市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

知事公舎をラブホテル代わりにした群馬県大澤知事に利用料等返還を求め住民訴訟を提起(その1)

2012-06-02 22:16:00 | オンブズマン活動

■昨年7月8日の午後、自ら経営に関わる社会福祉法人の特養老人ホームに勤務させながら長年愛人としてつきあっていた女性を知事公舎に連れ込み、翌7月9日まで宿泊させた一部始終を平成23年7月13日号の週刊誌で、スッパぬかれた大澤正明知事は、もはや知事公舎に利用価値がないと判断して、それ以降知事公舎を利用しなくなりました。


 週刊誌の報道直後、平成23年7月20日の記者会見で、この知事公舎女性宿泊問題について質問された大澤知事は、「7月分の給与約118万円の全額をけじめとして県に返還したい。道義的に申し訳ない」と述べました。また、「7月中に知事公舎を退去する意向であり、立ち上げて検討する」と発言しました。

 ところが、県への返還は公選法が禁じる「寄付行為」に当たる恐れがあるとして、急遽方針返還し、今度は平成23年8月3日、7月分の給与約118万円をあしなが育英会(東京都)に寄付した、と県庁で記者団に答えました。

■このように報道直後は動揺を隠しきれなかった大澤知事でしたが、知事の女性問題を報じた週刊誌が発売当日の平成23年7月13日朝から、県職員らが買占めを行い、県内で品薄状態になるという状況も発生しました。

 報道によると、けやきウォーク前橋(前橋市)内の紀伊国屋書店前橋店では7月13日の開店直後、 店頭に並べた35冊すべてをたった1人の客が買い占め、即座に完売したため、同店では急遽100冊を追加発注しました。さらに、読者ニーズに対応するため、7月14日からは1人2冊までの購入制限を設けました。

 また、イオンモール高崎(高崎市)内の未来屋書店でも、7月13日に仕入れた6冊が即日売り切れた。前橋市内の別の大型書店でも、本店や支店などに並べた計164冊が7月14日までに完売し、担当者は「なぜか1度に複数冊買う人が目立った。(知事の記事が掲載されるため)普段より多く仕入れたが、ここ数年で1番の売れ行きだ」と驚いていました。

 こうした情報がオンブズマンにも報告があり、オンブズマンでは、こうした買占めに県職員が組織的に関与していたとみて、県知事あてに公開質問状を出しましたが、県知事から事実ではないと否定する回答がきました。

 その後も、大澤知事を擁護する県職員のバリヤーは固く、大澤知事も次第に自分のやらかしたハレンチ行動の重大性を忘れてようとしているようです。

 市民オンブズマン群馬では、週刊誌の記事があまりにも衝撃的であったので、知事公舎で本当にそのような事態が起きていたのかどうか事実関係を探るため、情報公開請求や公開質問状、そして知事公舎を直に視察することで、事情を確認しようとしました。しかし、公開された情報はうわべだけの物で、公開質問状には「わからない」という趣旨の回答が並び、知事公舎の視察に至っては「警備上の問題だ」などと意味不明の理由で完全にシャットアウトされました。

■そこで、オンブズマンではやむなく平成23年2月23日に、群馬県監査委員に対して住民監査請求を行いましたが、平成24年5月2日に、次の内容の回答が来ました。これをみると、群馬県監査委員が全く監査をする意欲をもっていないことがわかります。すなわち、結論は「問題ない」と最初から決めて、あとは屁理屈を付けて、結論に無理やり結びつけるだけなのです。だから、論理に無理が生じるのも当然と言えば当然なのかもしれません。

