯駅で下車すれば炎上現場はすぐ目の前。このため乗客が激減し、トロッコ列車も運行停止して線路に赤錆発生とならないことを祈るばかり。↑
↑2007年に軽井沢まで試運転をしていれば、架線も盗まれることはなかったのに。↑
↑松井田町が設置した立入禁止の看板。↑
↑廃線となった信越線本線。まだ架線はこのあたりでは盗まれていない。↑
↑炎上した峠の湯エントランス棟。↑
↑裏手から見た消失建物。↑
↑峠の湯駅(手前)とハイカー用トイレ建物(中央奥)。↑
↑トイレはハイカー用に電気と水道が復旧してあった。↑
↑鉄道文化むらとを結ぶ2台のシャトルバスが運行再開するのはいつの日か。↑
■表側はテープが張り巡らされて、職員らが箒を塵取りを手になにやら掃除をしていましたが、裏手に回ると、現場には、まだ焼け焦げた臭いが立ち込めており、ほとんど手が付けられていない状況でした。
火事の原因について、現場にいた職員らしき関係者に聞きましたが、「放火か漏電らしい」というだけで、詳しいことは語りません。いずれの方々も肩を落としていたのが、印象的でした。それもそのはず、今後、いつになったら再開のめどが立つのか、立て替える場合その原資をどうするのか、など難問山積だから、従業員にとっては失業同然だからです。
財団の二本柱である鉄道文化むらと峠の湯の施設は、セットになってはじめて相乗効果で集客力を発揮するわけですが、その片方の柱が火事で壊滅的なダメージを受けたため、もうひとつの柱の鉄道文化むら施設の集客力にも当然深刻な影響が出ることになるでしょう。
■今回の火災事故の原因については、警察や消防が調べていますが、まだよく分かっていないようです。おそらく「放火」か「漏電」あたりが原因として想定されるのでしょうが、どちらにしてもいろいろ疑問があります。
安中市メール配信サービスによれば、火災の一報が入ったのは7月31日の午前2時40分となっています。夜間の宿直がいたのかどうか、どのように巡回監視をしていたのか、防犯ブザーや防犯カメラなどはどのように作動していたのか、報道を見る限り実態は不明です。
また、漏電の場合には、火災報知器や漏電遮断器のような防火設備はどのように作動したのかが焦点となります。通常は、漏電の場合には漏電遮断器や警報器が自動的に作動し、未然に漏電を防止するはずです。また、定期的に漏電チェックや電気設備の安全点検が行われているはずで、異常の兆候があれば、未然にキャッチできたかもしれません。
ただし、一般家庭では、使用電力量が小さいため、20ミリアンペア程度の漏電でも作動する漏電遮断器が一般に使用されていますが、峠の湯のような使用電力量がおそらく大きい施設では、漏電火災警報器が取り付けられている可能性があります。この場合は家庭用朗電車暖気のように20ミリアンペアだと、頻繁に警報が出されるため、通常50ミリアンペア程度かそれ以上で漏電をキャッチするように感度を下げて、反応を鈍くしています。
このため、50ミリアンペア未満で漏電が発生した場合、漏電が感知されないまま漏電箇所が次第に熱を持ち、それが付近にある建材等に触れ続ける状態が相当長く繰り返して続いたことから発火しやすい条件が進んでいたのかもしれません。
いずれにしても、消防法や電気用品安全法などの法定で定められた設備の点検・検査を実施し、漏電の状況を把握しておけば、そう簡単に漏電事故が発生するものでもないと考えられます。安中市の観光資産である峠の湯の建物を管理する義務を財団が負っていたのか、それとも所有者の安中市が義務を負っていたのか定かではありませんが、わざわざ連名で「お詫び」のチラシを全市に配布したところを見ると両方に義務と責任があるのかもしれません。
■こうした火災事故の原因究明と責任の所在の明確化、そして再発防止策をきちんと図らないと、今後の方針は立てられないはずです。
ところが岡田市長は、マスコミの取材に対し、「再建する方針を決めた。焼けなかった棟が使えるか診断して対応を決めたい」とか「将来的に軽井沢ヘトロッコ列車の運行延伸を検討しており、新しい観光戦略の拠点となる施設として復元に努めたい」などと述べて、早くも公金を投入して再建する意向をあきらかにしました。
