写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

「桑重儀一展」開催

2019年03月02日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画

 ある女性が「発見! 川下村からパリへ翔んだ画家 桑重儀一展」と書かれたポスターを10枚持ってきてくれた。3月23日~5月27日まで岩国市の横山にある五橋文庫で、桑重儀一が描いた油絵の展覧会を行うという案内であった。

 ポスターの裏面に、桑重儀一のプロフィールが書いてある。
 「1883年(明治16)岩国市川下に生まれ、東京美術学校卒の後、カリフォルニア州立大学美術科入学。1912年(大正1)パリに留学し、1915年帰国。1920年、第2回帝展入選『書見する人』から帝展入選を重ね1931年には帝展無監査となる。1932年フランス留学。パリの絵画展で優秀賞受賞。1933年帰国後は、各所で渡仏作品展を開催。1943年(昭和18、60歳)没」。

 岩国市川下出身の画家を発見した、というポスターである。実はこの女性は、40年も前、勤めていた会社で同じ職場にいた人である。3年前にばったり町で出会ったのを機に、後日我が家を尋ねてくれて、思い出話に花を咲かせたことがあった。

 その時「わたしの主人の祖父は、桑重儀一という画家でした。隣に住む義母の家には、大小の絵が架けてあります。興味があれば見に来てください」と誘われて、見に行ったことがあった。ネットで調べてみると、有名な画家である。素人目にも素晴らしいものであったので、「是非多くの人に見てもらえるようになったらいいね」と言ったまま別れていた。 

 市内在住のある篤志家が、このような素晴らしいものが眠っていることを聞きつけて、展覧会を企画してくれることになったのだというではないか。このレベルの絵画であれば、市の教育委員会が企画してもいいように思うが、見て見ぬふりか、そんな素振りは全くなかったようである。

 篤志家のお陰で市民のみならず錦帯橋の観光客にも見てもらえるいい場所での展覧会が開催される。大作だけでなく、パリの街並みを切り取った小さな絵もあったように記憶している。ぜひ見に行っていただきたいものである。ちなみに休館日は火曜、水曜、木曜で、入館料は一般700円、高校生以下は無料とのこと。お子さんを連れて「川下村からパリへ翔んだ画家」の絵を見に行ってください。