**********
群馬県職員措置請求監査結果
第1 請求に対する判断
 監査の結果、請求人の主張には理由がないものと判断し、請求を棄却する。
第2 請求人
 安中市野殿980番地 小川賢
 前橋市文京町1丁目15番10号 鈴木庸
第3 請求書の提出
 平成24年2月23日
 なお受理するにあたり、平成24年3月1日に補正を求め、平成24年3月12日に補正が行われた。
第4 請求の内容
1 請求の要旨(原文から抜粋したもの(一部要約)。補正書により語句の修正が行われたものについては修正後の語句により記載した。)
大澤正明知事の次の行為は、群馬県公舎管理規貝1違反とみられます。
(1)公舎の目的外使用(群馬県公舎管理規則第2条、第4条、第8条第1項第2及び3号違反)
大澤正明知事は、県費で建設され、維持されている知事公舎に、公務に関係のない知人を宿71させた。公舎の使用料を支払っているとはいえ、県公舎管理規貝」に照らし、公私混同のそしりを免れず、公共施設がこうした目的で使用されたことは財務会計上の観点から、違法、不当です。
 また、これは、県有施設の不正使用であり、大澤正明知事には、同等な民間宿泊施設を使用した場合の費用相当を全額、県に返還するよう、監査委員から勧告をされたい。
(2)公舎の不正改修(群馬県公舎管理規則第8条第1項第1号違反)
 群馬県公舎管理規則第8条第1項で「使用者は、公舎を常に善良な管理者としての注意をもつて使用するとともに、次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、第一号及び第二号に掲げる行為で知事又は地域機関等の長の許可を受けたものは、この限りでない。」とされており、原則禁止の行為の一つとして同項第1号に「増築し、改築し、若しくは模様替えをし、又は工作物を設置すること。」と定められています。
 大澤正明知事は「知事公舎に係る改修工事は、公舎管理上の必要性から県(管財課)が行つたものであり、私が入居してから、改修の指示をしたことはありません」としているが、大澤正明知事が知事公舎に入居した平成19年12月1日以降、次に掲げるような改修工事等がなされました。
 平成20年1月10日に「大手町1号公舎フェンスエ事」が「運営上、必要なため」として決定され、同1月31日に税込み488万2500円で完成しています。同日の平成20年1月10日に「大手町1号公舎内周り等改修工事|が「運営上、必要なため」として決定され、同1月31日に税込み215万2500円で完成しています。同1月15日には、「大手町1号公舎門扉交換工事」が「運営上、必要なため」という理由で、 1月31日完成予定で、税込み214万2000円で完成しました。平成20年2月6日には、「大手町1号公舎竹垣設置委託業務」として、「建仁寺垣の設置による居宅の遮蔽」が「防犯上緊急に設置の必要があるため」必要だとして、208,950円が予定価格積算結果のところ、税込み199,500円で2月14日までに完成しました。
 翌月の平成20年3月10日には「大手町1号公舎ブロック塀補強等工事」が「運営上、必要なため」として税込み173万2500円で随意契約で受注され、同3月27日までに完成しました。その翌週、平成20年3月17日には、「大手町1号公舎玄関改修工事」が「運営上、必要なため」として、同31日完成予定で、予定価格税込み152万2500円(税抜き145万円)として、管財課は3社を指洛し、税込み147万円で落札されました。その半年後の平成20年9月24日には、「大手町公舎樹木移植工事」が「運営上、必要なため」として、税込み82万9500円で随意契約で受注され、 10月17日までに完成しました。この時の「随意契約理由書」には、「本工事は、旧知事公舎から大手町1号公合にサンゴジュを移植するものである」と記載されていました。その翌月の平成20年10月10日に、「大手町1号公舎樹木移植工事Jが、 10月10日着工、同17日完成予定で、請負契約税込み63万円のところを税込み82万9500円で変更契約されました。この時の変更理由は、「追力口工事:ゲッケイジュ処分→サンゴジュ1本追加Jとなっています。このように、大澤正明知事が平成19年12月1日に入居後も、改修や模様替え、工作物の設置が頻繁に行われておりますが、これらは、大澤知事の指示=すなわち許可が出ていないまま施工されたことになります。
 とくに、平成20年1月10日に決裁された「大手町1号公舎フェンスエ事」の工事理由は「運営上、必要なため」とあり、随意契約で同1月17日付で税込み488万2500円で受注され、 1月31日までに完成しました。この大手町1号公舎(1日副知事公舎)のフェンスエ事の資料を見ると、図面には「知事公舎目隠しフェンス工事」というタイトルがつけられています。 目隠しのフェンスエ事を施工することが、なぜ「運営上、必要なため」なのか非常に理解しにくい状況にあります。
 このように、日隠しのフェンスと、玄関脇の垣根、およびサンゴジュの移植については、公舎の使用目的外のための甚だしい無駄遣いであることは明らかです。
 また、知事公舎のような公共目的の場所は、警備上の問題などなく、県民から要望があれば見学可能となるはずです。他の都道府県では知事公舎の見学が許されているところが沢山あるのに、群馬県の場合、見学が許されないことからも、大澤正明知事が知事公舎を本来の使用目的以外に使用していた、という疑念を払拭することはできません。
 よって、大澤正明知事の指示や許可のないまま、平成19年12月1日の知事の知事公舎入居後に施工された一連の改修工事等の費用支出は理由がなく、大澤正明知事には公舎使用者として、受益者の立場から、当該期間に施工された工事(添付「支出項目別調査結果」に示した支出項目No.19からNo.30までの、及びNo.313~ 6、No.325~ 10、No.331~2)の費用相当を全額、県に返還するよう、監査委員から勧告をされたい。
(3)公舎の術生費、光熱費、軽微な修繕に要する費用等の不正支出(群馬県公舎管理規貝」第9条違反)
 知事及び副知事の公舎利用に係る自己負担額については月額1万6700円(定額)(内訳:光熱水費負担額1万3000日+電話料負担額3700円)とされています。しかし、大澤正明知事が実際に入居した平成20年2月以降、平成22年3月まで電気代は自己負担は0円で、全額公費負担でした。その後も、電気代は毎月17191円(平成22年6月)~51626円(平成21年2月)、ガス代は毎月1584円(平成21年9月)~ 5740円(平成23年4月)、水道代は2カ月分で4368円(平成21年1~ 2月)~ 5760円(平成21年5~ 6月)で推移しており、電気代、ガス代、水道代だけでも軽く定額を超えています。さらに電話代、ネット代を加えると、公費負担分は最低でも1カ月あたり定額を1万2000円以上超えています。大澤正明知事は自己負担額の設定根拠は承知していないとのことであり、大澤正明知事が承知していないまま、自己負担額が設定されていた平成22年4月以降平成23年7月までの使用者が支払うべき衛生費、光熱費、軽微な修繕に要する費用等の総額、および、平成19年12月以降、平成22年3月までの当然使用者が負担すべき費用のうち、県が立替払いしていた分については、支出に対する合理的な理由がないため、大澤正明知事には公舎使用者として、受益者の立場から、これらの費用全額相当を県に返還するよう、監査委員から勧告をされたい。
2 事実証明書について
 添付された事実証明書(表題は原文のまま)は、次のとおりである
(1)週刊新潮平成23年7月13日発売号の関連記事のコピー
(2)平成23年7月13日の大澤知事の記者会見を報じた新聞各紙のコピー
(3)平成23年7月20日付の第1回目の公開質問状のコピー__
(4)平成23年8月2日付の第1回目の公開質問状に対する回答書のコピー
(5)平成23年12月19日付の第2回目の公開質問状のコピー
(6)平成23年12月26日付の第2回目の公開質問状に対する回答書のコピー
(7)平成23年7月25日付の第1回目の知事公舎視察許可願のコピー
(8)平成23年7月29日付の第1回目の公舎視察許可願に対する拒否回答書のコピー
(9)平成23年8月4日付の第2回目の知事公舎視察許可願のコピー
(10)平成23年8月8日付の第2回目の公舎視察許可願に対する拒否回答書のコピー
(11)平成23年11月4日付の第3回目の知事公舎視察許可願のコピー
(12)平成23年11月11日付の第3回目の公舎視察許可願に対する拒否回答書のコピー
(13)支出項目別調査結果
(14)公舎利用料の調定について
3 補正書の内容(求めた補正及び補正された内容ともに原文から抜粋したもの(一部要約))
(1)公舎の「目的外使用」(群馬県公舎管理規則第2条、第4条、第8条第1項第2及び3号違反)
ア どのような財務会計上の行為又は怠る事実に該当し、違法又は不当なのか。
(請求者回答)
(ア)目的外使用で損なわれた公舎使用に係る減価償却費、什器消耗量、無用な光熱費などは、違法不当な公金の支出に該当する。
(イ)目的外使用を許した公的財産(土地、建物、物品などを含む)の違法不当な管理
(ウ)上記(ア)の損害回復のための請求を違法不当に怠る事実