これでは、安中市土地開発公社で18年前に起きた51億円もの巨額詐欺横領事件で、真相解明や責任の所在明確化もせずに、再発防止策もないがしろになったまま、群馬銀行にあと89年間も毎年2000万円ずつ支払い続ける方針をはやばやと決めたタゴ事件の後処理と全く同じ発想です。
岡田市長がどのような理由で、なぜ火災事故発生の翌日にはやばやと再建方針を決めたのか、きちんと説明する必要が岡田市長にはあります。
■また、峠の湯を管理する財団の組織についても問題があります。これについては、当会に、内部事情に関する告発情報が多数寄せられており、それらが事実であるとすれば(その可能性は非常に高いと思われますが)、たとえ施設を再建できても、またトラブルが再発するおそれがあります。
旧松井田町から安中市が引き継いだ貴重な観光資産をずさんな管理で丸焼けにしてしまった安中市と財団については、今後もいろいろな角度から追及してゆく所存です。
【ひらく会情報部・信越線復活問題研究取材班】
※参考情報
■峠の湯の火災に関する安中市のHP■
http://www.city.annaka.gunma.jp/kanko_spot/tougenoyu.html
峠の湯
火災に伴う臨時休館について
7月31日午前2時40分頃、碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」内において火災が発生いたしました。
この火災に際しましては、消防関係者をはじめ近隣の皆様には、いち早く駆けつけていただき、消火活動にご尽力を賜り、心より感謝を申し上げます。
また、当施設をご愛顧いただきます皆様をはじめ関係者の方々には、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。
原因につきましては、現在関係機関により調査中ですが、この火災により施設については、当面の間、コテージ以外の営業を休ませていただきたく存じます。
皆様には何かとご不便をお掛けいたしますが、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
■峠の湯の火災に関する財団のHP■
http://www.usuitouge.com/tougenoyu/information/2013closeinfo.html
碓氷峠の森公園交流館 天然温泉
峠の湯 休館のお知らせ
7月31日午前2時40分頃、碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」内において火災が 発生いたしました。
この火災に際しましては、消防関係者をはじめ近隣の皆様には、いち早く駆けつけ ていただき、消火活動にご尽力を賜り、心より感謝を申し上げます。
また、当施設をご愛顧いただきます皆様をはじめ関係者の方々には、多大なご迷惑 とご心配をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。
原因につきましては、現在関係機関により調査中ですが、この火災により施設につ いては、当面の間、営業を休ませていただきたく存じます。
皆様には何かとご不便をお掛けいたしますが、ご理解とご協力を賜りますようお願 い申し上げます。
以上、甚だ簡単ではございますが、まずは書面にてお詫び申し上げます。
平成25年7月31日
一般財団法人 碓氷峠交流記念財団
理事長 本田 英夫
↑7月31日未明に発生した火災でエントランス棟が消失したため、峠の湯入口に設置された「臨時休業」の看板。↑
-----元のメッセージ-----
差出人: 安中市メール配信サービス <annaka@city.annaka.gunma.jp>
宛先: ogawakenpg <ogawakenpg@aol.com>
送信日時: 2013/7/31, 水, 2:56
件名: 火災発生のお知らせ
安中市【火災情報】
2時40分頃、安中市松井田町坂本、うすい峠の森公園交流館 峠の湯付近で建物火災が発生しました。消防車が出動しています。付近の皆様は十分注意して下さい。 ≪消防局通信指令課配信≫
