秋のこの季節、いつもはのどかな佐賀平野の空が異彩を放つ。
青空に、色とりどりの熱気球であるバルーンが舞い上がるのである。それも一斉に、何十も、いや今年は100機以上が舞い上がり競い合う。
今年は、熱気球の世界チャンピオンを決める世界選手権が、佐賀で開かれているのだ。1980年から熱気球の大会を開いていた佐賀では、世界選手権の大会は3回目で19年ぶりだという。
主な世界選手権の競技期間は10月31日から11月6日まで、佐賀平野にバルーンが舞う。今回出場するのは、31の国・地域から計105機だという。
僕が初めて佐賀平野でのバルーンの大会を見たのは3年前のことだったが、たかが風船の大きいものぐらいに思っていたのだが、間近に見るとその大きさに迫力があり、それが次々に空に舞い上がるさまは優雅であり美しい。
バルーンの主な動力は風である。バルーンの競技は、風を読み、風を操る競技なのだ。
*
佐賀に帰っていた僕は、10月31日、世界選手権大会での初日に会場となる佐賀市の嘉瀬川河川敷に出かけた。
競技は朝6時45分からと午後14時45分からの2回行われる。
この日雨が降るかもしれないという天気予報であったが、朝、競技が行われたことをニュースが知らせていた。空は曇っていたが、夕方までは天気は持つだろうと、いつもの楽天的予想で、午後の部を見ようと、その時刻にあわせて電車で会場のある駅に行った。
この期間、JR長崎本線の鍋島駅と久保田駅の間の嘉瀬川河川敷に、にわかの「佐賀バルーン駅」が出現する。いつもは素通りしている嘉瀬川陸橋の端に仮設駅ができるのである。
午後、この佐賀バルーン駅で降りた。いつもと違って多くの人が電車に乗っていて、多くの人が降りたった。僕は、しばらくこのひとときの、かりそめの駅にたたずんだ。(写真)
仮設の駅を出て河川敷に降りると、これまた仮説のテントがいくつも並んでいる。会場のところへ行ってみたがバルーンはどこにもいない。
しばらくすると、小雨が降ってきた。夜までもつだろうと思っていたので、少し降り出すのが早いではないか。
近くに大会事務局があったので、今日は競技が行われるかどうかを訊いてみた。やはり予想どおり、開始直前の14時半ぐらいまで決まらないとのことだった。
テントが並ぶ広場に入ってみた。中はお祭りのように、様々な出店が並び、多くの人で賑わっていた。佐賀のお茶やお菓子などの名産や、ちょっとした食いもの屋が多い。
競技開始までには少し時間があるので、川上の農場がやっている出店のシシ汁とシシコロッケを買ってみた。いわゆるイノシシの肉を使ったもので、すぐ近くには豚(トン)汁屋もあるが、イノシシ肉の方が珍しい。イノシシ肉は豚肉より柔らか味がないが、東京でのシシ鍋は結構高いのである。
2時半も過ぎたので会場の方に出向いてみても、いまだバルーンは一つもいない。事務局で尋ねてみると、今日の午後の部は中止だという。やはりそうか。中止と決まったら、場内、アナウンスぐらいしてほしい。
このまま家に帰るのも策がないので、佐賀駅に行って買い物でもして帰ることにした。
仮設の佐賀バルーン駅で買った切符は、ちゃんと佐賀バルーンと印刷されてあった。これは、普段は買えないこの期間だけの幻の切符だ。
佐賀駅周辺で、普段はあまり見かけない外国人が目につく。にわかに国際都市のようだ。
*
翌11月1日、空は、雲は多いが青空がのぞく。
朝の部のバルーンの競技大会は風のため中止とニュースで知った。確かに朝は強い風が吹いていた。しかし、昼近くには風は弱まったように思った。
ネットで午後の実施情報を調べたが、昼の12時ごろはまだ中止かどうかの報告は出ていなかった。
昨日見られなかったので、再び午後の競技を見に佐賀バルーン駅に行った。この日は電車に乗っている人も少なく、降りる人も少ない。悪い予感がする。
佐賀バルーン駅に着くと、やはりバルーンの姿は見えない。まだ14時前で、競技開始はこれからだというのに、駅からは多くの人が乗り込んでくる。
電車に乗り込んでくる人に、午後の競技のことを訊いたら、中止ですと答えが戻ってきた。だとしたら、この駅に降りることはないと、また車内に乗り込んで、佐賀市まで行くことにした。
昨日の二の舞だ。少し眩しいぐらいの青空だというのに。
やれやれ。
風は気まぐれだ。風任せのバルーンは、デリケートなのだ。
*
11月2日から、唐津のくんちが始まる。
おりしも、11月1日の新聞によると、日本の祭りである「山・鉾・屋台行事」の18府県の計33件が、ユネスコの無形文化遺産に登録される見込みとなったと記事が出ていた。
九州からは下記の5件で、唐津のくんちも入っている。
・「博多祇園山笠行事」(福岡)
・「戸畑祇園大山笠行事」(福岡)
・「唐津くんちの曳山行事」(佐賀)
・「八代妙見祭の神幸行事」(熊本)
・「日田祇園の曳山行事」(大分)
無形文化遺産も、見ていない祭りが多いことを痛感。
しかし、ここに長崎のくんちが入っていないのはどうしてだろう。僕は最も好きな祭りなのに。
青空に、色とりどりの熱気球であるバルーンが舞い上がるのである。それも一斉に、何十も、いや今年は100機以上が舞い上がり競い合う。
