小幡歯科医院歯科話

品川区目黒駅前小幡歯科医院の公式ブログです。一般歯科治療の話から体の健康の話まで幅広く語ります。

いきなり糖質制限をしてはいけない人

2018-04-27 21:54:05 | 栄養

いきなり厳しい糖質制限を行うと体調が悪くなる人がいます。

 

今回は、クエン酸回路が回っていなければいきなり糖質制限をしてはいけない、というお話です。

    

 

 

これは、体内のエネルギー産生の仕組みを図式化したものです。

 

 細胞の中で、エネルギーであるATPを作る系統は二つあります。向かって左にある解糖系と、向かって右にあるクエン酸回路です。前者は細胞質基質、後者はミトコンドリアのマトリックスで行われます。クエン酸回路は電子伝達系と連動していて、解糖系よりもずっと多くのエネルギーを得ることができます。ですから糖質制限においては、糖質を控えながらこのクエン酸回路を回すことを目的としています。電子伝達系はミトコンドリア内膜で行われます。

   

 クエン酸回路を回すには様々な物質が必要です。その数は200以上あるそうで、生化学の専門家は全て覚えているそうですが、専門家ではない私達は勘所になる物質を覚えておけばいいでしょう。

 

まず、クエン酸回路を回す材料としてはアセチルC o Aが重要です。アセチルC o Aはケトン体やコレステロール、コエンザイムQ10の材料にもなる重要な物質です。

 

アセチルC o Aは解糖系由来のピルビン酸、糖新生過程のピルビン酸、そして脂肪酸からつくられます。糖質制限においては脂肪酸からつくることを推奨しています。脂肪は特に動物性の脂肪を推奨しています。

 

クエン酸回路を回すには様々な酵素が必要ですが、酵素は全てアミノ酸からつくられます。アミノ酸も動物性のタンパク質から摂ることを推奨しています。

 

図に記されているようにクエン酸回路や電子伝達系にはビタミンBと鉄が必要です。また亜鉛やマグネシウムもこれらの反応に必要です。ビタミンBや鉄や亜鉛は動物性の肉に多く含まれ、マグネシウムは魚介類や種子、豆に含まれています。

        

肉を初めとする動物性食品をしっかり食べられないうちはクエン酸回路もしっかりまわらないため、いきなり糖質制限を行うのは危険ということです。糖質を控えるよりも、動物性のタンパク質、脂質をしっかり食べられるようになることが先決で大切なことです。

 

 

 

人は体の中でアミノ酸やグリセリンを材料としてブドウ糖をつくることができます。糖新生といいます。

            

糖新生でブドウ糖をつくることができるのだから、糖質摂取は必要最低限でいいというのが糖質制限の理論です。しかし、糖新生がうまくいかない人がいます。そういう人は糖質制限を行うと体調が悪くなります。

               

具体的には、機能性低血糖、副腎疲労、甲状腺機能低下があると糖新生がうまくいかず、糖質制限ではエネルギー不足になってしまうことがあります。またこれらの状態には腸内環境の悪化がつきもので、タンパク質や脂質を食べても吸収できていないことがあります。クエン酸回路を回すためにタンパク質と脂質は根本的に必要なので、吸収できないうちは糖質を摂る必要があります。つまり、糖質制限よりも腸内環境を整えることが先決です。

   

 

糖質制限と言っても、必要とする制限量には幅があります。全ての人に糖質ゼロを推奨したりケトン体を出すように勧めることはありません。糖質制限には禁忌症も適応症もあります。人それぞれ千差万別、必要な糖質量というものがあるのです。

 

歯科医としてはまずは砂糖と、「果糖ブドウ糖液糖」などと書いてある異性化糖を控えてもらいたいです。これだけでもかなり体調がよくなります。しかし、甘いものをやめられない人は多いです。そういった甘味依存に対しては全体的な糖質量を見る必要もあります。一日に摂取する糖質量、何回で食べるか、そしてそのタイミングです。その人にとって適正な糖質量を模索するのが糖質制限です。そして前提として、体をつくったりエネルギー源となるタンパク質や脂質をしっかり摂ることが大切です。もっともやってはいけないのは、動物性のタンパク質、脂質を摂らずに糖質を控えることです。肉を食べられない人、脂が苦手な人は慎重に糖質を控える必要があります。この場合、ボーンブロスはアミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラルを吸収するのに有効です。

     

 これらの知識なしに今の食事からいきなり糖質制限をするのは危険です。かえって栄養不足になる可能性がありますいきなり糖質制限がうまくいくのは「タンパク質も脂質も糖質もなんでもたくさん食べてきた人」なのです。

       

 (糖新生ではリンゴ酸が一旦クエン酸回路の外に出てから再びオキサロ酢酸になるのですが、図ではそれは表されていません。)

 

 

           

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白いブリッジ(ジルコニアブリッジ)

2018-04-05 20:35:30 | ブリッジ

ブリッジは歯のないところを両サイドの歯で支えるので強度が必要となります。

              

今までは金属が主流でした。

               

ある程度歯を削らないと取れてしまうので、たくさんの金属を使っていた時代がありました。

                

接着剤の進化によって、たくさんの歯を削らなくてもブリッジができるようになりました。

 

セラミックと金属を組み合わせて、削る量を最小限にしてもこれだけ金属が見えるのは避けられませんでした。

              

今や、金属のように強くて白い材料であるジルコニアを用いることによって完全に見た目が白いブリッジを作ることができるようになりました。

                   

以前に記事にしたように、初期のジルコニアは色がよくありませんでした。

          

自然な感じのない歯になっていました。

            

最近はジルコニアでも透明感や自然な黄色味が出せるようになりました。

                  

材料の進歩によって、歯の治療が自然に仕上がるようになりました。

                

         

                       

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