-----元のメッセージ-----
差出人: 安中市メール配信サービス <annaka@city.annaka.gunma.jp>
宛先: ogawakenpg <ogawakenpg@aol.com>
送信日時: 2013/7/31, 水, 3:34
件名: 火災発生のお知らせ
安中市【火災情報】
2時40分頃、安中市松井田町、うすい峠の森公園交流館 峠の湯付近で発生した建物火災は、2時44分に第2出場になりました。消防車が出動しています。付近の皆様は十分注意して下さい。 ≪消防局通信指令課配信≫
-----元のメッセージ-----
差出人: 安中市メール配信サービス <annaka@city.annaka.gunma.jp>
宛先: ogawakenpg <ogawakenpg@aol.com>
送信日時: 2013/7/31, 水, 7:12
件名: 火災鎮火のお知らせ
安中市【火災情報】
2時40分頃、安中市松井田町坂本で発生した火災は7時06分に鎮火しました。≪消防局通信指令課配信≫
■消化活動のため第2次出動をしたり、鎮火までに4時間以上かかっていることから、尋常な火災ではないな、と思っていましたが、翌日の8月1日の新聞報道を見て仰天しました。
**********2013年8月1日毎日新聞地方版
火災:人気の日帰り温泉、半焼し長期休館へ−−安中 /群馬
↑火災で壁面のガラスがすべて割れた「峠の湯」の建物=安中市松井田町坂本で↑
31日午前2時25分ごろ、安中市松井田町坂本の日帰り温泉施設「峠の湯」から出火。安中署によると、鉄筋2階建て約2450平方メートルのうち、中央部分の約800平方メートルを半焼、けが人はなかった。
同施設の高橋寛支配人(63)によると、焼けた部分の1階にはロビーラウンジと売店、2階にはソファーの休憩所と小さな売店があった。いずれも火を使う器具はなかったという。前夜は午後9時に営業を終え、同10時過ぎに清掃業者が施錠して帰った後は無人だったという。高橋支配人は「営業中ではなく、けが人もいなかったことが、せめてもの救いです」と肩を落としていた。長期間の休館となる見通し。
「峠の湯」は、日帰り温泉施設として2001年に開設。信越線の旧線跡を利用して整備された遊歩道「アプトの道」のほぼ中間点にあり、平日でも300人前後、旧盆などには1000人以上が利用している。
碓氷線文化財インストラクターの代表、佐藤健一さん(77)は「アプトの道を歩く人たちが休憩や食事をし、温泉に入る人も多かった。代わりとなる施設がないだけに休館のダメージは計り知れない」と話している。【増田勝彦、奥山はるな】
**********2013年8月1日東京新聞群馬版
「峠の湯」で火災 当分の間休館へ 安中・松井田
三十一日午前二時半ごろ、安中市松井田町坂本の日帰り温泉施設「峠の湯」から出火。三棟あるうち中央の一階部分約五百平方メートルと二階部分約三百平方メートルを焼いた。安中署が出火原因を調べている。
↑焼けた「峠の湯」中央の棟=安中市↑
市などによると、中央の棟は一階に受付、事務室、土産物の売店があり、二階には売店やソファ休憩所があった。関係者によると、二階売店と近くのエレベーター付近が激しく燃えていたという。風呂やレストラン、大広間などがある両隣の棟に被害はなかった。
峠の湯は、合併前の旧松井田町が地域振興中核施設として、近くで湧き出た温泉を引いて一九九九年に開業。「碓氷峠鉄道文化むら」を運営する碓氷峠鉄道交流記念財団が、市の指定管理者として営業しており、昨年一月に入館者が二百万人を超えた。
市によると、当面休館するといい、岡田義弘市長は「ご迷惑をかけおわび申し上げる。再建する方針を決めた。焼けなかった棟が使えるか診断して対応を決めたい」と話した。(樋口聡)
**********2013年8月1日上毛新聞社会面
安中・松井田「峠の湯」 温泉施設1棟焼く
けが人なし 当面は営業休止
31日午前2時半ごろ、安中市松井田町坂本の日帰り温泉施設「峠の湯」(高橋寛支配人)から出火、鉄筋2階建て建物約800平方メートルを焼いた。出火当時は無人で、けが人はなかった。