イ その行為が違法又は不当の具体的な理由は何か。
(請求者回答)
(ア)公務の円滑化のために使われるべき施設に知人が宿泊するという目的外使用、公務と無関係の私的使用により、施設に投じられた費用の毀損、並びに施設内の什器備品類の公務外使用による毀損、費消された水道代、下水道代、電気代、ガス代、ゴミの処理代、清掃代などを公金から支出したことは地方自治法により違法・不当である。
(イ)公的財産であり、その利用については規則で厳然と定められている知事公舎をたとえ1回とはいえ、大澤正明に目的外使用させた管理不作為の責任は到底免れ得ない。
(ウ)上記(ア)と(イ)の損害回復のための請求をまだ大澤正明にしていないのは知事公舎という県民財産の管理を違法不当に怠るものである。
ウ ア及びイで記載した請求の対象とする財務会計上の行為又は怠る事実によって、生じる群馬県の損害(又は生じるおそれ)は何か。
(請求者回答)
 知人を私的に公的施設に一泊させたことは、施設の原価償却、什器備品類の損耗、電気`ガス・電話・水道・下水道・清掃などの経費負担を伴うことになり、それらの価値は、知事公舎と同等な施設、民間ホテル、庭園付き。警備付き民間宿泊施設の一泊料金と比較して、2万円(帝国ホテルのシングルクラスの宿泊料に相当)ないし14万円(庭園付きの目黒雅叙園の宿泊料に相当)の間が妥当と思われる。ところが、大澤正明はこれらの目的外使用に係る諸費用を全く支払っておらず、公金でカバーしており、損害の回復を違法不当に怠っている。よって群馬県に相当の損害を与えている。
(2)公舎の「不正改修」(群馬県公舎管理規貝」第8条第1項第1号違反)
ア どのような財務会計上の行為又は怠る事実として住民監査請求を行っているのか。
(請求者回答)
 大澤正明は知事公舎に一人住まいのはずなのに、また警備上も万全な対策を施してあるにもかかわらず、日隠し用フェンスを設置したり、隣のマンションとの間に日隠し用の樹木を植えたり、玄関脇にわざわざマンションの住民から出入りの模様が見えないように竹垣を設置したりして、自らのプライバシー重視の改修をしているが、これは当初の災害時への対応という公務目的とは相容れないものである。
(ア)正当な理由もなく本来禁止されている公的財産の私的目的の為の改修を行ったことは違法不当な公金支出に該当する。
(イ)平成19年12月の入居後、しかるべき指示も正当な理由もなく知事公舎の改修を許した公的財産(土地、建物、物品などを含む)の違法不当な管理
(ウ)改修に伴う業者との契約が随意契約あるいは業者指名で行われており、入札の場合も業者の応札金額と予定価格が近接しており、応札者同士の金額も近接しており、不自然な感じは否めない。
(エ)上記(ア)の損害回復のための請求を違法不当に怠る事実
イ  1年を経過しているように思われる工事等があるが、地方自治法第242条第2項に規定している「正当な理由」は何か。
(請求者回答)
 請求者らは、次の通り「正当な理由」について記す。請求の対象となる行為のうち、大澤正明が知人女性を知事公舎に宿泊させたことは平成23年7月13日発売の週刊誌で知った。その行為は、週刊誌にも記載されている通り、秘密裏に行われたものである。また、知事公舎で当該期間中に施工された施設内の改修工事等の内容についても、週刊誌を読んで、初めて不明朗な工事内容に関する指摘が認められたため、平成23年7月20日に情報開示を行い、同10月21日に情報開示を受けて3800ページ余りの開示情報の中身を精査した。これらの不明朗な施設内での改修工事は、それらの開示情報を読んで初めて内容を知り得たものである。しかし、公舎内部のレイアウトをはじめ、請求者らの知りたい情報は開示資料には含まれていない。そのため、それらを補完すべく知事公舎の見学会を知事に要請したが全て拒否された。
情報開示の時系列的な経緯は次の通り。請求者らは、平成23年7月20日に本件関係の証拠類を情報公開したところ、同9月16日に部分開示通知があり、同10月21日に3800ページ余りの情報の開示を受けた。また、平成23年12月19日には秘書課と管財課の書類の流れと、知事公用車の運行情報について情報公開請求をした。その他、本件の事情を出来る限り詳しく知る為に大澤正明知事宛てに公開質問状を2度にわたり提出すると共に、現場実地調査のため、知事公舎の立ち入りを3度に亘って知事に要請したが全て拒否されている。これらは事実証明書として添付済みである。
(3)公舎の「衛生費、光熱費、軽微費用等の不正支出J(群馬県公舎管理規貝」第9条違反)
ア どのような財務会計上の行為又は怠る事実として住民監査請求を行っているのか。
(請求者回答)
 大澤正明は知人を宿泊させたりするなど知事公舎を私物化をしていた。平成23年7月13日発売の週刊誌の報道によると、週末に大澤正明が知事公舎に滞在していたのは、このような私的目的である可能性が極めて高かったことが指摘されており、そうした場合の水光熱費、清掃費、老朽化による照明灯や什器備品等の交換や修理費用は当然自己負担でなければならない。にもかかわらず、根拠もないまま自己負担分の上限額設定を不当に低く行った。
(ア)正当な理由もなく違法不当に自己負担分の上限額を低く設定したことは違法不当な公金支出に該当する。
(イ)上記(ア)の損害回復のための請求を違法不当に怠る事実
イ 1年を経過しているように思われる「支払うべき衛生費、光熱費、軽微費用等の総額」。「県が立替払いしていた分」の記載があるが、地方自治法第242条第2項に規定している「正当な理由」は何か。
(請求者回答)
 請求者らは、次の通り「正当な理由」について記す。
 請求の対象となる行為のうち、大澤正明が知人女性を知事公舎に宿泊させたことは平成23年7月13日発売の週刊誌で知った。その行為は、週刊誌にも記載されている通り、秘密裏に行われたものである。また、知事公舎で当該期間中に施工された施設内の改修工事等の内容についても、週刊誌を読んで、初めて不明朗な工事内容に関する指摘が認められたため、平成23年7月20日に情報開示を行い、同10月21日に情報開示を受けて3800ページ余りの開示情報の中身を精査した。これらの不明朗な施設内での改修工事は、それらの開示情報を読んで初めて内容を知り得たものである。しかし、公舎内部のレイアウトをはじめ、請求者らの知りたい情報は開示資料には含まれていない。そのため、それらを補完すべく知事公合の見学会を知事に要請したが全て拒否された。開示された情報を精査している過程で、本来、受益者が支払うべき衛生費、光熱費、警備費用等のうち、根拠もなく上限額が設定されていることが判明した。大澤正明は知事公舎を毎週末私的目的に使用していたのであるから、本来であれば、全額自己負担とすべきところ、低く設定した自己負担分を超える部分について、群馬県の公金を違法不当に充当していた。なお、情報開示の
 時系列的な経緯は次の通り。請求者らは、平成23年7月20日に本件関係の証拠類を情報公開したところ、同9月16日に部分開示通知があり、同10月21日に3800ページ余りの情報の開示を受けた。また、平成23年12月19日には秘書課と管財課の書類の流れと、知事公用車の運行情報について情報公開請求をした。その他、本件の事情を出来る限り詳しく知る為に大澤正明知事宛てに公開質問状を2度にわたり提出すると共に、現場実地調査のため、知事公舎の立ち入りを3度に亘つて知事に要請したが全て拒否されている。これらは事実証明書として添付済み。
第5 請求の受理
 本件監査請求のうち、知事が居住していた大手町1号公舎(以下「知事公舎」という。)の使用に関する事項、平成23年2月23日以降に支出した知事公舎に係る一連の改修工事等に関する事項及び同日以降に支出した知事公舎の光熱水費、電話料及びインターネット接続料の支出に関する事項は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条で定める要件を備えているのでこれを受理し、その他の請求については同条第2項で規定する請求期間に関する要件を満たしていないのでこれを却下した。
 満たしていない要件については、以下のとおりである。
1 法第242条第2項本文について
 法第242条第2項本文では、住民監査請求は「当該行為のあつた日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができない。」と規定されている。
 本件監査請求において、同項の「当該行為のあつた日」とは、公舎の改修等や光熱水費等の支出日と解され、当該支出日から1年を経過して監査請求されたものがないか支出回議書等の証拠書類を基に確認したところ、請求対象の「平成19年12月1日の知事の知事公舎入居後に施工された一連の改修工事等」(請求書原文より)23件のうち19件及び請求対象の「平成22年4月以降平成23年7月までの使用者が支払うべき衛生費、光熱費、軽微な修繕に要する費用等の総額、および、平成19年12月以降、平成22年3月までの当然使用者が負担すべき費用のうち、県が立替払いしていた分」(請求書原文より)の平成23年2月22日以前の支出については、同項本文で規定する当該行為のあつた日から1年を超えたものであり、同項本文の規定に定める要件を満たさない監査請求である。
