麻酔をしないで虫歯を取りきるにはコツがあります。
まず歯科医院でもっとも嫌われるあの「キーン」という削る道具を極力使いま
せん。
そして使う時にはソフトタッチで歯を削ります。(強く削ると摩擦熱が生じて痛みを
感じるからです。)
主役はスプーンのような形をした小さい器具です。
これで少しずつ虫歯を掻き出していきます。
虫歯はやわらかいのでこのスプーンで十分取っていけます。
ただ、だんだん健康な部分に近づいていくと痛みを感じるようになります。
ここで「間接覆髄法」という治療をします。(虫歯の部分に薬を入れて歯の神経の
痛みを抑える治療法)
虫歯を全部1回で取ろうとすると痛くなるので、痛くなりそうになったら虫歯を残した
まま薬を入れて仮の詰め物をします。
入れる薬は「水酸化カルシウム」です。
(この時に3種類の抗生物質を入れると3Mixという治療法になります。私は抗生
物質を入れるのは好まないので水酸化カルシウムを入れます。)
この水酸化カルシウムには痛みを抑える作用と、虫歯を再石灰化させる作用が
あります。
この薬を入れた状態で2週間~1ヶ月おきます。
そのくらい期間をおくと、虫歯が再石灰化して硬くなっています。そして削っても痛く
なくなっています。
硬くなったところは削る必要がないので、最終的に歯を削る量も少なくなります。
2回目の治療でも削るのに痛みを感じるようであれば、もう一度水酸化カルシウム
を入れて仮の詰め物をします。
これを繰り返していけば麻酔をしなくても虫歯を取りきることができます。
つまり、1回で虫歯を取りきらないで何回かに分けて虫歯を取っていこうとする
方法です。
この治療法のメリットは、後で絶対に痛みが出ない、ということです。
ただし、「1本の虫歯の治療に何度も通うのは嫌だ!」あるいは「麻酔をしないで
歯を削るなんてとんでもない!」という思いがある方には嫌われる治療方法です
ので、そういう患者さんには麻酔をして虫歯の治療をいたします。
ただ、麻酔が嫌いな方にはこの治療は気に入られます。
ですから、虫歯の治療前には「麻酔をするかしないか」お聞きしています。
小幡歯科医院
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