建物を所有する市は当面施設の営業を休止する。
安中署や市によると、施設は大広間とレストランのある棟、エントランス棟、入浴施設がある棟の3棟構成で、中央のエントランス棟から出火した。同棟は受け付けやロビーラウンジジ、おみやげコーナーがある。売店がある建物2階の燃え方が激しく、同署が出火原因を調べている。
施設は、JR信越線横川-軽井沢駅間の廃止に伴い、横川駅周辺の活性化を目的に2001年4月、旧松井田町(現安中市)が総額約19億円をかけて開設した。正面アーチはめがね橋を模して造られ、横川駅に隣接する碓氷峠鉄道文化むらからトロッコ列車が運行。全国的にも人気が高く、年間17万人が利用する。
市は31日、火災を知らせる文書をホームページに掲載したほか、8月2日の新聞朝刊折り込みで、市内2万2千世帯に配布する。
岡田義弘市長は「将来的に軽井沢ヘトロッコ列車の運行延伸を検討しており、新しい観光戦略の拠点となる施設として復元に努めたい」と対応を説明した。
近所に住む50代の女性は「けたたましい消防車のサイレンで起きた。いい景色を見ながら入浴できるのが峠の湯の魅力。早く戻してほしい」と話した。
**********
■さらに翌日、8月2日の新聞報道を見ると、なんと安中市と財団が連名で「出火お詫び」のチラシを市内に配布したとあります。
**********2013年8月2日東京新聞群馬版
峠の湯出火で「お詫び」配布 安中市と財団
安中市松井田町坂本の日帰り温泉施設「峠の湯」の火災で、建物を所有する市と指定管理者の碓氷峠交流記念財団が連名で「出火お詫び」を市内に配布した。
それによると、峠の湯が有る碓氷峠の森公園内の施設についてコテージ以外は当面、営業を休むとしている。
峠の湯の裏手を通る碓氷線廃線跡の遊歩道「アプトの道」には迂回を求める看板を設置した。峠の湯の敷地内にあるアプトの道のハイカー向けトイレは、電気、水道の応急措置をして使用できるようになった。(樋口聡)
**********
普段は市民に情報を積極的に提供したがらない安中市ですが、これほど迅速に全市にチラシを配布しなければならなかったところをみるとよほどこの火災事件に動揺していることが伺えます。
↑8月2日の新聞折込で市内の購読世帯に配布されたA4判チラシ。内容は次のとおり。
「峠の湯」出火のお詫び
去る7月31日午前2時40分頃、碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」内において火災が発生いたしました。
この火災に際しましては、消防関係者をはじめ近隣の皆様には、いち早く駆けつけていただき、消火活動にご尽力を賜り、心より感謝を申し上げます。
また、当施設をご愛顧いただきます皆様をはじめ関係者の方々には、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。
原因につきましては、現在関係機関により調査中ですが、この火災により施設については、当面の間、コテージ以外の営業を休ませていただきたく存じます。
市民の皆様には何かとご不便をお掛けいたしますが、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上、甚だ簡単ではございますが、まずは書面にてお詫び申し上げます。
平成25年8月2日
安中市長 岡田 義弘
(一財)碓氷峠交流記念財団
理事長 本田 英夫 ↑
■そこで、さっそく当会としても現場を確認しておく必要を痛感したため、8月2日の午後、取材陣が現場に急行しました。
やはり新聞記事や掲載写真だけでは現場の惨状はイメージできないことがわかります。現場の写真をじっくりご覧ください。
↑火災原因特定の為に待機中だった消防車両。この後間もなく戻って行った。↑
↑無残に焼けただれたエントランス棟。↑
↑吹き抜け構造だったため内部はすっかり消失。↑
↑現場に張られた立入禁止の注意書きとテープ。警察も出火原因調査中の様子。↑
↑別の角度から見たエントランス棟。新聞には半鐘とあるが、エントランス棟に限れば完全な全焼。↑
↑同2階部分。↑
