第45回高松宮記念回顧~短距離王国の王者、サンデーの血をねじ伏せる

2015-03-29 17:26:23 | 配合論

中京11R 高松宮記念
◎9.レッドオーヴァル
○18.ストレイトガール
▲4.エアロヴェロシティ
△17.コパノリチャード
×3.ローブティサージュ
勝つのは◎○▲△のどれかだろうが、どの馬に展開やペースや馬場が向くのか、現時点では読みきれない部分もあるというのが正直なところ。迷ったが、◎はスプリンターズSにつづいてレッドオーヴァルでいきたい。あのときも小雨が降りつづいてパンパンの良ではなかったし、日曜は15時ぐらいから少し降る予報だが、良に近い稍重ぐらいならマイナスにはならないとみた。半兄ストロングリターンがついにG1のタイトルを奪取したのが6歳の安田記念、この馬も母コートアウトからハイインロー的な成長力を受け継いで、坂路の動き一つとっても以前より頑強さ逞しさを感じるし、スプリンターズよりも更に成長があったとしたら、今度こそストレイトガール姉さんに先着できるのではないかと思うのだ。

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エアロヴェロシティは-16キロでちょっと細く映ったし、他馬がいかにも一流のスプリンターらしいパンパンの張りなのに比べると、ほんとにこれ524キロもあるの?という印象で、まあ普段からこんな馬なのかもしれないですが、よくて85点ぐらいのデキで勝ってしまったんじゃないかという印象も

スタートが速いのは読みどおり、そこからアンバルを行かせて馬場の悪い内々を追走、そして直線に入るところで斜めに持ち出しながらハクサンムーンの直後に取りつくと、そこからは本場の短距離王の貫禄をまざまざ、まさに横綱相撲の勝利

ウルトラファンタジー、テイクオーバーターゲット、サイレントウィットネス、香港やオセアニアのチャンピオンスプリンターは、これぞスプリンターのあるべき姿、とでもいうべき問答無用の先行押し切りで勝ちます

ブリンカー着用で本格化したAureole持ち、「大きなブリンカーから…」でも書いたように揉まれ弱いところはありそうで、この内枠で馬群の中でゴチャゴチャするよりは、インの悪いところを通ってでも気分よくスムーズなレースを…という頭がパートンにはあったんじゃないかと思います

パトロールを見ても、ハクサンは馬場のいい外目を走ってるし、道中エアロの周りにぜんぜん馬がいない(わざわざ馬場の悪いインを走ってまで、エアロを包囲しようという馬はいなかった)

血統については「大きなブリンカーから…」でも書いたように、なかなかレアなTom Foolの父系で、父父SnippetsがNasrullah5×4・5、父の母母HumourがNearco3×3、母がKlairon≒My Babu4・5×4、母母がNewMoon≒Hyperion4×4、単にアウトサイダー血脈が豊富というだけでなく、代々の緊張と緩和のリズムや組み立てが優れた好配合やと思います
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a01296e/

 ┌Djebel
┌○
Klairon
└△
 └Sweet Lavender

┌Djebel
My Babu
└△
 └△
  └Sweet Lavender

以下、NETKEIBA「重賞の見どころ」より再掲

エアロヴェロシティ
父PinsはなかなかレアなTom Foolにさかのぼる父系で、競走馬としてはオーストラリアンギニー(豪G1・芝2000m)に勝ち、種牡馬としては香港の年度代表馬Ambitious Dragonなどを出している。オセアニアで生き残ってきた父系だから短距離のスピードはあるが、アウトサイダー血脈が強く様々なタイプを出す種牡馬だろう。父父SnippetsがNasrullah5×4・5、母ExodusがKlairon≒My Babu4・5×4で、血脈構成や配合パターンはなかなか決まっている。母系にAureoleやSir Tristramなど気性面で難しい血を抱えており、香港スプリントでは大きなブリンカーを着けて逃げ切り、おそらく馬群の中で揉まれる形はよくない。外に馬がいなければ控える競馬も可能だが、理想は先手だろう。時計のかかる中京芝は向くタイプだ。

身のこなしや脚捌きはいかにもTom Foolで、これは父系のTom Foolと母父系のSir Ivorの呼応(Tom Fool≒Attica5×5)でしょうが、しかし決して軽いスピードだけではなくて、気分よく走れば直線で頑強に踏ん張ることができる馬

