香港国際競走回顧~イン伸び馬場で明暗、中距離は歓喜、短距離は無念

2016-12-12 12:19:38 | 血統予想

12回11日目8R 香港カップ
◎2.モーリス
○8.シークレットウェポン
▲1.エイシンヒカリ
△4.ブレイジングスピード
×3.デザインズオンローム
注5.ステファノス
昨年の香港Cはエイシンヒカリとヌーヴォレコルトでワンツー。Qエリザベス二世Cはステファノスが2着。最近ではトウケイヘイローやエイシンフラッシュも馬券に絡んだように、日本の芝中距離馬は世界のトップレベルで、秋天で勝ち負けできる中距離馬ならば香港CやQエリザベス二世Cでも勝負になると考えるべきだ。またデザインズオンローム、アキードモフィード、ウェルテル、ブレイジングスピード、ミリタリーアタックと、最近の沙田2000mの大レースで勝ち負けしている馬はほとんどがダンジグの血を引いている。秋天と香港マイルの勝ち馬で、ダンジグの血を引くモーリスがここは譲れないところ。クイーンズリングはエリザベス女王杯では◎にしたが、エイシンヒカリが緩めず逃げるとするとベストは1800mだけに微妙だ。シークレットウェポンはミルリーフを活かした配合で斬れ味なら一番だろう。前走のように一発狙いで追い込めばここもハマる可能性はあるし、鞍上も達者なので怖い。

12回11日目7R 香港マイル
◎1.エイブルフレンド
○7.ネオリアリズム
▲3.ロゴタイプ
△5.ビューティーオンリー
×12.サトノアラジン
注13.サンジュエリー
最近の香港マイルやチャンピオンズマイルの連対馬、エイブルフレンド、ヴァラエティクラブ、ゴールドラン、ジャイアントトレジャーなどの血統表をみると、ブラッシンググルームやストームキャットやトムフールやサーアイヴァーやサーゲイロード、このあたりの血がキーになっている配合馬が目立つ。平坦なマイル戦での機動力と斬れ味を兼備しているタイプが強いイメージだ。ビューティーオンリーは父の母がストームキャットと似た組成で母父父ロイヤルアカデミーはストームキャットの3/4兄。クロスがセクレタリアト≒サーゲイロード3×5で配合どおりしなやかに斬れるが、これならば長期休養を叩いたエイブルフレンドの復権に期待したい。モーリスに真っ向勝負を挑んだ昨年も強い3着というべきだ。ネオリアリズムはマイルCSは立派な内容だったが、マイラーではないのでここも勝ちきるまではどうか。サトノアラジンは大跳びなので沙田1600mで14頭いると捌ききれない心配がある。

12回11日目5R 香港スプリント
◎6.ビッグアーサー
○2.ラッキーバブルズ
▲4.ノットリスニントゥミー
△1.エアロヴェロシティ
香港競馬はオセアニア産のスプリンターの層が厚く、香港スプリントは日本馬にとって厚い壁といえる。しかしながらロードカナロアの連覇にカレンチャンの5着入着と、サンデーサイレンスの血を引かない短距離王が遠征したときは通用しているとみれば、非サンデーサイレンスの短距離王が世界一の鞍上で挑むのだから、ビッグアーサーにカナロア以来の快挙を期待したくなる。

12回11日目4R 香港ヴァーズ
◎4.サトノクラウン
○1.ハイランドリール
▲2.シルバーウェーヴ
△13.ヌーヴォレコルト
注9.フレイムヒーロー
香港国際競走は長い距離ほど遠征馬の台頭が目立ち、昨年のヴァーズは欧州馬が上位独占だったし、ジャガーメイルが毎年好走していたのもまだ記憶に新しい。今年はハイランドリールとムーアのコンビが連覇を狙ってきたが、2400mで一番買いたい日本馬はサトノクラウンだ。母方はマイラー色が強いのだが、インディジェナス(98年ヴァーズの勝ち馬でJCでスペシャルウィークの2着)と同じマージュ産駒で、ダービー3着といい京都記念完勝といい、長いところでゆったり走ったときはジャガーメイルに見劣らないパフォーマンスを発揮している。モレイラなら◎を打つ価値はある。

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この日の沙田競馬場は明らかにイン伸び馬場で、昨年の香港CのヌーヴォレコルトやJCのラストインパクトを見てのとおり、こういうバイアス下では露骨にインを狙ってくるのがライアン・ムーアでもあります

香港Cは出遅れたので腹をくくってインに潜り、直線も最内から追い出すとモーリス一頭だけ別次元の加速で、異次元のアクションで、ゴールしたときは3馬身差という戦慄の圧勝

エイシンヒカリが中盤の1200mを70秒で引っ張ったのでラスト400mは24.15かかり、Mill Reef的なストライドで走るSecret Weaponが直線立て直してジワジワ伸びて、好位のステファノスとラブリーデイを差し切るという持続戦になりました
http://www.pedigreequery.com/secret+weapon12

クイーンズリングは外を回らされたのが痛恨でしたが、日本馬の中で距離適性が最も短いと思われる(エリ女で◎にしたときも私は1800ベスト説で書いてます)この馬が伸びあぐんだのも、ビッシリ2000mを走るレースになったからで、そんな中で一頭だけまるで別のレースをしていたという圧勝でした

モーリスも私は1800ベスト説ですが、たとえば1400ベストのストレイトガールがスプリントとマイル両方ぶっこ抜いたようなもんで、エンジンの違いで1600~2000をぶっこ抜きつづけたのがモーリスだったんじゃないかと思いますね