↑営業再開のメドが立たない現状では管理のずさんな財団の施設から在庫を撤去しないと、二次被害に合う恐れがあるためか、在庫を撤去する出入り業者。↑
↑火災による輻射熱で全部焼け落ちたガラス張りの壁。↑
↑熱で焦げて変形した白バイ遊具。↑
↑炎で完全に燃え尽きた内部。↑
↑無残に焼けただれた現場。↑
↑東側の温泉棟とを結ぶ一階の自動販売機も丸焼け。輻射熱で外の植え込みや芝生も茶色く変色。↑
↑焼け残った鉄道遊具が痛々しい。↑
↑建物内部の消失現場の状況。↑
↑西側の食堂棟に繋がる廊下。こっちのほうも一階の燃え方が酷い。↑
↑夏休みのかき入れ時なのに、どうなることやら。↑
↑火災後もトロッコ列車は運行しているが、峠の湯駅で下車すれば炎上現場はすぐ目の前。このため乗客が激減し、トロッコ列車も運行停止して線路に赤錆発生とならないことを祈るばかり。↑
↑2007年に軽井沢まで試運転をしていれば、架線も盗まれることはなかったのに。↑
↑松井田町が設置した立入禁止の看板。↑
↑廃線となった信越線本線。まだ架線はこのあたりでは盗まれていない。↑
↑炎上した峠の湯エントランス棟。↑
↑裏手から見た消失建物。↑
↑峠の湯駅(手前)とハイカー用トイレ建物(中央奥)。↑
↑トイレはハイカー用に電気と水道が復旧してあった。↑
↑鉄道文化むらとを結ぶ2台のシャトルバスが運行再開するのはいつの日か。↑
■表側はテープが張り巡らされて、職員らが箒を塵取りを手になにやら掃除をしていましたが、裏手に回ると、現場には、まだ焼け焦げた臭いが立ち込めており、ほとんど手が付けられていない状況でした。
火事の原因について、現場にいた職員らしき関係者に聞きましたが、「放火か漏電らしい」というだけで、詳しいことは語りません。いずれの方々も肩を落としていたのが、印象的でした。それもそのはず、今後、いつになったら再開のめどが立つのか、立て替える場合その原資をどうするのか、など難問山積だから、従業員にとっては失業同然だからです。
財団の二本柱である鉄道文化むらと峠の湯の施設は、セットになってはじめて相乗効果で集客力を発揮するわけですが、その片方の柱が火事で壊滅的なダメージを受けたため、もうひとつの柱の鉄道文化むら施設の集客力にも当然深刻な影響が出ることになるでしょう。
■今回の火災事故の原因については、警察や消防が調べていますが、まだよく分かっていないようです。おそらく「放火」か「漏電」あたりが原因として想定されるのでしょうが、どちらにしてもいろいろ疑問があります。
安中市メール配信サービスによれば、火災の一報が入ったのは7月31日の午前2時40分となっています。夜間の宿直がいたのかどうか、どのように巡回監視をしていたのか、防犯ブザーや防犯カメラなどはどのように作動していたのか、報道を見る限り実態は不明です。
また、漏電の場合には、火災報知器や漏電遮断器のような防火設備はどのように作動したのかが焦点となります。通常は、漏電の場合には漏電遮断器や警報器が自動的に作動し、未然に漏電を防止するはずです。また、定期的に漏電チェックや電気設備の安全点検が行われているはずで、異常の兆候があれば、未然にキャッチできたかもしれません。
ただし、一般家庭では、使用電力量が小さいため、20ミリアンペア程度の漏電でも作動する漏電遮断器が一般に使用されていますが、峠の湯のような使用電力量がおそらく大きい施設では、漏電火災警報器が取り付けられている可能性があります。この場合は家庭用朗電車暖気のように20ミリアンペアだと、頻繁に警報が出されるため、通常50ミリアンペア程度かそれ以上で漏電をキャッチするように感度を下げて、反応を鈍くしています。
このため、50ミリアンペア未満で漏電が発生した場合、漏電が感知されないまま漏電箇所が次第に熱を持ち、それが付近にある建材等に触れ続ける状態が相当長く繰り返して続いたことから発火しやすい条件が進んでいたのかもしれません。
いずれにしても、消防法や電気用品安全法などの法定で定められた設備の点検・検査を実施し、漏電の状況を把握しておけば、そう簡単に漏電事故が発生するものでもないと考えられます。安中市の観光資産である峠の湯の建物を管理する義務を財団が負っていたのか、それとも所有者の安中市が義務を負っていたのか定かではありませんが、わざわざ連名で「お詫び」のチラシを全市に配布したところを見ると両方に義務と責任があるのかもしれません。
