花と緑を追いかけて

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いっぱいの主婦の日記です

芸術の秋・禅画「仙展」

2007年10月27日 | 美術館&史跡巡り

そぼ降る雨の中、中学時代の友人のtomokoさんと「仙展」(SENGAI)---禅画にあそぶ---に行ってきました。
夏に2人で上野の国立西洋美術館で「パルマ展」を見て感激し、秋にもどこかの美術館に行きましょうと約束して、以前私が勤めていた美術館にご招待したのですが・・・
母のことで病院通いが重なり、延期、延期でご迷惑をかけましたがやっと実現いたしました。

「出光美術館」は、正面に皇居の桜田門が見える絶好の場所にあります。

左に見える建物は、推理ドラマでよく画面に出てくるご存知「警視庁」です。
私がこのロビーから毎日眺めていた頃は、古いレンガの味のある建物でしたが・・・


丸の内の帝劇ビルの9Fにある美術館のロビーからは、目の前に皇居が広がり素晴らしい眺めです。
こちらは「日比谷公園」方面を写したもの・・・

リニューアルなった今回は、出光興産の創始者出光佐三の蒐集で有名になった「仙さん」の禅画展です。
江戸時代後期、博多の臨済宗聖福寺の禅僧仙さん(1750~1837)は軽妙洒脱な人柄で  広く博多の人々に慕われていました。
そして彼の描く絵も、ユーモアにあふれ、それでいながら「禅」の真髄をチクリと表していて人気があったようです。
そして今年は、87歳まで生きた仙さんの没後170年の年だそうです。

ポスターに使われたのは佐三氏が一番最初に手に入れた仙和尚の「指月布袋」でした。
布袋さんと子供が天を指差す可愛い絵には「お月様幾つ、十三七つ」と書かれています。
見てすぐに私たちは2人の指先には「月」があるものと解釈しますが・・・
実際の月は遠い空の彼方。
悟りと言うものはかように遠いものだと言う事でしょうか?

同じように蛙が座っている「座禅蛙」と言う絵もあります。
横に書かれた”座禅して、人が佛になるならわ”と言う賛にドキッとさせられます。
座禅するだけで「悟り」が得られるなら、いつも座っている蛙だって同じ事・・・
そうは行かないのが「悟り」だと教えられますね。


この「○△□」はハー君のいたずら書きではありません。
禅僧「仙和尚」の代表的な禅画とされ、佐三氏と親しかった哲学者鈴木大拙氏の解釈により、「宇宙」(the universe)と訳されました。

日本通の外人さんと話すと、必ず「禅」について聞かれます。
オーストラリア・パース在住の主人の弟子のJさんに聞かれて説明した一つがこの絵です。
この世の万物はすべてこの「○△□」からなっている・・・と理解するのが良いのでしょうか。
近年は又違う解釈が出てきているとも聞きます。


こちらの絵は「堪忍柳」
「気に入らぬ、風もあろうに柳かな・・・」という賛がそえてあります。
主人がカッカとしている時に、何度かこの絵のページを開いて机の上に載せておきました。

単に「柳に風の吹流し」では禅の教えには程遠いのです。
気に入らぬ風もあるんですよね。世の中は・・・


こちらは「さじかげん」
書かれているのは”生かそうと ころそうと”・・・

最近はさじ加減の分らないプロが多すぎる、と思いませんか?
ガンの疑いをかけられただけでも心身症になった母に、ズバリとガン宣告するお医者さん。

母は脳梗塞の症状が顕著に出て、色々検査しましたが「異常なし」
結局気の病で片付けられましたが、その母に向かっての宣告はちょっと可哀想でした
そんな母を見て、私までがちょっとガンノイローゼぎみですが、仙さんの洒脱な絵を見て少し慰められたかな?

人間「達観」できれば怖いものは無くなるのでしょうが、それがなかなか難しい


tomokoさんと時々笑い出しながらも、ジックリ作品を見てからロビーで一休み・・・
簡単なお茶の設備もあります。

お天気の良い日は正面の皇居の向こうに「富士山」が見えるはずです。
私は娘時代の4年間、毎日この景色を見ながら働いていましたが、あれから随分高い建物が増えましたね。


場所は有楽町駅から歩いて5分、帝国劇場の隣の入り口からエレベーターに乗れば9Fにあります。

この「SENGAI展」は明日の28日で終わりですが、出光美術館の代表的な所蔵品なので、仙さんの命日の10月には毎年特別展が開催されます。
興味のある方は来年までお待ち下さいね。




お堀端に建つ「第一生命ビル」の向こう側にあるのが「帝劇ビル」
その9Fが美術館です。

次回の催しは「乾山の芸術と光琳」(11月3日~12月16日)です。
都心に出たついでに、心の安らぎを得たい方は是非どうぞ・・・

出光美術館の詳しい情報はこちらです

コメント (22)
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