2014年の劇場デビュー作「マジカル・ガール」で第62回サン・セバスチャン国際映画祭グランプリ&監督賞を受賞したスペインの鬼才カルロス・ベルムトが、ゲームデザイナーの青年が思いもよらない“怪物”を作り出してしまう姿を独創的なストーリーと予測不能の展開で描き、人間の心の闇に踏み込んだアンチモラル・ロマンス。
空想のモンスターを生み出すゲームデザイナーの内気な青年フリアンは、同僚の誕生日パーティで美術史を学ぶ女性ディアナと出会い、聡明でミステリアスな彼女にひかれていく。その一方で、フリアンは隣人の少年を火事から救ったことをきっかけに、謎のパニック発作に悩まされるように。やがてフリアンが抱えるある秘密が、思わぬ怪物を生み出してしまう。
主人公フリアン役に「SEVENTEEN セブンティーン」のナチョ・サンチェス。2022年・第35回東京国際映画祭コンペティション部門出品(映画祭上映時タイトル「マンティコア」)。(映画.comより)
<2024年5月5日 劇場鑑賞>
私のようなアナログな人間には、少し難しい映画でした。この監督の作品は「マジカル・ガール」を見ました。私も知らないような日本の少女アニメを主軸に、夢見る少女とその父親、魔性の女の関係性を描く、かなり異質な映画だったと記憶しています。凡人な私は、話の本質を理解していないかもしれません。
さて、今回の映画は、ゲームに登場するモンスターをデザインする男性フリアンのお話です。彼はゲーム会社に勤務し、仕事はそつなくこなし、その業績も認められています。そんな彼が、自宅でVRを使ってモンスターに肉付けしていると、かすかに「助けて」と聞こえたような気が。素早くあたりを見回ると、隣の部屋が火事です。一人で在宅していた少年を助け出し、消火器を用いておおごとになるのを防いだフリアン。駆け付けた母親にも感謝され、それ以上ことが大きくなるはずはなかったのですが、彼はその日から呼吸困難を感じるようになります。煙を吸ったからかと診察してもらっても、どこにも悪いところはなく、精神的なものではと言われてしまいます。
以前ほど持久力がなくなり、息苦しくなることが多くなったフリアンは、ある時気晴らしにバーへと繰り出し、ディアナと知り合い親密になって行きます。しかし、この二人の関係性もなんだか複雑なんですね。
<ここからネタバレ>
要は、フリアンは少年を助けて仲良しになったことにより、小児性愛に目覚めたようなのです。あるいはもっと前からそうだったのかもしれません。でも、自分ではいけないこととわかっているので、少年の隣から引っ越したり、女性と付き合おうと努力する、でもなかなかうまくいかない、そんな感じです。そのうち、自分が個人的に作った動画が流出するという事態が起き、仕事もクビに。そんなことが重なるうちだんだん自分が抑えられなくなり、少年が一人の時間に訪ねて行ってしまいました。悪意を持って少年に飲み物を提供し、眠らせたところで、彼が描いた絵を発見。それは過去にフリアンが「こうなってみたい」と述べた姿でした。咄嗟に窓から飛び降りてしまうフリアン。なぜそんな衝撃的な行動を取ったのかは説明されませんが、彼は死にぞこない、脊椎の損傷で動けない体に。病室にはディアナの姿が。
<ネタバレ終わり>
「マジカル・ガール」に匹敵するくらいの衝撃作でしたね。凡人の私には、だから何が言いたかったのかはよくわかりません。どんなにいい人に見えても気をつけろ、ってことだったのか、なかなか発展しないディアナにもなにか魂胆があったのか。彼女のバックグラウンドも複雑そうだったから。でも、そんなことないのかもしれません。とにかく、人を選ぶ作品なんじゃないのかな、と思いました。
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