
ハープは優雅な楽器である。
そう感じるのは、なだらかな肩から滑り落ちるドレープの衣服を着た古代エジプトやギリシャの美女あたりが、この楽器を優しく抱くように爪弾いている姿を想像するからだろう。
実際、美しい女性が似合う楽器といえば、ヴァイオリンも一目置かざるを得ないといえよう。ヴァイオリンは女性に限らず男性も多く弾くし、有名な男性ヴァイオリニストも多いが、ハープを弾く男性奏者もいるだろうが僕はまだお目見えしたことがない。
どう見ても、女性が似合う楽器である。男性の奏者だったら、ナルキッソスのような美少年を想像してしまうのは、この楽器に対する偏った見方だろうか。
2月6日、国際的に活動されているハープ奏者の吉野直子のリサイタルをサントリーホールに聴きに行った。
彼女の夫と旧知ということもあり、彼女の演奏会は時々聴きに行く。今回は、去年2015年12月の東京オペラシティでの、オーヴェルニュ室内オーケストラとの協演の演奏会に続いてだ
そのときオーヴェルニュ室内オーケストラとの協演と聞いて、僕は3年前の2013年の黄金週間の「ラ・フォル・ジュルネ」を思い起こした。
あの熱狂の日々のクラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ」が、その年佐賀県の鳥栖市で行われ、吉野直子も出演した。その季節、僕は佐賀に帰っていて、彼女の演奏を聴きに行ったのだった。
その「ラ・フォル・ジュルネ」の同じ日に出演していたオーヴェルニュ室内オーケストラの演奏を、僕は初めて聴いたのだった。鳥栖では、ピアニストの仲道郁代との協演であったが、このラ・フォール・ジュルネの季節で吉野直子との出会いがあったようだ。
その後、彼女がフランスのオーヴェルニュに出向いて、演奏会を開いたりCDを作成したりしている。オーヴェルニュとは、フランス中部の緑の山と美しい田園が広がる地方の名前である。
*
ハープは、オーケストラや室内楽団との協演も多いが、今回の吉野直子リサイタルはデビュー30周年記念のソロ演奏である。同時にリサイタルの内容が入ったCDも発売された。
まだ演奏が始まる直前、演奏会場の壇上には、黄金に光るハープがあるだけである。長い支柱(コラム)には鮮やかな装飾が施され、古代の歴史を忍ばせているかのようだ。(写真)
この日は、オーケストラや管弦楽と合わせることもなく、ただ一人で、ひたすらハープを弾き通すのだ。
まずモーツァルトのピアノソナタハ長調K.545で始まった。現代ハープ奏法に多大な貢献をしたとされるアンリエット・ルニエの編である。
僕は、前列2番目の席であったので、演奏する彼女の動きをじっくりと見ることができた。
ピンと張られた弦を挟んで、合わせるようにした左手と右手が右へ左へ動き出し、10本の指がはずむように跳ねる。あるときは緩やかに、かと思えば素早く、手や指が動く。思わぬ指の動きを見ていると、バリ島の愛らしいヤモリを思い浮かべてしまった。
ハープは弦楽器だが、左手と右手が弦を求めて動く様は、ピアノの鍵盤楽器に近いと思った。フルコンサートのハープの弦は47本で、ピアノの鍵盤のように並んでいる。
右手と左手を別々に動かして弾くピアノのように、ハープも右手と左手で2つの音を重ね響かせる。足元には、ピアノのようにペダルがあり、これによって半音を調節する。
なるほど、ピアノのための曲がハープに合う道理だ。
後半は、ハープのルニエの代表曲が並んだ。ハープのために書かれた曲は、どれもハープの魅力を余すところなく伝える曲だった。吉野直子は、ハープが何たるかの問いに応えるように、一人弾き通した。
ハープは、単なるビジュアル的に優雅な雰囲気を醸し出す楽器ではなく、ピアノのソロ演奏を思わせる力強さも持ち合わせた楽器であった、と今さらながらに知ったのだった。