2 法第242条第2項ただし書について
 法第242条第2項ただし書では、「ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」と規定されており、請求人は、前述の「第4 請求の内容」3のとおり「正当な理由」が`あると主張している。
 ところで、平成14年9月12日の最高裁判所の判決によると、「正当な理由の有無は、特段の事情のない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもつて調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきもの」と趣旨が示されている。
そこで、本件監査請求のうち同項本文で規定する当該行為のあつた日から1年を超えたもの(以下「本件監査請求のうち1年を超えた請求」という。)について、同項ただし書で規定する正当な理由の有無について検討した。
 まず、客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時について検討した。平成23年7月13日に発売された週刊誌に、知事公舎の改修工事等の情報が掲載された。よって、知事公合に係る一連の改修工事等については、週刊誌の発売日(平成23年7月13日)が「知ることができた」時と解される。請求人は同日に発売された週刊誌をきっかけに、同年10月21日に本件監査請求に関連した情報(「衛生費、光熱費、軽微な修繕に要する費用等の総額」に関する情報)を情報公開制度により入手した。よつて、知事公合の光熱水費、電話料及びインターネット接続料に関しては、情報公開制度により本件監査請求に関連した情報を入手した日(平成23年10月21日)が、「知ることができた」時と解される。
 次に、本件監査請求のうち1年を超えた請求について、相当な期間内に監査請求したかどうかを検討した。
 知事公舎に係る一連の改修工事等に関する事項の「知ることができた」時と解される日(平成23年7月13日)から本件監査請求がされた日(平成24年2月23日)まで、7か月以上経過している。知事公舎の光熱水費、電話料及びインターネット接続料の支出に関する事項の「知ることができた」時と解される日(平成23年10月21日)から本件監査請求がされた日(平成24年2月23日)まで、4か月以上経過している。
 平成14年9月12日の最高裁判所の判決で、「知ることができた」日から住民監査請求がされた日までの日数が、66日目ならば「相当な期間内に監査請求がされたものJ及び84日目ならば「相当な期間内に監査請求をしたものということはできない。」との趣旨が示されている。また、平成17年12月15日の最高裁判所の判決で、「約4か月弱の期間が経過した監査請求は相当な期間内にされたものということはできない。」
との趣旨が示されている。よつて、本件監査請求のうち1年を超えた請求は相当な期間内に請求されたものと解することはできない。
 また、請求人は、「公舎の改修等及び光熱水費等の支出は、違法、不当であり、これらの損害回復のための請求を怠っている。」とも主張しているものと解されるが、昭和62年2月20日の最高裁判所の判決では、「財産の管理を怠る事実があるとして監査請求があつた場合、当該監査請求が、普通地方公共団体の長その他の財務会計職員の特定の財務会計上の行為を違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもつて財産の管理を怠る事実としているものであるときは、当該監査請求については、怠る事実に係る請求権の発生原因たる当該行為のあつた日又は終わった日を基準として法第242条第2項の規定を適用すべきものと解するのが相当である。」との趣旨が示されており、本件監査請求における公舎の一連の改修工事等及び光熱水費、電話料及びインターネット接続料の支出に基づく損害回復のための請求を怠る事実についても、法242条第2項の規定が適用され、これらの支出のあつた日又は終わった日から1年を経過したときは住民監査請求をできないと解される。
 以上のことから、請求人が本件監査請求で指摘する当該行為のうち、平成23年2月22日以前に支出した知事公舎に係る一連の改修工事等に関する事項及び同日以前に支出した知事公舎の光熱水費、電話料及びインターネット接続料の支出に関する事項に係る請求は、同項で定める要件を満たさない不適法な請求であると判断する。
第6 監査の実施
1 監査対象事項
 本件監査請求に係る請求書、事実証明書、補正書及び支出回議書等の証拠書類から判断し、監査対象事項は次のとおりとした。
(1)知事公舎の使用に関する事項について
ア 知事公舎の目的外使用等(群馬県公舎管理規則第8条第1項第2号の「職員と生計を一にする者以外の者(使用人を除く。)を同居させること。」及び同項第3号の「目的外に使用すること。」をいう。以下同じ。)に伴う諸費用(請求人が主張している「諸費用」をいう。以下同じ。)の県費の支出
イ 目的外使用等を許した知事公舎の管理
ウ 知事公舎の目的外使用等に伴う諸費用の県費の支出による損害回復のための請求を怠る事実
(2)知事公舎に係る一連の改修工事等(請求人は、請求対象の工事等を「一連の改修工事等」と表現しているが、監査対象となるのは次の4件の委託業務であるため、これらを以下「知事公舎に係る委託業務」という。)に関する事項について
・大手町1号公舎庭園保守業務委託(平成22年度)
・大手町1号公舎庭園保守業務委託(平成23年度)
・大手町1号公舎樹木病害枝伐採業務委託
・大手町1号公舎庭園病害虫駆除・軽剪定業務委託
ア 知事公舎に係る委託業務の県費の支出
イ 知事の許可なく知事公舎に係る委託業務を許した知事公舎の管理
ウ 知事公舎に係る委託業務の契約の締結
エ 知事公舎に係る委託業務の県費の支出による損害回復のための請求を怠る事実
(3)知事公舎の光熱水費、電話料及びインターネット接続料(以下「光熱水費等」という。)の支出に関する事項について
ア 知事公舎の光熱水費等の県費の支出(平成23年2月23日以降の支出で、同年7月分までの光熱水費等に係る支出をいう。以下同じ。)
イ 知事公舎の光熱水費等の県費の支出による損害回復のための請求を怠る事実
2 監査対象機関
 県総務部管財課(以下「管財課」という。)
3 請求人の証拠の提出及び陳述
 平成24年3月23日、法第242条第6項の規定に基づき証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人1名及び代理人1名から陳述があつた。なお、証拠の提出はなかつた。
4 監査委員による対面監査
 平成24年4月6日、管財課に対し、監査委員による対面監査を行った。
第7 監査の結果
1 事実関係の確認
 関係書類の調査及び管財課職員への聴取等により、確認した事実は、以下のとおりである。
(1)関連する規則等について(各規則等の記載は、関連規定の抜粋とする。)
ア 群馬県公舎管理規則について
(ア)群馬県公舎管理規則(昭和43年規則第52号)(以下「公舎規則」という。)
第2条 この規則において「公舎」とは、県が公務の円滑な運営を図るため、県に勤務する職員の居住に供する目的をもつて設置した施設をいう。
第4条 公舎を使用することができる者は、県に常時勤務する職員(知事が特に認めた場合は、この限りでない。)で公務の円滑な運営を図るため居住の必要があるものに限る。
第8条 使用者は、公舎を常に善良な管理者としての注意をもつて使用するとともに、次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、第1号及び第2号に掲げる行為で知事又は地域機関等の長の許可を受けたものは、この限りでない。
(1)増築し、改築し、若しくは模様替えをし、又は工作物を設置すること。
(2)職員と生計を一にする者以外の者(使用人を除く。)を同居させること。
(3)転貸し、又は目的外に使用すること。
第9条 次の各号に掲げる費用は、使用者が負担するものとする。ただし、特別の事情があって知事が必要と認めた場合は県が負担する。
(1)公舎の清掃及び汚物等の処理に要する費用
(2)電気、ガス、水道等の料金
(3)その他公舎の軽微な修繕に要する費用
イ その他の規則等について
(ア)群馬県公有財産事務取扱規則(昭和61年規則第9号)(以下「公有財産規則」という。)
第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(4)分掌者 第7条の規定により公有財産に関する事務を分掌する課長及び地域機関等の長をいう。
第7条
2 部長(行政組織規則第7条に規定する部の長に限る。)は、その所掌する公有財産に関する事務を主管課(行政組織規則第12条第1項に規定する主管課をいう。以下同じ。)の課長に分掌させるものとする。ただし、第60条第3項第2号から第6号までに掲げる公有財産その他主管課の課長以外の課長に分掌させることが適当な公有財産に関する事務は、当該公有財産の用途等に従い、それぞれの課長又は地域機関等の長に分掌させるものとする。
