小幡歯科医院歯科話

品川区目黒駅前小幡歯科医院の公式ブログです。一般歯科治療の話から体の健康の話まで幅広く語ります。

インプラント体の進歩

2017-12-14 23:37:21 | インプラント

私は20年前からインプラント治療を行っていますが、この30年でインプラント体(フィクスチャーと言います)は日進月歩で進化しています。

    

黎明期のインプラントはセラミック、サファイア、アパタイトでつくられていましたが、強度が低く脆かったためおよそ30年前に純チタンのインプラントが主流になりました。

 

その表面の性状が絶え間なく進歩しているのです。

                

初期のチタンインプラントは機械研磨といって、表面がツルツルのものが使われました。今では当たり前ですが、チタンが顎の骨にくっつく(オステオインテグレーション)ことが証明された時代です。

 

 

その後インプラント体表面はざらざらしている方がより骨にくっつくことがわかり、TPS( Titan Plasma Spray coating)が開発されました。これはチタン表面をプラズマスプレーして表面を粗造にしたものです。

               

私がインプラントを始めた頃はこのTPSが主流でした。

                 

              

                 

そして、より骨にくっつくようにSLA. (Sand-blasted, Large grid, Acid-etched)が開発されました。

これはチタン表面にサンドブラストとリン酸エッチングの処理を併用したものです。

              

               

             

 

そして現在では、SLAactive が主流となりました。

             

           

SLA処理したインプラント表面は超親水性ですが、空気に触れると空気中の揮発性有機化合物がくっついて親水性が低下します。この超親水性を保つために、製造してすぐに生理食塩水に浸漬させたものがSLAactiveです。食塩水の中に保存された状態で出荷されます。超親水性の証拠に、血液に触れるとスポンジが水を吸い込むように血液がインプラント表面に吸収されていきます。

               

インプラント体の進歩とともに骨とのくっつきがよくなり、手術後すぐにインプラントに歯を入れることができるようになりました。

       

初期のインプラントは手術後4か月~6か月経過しないと歯をつくれませんでした。

    

現在では2週間で歯を入れることができます。

                 

これだけ進歩しているインプラントですが、長く快適に口の中で機能させるために定期的なメンテナンスが必要であることは、いつの時代になっても変わらないことです。

          

 

小幡歯科医院

http://www.obatadc.sakura.ne.jp/


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大口式インプラント法と無切開手術

2017-12-11 14:18:02 | インプラント

当院のインプラント埋入手術は歯ぐきを切開しない無切開手術が基本です。

http://www.obatadc.sakura.ne.jp/implant.html

             

骨の状態がわかりにくかったり、骨が薄い場合には歯ぐきを切開して骨を確認したり、骨や人工骨をつけたしたりします。(現在ではCTによって事前に骨の状態が詳細にわかるので、切開が必要かどうかは手術前に決まります。)

             

当院では大口式インプラント法を導入しても手術を無切開で行うことが多いです。

      

大口式は骨の薄くなった症例に効果を発揮するので、基本的には切開をするものだと思っていました。

      

実際、導入前に受けた実習でも、紹介されているのは歯ぐきを切開している症例ばかりでした。

                 

ところがこんな動画を見つけました。

http://www.obatadc.sakura.ne.jp/implant.html

                 

大口式を無切開で行っています。

            

大口先生ご本人の投稿ですから、無切開手術でも適応なのでしょう。

             

無切開手術自体がとても体に優しい低侵襲の手術になりますが、それに大口式を併用すると究極の低侵襲オペとなります。

         

手術時間は長くなりますが、体に優しいので患者さんには喜ばれる処置になるのは間違いありません。    

 

 

小幡歯科医院

http://www.obatadc.sakura.ne.jp/


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大口式インプラント法

2017-12-09 02:31:07 | インプラント

大口式インプラント法を導入しました。

http://www.medical-apex.com/service/product/pro-oam/

 

昭和大学の尾関雅彦先生のインプラントの講習を聴いたことがきっかけでした。骨の少ない難しい症例に低侵襲でリスクの少ないインプラント埋入法を紹介していました。

 

直感で自分の臨床に合うと思い、大口式インプラント法のセミナーを受けました。セミナーは豚の骨を使った実習でした。

                   

これは骨を削らないインプラント埋入法です。

                

 

最初に細い穴を開けたら、専用の器具で徐々にゆっくりとその穴の直径を大きくしていきます。インプラントのフィクスチャーの直径は基本的には3.3mmか4.1mmです。

          

削ることなく穴を大きくしていくメリットは骨が削り取られないことです。また、骨の密度を高める効果もあります。

            

特に顎の骨が薄い場合にその効力を発揮します。

                 

          

当院の基本方針である歯ぐきを切開しない方法(ノンフラップ手術)に応用しました。

専用の器具でインプラントを入れるための穴を徐々に大きくしていきます。

               

ドリルを全く使わずに処置を終えることができました。

             

歯ぐきを切開せずに、骨も削らずに手術を終えました。

究極の低侵襲のオペと言うことができます。

                

使用した器具、オーギュメーターです。

          

一番最初に細いドリルで穴をあけた後は、全くドリルを使わずこの器具で穴を大きくしていきます。

患者さんも「いつ、手術が始まるのかと思ったら終わっていた。」と話していました。

                 

ただ、この方法は通常のインプラント手術よりは時間がかかります。

今回の手術は10分で終わるところを、30分かかりました。

             

また、手で骨を拡大していくので、術者の手首が疲れます。

                

デメリットはそれくらいで、あとは体に優しく骨を無駄にしない、そして骨のないところにもインプラントが埋入できる素晴らしい手術法であると言えます。

          

細い穴から始めるので、様々な症例に応用が利くと期待されます。

      

何よりも手術の体に与えるダメージが少ないのが患者さんに喜ばれることでしょう。

 

 

小幡歯科医院

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