私は20年前からインプラント治療を行っていますが、この30年でインプラント体(フィクスチャーと言います)は日進月歩で進化しています。
黎明期のインプラントはセラミック、サファイア、アパタイトでつくられていましたが、強度が低く脆かったためおよそ30年前に純チタンのインプラントが主流になりました。
その表面の性状が絶え間なく進歩しているのです。
初期のチタンインプラントは機械研磨といって、表面がツルツルのものが使われました。今では当たり前ですが、チタンが顎の骨にくっつく(オステオインテグレーション)ことが証明された時代です。
その後インプラント体表面はざらざらしている方がより骨にくっつくことがわかり、TPS( Titan Plasma Spray coating)が開発されました。これはチタン表面をプラズマスプレーして表面を粗造にしたものです。
私がインプラントを始めた頃はこのTPSが主流でした。
そして、より骨にくっつくようにSLA. (Sand-blasted, Large grid, Acid-etched)が開発されました。
これはチタン表面にサンドブラストとリン酸エッチングの処理を併用したものです。
そして現在では、SLAactive が主流となりました。
SLA処理したインプラント表面は超親水性ですが、空気に触れると空気中の揮発性有機化合物がくっついて親水性が低下します。この超親水性を保つために、製造してすぐに生理食塩水に浸漬させたものがSLAactiveです。食塩水の中に保存された状態で出荷されます。超親水性の証拠に、血液に触れるとスポンジが水を吸い込むように血液がインプラント表面に吸収されていきます。
インプラント体の進歩とともに骨とのくっつきがよくなり、手術後すぐにインプラントに歯を入れることができるようになりました。
初期のインプラントは手術後4か月~6か月経過しないと歯をつくれませんでした。
現在では2週間で歯を入れることができます。
これだけ進歩しているインプラントですが、長く快適に口の中で機能させるために定期的なメンテナンスが必要であることは、いつの時代になっても変わらないことです。
小幡歯科医院