第24条 分掌者は、その分掌に係る公有財産について次に掲げる事項に留意し、当該公有財産の効率的な利用並びに良好な維持及び保存に努めなければならない。
第60条
3 次の各号に掲げる公有財産については、当該各号に掲げる部長の所掌する当該公有財産に関する事務を分掌する分掌者が、その分掌に係る公有財産台帳を常に整理し、当該公有財産の状況を明らかにしておかなければならない。
(6)その他知事が指定した公有財産 知事が指定した部長
(イ)群馬県行政組織規則(昭和32年規則第71号)(以下「行政組織規則」という。)
第13条 総務部各課、室及びセンターの分掌事務は、次のとおりとする。
管財課
(3)公有財産の取得、管理及び処分(他課の主管に関するものを除く。)に関すること。
(ウ)群馬県財務規則(平成3年規貝」第18号)(以下「財務規則Jという。)
第4条 知事の権限に属する事務の専決は、次の各号に掲げる事務の区分に従って、当該各号の定めるところによる。ただし、重要又は異例な事項については、この限りでない。
(1)第6章に規定する契約に関する事務 別表第1の2
(2)第64条の支出負担行為及び第68条の支出命令 別表第1の3
第190条 契約担当者は、随意契約をしようとするときは、次の各号のいずれかに該当するときを除くほか、第184条の規定に準じ、なるべく3人以上の者から見積書を徴さなければならない。
(1)予定価格が10万円(工事及び修繕にあつては、30万円)未満の契約をするとき。
(2)その性質又は目的により、契約の相手方が特定されているとき。
別表第1の2
2  支出の原因となる契約に関する意思の決定に係る事務
執行区分/専決区分(副知事・部長・課長)
委託料〔建設工事費(設計に係るものを除く。)〕/5億円未満・3億円未満・1億円未満
委託料〔土地の取得依頼に係るもの〕/土地の予定価格が7, 000万円未満・土地の予定価格が3, 500万円未満・-
委託料〔その他(新規)〕/―・1. 000万円以上・1, 000万円未満
委託料〔その他(継続)〕/-・3, 000万円以上・3,000万円未満
3 その他契約に関する事務
執行区分/専決区分(副知事・部長・課長)
支出に係る契約(変更契約を含む。)の締結及び解除/別表第1の3 支出負担行為の専決区分による。
入札の執行(第169条第3項及び第176条(第187条において準用する場合を含む。)並びに第190条の6第4項)/-・-・全額
落札後の措置率(第189条(第187条において準用する場合を含む。)、第190条の9及び第190条の10)/-・-・残額
随意契約の相手方の選任(第190条第2項)/-・重要又は異例のもの・全額(重要又は異例のものを除く。)
別表第1の3 支出行為及び支出命令の専決・合議区分表
執行区分/専決区分(課長)
支出負担行為〔委託料:建設工事費(設計に係るものを除く。)〕/ 全額
支出負担行為〔委託料:その他(新規)〕/全額
支出負担行為〔委託料:その他(継続)〕/全額
支出命令/全額
(エ)群馬県処務規程(昭和39年訓令甲第8号)(以下「処務規程」という。)
第4条 副知事、部長、副部長、局長、事務局長、主管課の長(以下「主管課長」という。)、課長、会計管理者、会計局長、地域機関等の長及び出張所等の長は、この訓令で定めるもののほか、別に訓令で定めるところにより事務を専決することができる。
(オ)群馬県事務専決規程(昭和43年訓令甲第11号)(以下「専決規程」という。)
第5条 部長、会計局長及び課長は、別表第3に掲げる事務について専決することができる。
別表第3 個別専決事項
3 課長専決事項
部名/課名/課長専決事項
総務部/管財課/2 群馬県公舎管理規則(昭和43年群馬県規則第52号)に基づく次の事務(6)第9条ただし書の規定により、使用者費用負担の例外を認めること。
(2)知事公舎に係る委託業務に関する事項について
知事公舎に係る委託業務の契約等を確認したところ、表1「監査対象委託業務一覧Jのとおりである。
表1 監査対象委託業務一覧
(単位:円(税込み))
委託業務名/契約日/契約期間/契約先/支払日/業務内容(当初)/予定価格/見積額/契約額
・大手町1号公舎庭園保守業務委託(平成22年度)/H22.4.1/H22.4.1~ H23.3.31/群馬緑化(株)/ H23.4.25/大手町1号公舎庭園の除草、清掃、灌水、枯枝取り、消毒、発芽抑
制剤散布、芝刈、松食虫消毒の定期的な実施等/493,500/A社472,500、B社483,000、C社420,000、D社462,000/420,000
・大手町1号公合庭園保守業務委託(平成23年度)/H23.4.1/(H23.8.16)/(H23.1212)/H23.4.1~ H24.3.31(H23.4.1~ H23.12.28)/群馬縁化(株) H24.1.12/大手町1号公舎庭園の除草、清掃、灌水、枯枝取り、消毒、発芽抑制剤散布、芝刈、松食虫消毒の定期的な実施等/483,000/A社514,500、B社493,1500、C社399,000、D社472,500/399,000(213150)(1891000)
・大手町l号公舎樹木病害枝伐採業務委託/H23.6.3~ H23.6.30/群馬緑化(株)/H23.6.24/大手町1号公舎庭園の植栽(スモモ)の病害虫被害に係る枝伐採業務/24,150/24,150/24,150
・大手町1号公舎庭園病害虫駆除・軽剪定業務委託/H23.6.6(H23.8.24)/H23.6.6~ H23.9.30/群馬緑化(株)/H23.10.11/大手町1号公舎庭園の樹木に係る病害虫(アプラムシ等)発生に伴う駆除及び軽剪定業務/80,850/80,850(54,600)
※変更契約があった場合は、「契約年月日」、「契約期間」、「契約額」欄等に、変更ごとに( )書きで記載。
(3)知事公舎の光熱水費等の支出に関する事項について
知事公舎に係る光熱水費等の支出を確認したところ、表2「監査対象光熱水費等支出一覧」のとおりである。
表2 監査対象光熱水費等支出一覧
(単位:円(税込み))
支払月/支払日/光熱水費等の実績額/収納日/自己負担分/県負担分
■1月分/H23.1.31ガス代(3,868)、H23.2.10電気料(42,331)+水道料(4,368)、H23.2.26電話料4,791+インターネット接続料7,140、計(A)(62,529)/H23.1.21光熱水費分(13,000)+電話料分(3,700)、計(B)(16,700)/県負担額(A-B)(45,829)
■2月分/H23.3.10電気料26,452+ガス代3,283、H23.3.31電話料4,749+インターネット接続料7,140、計(A)41,634/H23.2.21光熱水費分(13,000)+電話料分(3,700)、計(B)(16,700)/県負担額(A-B)(24,934)
■3月分/H23.3.31ガス代3,993、H23.4.11電気料26,521+水道料(5,063)、H23.5.2電話料5,001+インターネット接続料7,140、計(A)47,718/H23.3.22光熱水費分13,000+電話料分3,700、計(B)16,700/県負担額(A-B)31,018
■4月分/H23.5.10ガス代5,740、H23.5.10電気料32,754、H23.5.10電話料32,754、H23.5.31電話料4,728、H23.6.10インターネット接続料7,140、計(A)50,362/H23.4.21光熱水費分13,000+電話料分3,700、計(B)16,700/県負担額(A-B)33,662
■5月分/H23.5.31ガス代2,680、H23.6.10電気料32,754、H23.6.10電話料17,054、水道料4,368、H23.6.30電話料4,802、インターネット接続料7,140、計(A)36,044/H23.5.23光熱水費分13,000+電話料分3,700、計(B)16,700/県負担額(A-B)19,344
■6月分/H23.6.30ガス代2,073、H23.7.11電気料14,418、H23.8.1電話料4,592、インターネット接続料7,140、計(A)28,223/H23.6.21光熱水費分13,000+電話料分3,700、計(B)16,700/県負担額(A-B)11,523
■7月分/H23.8.1ガス代724、H23.8.10電気料15,190、水道料4,369、H23.8.31電話料4,673、インターネット接続料7,140、計(A)32,095/H23.7.31光熱水費分13,000+電話料分3,700、計(B)16,700/県負担額(A-B)15,395
◆計/光熱水費等の実績額:電気料174,730、水道料18,167、ガス代22,392、電話料33,336、インターネット接続料49,980、計(A)298,605/自己負担額:光熱水費91,000、電話料分25,900、計(B)116,900/県負担額(A-B)181,705
※( )は、平成23年2月22日以前の支出及び収入であるため監査対象外であるが、光熱水費等の実績額の計等を算出するために便宜的に記載したものである。
※水道料は、2か月に1回の支出