 ┌Pharamond
┌○
│└Alcibiades
Tom Fool
│┌Bull Dog
└△

┌○┌Sir Gallahad
│└△
Attica
│┌Pharamond
└△
 └△
  └Alcibiades

デインヒルもStorm CatもKingmamboもサンデーサイレンスも、ファッショナブルな血は何にも持たないけれど、緊張と緩和、近交と遠交を繰り返すことで、血統表中から最高の資質を引き出す

そう、サンデーサイレンスが輸入される前の日本には、オグリキャップとかサクラバクシンオーとか、ノースフライトとかサッカーボーイとかダイタクヘリオスとか、バンブーメモリーとかフラワーパークとかトロットスターとか、そういう配合の妙で生み出された名マイラー・名スプリンターが毎年のように出ていたように思います

最近の芝1200mのG1勝ち馬をみても、カレンチャン、ローレルゲレイロ、スリープレスナイト、アストンマーチャンなど非サンデーが多いのがこの短距離路線

最強スプリンター論争に必ず名前があがるサクラバクシンオーもロードカナロアも、最強マイラー論争に必ず名前が出てくるタイキシャトルもアグネスデジタルもノースフライトもエアジハードもサンデーの血を引かないわけで、この過去に類を見ないしなやかさと柔らかさを誇る名血が急激に拡散しすぎた今の日本においては、名中距離馬が出やすい一方で名スプリンターや名マイラーは出にくい状況になっているのではないか…とよく書いています

サンデーの血を引くしなやかなハクサンムーンとミッキーアイルを、最後の競り合いでねじ伏せた香港の短距離王、こういう馬をつくる土壌は今の日本にはなかなかないというべきだし、こういう馬と互すにはロードカナロアぐらいの馬でないとなかなか難しい

ちなみに昨年の豪リーディングは1位~4位までデインヒル系、首位がRedoute's Choiceで2位がその息子スニッツェル、7位にはコマンズの名もあります

ザックリいうとレオパルディナやブルーストーンみたいな馬たちが集って日々鎬を削ってるわけで、そんな国のチャンピオンと短距離で戦うのはなかなか大変ですが(^ ^;)、向こうは向こうで「こんなサンデーだらけの国と、芝中距離で戦うのはなかなか大変や…」

そんなわけで、サンデーサイレンスの血が日本の馬産を世界のトップレベルに押し上げたのは動かしがたい事実ですが、短距離~マイルに関していうならば、“サンデー以前”のほうがファンタジーがあったような気がしてならないのです…というオッサンくさい感想で

大きなブリンカーからAureole魂が…(2)
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/ab28b4d25f9ba5a1d44b08bdf6082262


コメント (14)    この記事についてブログを書く
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14 コメント

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Unknown (KR)
2015-03-29 17:48:29
ミッキーアイル、レースっぷりからも成長が見て取れたのですが、この馬の行き先が見えないです。
この馬にベストな条件のGIが国内には見当たらず、このままでは善戦止まりになりそうで(--;)
Unknown (笠 雄二郎)
2015-03-29 18:50:41
馬場が渋るととくにね・・。
Unknown (笠 雄二郎)
2015-03-29 18:51:40
馬場が渋るとというのは
香港馬ねw
Unknown (メテオ)
2015-03-29 18:53:19
スノードラゴンの母父はタヤスツヨシですね。
Unknown (たけ)
2015-03-29 18:57:30
公式サイトでヴァーティカルサンの予後不良が発表されました。
残念です。
Unknown (矢マキバ)
2015-03-29 19:20:17
愛馬2頭目の予後不良。
これも競馬と言えばそれまでですが
やっぱり辛いですね。
Unknown (MJ)
2015-03-29 19:34:12
スノードラゴンなおしました(^ ^;)

ヴァーティカルサン、これからやったのに残念です…
皐月賞がマイルだったら (Nashwan)
2015-03-29 19:43:29
マイル・スプリント路線は少々手薄というか王者がいない状況でしょうか。皐月賞が2000mじゃなく1600mだったら少し違った状況になるかもしれません。
Unknown (Unknown)
2015-03-29 21:05:37
そもそも血統もそうなんですが、普段のレース自体も強いスプリンター、マイラーを作れるような内容ではありませんよね
うーん (brokken)
2015-03-30 01:37:14
毎回馬場に泣かされます。
パンパンの量馬場で、やらせたかったです…(^^;;

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