そう感じるのは、なだらかな肩から滑り落ちるドレープの衣服を着た古代エジプトやギリシャの美女あたりが、この楽器を優しく抱くように爪弾いている姿を想像するからだろう。
実際、美しい女性が似合う楽器といえば、ヴァイオリンも一目置かざるを得ないといえよう。ヴァイオリンは女性に限らず男性も多く弾くし、有名な男性ヴァイオリニストも多いが、ハープを弾く男性奏者もいるだろうが僕はまだお目見えしたことがない。
どう見ても、女性が似合う楽器である。男性の奏者だったら、ナルキッソスのような美少年を想像してしまうのは、この楽器に対する偏った見方だろうか。
2月6日、国際的に活動されているハープ奏者の吉野直子のリサイタルをサントリーホールに聴きに行った。
彼女の夫と旧知ということもあり、彼女の演奏会は時々聴きに行く。今回は、去年2015年12月の東京オペラシティでの、オーヴェルニュ室内オーケストラとの協演の演奏会に続いてだ
そのときオーヴェルニュ室内オーケストラとの協演と聞いて、僕は3年前の2013年の黄金週間の「ラ・フォル・ジュルネ」を思い起こした。
あの熱狂の日々のクラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ」が、その年佐賀県の鳥栖市で行われ、吉野直子も出演した。その季節、僕は佐賀に帰っていて、彼女の演奏を聴きに行ったのだった。
その「ラ・フォル・ジュルネ」の同じ日に出演していたオーヴェルニュ室内オーケストラの演奏を、僕は初めて聴いたのだった。鳥栖では、ピアニストの仲道郁代との協演であったが、このラ・フォール・ジュルネの季節で吉野直子との出会いがあったようだ。
その後、彼女がフランスのオーヴェルニュに出向いて、演奏会を開いたりCDを作成したりしている。オーヴェルニュとは、フランス中部の緑の山と美しい田園が広がる地方の名前である。
*
ハープは、オーケストラや室内楽団との協演も多いが、今回の吉野直子リサイタルはデビュー30周年記念のソロ演奏である。同時にリサイタルの内容が入ったCDも発売された。
まだ演奏が始まる直前、演奏会場の壇上には、黄金に光るハープがあるだけである。長い支柱(コラム)には鮮やかな装飾が施され、古代の歴史を忍ばせているかのようだ。(写真)
この日は、オーケストラや管弦楽と合わせることもなく、ただ一人で、ひたすらハープを弾き通すのだ。
まずモーツァルトのピアノソナタハ長調K.545で始まった。現代ハープ奏法に多大な貢献をしたとされるアンリエット・ルニエの編である。
僕は、前列2番目の席であったので、演奏する彼女の動きをじっくりと見ることができた。
ピンと張られた弦を挟んで、合わせるようにした左手と右手が右へ左へ動き出し、10本の指がはずむように跳ねる。あるときは緩やかに、かと思えば素早く、手や指が動く。思わぬ指の動きを見ていると、バリ島の愛らしいヤモリを思い浮かべてしまった。
ハープは弦楽器だが、左手と右手が弦を求めて動く様は、ピアノの鍵盤楽器に近いと思った。フルコンサートのハープの弦は47本で、ピアノの鍵盤のように並んでいる。
右手と左手を別々に動かして弾くピアノのように、ハープも右手と左手で2つの音を重ね響かせる。足元には、ピアノのようにペダルがあり、これによって半音を調節する。
なるほど、ピアノのための曲がハープに合う道理だ。
後半は、ハープのルニエの代表曲が並んだ。ハープのために書かれた曲は、どれもハープの魅力を余すところなく伝える曲だった。吉野直子は、ハープが何たるかの問いに応えるように、一人弾き通した。
ハープは、単なるビジュアル的に優雅な雰囲気を醸し出す楽器ではなく、ピアノのソロ演奏を思わせる力強さも持ち合わせた楽器であった、と今さらながらに知ったのだった。
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