 知事公舎の光熱水費等については、公舎規則第9条ただし書を適用し、自己負担額(公舎の光熱水費等の費用のうち、公舎を使用する者が負担する額のことをいう。以下同じ。)を定額16,700円/月(光熱水費分13,000円/月、電話料分3,700円/月)とされている。
 自己負担額の算定方法は、以下のとおりである。
ア 光熱水費について
 総理府統計局「家計調査」における昭和56年2月からの1年間の「前橋市勤労者1世帯当たり1か月間の光熱水費調」から算出した12,431円/月を参考に、昭和57年4月から12,400円/月に改定し、平成元年の消費税の導入並びに平成9年の消費税の税率改正及び地方消費税の導入(以下「消費税の導入及び税率改正」という。)に伴い、平成元年5月から12,700円/月に、平成9年5月から13,000円/月に改定している。なお、昭和57年の改定以降、消費税の導入及び税率改正に伴う改定以外に改定は行われていない。
イ 電話料及びインターネット接続料について
 総務省統計局「家計消費状況調査」(平成16年平均)における関東地区総世帯平均3,735円/月を参考に、平成17年11月から3,700円/月に改定している。なお、これ以降の改定は行われていない。
2 管財課の見解
(1) 知事公舎の使用に関する事項について
 次のことから、知事公舎に知人が宿泊することは、公舎の目的外使用等には当たらない。
ア 知事公舎の機能、役割について
公舎規則第2条では、「この規則において「公舎」とは、県が公務の円滑な運営を図るため、県に勤務する職員の居住に供する目的をもつて設置した施設をいう。」とされており、「公舎」は、県に勤務する職員の居住に供する目的をもつて設置したものである。
また、公舎規則第4条では、「公舎を使用することができる者は、県に常時勤務する職員(知事が特に認めた場合は、この限りでない。)で公務の円滑な運営を図るため居住の必要があるものに限る。」とされており、居住資格を定めている。
 公舎は居住のための住居であるが、知事としての職務の特殊性から、知事公舎は、単なる住居ではなく、公務が行われる場所でもある。
イ 公舎規則第8条第1項第2号について
 公舎規則第8条第1項第2号で、「職員と生計を一にする者以外の者(使用人を除く。)を同居させること。」をしてはならないとされているが、この条文で言うところの「同居」とは、同じ家に住むことであり、知事公舎に知人が宿泊することは、同号に違反するものではない。【当会コメント:「同居」には、①家族が一つの家で一緒に生活すること。「三世代が同居している家族」②家族以外の人が同じ家に住むこと。「伯父の家に同居する」③本来あるはずでないものがともに存在すること。「常に危険と同居している都会生活」という意味があり、②の例を公舎規則に照らせば、家族以外の人が同じ家に住むことは禁じられていることになる。1泊2日でも住んだことには間違いない。実際には知事は40泊80日以上愛人を同居させた。】
ウ 公舎規則第8条第1項第3号について
 公舎規則第8条第1項第3号で「目的外に使用すること。」をしてはならないとされているが、これは、例えば、公舎に居住することなく、公舎を営業用の事務所として使用する等の使用方法は禁止をしているものであり、知人の宿泊は、同号に違反するものではない。
【当会コメント:公舎の目的は、公舎規則第2条(定義)に「この規則において「公舎」とは、県が公務の円滑な運営を図るため、県に勤務する職員の居住に供する目的をもつて設置した施設をいう」とあることから、目的は「公務の円滑な運営を図るため職員の居住に供する」とされており、どう解釈してみても、愛人の宿泊は、公務の円滑な運営とは相容れない。】
(2) 知事公舎に係る委託業務に関する事項について
 次のことから、知事公舎に係る委託業務について、違法又は不当なものはない。
ア 知事公舎の管理等の権限について
 公有財産規則第24条により、分掌者は、その分掌に係る公有財産の効率的な利用並びに良好な維持及び保存に努めなければならないとされている。当該財産の良好な維持及び保存のための業務委託の必要性についても、分掌者が判断することになる。管財課長は、知事公舎の分掌者であり、その良好な維持及び保存のために、知事公舎に係る委託業務の必要性を判断している。
 また、業務委託を行う場合の契約等の事務は、財務規則で定められた専決権者が決裁することとされており、これに基づき管財課長の決裁により、知事公舎に係る委託業務の契約及び支出を行ったものである。
【当会コメント:ここで問題なのは、公舎の委託業務の契約及び支出を行った事務ではなく、公舎規則第8条(遵守事項)として「使用者は、公舎を常に善良な管理者としての注意をもつて使用するとともに、次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、第一号及び第二号に掲げる行為で知事又は地域機関等の長の許可を受けたものは、この限りでない。一 増築し、改築し、若しくは模様替えをし、又は工作物を設置すること。二 職員と生計を一にする者以外の者(使用人を除く。)を同居させること。三 転貸し、又は目的外に使用すること。」と定めてあり、目隠し用のフェンスや植木や垣根等は工作物に該当すると考えられる。また、公舎門扉の交換、電気設備改修、ブロック塀補強、公舎玄関改修、公舎照明スイッチ改修、公舎外灯球交換、庭園保守作業等は全て改築もしくは模様替えに該当すると考えられる。従って、知事がこれらの行為に対してOKを出していればよいが、知事はOKを出した記憶がないと言っているのだから、公舎規則違反である。】
イ 公舎規則第8条第1項第1号について
 知事公舎に係る委託業務については、そもそも、公舎規則第8条第1項第1号でいうところの増築、改築、模様替え、又は工作物の設置のいずれにも該当しない。また、同号で禁止され、同項ただし書で知事又は地域機関等の長の許可を受けたものはこの限りでないとされているものは、公舎を使用する者が、自分で、増築、改築、模様替え、又は工作物の設置をすることである。
【当会コメント:公舎を使用する知事・大澤が、公舎規則に則り、知事の許可を得て、自分で増築、改築、模様替え、又は工作物の設置を自分の費用で行うのであれば、問題は無い。しかし、知事の許可を得ずに、そうした行為が公金で行われたのだから、公舎の使用者である知事・大澤にそれらの費用を返還させることは当然だ。】
(3) 知事公舎の光熱水費等の支出に関する事項について
 次のことから、知事公舎の光熱水費等について違法又は不当な県費の支出はない。
ア 知事公舎の光熱水費等の県費負担について
 公舎規則第9条で、電気、ガス、水道等の料金は、公舎を使用する者が負担するとされているが、同条ただし書で、「特別の事情があつて知事が必要と認めた場合は県が負担する。」とされている。知事としての職務の特殊性により、知事公舎で公務を行うことがあるということが「特別の事情」に当たる。このことから、公舎の光熱水費等の一部を県が負担しているものである。なお、副知事についても同様である。
イ 知事公舎の光熱水費等の県費負担額及び自己負担額について
 県費負担額及び自己負担額については、公舎にいる間の、公人としての公務と私人としての生活の割合を明確に算出することは困難であるため、自己負担額を定額とし、残りの額を県費負担額としている。
 光熱水費等の自己負担額については、前述の1(3)のとおりである。
【当会コメント:公舎を使用する者が光熱水費等を負担するのは当然である。また、知事が公務のため公舎を使用することがある、ということについては、当会としては確認ができない。すなわち、知事・大澤は40泊80日以上愛人を公舎に同居させていたのであるから、この場合、公務の特殊性には該当しない。知事が公舎で公務を行っていたことがあるのかどうか、確認ができない限り、光熱水費等は自己負担でなければならない。】
3 監査委員の判断
 以下のことから、監査対象事項について、違法又は不当と言うべきものはなく、請求人の主張には理由がないものと判断する。
【当会コメント:全部、管財課からの聴取内容をそのまま丸写し!これでは中立であるべき監査委員の役割が全く果たされていない。】(1) 知事公舎の使用に関する事項について
ア 知事公舎の目的外使用等に伴う諸費用の県費の支出について
(ア) 知事公舎の目的外使用について
 このことについて、請求人は「県費で建設及び維持されている知事公舎に知人を宿泊させたことは、公私混同であり、公舎規則第8条第1項第3号で禁止されている目的外使用である。これに係る諸費用を県費で支出したことは違法及び不当である。」と主張しているものと解される。
 一方で、管財課は「知人の宿泊は、公舎規則第8条第1項第3号で禁止されている目的外の使用には当たらない。」と主張している。
 公舎規則第2条で「この規則において「公舎」とは、県が公務の円滑な運営を図るため、県に勤務する職員の居住に供する目的をもつて設置した施設をいう。」とされており、知事公舎は知事の居住に供するものである。一方で、知事公舎は、知事の職務上、公務を執り行う場ともなる。以上のことから、知事公舎は、公人として公務を執り行う公の場の機能と、私人として生活をする場の機能の両面を有していると言える。このような機能を有する知事公舎において、私人としての生活が行われていることをもって公私混同とは言えない。また、公舎規則第8条第1項第3号において禁止されている目的外の使用とは、公舎に居住することなく営業用の事務所に使用するなど、職員の居住に供する以外の使用を指すものであり、私人としての知事の居住の場である知事公舎に知人が宿泊することは目的外の使用に当たらない。
