小幡歯科医院歯科話

品川区目黒駅前小幡歯科医院の公式ブログです。一般歯科治療の話から体の健康の話まで幅広く語ります。

歯の象牙質の糖化

2018-11-29 22:50:33 | 虫歯

「この人は生まれつき歯が弱いな」と感じることがあります。

             

具体的には、歯の内部の象牙質が「やわらかい」と感じる人です。

            

先天的に歯が弱い人がいるのではないかと考えていました。

              

が、今はそうは考えていません。

             

歯は後天的に、食事によって弱くなると考えています。

            

歯が弱いのは「象牙質の糖化」によるものであるというのが、その理由です。

             

糖化とは、体の中で余ったブドウ糖がタンパク質(特にコラーゲン)にくっつく現象のことです。

https://blog.goo.ne.jp/obatadc/e/dc1c0eb07565f64b9295b74cde560a22

                

                 

歯の表面のエナメル質にはコラーゲンがほとんど含まれていません。が、象牙質にはコラーゲンが含まれていて、そのコラーゲンは糖化する可能性があります。

                  

歯の中にも血管があって血液が流れています。

 

血液が高血糖になり、その余ったブドウ糖が血管を通して歯の象牙質にくっついて糖化を引き起こす、というのがその原理です。

             

実際の症例で見てみましょう。     

虫歯の治療中です。

          

虫歯でやわらかくなった所をすべて削り取りたいのですが、象牙質がやわらかくてどこまで削ればいいかわかりません。

               

「う蝕検知液」という虫歯の部分が赤く染まる液で確認します。

              

虫歯を全部取ったと思っても、まだピンク色に染まります。

          

虫歯と健全な象牙質の区別がつきにくい状態です。

                     

象牙質がやわらかいのですから、一たび虫歯になると一気に進みます。

         

急に大きな虫歯をつくって来院される方は、ほとんどの場合がこういう状態です。

                   

虫歯が大きくなりやすい人は、食生活を見直して糖質、特に砂糖を多く食べていないか確認することが大切です。

        

         

小幡歯科医院

http://www.obatadc.sakura.ne.jp/

 


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歯の再石灰化がしやすい人

2018-11-22 00:25:59 | 虫歯

このブログでも何度かお話ししていますが、虫歯で弱ってしまった部分の歯を水酸化カルシウムという薬を使って強くする治療法があります。

               

歯が強くなるのは「再石灰化」という現象です。

          

虫歯で歯のカルシウム成分が失われたところに、カルシウムが再び沈着して歯が強くなります。

                  

実際の症例でみてみましょう。

                

真ん中の歯の詰め物の周りが、レントゲンで黒くなっています。詰め物の隙間から虫歯になった可能性があります。

               

詰め物を取ってみると、案の定虫歯がありました。

                  

虫歯が神経に近いので、全部削り取らずに少し虫歯を残したところに水酸化カルシウム(黄色い薬)を置きました。

               

蓋をして2週間から1か月置きます。

                   

2週間後に取り残していた虫歯の大部分は固くなっていました。再石灰化が起きました。

色は少し茶色いように見えますが、虫歯はない状態です。

                     

プラスチックの詰め物をして治療終了です。再石灰化したところは痛みにも強くなっているので、麻酔をしないで治療することができました。

               

深い虫歯は削っていくと神経に近くなるので、神経に近い部分は再石灰化させて削らなくても済むようにします。

      

これによって、虫歯で神経を取ることがかなり少なくなります。

               

この再石灰化する能力には個人差があります。順調に再石灰化する人と、なかなか再石灰化しないひとがいます。

                   

歯の質と言えばそれまでですが、栄養も関わっているかもしれません。

            

糖質を多く摂っていると歯の象牙質が糖化する危険があり、糖化した脂質は弱くなり再石灰化しにくくなるでしょう。歯の再石灰化にはカルシウムだけでなく、コラーゲンの材料であるタンパク質や鉄やビタミンCも必要でしょう。

                   

きちんとした食事をすることによって、歯の質が良くなることも期待されます。

 

        

小幡歯科医院

http://www.obatadc.sakura.ne.jp/


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