今年は、熱気球の世界チャンピオンを決める世界選手権が、佐賀で開かれているのだ。1980年から熱気球の大会を開いていた佐賀では、世界選手権の大会は3回目で19年ぶりだという。
主な世界選手権の競技期間は10月31日から11月6日まで、佐賀平野にバルーンが舞う。今回出場するのは、31の国・地域から計105機だという。
僕が初めて佐賀平野でのバルーンの大会を見たのは3年前のことだったが、たかが風船の大きいものぐらいに思っていたのだが、間近に見るとその大きさに迫力があり、それが次々に空に舞い上がるさまは優雅であり美しい。
バルーンの主な動力は風である。バルーンの競技は、風を読み、風を操る競技なのだ。
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佐賀に帰っていた僕は、10月31日、世界選手権大会での初日に会場となる佐賀市の嘉瀬川河川敷に出かけた。
競技は朝6時45分からと午後14時45分からの2回行われる。
この日雨が降るかもしれないという天気予報であったが、朝、競技が行われたことをニュースが知らせていた。空は曇っていたが、夕方までは天気は持つだろうと、いつもの楽天的予想で、午後の部を見ようと、その時刻にあわせて電車で会場のある駅に行った。
この期間、JR長崎本線の鍋島駅と久保田駅の間の嘉瀬川河川敷に、にわかの「佐賀バルーン駅」が出現する。いつもは素通りしている嘉瀬川陸橋の端に仮設駅ができるのである。
午後、この佐賀バルーン駅で降りた。いつもと違って多くの人が電車に乗っていて、多くの人が降りたった。僕は、しばらくこのひとときの、かりそめの駅にたたずんだ。(写真)
仮設の駅を出て河川敷に降りると、これまた仮説のテントがいくつも並んでいる。会場のところへ行ってみたがバルーンはどこにもいない。
しばらくすると、小雨が降ってきた。夜までもつだろうと思っていたので、少し降り出すのが早いではないか。
近くに大会事務局があったので、今日は競技が行われるかどうかを訊いてみた。やはり予想どおり、開始直前の14時半ぐらいまで決まらないとのことだった。
テントが並ぶ広場に入ってみた。中はお祭りのように、様々な出店が並び、多くの人で賑わっていた。佐賀のお茶やお菓子などの名産や、ちょっとした食いもの屋が多い。
競技開始までには少し時間があるので、川上の農場がやっている出店のシシ汁とシシコロッケを買ってみた。いわゆるイノシシの肉を使ったもので、すぐ近くには豚(トン)汁屋もあるが、イノシシ肉の方が珍しい。イノシシ肉は豚肉より柔らか味がないが、東京でのシシ鍋は結構高いのである。
2時半も過ぎたので会場の方に出向いてみても、いまだバルーンは一つもいない。事務局で尋ねてみると、今日の午後の部は中止だという。やはりそうか。中止と決まったら、場内、アナウンスぐらいしてほしい。
このまま家に帰るのも策がないので、佐賀駅に行って買い物でもして帰ることにした。
仮設の佐賀バルーン駅で買った切符は、ちゃんと佐賀バルーンと印刷されてあった。これは、普段は買えないこの期間だけの幻の切符だ。
佐賀駅周辺で、普段はあまり見かけない外国人が目につく。にわかに国際都市のようだ。
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翌11月1日、空は、雲は多いが青空がのぞく。
朝の部のバルーンの競技大会は風のため中止とニュースで知った。確かに朝は強い風が吹いていた。しかし、昼近くには風は弱まったように思った。
ネットで午後の実施情報を調べたが、昼の12時ごろはまだ中止かどうかの報告は出ていなかった。
昨日見られなかったので、再び午後の競技を見に佐賀バルーン駅に行った。この日は電車に乗っている人も少なく、降りる人も少ない。悪い予感がする。
佐賀バルーン駅に着くと、やはりバルーンの姿は見えない。まだ14時前で、競技開始はこれからだというのに、駅からは多くの人が乗り込んでくる。
電車に乗り込んでくる人に、午後の競技のことを訊いたら、中止ですと答えが戻ってきた。だとしたら、この駅に降りることはないと、また車内に乗り込んで、佐賀市まで行くことにした。
昨日の二の舞だ。少し眩しいぐらいの青空だというのに。
やれやれ。
風は気まぐれだ。風任せのバルーンは、デリケートなのだ。
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11月2日から、唐津のくんちが始まる。
おりしも、11月1日の新聞によると、日本の祭りである「山・鉾・屋台行事」の18府県の計33件が、ユネスコの無形文化遺産に登録される見込みとなったと記事が出ていた。
九州からは下記の5件で、唐津のくんちも入っている。
・「博多祇園山笠行事」(福岡)
・「戸畑祇園大山笠行事」(福岡)
・「唐津くんちの曳山行事」(佐賀)
・「八代妙見祭の神幸行事」(熊本)
・「日田祇園の曳山行事」(大分)
無形文化遺産も、見ていない祭りが多いことを痛感。
しかし、ここに長崎のくんちが入っていないのはどうしてだろう。僕は最も好きな祭りなのに。