かりそめの旅

うるわしき 春をとどめるすべもなし 思えばかりそめの 旅と知るらむ――雲は流れ、季節は変わる。旅は過ぎゆく人生の一こま。

BBとCCのセクシーな「華麗なる対決」

2013-02-12 03:37:11 | 映画:フランス映画
 「華麗なる対決」(LES PETROLEUSES、監督:クリスチャン=ジャック、仏・伊・西共同制作、1971年)は、フランス映画女優の顔だったBBことブリジット・バルドーと、イタリア映画女優の顔だったCCことクラウディア・カルディナーレが共演した映画である。ヨーロッパ映画女優を代表するセクシーなBBとCCの、最初で最後の共演作となった。
 B・バルドーが1934年、C・カルディナーレが1939年生まれで、この「華麗なる対決」の製作公開が1971年だから、大体バルドーが36歳、カルディナーレが31歳のときの作品である。
 アメリカのセックス・シンボルだったMMことマリリン・モンローが死んだのが1962年だから、M・モンローのなき後の1960年代は、この2人がセクシー女優を代表していたと言っていい。
 しかし、セクシーさに対する期待が重かったのか肉体の魅力を維持することに対して自信が持てなくなったのか、B・バルドーはこの「華麗なる対決」の後2作品に出演して、73年にはあっさり映画界を引退した。
 一方、C・カルディナーレは、最近の映画は見ていないが、おそらく今でも現役のはずである。僕は「ブーベの恋人」以来、カルディナーレのファンを公言しているのだが、近年、「マルチェロ・マストロヤンニ甘い追憶」というマストロヤンニの回顧ドキュメンタリー映画を見ていたら、カルディナーレがインタビューで出演していた。そのとき、彼女のあまりにもの変貌に、僕はその映像を見たことを後悔したほどだった。
 その映画に出演していたとき彼女は60代であったのだが、彼女から昔の面影を見つけるのが難しかった。そういえば、彼女を見た最後の映画は「家族の肖像」(1974年作)だから、彼女がまだ34歳のときである。
 老いは誰にでも訪れることなので、そのことを言っているのではない。いまだ彼女は活気があったが、化粧が濃く、老いを覆い隠そうとしているか認めていないように感じられた。
 彼女の後に同じくインタビューで出てきた、マストロヤンニと「甘い生活」「81/2」で共演したアヌーク・エーメも同じように年をとっているはずだが、エーメは若いときの面影を充分に残しつつ“品”を加えていた。アヌーク・エーメは1932年生まれだからカルディナーレより年輩だ。2人の「その後」は、あまりにも違った。

 「華麗なる対決」このときは、クラウディア・カルディナーレのもっとも女盛りのときかもしれない。ブリジッド・バルドーに負けてはいなかった。
 「山猫」のように鋭敏な瞳と、「ピンクの豹」のような色気を保っていた。

 物語の内容は、BBとCCによる西部劇である。
 西部劇はアメリカ映画が本場だが、この当時イタリアでも作られていて、日本でも「マカロニ・ウェスタン」(アメリカやイタリアではスパゲッティ・ウェスタン)などと言って、人気があった。
 西部劇だから、アメリカのテキサスが舞台だが、台詞はフランス語ときている。だから、冒頭で、荒野の町に「テキサス州、ブージヴァル・ジャンクション、1858年フランス人が開拓する」と表示板を掲げている。だから、ここはフランス人の町なのだから、フランス語がまかり通っているのは不思議ではないということなのだ。
 唯一英語を喋る少しとぼけた保安官が、CCに惚れていてデイトに誘うのだが、「フランス語が上手になってからね」などと軽くあしらわれたりする。
 この映画はフランス・イタリア・スペイン共同制作となっていたが、BBがフランス人、CCがイタリア人ということでフランス・イタリアは分かるのだが、なぜスペインも入っているのか不思議だった。でも、分かったのは、マカロニ・ウェスタンと同じく、撮影の舞台をスペインの原野で撮影しているのだ。だから、3国共同制作なのだ。

 女性4人をひきいるBBが列車強盗集団のボスで、地元のはみ出し者CCが4人の男兄弟を従えて街を闊歩しているという状況だ。その2つの集団、といってもBBとCCの2人が、石油が出るという牧場の利権をめぐって争うという、たわいない話である。
 この映画は、BBとCCを堪能する映画なので、内容は二の次なのだ。だから、この2人が乳房を揺らせながら喧嘩する場面は圧巻だ。
 この2人にマリリン・モンローを加えて、MM、BB、CCの3人の共演を見てみたかった。
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