今西 康次著「朝、起きられない病 起立性調節障害と栄養の関係」を読みました。
糖質制限を推奨する小児科医である著者の先生とは、私が糖質制限の普及活動を行っていた頃に交流がありました
残念ながらお亡くなりになった今西先生ですが、素晴らしい本を残されたと感じる読み応えのある一冊です。
起立性調節障害という病気は歯科医の私には馴染みのないもので、実際にその患者さんと触れ合う場面もありません。
おそらく、歯科医院受診も困難になるだろうと思われます。
精神的に怠けている、と誤解されやすいこの疾患を、今西先生は「栄養」の観点から診断し治療に当たられ、目覚ましい成果を挙げられたようです。
今西先生のアプローチは糖質制限にとどまらず栄養療法を取り入れ、血液検査データから不足している栄養素を探り出し、栄養を補充することによって病気を改善させています。
その血液検査データの解析を臨床に取り入れている様がとても興味深く、一気に読み進めてしまいました。
特にこの疾患の子供たちは、成長期においてタンパク質と鉄が明らかに足りないそうです。
栄養療法を学んでいると、この二つの栄養素が足りなければ元気が出なくなるのは手に取るようにわかります。
そして、実際の症例において子供が元気を取り戻す描写には感動を覚えます。
栄養療法に興味のある方や、栄養療法を学んでいる方、栄養療法を受けている方には必読の書といえるでしょう。
小幡歯科医院