歯の移植の治療は年齢を問いません。
若くても年をとっていても移植治療は可能です。
年齢による成功率の統計がありませんので、移植治療に適した年齢帯に関しても
見解がありません。
ただ治癒のスピード、細胞の再生能力などを考慮すると、若年者の方が成功率
は高いような気がします。
歯の移植の治療は年齢を問いません。
若くても年をとっていても移植治療は可能です。
年齢による成功率の統計がありませんので、移植治療に適した年齢帯に関しても
見解がありません。
ただ治癒のスピード、細胞の再生能力などを考慮すると、若年者の方が成功率
は高いような気がします。
移植した歯はどのくらいもつのでしょうか。
歯根膜が正常でしっかりと骨にくっつけば長期的に機能します。
特に移植歯ということを意識しなくても良いくらい長持ちすることもあります。
そういう場合は、虫歯か歯周病(まれに歯根破折)にならなければだめになりま
せん。
問題は歯根吸収です。
どんなに気を使って歯を抜いても歯根膜が傷つくことはあるので、歯根吸収が起き
てしまうことはあります。
ただ歯根吸収はゆっくり進みます。
1~2年で抜歯になってしまうことはありません。
5~10年くらいは機能します。
歯根吸収が認められたら、水酸化カルシウム療法(詳細は省きます。)や咬み
合わせの調整をして歯根吸収のスピードを抑える治療をします。
小幡歯科医院
移植した歯は、成功すれば天然の歯とまったく同じように使うことができます。
噛み具合も自然です。
ただ、天然の歯と同じですから虫歯にも歯周病にもなります。
ですので、日頃のお手入れは必要です。(移植歯だからといって特別なことは必要
ありませんが。)
ただ移植した歯に特有の症状が出ることがあります。
歯の根が溶けて体内に吸収されていきます(歯根吸収)。
これは歯根膜が良い状態で移植されないと生じることで、歯の根が溶けてなく
なっていきます。一種の拒絶反応です。
ほとんどの場合、歯根吸収がおきても痛くなく噛むことができます。
ただ、歯の根のほとんどが吸収されてしまうと、移植した歯は自然に抜け落ちて
しまいます。
この移植歯特有の歯根吸収を起こさないためにも、歯根膜を傷付けないように
する必要があります。
小幡歯科医院
移植治療においては、歯を植えたい顎の部分に歯が入るスペースをつくります。
(顎の骨を削って歯が入る穴をつくります。)
このスペースが歯(の根)と合っていないと、移植治療の成功率は下がります。
ただ歯の根の形は単純ではないので、完全に適合させることは不可能です。
多少顎の骨と歯の根が適合していなくても、歯根膜によって骨ができるため歯の
根の周りは骨で満たされます。
そのため歯根膜が健全であればあるほど骨をつくる能力が高く、移植の成功率が
上がるのです。
なお、顎の骨の幅が歯よりも狭い場合は移植ができません。
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歯を移植する場合、一番重要なのは移植歯の歯根膜(歯周靭帯)の状態です。
この歯根膜が良い状態であれば、移植後も歯は正常に機能します。
ですので、歯を抜く時にこの歯根膜をいかに傷付けずに抜くか、ということが
移植治療の成功の大きな鍵となります。
そのため、抜くのに苦労するような歯は移植に向いていません。
また歯根膜は乾燥するとダメージを受けます。
90分以上歯根膜が乾燥した状態になると、移植の成功率が下がります。
そのため、治療中は歯を乾燥させないように気を配る必要があります。
移植治療においては、「歯を丁寧にぬくこと」と「歯を常に湿潤に保つこと」が大切
です。
小幡歯科医院
移植は歯を抜くことと、その抜いた歯を移植することの、2つの治療から
なります。
まず、手術の前に、移植治療を行うことが適正であるかをよく検討します。
特に移植する歯(donor)が移植に適しているか詳しく吟味します。
また、移植される側(recipient site)が歯を受け入れることのできる状態であるか、
ということも詳しく吟味します。
十分な診査をして移植治療が適正であることを確認し、患者さんの同意が得られ
れば移植治療を行うことになります。
治療の手順は以下のとおりです。
1 歯を抜く
2 移植される側に歯が入るスペースをつくる
3 そのスペースに歯を移植する
4 移植後歯が抜け落ちないように固定する
移植治療の成功のポイントは、「移植する歯の状態」と「移植される側の顎の
状態」にかかっています。
それぞれ説明します。