 よって、知事公舎に知人が宿泊することは、同号で禁止されている目的外の使用に当たらない。
(イ) 知事公舎における、生計を一にする者以外の者との同居について
 このことについて、請求人は「県費で建設及び維持されている知事公舎に知人を宿泊させたことは、公舎規則第8条第1項第2号(職員と生計を一にする者以外の者(使用人を除く。)との同居の原則禁止)に違反している。」と主張しているものと解される。
 一方で、管財課は「知人の宿泊は、公舎規則第8条第1項第2号で原則禁止とされている職員と生計を一にする者以外の者との同居に当たらない。」と主張している。
 公舎規則第8条第1項第2号で規定されている「同居」とは、同じ家に共に住むことと考えられ、知事公舎に知人が宿泊することは、「同居」には当たらない。
よって、知事公舎に知人が宿泊することは、同号で原則禁止とされている「職員と生計を一にする者以外の者」との「同居」には当たらない。
(ウ) 上記(ア)及び(イ)から、知事公舎に知人が宿泊することは、知事公舎の目的外使用等には当たらない。したがって、これらに係る諸費用の違法又は不当な県費の支出はない。
イ 目的外使用等を許した知事公舎の管理について
 このことについて、請求人は「知事公舎に知人を宿泊させたことは、公舎規則第8条第1項第2号及び第3号で禁止されている目的外使用等であり、これらを許したのは、公有財産の違法及び不当な管理である。」と主張しているものと解される。
 前述のアのとおり、知事公舎に知人が宿泊することは、知事公舎の目的外使用等には当たらない。したがって、これらを許した違法又は不当な知事公舎の管理は認められない。
ウ 知事公舎の目的外使用等に係る諸費用の県費の支出による損害回復のための請求を怠る事実について
 このことについて、請求人は「県費で建設及び維持されている知事公舎に知人を宿泊させたことは、公舎規則第8条第1項第2号及び第3号で禁止されている目的外使用等である。これらに係る諸費用を県費で支出したことは違法及び不当であり、これによる損害回復のための請求を違法及び不当に怠っている。」と主張しているものと解される。
 前述のアのとおり、知事公舎に知人が宿泊することは、知事公舎の目的外使用等には当たらない。よって、これらに係る諸費用の違法又は不当な県費の支出はない。したがって、これらによる損害回復のための請求を違法又は不当に怠る事実は認められない。
(2) 知事公舎に係る委託業務に関する事項について
ア 知事公舎に係る委託業務の県費の支出について
(ア) 公舎規則第8条第1項第1号の適用について
 このことについて、請求人は「公舎規則第8条第1項第1号で知事の許可が無い限り禁止されている、私的目的のための、公舎の増築、改築、模様替え又は工作物の設置が、知事の許可無しに行われていることは、同項に違反する。」と主張しているものと解される。
一方で、管財課は「知事公舎に係る委託業務については、そもそも、公舎規則第8条第1項第1号でいうところの増築、改築、模様替え又は工作物の設置のいずれにも該当しない。」と主張している。
 知事公舎に係る委託業務については、表1のとおり、公舎庭園の保守管理等の業務であり、増築、改築、模様替え又は工作物の設置のいずれにも該当しないものである。
 したがって、これらについては、公舎規則第8条第1項第1号の適用はない。
 また、管財課は「公舎規則第8条第1項第1号で禁止され、同項ただし書で知事又は地域機関等の長の許可を受けたものはこの限りでないとされているものは、公舎を使用する者が、自分で、増築、改築、模様替え又は工作物の設置をすることである。」とも主張している。
 知事公舎に係る委託業務は、後述の(イ及び(ウのとおり、知事の私的目的のために実施されたものでなく、県の公有財産である知事公舎の分掌者が、その良好な維持及び保存のために実施したものである。
 同条は、公舎を使用する者の遵守事項を定めたものであるから、公舎を使用する者の行為を禁止(又は原則禁止)している条文であり、県が自ら行う行為について定めた条文ではない。この面からも、知事公舎に係る委託業務については、同条第1項第1号の適用はない。
(イ) 知事公舎の管理等の権限について
 請求人は、「知事の指示や許可のないまま行われた知事公舎に係る委託業務の支出は理由がない。」と主張しているものと解される。
a 知事公舎の管理の権限について
 県が公舎の維持管理のために行う業務の必要性を判断する権限は知事にある。しかしながら、県では、処務規程第4条で、専決規程等で定められた者が定められた事務を専決(知事又は会計管理者の権限に属する事務の一部を常時知事又は会計管理者に代わって決裁すること。)することができるとされている。公有財産規則第7条第2項ただし書で、「第60条第3項第2号から第6号までに掲げる公有財産その他主管課の課長以外の課長に分掌させることが適当な公有財産に関する事務は、当該公有財産の用途等に従い、それぞれの課長又は地域機関等の長に分掌させるものとする。」とされており、公有財産規則第60条第3項第6号で、「その他知事が指定した公有財産」が掲げられている。その上で、行政組織規則第13条で管財課の分掌事務の一つとして「公有財産の取得、管理及び処分(他課の主管に関するものを除く。)に関すること。」が掲げられており、知事公舎は他課の主管に属さない公有財産であることから、知事公舎の分掌者は管財課長である。公有財産規則第24条で、「分掌者」は「当該公有財産の効率的な利用並びに良好な維持及び保存に努めなければならない。」とされており、知事公舎の分掌者である管財課長が、その良好な維持及び保存のための業務の一環として、知事公舎に係る委託の必要性を判断していたことは、これらの規則に基づいた権限の範囲において行われていたものである。
b 財務に関する事務の権限について
 契約や支出等の財務に関する事務の専決については、財務規則第4条で定められている。支出の原因となる意思決定に係る事務については、財務規則別表第1の2で、建設工事費(設計に係るものを除く。)及び土地の取得依頼に係るもの以外の委託のうち、1,000万円未満の場合は課長の専決事項とされている。また、財務規則別表第1の2及び別表第1の3で、支出に係る契約の締結、支出命令等は課長の専決事項とされている。また、行政組織規則第13条で管財課の分掌事務の一つとして「公有財産の取得、管理及び処分(他課の主管に関するものを除く。)に関すること。」が掲げられており、知事公舎は他課の主管に属さない公有財産であることから、知事公舎の分掌者は管財課長である。知事公舎に係る委託業務の契約に関する意思決定、契約の締結、支出命令等の事務は、財務規則で定められた専決の権限を有する管財課長が決裁しており、これらの規則に基づいた権限の範囲において行われていたものである。
(ウ) 知事公舎に係る委託業務の支出理由について
 このことについて、請求人は「知事公舎に係る委託業務の支出は理由がない。」と主張しているものと解される。
知事公舎に係る委託業務に係る一連の書類について調査したところ、次のとおりであった。
a 大手町1号公舎庭園保守業務委託(平成22年度)について
 大手町1号公舎庭園保守業務委託(平成22年度)の仕様書を確認したところ、その業務内容は、大手町1号公舎庭園の除草、清掃、かん水、枯枝取り、消毒、発芽抑制剤散布、芝刈、松食虫消毒を定期的に行うなどの業務内容であり、これらは、知事公舎の良好な維持及び保存のために必要な業務であるので、費用支出の理由がないとの指摘は当たらない。
b 大手町1号公舎庭園保守業務委託(平成23年度)について
 大手町1号公舎庭園保守業務委託(平成23年度)の仕様書を確認したところ、その業務内容は、大手町1号公舎庭園の除草、清掃、かん水、枯枝取り、芝刈を定期的に行うなどの業務内容であり、これらは、知事公舎の良好な維持及び保存のために必要な業務であるので、費用支出の理由がないとの指摘は当たらない。
c 大手町1号公舎樹木病害枝伐採業務委託について
 大手町1号公舎樹木病害枝伐採業務委託の執行伺いを確認したところ、その起案説明には「大手町1号公舎庭園の植栽(スモモ)の病害虫被害に係る枝伐採業務を委託するもの」とされており、これは、知事公舎の良好な維持及び保存のために必要な業務であるので、費用支出の理由がないとの指摘は当たらない。
d 大手町1号公舎庭園病害虫駆除・軽剪定業務委託について
大手町1号公舎庭園病害虫駆除・軽剪定業務委託について実施の意思決定の書類を確認したところ、「大手町1号公舎庭園の樹木に係る病害虫(アブラムシ等)発生に伴う駆除及び軽剪定業務を委託するもの」とされており、これらは、知事公舎の良好な維持及び保存のために必要な業務であるので、費用支出の理由がないとの指摘は当たらない。
(エ) 上記(ア)、(イ)及び(ウ)から、知事公舎に係る委託業務について、違法又は不当な県費の支出はない。
イ 知事の許可なく知事公舎に係る委託業務を許した知事公舎の管理について
 前述のアのとおり、知事の許可なく違法又は不当に知事公舎に係る委託業務を実施しているものはない。したがって、これらを許した違法又は不当な知事公舎の管理は認められない。
