第11回ヴィクトリアマイル回顧~一頭だけうなるマイラー

2016-05-17 09:58:38 | 血統予想

東京11R ヴィクトリアマイル
◎7.ルージュバック
○12.クイーンズリング
▲15.ショウナンパンドラ
△2.スマートレイアー
△6.マジックタイム
×10.ミッキークイーン
×16.シュンドルボン
注13.ストレイトガール
注18.ショウナンアデラ
ルージュバックは徐々に独特のしなやかなフォームを取り戻しつつあり、前走は決して適コースとはいえない中山1800mで、2キロ重い56キロでしかも落鉄してのあの力走。復調なったとみていいのではないか。出走馬ではスマートレイアー、ウリウリ、ミッキークイーンも母系にブラッシンググルームの血を引くが、この馬が最もブラッシングルームの美点を受け継いでいるという評価は変わらない。パンドラやミッキーよりはマイル適性も高いはずで、東京の良で真価を問いたい。

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ストレイトガールは昨年が1.31.9(58.9-33.0)、今年は1.31.5(58.1-33.4)で1600mを走破、昨年よりは早目の追走でしたが直線での反応はあまり変わらず、一頭だけ違う加速でイン伸び馬場を突き抜ける完勝でした

「手応えが抜群で、いい感じで直線に向きました」(戸崎)
「ストレイトガールの後ろにつけられましたが、マイラーの勝ち馬とはギアの変わり方が違いました」(浜中)

両者のコメントがレースの全てを物語っていて、「みんな若いのに、これぐらいのペースをフウフウ言いながら追走してどうすんの?」と言わんばかりで、1000mを58秒で追走し、なおかつ4角で持ったままでうなっていたのは7歳のストレイトガールだけでした

ミッキークイーンもショウナンパンドラもさすがG1馬という脚はみせたけれど、でもやっぱりマイルの緩みないペースではオークスやJCのようには弾けず、それはブエナビスタが中距離馬の格と斬れ味で勝ち負けにまで持ち込むけれどアパパネを差せずヒカルアマランサスに手を焼いたのと同じで、2000や2400ほどは4角でうなっていないし直線弾けない

前にも書きましたが、サラブレッドの競走体系はヒトの陸上競技に置き換えれば全部中距離の範ちゅうですから、だからサラブレッドの距離適性なんてものは根本的なスプリントやスタミナだけが問われるようなものではなくて、1000~4000mの中でその距離のペースが最も走りやすいからその距離がベストなのだ、というようなものでしかない

33秒で先行して34秒で上がるか34秒で追走して33秒で差すか、スプリンターとはそんなレースが得意な馬たちのことであり、13秒台のペースを馬ナリでトボトボと燃費よく長い間走れる、ステイヤーとはそんな馬たちのことであり、1600mを58秒で追走し34秒で上がる、そんなレースに向いたスピードの持ち主がマイラーであると

当該距離の然るべきペースを馬ナリで追走して4角でうなれるスピード、つまりスピードの質こそが距離適性を決める最も重要なファクターで、私もこの馬は○○○○mがベストだろうなんてよく書いてますが、道中のポジション云々よりも追走がスムーズで4角で持ったままでうなっているかどうかがポイントやと思っていて、ベスト距離では行っても差しても、少々ズブい馬でも4角でうなってるもんです

ミッキークイーンにしても阪神牝馬Sの自身のラップは59.8-33.3ですから、これは1600mを中距離馬のペースで追走して中距離馬の斬れ味で追い込んでいるわけで、それが58.0-34.0で走破しなければならなくなると、ストレイトガールとの距離適性の差、中距離馬とマイラーとの違いが露わになってしまう

「ヴィクトリアマイルで好走する馬たちはTom Fool的でHalo的でRed God的な走りをすることが多く、良馬場の東京芝マイルを58秒-34秒で走破するのに適した自在味のあるスピード、というべきかもしれない」(「実はダンスインザムードが勝ったときから…」)

出走18頭全てがサンデーサイレンス持ちで、16頭が「1/4サンデー」で、レッツゴードンキとカフェブリリアントが「1/8サンデー」だった今年のヴィクトリアマイルにおいて、一頭だけ「これぞマイラー」という回転の速さで抜け出したストレイトガール

Halo的Tom Fool的スピードをマイルのスピードとして最も体現していたのは昨年の覇者だった、という動かしようのない現実を突きつけられて、グウの音も出ないまま京都競馬場を後にしました

それにしても繁殖入りの予定を一年延ばし、阪神牝馬を完全に叩き台にして、昨年以上の完勝で連覇とは藤原英厩舎恐るべし

強い中距離馬はたくさんいるけれど、実はケイアイエレガントより骨っぽいマイラーはいない、とまで読んでの引退撤回やったとしたら、なおのこと恐るべしです

ストレイトガールの配合については何度も書いてきたので、下記エントリ、昨年のヴィクトリアマイル回顧などを参照してください

ルージュバックは直線で外へ外へ持ち出しながら追い出されていて、ゴール前で右手前に替えてやっとエンジンがかかりましたが、あれは馬が馬群を割るのを躊躇していたのでルメールが外に出そうとしたように見えました

そういえばこの馬は馬群を割って差したことが一度もなくて、もともとコーナリングも上手なほうではないんですが、たとえば桜花賞の4角での反応の悪さは馬群の中にいたからというのもあったのかと…

そんな課題は残りましたが、ゴール前の脚を見るかぎりは、ほぼ復活なったとみていいんじゃないかと思います

第10回ヴィクトリアマイル回顧~「マイラーとは何ぞや」を問う逃げ
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/9fc2d72b6e8685c56851914466812d13
実はダンスインザムードが勝ったときから、ヴィクトリアマイルはTom Foolの支配下にあった
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/0c71dc4129a790d6a27909c4bdddc1ca


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2 コメント

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ストレイトガール (メテオ)
2016-05-17 10:24:30
引退撤回は廣崎オーナーからの打診で、藤原英師が少し時間をくださいと熟考の末に現役続行が決まったという記事を見ました。
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プール・デッセ (ゆーな)
2016-05-17 18:47:59
ガリ・ヒル配合が仏2000ギニーも勝っちゃいましたね。
そんななか、サンタラリ賞でLope de Vega産駒が勝ったのが興味深かったです。日本にはこちらのMachiavellian的な血の方があってそう。母父デインヒルとのAlmahmoud強化配合が実績を出しているのも面白いところです。
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