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最近では親知らずは問題がなければ抜かない風潮になっています。
昔は、親知らずはなるべく若いうちに抜いておいた方がよいという考え方だった
ので、親知らずを見つけたらすぐ抜くようにしていました。
現在では、問題ないのに苦労して親知らずを抜く必要はない(しかも抜いた後に
痛みを我慢することもあるのに)、という考え方が一般的です。
それとは別に、親知らずを将来移植のためにとっておく、という考え方があります。
今は歯が悪くなくても、将来万が一歯を抜くことになったら移植ができるように親知
らずをとっておく、という考え方です。
いざという時のために貯金しておくようなものです。
小幡歯科医院
移植に用いる歯は「親知らず」が一般的ですが、どんな親知らずでも良いという
わけにはいきません。
移植する場合に一番重要な部分は「歯根膜(歯周靭帯ともいいます)」です。
この歯根膜が良い状態でないと移植は成功しません。
以下に移植に適した歯の条件を書きます。
無理なく抜ける
抜く時に歯根膜が傷つかないようにすることが大切です。無理な力で抜くと歯根膜
が傷ついて移植の成功率が下がります。
根がひどく曲がったり肥大していない
歯の根が曲がったり肥大している歯は根膜を傷つけずに抜くことができません。
根が短くない
歯の根が短いと移植が成功しても硬いものが食べられません。
歯周病になっていない
歯周病になっていると歯根膜自体がなくなっていきます。
なお歯周病になっていると移植はお勧めできませんが、歯の根が化膿していても
歯根膜には関係ないので移植は可能です。
小幡歯科医院
歯の移植は、歯を抜いた後に別の場所から歯を移してくる治療です。
一般的に歯が無くなってしまった所に歯を回復させる治療法には、入れ歯、
ブリッジ、インプラントがあります。
これらとは別に、特殊な治療方法として「移植」があります。
ただ、移植は条件が整わなければ行うことができません。
一番重要なのは必要のない歯があるかどうかです。
噛むのに必要な歯を抜いて移植するわけにいきませんから、必要のない歯を使う
必要があります。
必要のない歯とは、一般的に「親知らず」です。
時として、歯並びから大きく外れている歯や、矯正治療のために抜く歯などを使う
こともあります。
ですから移植を行うにあたっては、移植の対象となる歯が将来にわたって
必要ないかどうかを診査する必要があります。
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今日から移植、再植のお話です。
http://www.obatadc.sakura.ne.jp/ishoku.html
どちらも、歯を一旦抜いてから植えなおす治療です。
別の場所に歯を植える治療を「移植」、元の場所に歯を植える治療を「再植」といいます。
とても特殊な治療ですので、適応となることは少ないです。
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今日は「虫歯の日」ですね。
それで、虫歯に関する最新のトピックを。
最近「3Mix-MP法」という治療方法がメディアで紹介されています。
「虫歯を薬で治す驚異の治療法」「今までの歯科治療の常識を覆す発想」などと
紹介されているので、それについてコメントします。
3Mix法という治療法は3種類の抗生物質(メトロニダゾール、ミノサイクリン、シプ
ロフロキサシン)を混ぜた軟膏を虫歯に効かせて、虫歯を削らずに治すという治療
方法です。
この治療方法は15年以上前から開発されていました。
しばらく衰退していたのですが、最近「3Mix-MP法」と改良されて再び脚光を浴び
ています。
私も15年前に3Mix法を試しました。ただ、それ以前から水酸化カルシウムという
薬を使って虫歯を治療するという方法はありましたので、それほど珍しい治療法で
はありませんでした。
水酸化カルシウムは強アルカリなので、虫歯が歯の神経にまで達している場合は
神経に刺激になってしまうという欠点がありました。
そこに、「神経まで達した虫歯でも、神経に刺激を与えないどころか炎症を起こした
神経も修復することができる」、というふれこみで3Mix法が登場しました。
ですから神経まで達した深い虫歯に3Mixを用いることが歯科界で流行りました。
私は中等度までの虫歯は水酸化カルシウム、深い虫歯は3Mixと使い分けて
いました。
そして治療の感触として両者に差はありませんでした。