香港マイルは安田記念やマイルCSで上位を賑わした3頭が5,7,9着に終わり、それぞれ敗因はあるでしょうが、やっぱり1600m以下の地元香港勢の層は厚く、このマイルも過去10年で16頭の日本馬が出走し、馬券に絡んだのはモーリスとグランプリボスだけの[1-0-1-14]

ロゴタイプは母父サンデー、サトノアラジンとネオリアリズムは父父サンデー、「1/4サンデーサイレンス」はカップやヴァーズでは毎年のように勝ち負けするのに、マイルやスプリントではなかなか出番がない

勝ったBeauty Onlyは予想コメントにも書いたように、父の父がデインヒルで、父の母L'On ViteはSecretariat×Northern Dancer×Chop ChopですからStorm Catと似た血脈構成で、母父の父ロイヤルアカデミーはStorm Catの3/4兄、そして自身のクロスがNorthern Dancer4・4×5(3/4Northern Dancerクロス)と、Sir Ivorを経由するSecretariat≒Sir Gaylord3×5
http://www.pedigreequery.com/beauty+only

これは昨年まで香港のマイル王に君臨しつづけたAble Friend(父系がStorm Catで母父父がGreen DesertでクロスがSir Ivorを経由するSecretariat≒Sir Gaylord5×4・6)となかなかよく似た配合といえ、2頭の血統表から「沙田の芝マイルの大レースを勝つのに必要なもの」をある程度実感できます
http://www.pedigreequery.com/able+friend

Able FriendもBeauty Onlyも、安田記念よりはマイルCSのほうが斬れるようなタイプといえるかな、それが沙田のマイル戦のイメージともいえるのではないかと

私は昨年のチャンピオン復活に賭けたんですが、Beauty Onlyの動きに呼応して動いたAble Friendは完全に伸び負けで、どうやら新旧交代を決定づけるレースやったようです

サトノアラジンは大跳びで馬群に突っ込むと不利を受けやすいし、今日みたいなイン伸び馬場ではなおのこと馬群が密集するので、ああいう競馬になってしまうのは半ばやむを得ない

スプリントは「非サンデーサイレンス」のビッグアーサーに期待したんですが、ムーアといえども1200の外枠では内に潜るのは難しかったし、外々を回ってねじ伏せられる馬場バイアスでも相手関係でもなかった

レースはエアロヴェロシティAerovelocityが好位インで立ち回って抜け出し、高松宮制覇後は体調を崩してスランプがつづいていて、近走もLucky Bubblesが1着2着でAerovelocityは3着どまりという結果がつづいていたんですが、この大一番で古豪復活とは
http://www.pedigreequery.com/aerovelocity
配合については下記エントリで詳しく書いたのでそちらをご一読ください

Lucky Bubblesは道中は後方のイン、4角でビッグアーサーの外に持ち出して追い込みましたが、勝ち馬とはそこのコース取りの差だけだったかな、という惜しい2着でした

ヴァーズはスタートからゴールまでサトノクラウンとモレイラだけを追いつづけていて、向正面で内からスルスルと進出しはじめたときには胸が高鳴り、しかし前の馬が下がってきていっしょに下がってしまったときには絶望の淵に落とされ、しかししかし直線で馬群を割って抜け出してきて、もう楽勝かと思われたHighland Reelに一歩ずつヒタヒタと迫りはじめた

あの直線ではウインズB館の5Fに響きわたるような、とても日本語では表記できないような叫び声を発してました(^ ^;)

3着One Foot in Heavenは名牝Prideの息子で重馬場のコンセイユドパリ賞(仏G2・芝2400m)に勝ち凱旋門6着、His MajestyにAllegedとVaguely Nobleを合わせたスタミナ満点の配合馬で、欧州馬がスタミナで好走するようなレースでこそサトノクラウンは最大限に光り輝くのだ、ということをモレイラ神が証明してくれた

まあしかしこの国際競走4Rを見て改めて実感したのは、ムーアとモレイラは神、スミヨンも才能別格、パートンとボウマンは名人、このレベルの乗り役は世界中のどこで乗ってもムーアでありモレイラでありスミヨンであり、パートンでありボウマンであるのだと

ヌーヴォレコルトとスマートレイアーは少なからず外枠に泣いたという結果で、前者は外を回らさせるのが嫌でいったん下げざるをえなかったし、後者は終始外を回らされてしまい、それでも掲示板に載ったのだから着順以上に立派な内容だったといえるかと

サトノクラウンの配合については下記「202X年から逆算した…」を参照していただきたいですが、私はセレクトセールで実馬を見たときはマイラーに見えたし、実戦で走るのを見たときも2000mぐらいの馬だろうと思ってて、しかし「サトノクラウンの末脚は典型的な欧州12Fタイプのそれだ」と『サラブレ』のラッ血対談で言いつづけてた人がいた

種馬になるべき名配合やと書いてきた私としては、もう半分意固地になってるだけの◎やったんですが、あのMahmoudさんの言葉がその意地を後押ししてくれたのです

長くなったのでJFの回顧は別にやります

第45回高松宮記念回顧~短距離王国の王者、サンデーの血をねじ伏せる
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/85d70fc54d4ab512a6ed4b7e6485e91a
ライバルの血(2)~202X年から逆算した、配合史的ダービー予想
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/182fa417ea5535b5853834df264abff0


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