ウ 知事公舎に係る委託業務の契約の締結について
 このことについて、請求人は「予定価格と業者見積価格、各業者同士の見積価格が近接し、不自然である。」と主張しているものと解される。
知事公舎に係る委託業務に係る一連の書類について調査したところ、次のとおりであった。
(ア) 大手町1号公舎庭園保守業務委託(平成22年度)について
 予定価格と業者の見積価格、各業者同士の見積価格を確認したところ、表1のとおり不自然に近接しているとは認められなかった。
(イ) 大手町1号公舎庭園保守業務委託(平成23年度)について
 予定価格と業者の見積価格、各業者同士の見積価格を確認したところ、表1のとおり不自然に近接しているとは認められなかった。
(ウ) 大手町1号公舎樹木病害枝伐採業務委託について
 当該業務委託は、予定価格が10万円未満であり財務規則第190条第1項第1号に基づき1者から見積書を徴取していた。予定価格と業者の見積価格を確認したところ、同額ではあったが、少額の契約において予定価格と見積価格が同額であることをもって違法又は不当な契約であると言うことはできない。
(エ) 大手町1号公舎庭園病害虫駆除・軽剪定業務委託について
 当該業務委託は、予定価格が10万円未満であり財務規則第190条第1項第1号に基づき1者から見積書を徴取していた。予定価格と業者の見積価格を確認したところ、同額ではあったが、少額の契約において予定価格と見積価格が同額であることをもって違法又は不当な契約であると言うことはできない。
(オ) 上記(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)から、知事公舎に係る委託業務について、予定価格又は業者見積価格をもって、違法又は不当といえる契約の締結は見当たらない。
エ 知事公舎に係る委託業務の県費の支出による損害回復のための請求を怠る事実について
前述のアのとおり、違法又は不当に知事公舎に係る委託業務に係る県費の支出をしているものはない。したがって、これらの支出による損害回復のための請求を違法又は不当に怠る事実は認められない。
(3) 知事公舎の光熱水費等の支出に関する事項について
 次のことから、知事公舎の光熱水費等について違法又は不当な県費の支出はない。
ア 知事公舎の光熱水費等の県費の支出について
(ア) 知事公舎の光熱水費等の県費負担について
 このことについて、請求人は「私的目的に使用していた公舎の光熱水費等は全額自己負担とすべきところ、根拠のないまま、自己負担分を低く設定し、これを超える分を公金で支出したことは違法及び不当である。これらは、公舎規則第9条に違反する。」と主張しているものと解される。
 一方で、管財課は「知事は、公舎で公務を行うことも多いという職務の特殊性から、公舎規則第9条ただし書の「特別の事情」を適用し、県が光熱水費等の一部を負担している。額については、公舎にいる間の、公人としての公務と私人としての生活の割合を明確に算出することは困難であるため、自己負担額の定額制を導入することとし、「家計調査」や「家計消費状況調査」を踏まえ算定している。」と主張している。
知事は、知事公舎にいる間に公務を執り行うこともあり、公舎規則第9条ただし書「特別の事情」を適用していること自体は合理的である。
 そして、知事が知事公舎にいる間には、この「特別の事情」つまり公務の部分と、私人としての生活の部分の両面がある状況で、公人としての公務の部分と私人としての生活の部分の割合を明確に算出することは困難であるため、自己負担額の定額制を導入し、「家計調査」や「家計消費状況調査」を基に私人の部分の額を算定し、これ以外を公務で使用したとみなし、公務の部分の額を算定するということも、特段不合理な点はない。
 また、この自己負担の額については、大澤知事入居時の自己負担額は定額16,700円/月(光熱水費分13,000円/月、電話料分3,700円/月)とされていた。
 そこで、総務省統計局の統計調査の結果と知事入居時の自己負担額を比較すると次のとおりである。
 総務省統計局「家計調査」結果によると、表3のとおり、関東地区の平成23年平均の光熱水費は勤労者単身世帯平均で8,425円/月、勤労者総世帯平均で17,241円/月である。知事が単身入居であったことを考慮すると、知事入居時の光熱水費の自己負担額13,000円/月が低く設定されたものではない。また、総務省統計局「家計消費状況調査」結果によると、表4のとおり、関東地区の平成23年平均の固定電話料は単身世帯で1,758円/月、総世帯平均で2,506円/月、インターネット接続料は単身世帯で1,848円/月、総世帯平均で2,198円/月となっており、これらを合計すると、単身世帯で3,606円/月、総世帯平均で4,704円/月である。知事が単身入居であったことを考慮すると、知事入居時の電話料の自己負担額3,700円/月が不当なものではない。
表3 平成23年1世帯当たり1か月間の光熱水費 (単位:円)
項目/勤労者総世帯(関東・前橋市)/勤労者単身世帯(関東)
光熱水費/(17,241・17,948)/8,425
 総務省統計局「平成23年家計調査年報」より
 なお、勤労者単身世帯について前橋市の数値は公表されていない。
表4 平成23年関東地区の1世帯当たり1か月間の電話料等
(単位:円)
項目/総世帯/単身世帯
固定電話料/2,506/1,758
インターネット接続料(プロバイダ料金など)/2,198/1,848
合計/4,704/3,606
総務省統計局「平成23年家計消費状況調査確報」より
(イ) 管財課長の権限の根拠について
 請求人は、「知事が知事公舎の光熱水費等自己負担額の設定根拠を承知していない状況で、本来自己負担とすべき知事公舎の光熱水費等の一部を県費により支出する合理的な理由がない。」と主張しているものと解される。
公舎規則第9条で、「次の各号に掲げる費用は、使用者が負担するものとする。ただし、特別の事情があつて知事が必要と認めた場合は県が負担する。」とされている。県では、処務規程第4条で、専決規程等で定められた者が定められた事務を専決することができるとされている。専決規程第5条第1項で「部長、会計局長及び課長は、別表第3に掲げる事務について専決することができる。」とされており、専決規程別表第3で、管財課長の専決事項の一つとして「公舎規則第9条ただし書の規定により、使用者費用負担の例外を認めること。」が掲げられている。
 また、公人としての公務の部分と私人としての生活の部分の両面がある場合の具体的な自己負担額の算定方法については明確な定めがあるわけではなく、前述のとおり、使用者費用負担の例外を認めることは管財課長専決とされていることから、具体的な自己負担額の決定は、基本的には管財課長の裁量によるものである。
管財課長が知事公舎に係る使用者費用負担の例外を認め、自己負担額を決定したことは、これらの規則及び規程に基づいた権限の範囲において行われていたものである。
(ウ) 上記(ア)及び(イ)から、知事公舎の光熱水費等の違法又は不当な県費の支出はない。
イ 知事公舎の光熱水費等の県費の支出による損害回復のための請求を怠る事実について
 前述のアのとおり、知事公舎の光熱水費等の違法又は不当な県費の支出はない。したがって、これらの支出による損害回復のための請求を違法又は不当に怠る事実は認められない。
第8 意見
 本件監査請求に対する監査結果は上記のとおりであるが、法第199条第10項の規定に基づく監査委員の意見を次のとおり附する。
 前述の「第7 監査の結果」3(3)で述べたとおり、知事公舎の光熱水費等の自己負担額の算定方法に特段不合理な点はない。
一方で、知事公舎などの光熱水費の自己負担額の改定を直近で行ったのは、昭和57年4月で、その後、消費税の導入及び税率改正に伴い、改定しているだけである。これらの改定以外に、知事公舎などの光熱水費の自己負担額について、適時に検討した結果、改定が見送られたのか、あるいは、適時の検討がなされていないのかは書類上明らかではないが、長期にわたり改定されていない。自己負担額をより適正な額とするために、自己負担額の定期的な見直しを望むものである。
 また、総務省統計局「家計調査」等によると、世帯構成により1世帯当たりの光熱水費等は大きく異なる。このことから、自己負担額をより適正な額とするために、入居人数に応じた自己負担額の設定について、検討することを望むものである。
 群馬県監査委員   富岡 惠美子
 同         横田 秀治
 同         狩野 浩志
 同         村岡 隆村
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■文中の、「当会のコメント」に示した通り、群馬県監査委員は監査という役割を全く理解しておらず、市民オンブズマン群馬のメンバー2名が知事に提出した住民監査請求に対して、群馬県監査委員が出した監査結果は、100%群馬県管財課の言うことをそのまま丸写ししただけの監査結果となっています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・その2に続く】

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