また虫歯の再石灰化という面では水酸化カルシウムの方が分がありま
した。
3Mixではあまり再石灰化が認められませんでした。
また虫歯を削るときに神経を刺激しなければ、水酸化カルシウムでも治療がうまく
いくこともだんだんわかりました。(これは3Mix法の手順で水酸化カルシウムを用
いると痛くなく治療できることがわかったので、3Mix理論のお陰です。)
ですので、3Mixの理論で、水酸化カルシウムを使うという治療方法をずっと行って
きました。
それで問題はなかったのですが、、、、、。
最近3Mixが3Mix-MP法と名を変えて再浮上してきました。
MP(マクロゴール、プロピレングリコール)を3Mixに混ぜると治療の効果が劇的に
上がったということです。
たしかに、3Mix法の欠点は薬剤の管理でした。3Mixの薬剤は売っていないので
(薬事法の都合上これからもメーカーが売ることは難しいでしょう。)自分で3種類
の抗生物質を買って、基材と混ぜて軟膏にしなければなりません。
管理が適当だと抗生物質の効能も落ちてしまいます。
管理の大変さも3Mixが一度人気がなくなった理由だと思われます。
本当にMP法になって治療効果が上がるのかは、あと2、3年様子をみて歯科界の
反応を見て見極めたいと思います。
それまでは実績のある水酸化カルシウム療法でやっていこうと思います。
なお、テレビで紹介されていた「たった1回で虫歯の治療が終わる」ということに
ついて、、、、、、、。
虫歯の治療にもっとも大切なのは辺縁封鎖(しっかりと詰め物をする)ことです。
虫歯を残したまま詰め物をした場合どんなに緊密にしたとしても長期的にはもち
ません。
2~3年くらいです。
虫歯を残したまま詰め物をすると、どうしても不安定になり数年ですき間ができて
しまいます。
ですから1回で終わっても数年後にまた治療をする必要があるはずです。
詰め物にすき間ができてしまったらせっかくの3Mixも効果がなくなるどころか、
虫歯が進行してしまいます。
極論を言えば、虫歯を削らないまま何も薬を入れなくても、緊密な詰め物で虫歯菌
をシャットアウトできれば虫歯は再石灰化します。
ですから虫歯を残したまま長期間(10年以上)しっかりもつような詰め物が
開発されたら、「常識を覆す驚異の治療法」といえます。
小幡歯科医院
http://www.obatadc.sakura.ne.jp/
入れ歯の「歯」の部分には大きく分けて3種類あります。
陶歯(セラミック)
最も硬いので、噛み切る能力が高いです。またすり減らないので長期間使用し
ても入れ歯の状態が変わりません。また変色しないのでツヤが失われることが
ありません。
デメリットとしては、欠けることがある、噛むときにカチカチと音が気になることが
ある、などがあげられます。
硬質レジン歯(ハイブリットセラミック)
セラミックよりもやわらかい材質なので、その分噛む衝撃が吸収されます。
噛む力が強くて、歯ぐきが傷つきやすい方や入れ歯が壊れやすい方には
お勧めの歯です。
デメリットとしては、セラミックよりもすり減るので噛み合わせの高さが低くなる可能
性があることと、やや変色することです。
レジン歯
もっともやわらかい歯です。やわらかいため調整が簡単にできます。
また使っているうちに歯が削れて、自然に調整されることもあります。
デメリットとしては、歯がすり減って3年くらいで噛み合わせの高さが低くなってしま
うことと、変色することです。
入れ歯が壊れやすい場合は、金属を用いて入れ歯をつくります。
金属でつくった部分の入れ歯は壊れることがありません。(金属を用いてもプラス
チックの部分がありますので、絶対に壊れないわけではありません。)
金属を用いるメリットは壊れにくいだけでなく、入れ歯を薄くすることができ
る、食べ物の温度を感じることができる、ことがあげられます。
また作り直すことになっても金属の部分はそのまま使用できるので、再治療の
場合のコストも安くなります。
入れ歯はプラスチックを使用してつくる都合上ヒビがはいったり、割れたりすること
があります。
ヒビが入ったり割れたりしても修理用のプラスチックで元通り直すことができます。
ただ、修理の回数が増えるとだんだんと強度が落ちていきますので、作り変えの
時期ということになります。
どのくらいで作り直すかはお口の中の状況(残っている歯の本数、歯の
強さ、噛む力、歯ぎしり食いしばりの有無、など)によって大きく変わり
ます。
数年で壊れてしまう場合もありますし、10年間まったく壊れない場合もあります。