■こうした火災事故の原因究明と責任の所在の明確化、そして再発防止策をきちんと図らないと、今後の方針は立てられないはずです。
ところが岡田市長は、マスコミの取材に対し、「再建する方針を決めた。焼けなかった棟が使えるか診断して対応を決めたい」とか「将来的に軽井沢ヘトロッコ列車の運行延伸を検討しており、新しい観光戦略の拠点となる施設として復元に努めたい」などと述べて、早くも公金を投入して再建する意向をあきらかにしました。
これでは、安中市土地開発公社で18年前に起きた51億円もの巨額詐欺横領事件で、真相解明や責任の所在明確化もせずに、再発防止策もないがしろになったまま、群馬銀行にあと89年間も毎年2000万円ずつ支払い続ける方針をはやばやと決めたタゴ事件の後処理と全く同じ発想です。
岡田市長がどのような理由で、なぜ火災事故発生の翌日にはやばやと再建方針を決めたのか、きちんと説明する必要が岡田市長にはあります。
■また、峠の湯を管理する財団の組織についても問題があります。これについては、当会に、内部事情に関する告発情報が多数寄せられており、それらが事実であるとすれば(その可能性は非常に高いと思われますが)、たとえ施設を再建できても、またトラブルが再発するおそれがあります。
旧松井田町から安中市が引き継いだ貴重な観光資産をずさんな管理で丸焼けにしてしまった安中市と財団については、今後もいろいろな角度から追及してゆく所存です。
【ひらく会情報部・信越線復活問題研究取材班】
※参考情報
■峠の湯の火災に関する安中市のHP■
http://www.city.annaka.gunma.jp/kanko_spot/tougenoyu.html
峠の湯
火災に伴う臨時休館について
7月31日午前2時40分頃、碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」内において火災が発生いたしました。
この火災に際しましては、消防関係者をはじめ近隣の皆様には、いち早く駆けつけていただき、消火活動にご尽力を賜り、心より感謝を申し上げます。
また、当施設をご愛顧いただきます皆様をはじめ関係者の方々には、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。
原因につきましては、現在関係機関により調査中ですが、この火災により施設については、当面の間、コテージ以外の営業を休ませていただきたく存じます。
皆様には何かとご不便をお掛けいたしますが、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
■峠の湯の火災に関する財団のHP■
http://www.usuitouge.com/tougenoyu/information/2013closeinfo.html
碓氷峠の森公園交流館 天然温泉
峠の湯 休館のお知らせ
7月31日午前2時40分頃、碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」内において火災が 発生いたしました。
この火災に際しましては、消防関係者をはじめ近隣の皆様には、いち早く駆けつけ ていただき、消火活動にご尽力を賜り、心より感謝を申し上げます。
また、当施設をご愛顧いただきます皆様をはじめ関係者の方々には、多大なご迷惑 とご心配をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。
原因につきましては、現在関係機関により調査中ですが、この火災により施設につ いては、当面の間、営業を休ませていただきたく存じます。
皆様には何かとご不便をお掛けいたしますが、ご理解とご協力を賜りますようお願 い申し上げます。
以上、甚だ簡単ではございますが、まずは書面にてお詫び申し上げます。
平成25年7月31日
一般財団法人 碓氷峠交流記念財団
理事長 本田 英夫