栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第63回宝塚記念回顧~エヴァーグリーン・ハイペリオン(6)

2022-06-28 00:08:15 | 血統予想

阪神11R宝塚記念
◎7.デアリングタクト
○10.ヒシイグアス
▲11.パンサラッサ
△4.エフフォーリア
×6.タイトルホルダー
×15.ディープボンド
土曜の阪神芝は相変わらず速い時計が出ていたしインが強かった。同じく開催4日目に行われた昨年の宝塚記念と同じような、ユニコーンライオンが2着に逃げ粘ったような馬場を想定。パンサラッサの持続力十分な逃げが脅威だが、ベストは1800か2000だろう。パンサが11.8ぐらいのラップを刻みつづけるとみれば、2000のスピードや追走力も重視したいところで、そうなると春天の1,2着に◎が打てるかどうかだ。
大阪杯組ではイン伸び馬場で外を回らされたヒシイグアスを最上位にみたい。母父がマイラーでHalo3×5だから、内回りでもシュヴァルグランぐらいは動ける馬だ。エフフォーリアは胴も脚も長くストライドで走るから、有馬のように外捲りがきく馬場がベターな気はする。
そんなこんなで着地したのは◎デアリングタクト。この枠なら内目で横山兄弟の動きを見ながら叩き出せそうだし、一年ぶりで+22キロで出てきたヴィクトリアは胸前などに筋肉がつき、マッチョになったぶん3歳時よりも可動が小さくなりよりピッチ走法になったように見える。今はRoberto×Kingmambo×Danzigのイメージに更に寄ってきたというか、宝塚で◎が打ちやすい馬になってきたように見えるのだ。

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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を

タイトルホルダー
メロディーレーンの半弟で、母メーヴェはJRA5勝。3代母Lora's Guestの全姉に英1000ギニー馬On the Houseがいる。母父Motivatorは英ダービー馬でヴァンドギャルドやステラリアの母父。母も姉も牝馬ながら長いところで活躍したが、本馬もHyperion的な持続力と粘着力と地力を強く感じさせる。ここはハナはパンサラッサに譲るだろうが、緩みないラップで流れれば離れた番手で力まず走れるのでは。皐月賞2着のような運びで。(距離○スピード○底力◎コース◎)



ヒシイグアス
スミレの3/4弟で、母ラリズはオクレンシア賞(亜G3・芝1000m)などに勝ち、母父BernsteinはレイルウェイS(愛G3・芝6F)などに勝った。ハーツクライ×Bernsteinはアドマイヤアルバやフィデルと同じ。ハーツ牡駒らしく5歳時に本格化して中山記念に勝ち、G1でも勝ち負けの地力を着実につけてきた。母父がStorm Cat系のスピード型でHalo3×5ももつので、ハーツ産駒にしては小回りはきくほうだ。大阪杯は外を回ったなかでは最先着。差は全くない。(距離◎スピード○底力◎コース○)



デアリングタクト
母母デアリングハートはEcton Parkやピットファイターのきょうだいで、府中牝馬Sに勝ちNHKマイル2着。そこにキングカメハメハ、エピファネイアと配されて、サンデーサイレンス4×3とSadler's Wells≒Nureyev4×5というオーソドックスな好配合だ。エピファ産駒らしい伸びのある体型で、母母がDanzig的マイラーだから手先も強い。ここは適距離だし、ヴィクトリアマイルを叩いた上積みも見込めるだろう。内回りのコーナリングには若干不安が。(距離◎スピード○底力◎コース○)



57.6-12.1-60.0、今の阪神でパンサラッサの逃げならこんなペースで流れる予感はあったのですが、春天と菊花賞でスタミナと底力を見せつけたタイトルホルダーがこの猛ラップを嬉しそうに追走し、そのまま後続を完封してしまうとはさすがに思いませんでした

「こんなにHyperion的な体質で、こんなにHyperion的な脚質で、こんなにHyperion的な成長曲線のチャンピオンも近ごろ珍しい」

タイトルホルダーが勝つたびにこう書いていますが、父ドゥラメンテの豪快な全身運動とは似ても似つかず、可動は大きくないけれどいつまでもどこまでも同じフォームで実直に走りつづけるさまはまさにHyperion

「エヴァーグリーン・ハイペリオン」のタイトルを回顧に使うのは6回目で、クロノジェネシスとリスグラシューに2回ずつ捧げてきたのですが、こうしてみると宝塚記念はHyperionが光り輝くレースになりやすいですよね

今の全身Hyperionずくめのタイトルホルダーならば、あの全てを出し尽くしたハーツクライのキングジョージのような、日本中の競馬ファンが魂を揺さぶられるようなレースを、海外の大舞台でも見せてくれるだろうと思います

ヒシイグアスはイン好位をとれたのがまず大きかったですが、母ラリズは芝1000の重賞を2勝、その父Bernsteinも芝6~7Fの重賞に勝ったStorm Cat直仔、そして自身はサザンヘイロー経由のHalo3×5ですから、Hペースの中山記念を好位差しで勝つぐらいのスピードはあります

「短めシュヴァルグラン」と一言コメントで評したように、母父MachiavellianでHalo3×4・5のシュヴァルが有馬記念でいつも好走するのと近い質の機動力はあり、だから大阪杯組最先着は順当といえるし、レーンも東京よりは阪神中山の内回りのほうが名人ですよね

デアリングタクトは予想コメントに書いたように、復帰後はマッチョになってパワーピッチ走法になってきて、もちろん叩いて距離延長がまずプラスなのですが、今なら東京よりも阪神内回りのほうが合いそうなイメージもありました

手前替えについては相変わらず不器用なところがあるにしても、3~4角でエフフォーリアを置き去りにして捲り上げていく脚はRobertoとKingmamboとDanzigのイメージ

逆にいうと、オークスやJCのときほど東京でストライド爆発という走りが今できるのかどうか、そのあたりは少し懐疑的にもみてるんですが、今答えを出す必要はないので秋にまた考えましょう

ディープボンドは今日は気合いをつけて出していってタイトルの直後を追走、苦しいレースでしたが、最後までバテても止まってもいないと和田

もうちょっと3着を拾うような乗り方もできたかもですが、タイトルに雪辱するにはついて回るしかないわけで、追走スピードからいえば有馬でこのケイバならちょうどいいんじゃないですかね

「ペースが速くて追走に手一杯だった」とエフフォーリアの武史はコメントしていますが、3~4角で手が動きはじめて併走していたデアリングタクトに置いていかれて、そこで勝負が決してしまったというのは大阪杯と同じ

エピファネイア×ハーツクライらしい長手の体躯から繰り出すストライドで、もともと内回りのコーナー加速が抜群という馬ではないのですが、陣営が言うようにズブくなっているのも事実だろうし、3歳時のトモがグワングワン入ってくる走りが戻ってきてないようにも見えます

それはもう発現の仕方として、もうケイティーズファーストのマイラーっぽい筋肉はつきにくくなっているのではないか、古馬になってエピファネイア×ハーツクライの血統どおりの東京2400ベスト型にシフトしてきているのではないか、とも思えるのです

けっきょくレコード決着の追走と内回りのコーナー加速に苦しんだわけですが、ゴールイン後100mぐらいの映像ではデアリングタクトとディープボンドは差して3着に上がってるんですよね

コメント (15)
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