ミャオの家より

今はいないネコの飼い主だった男の日常

ワタシはネコである(43)

2008-04-18 17:48:56 | Weblog
4月18日 昨日も、時折小雨が降る重たい曇り空だった。
 ワタシは相変わらず、ストーヴの前で寝ていた。夕方前、飼い主が誰かに電話をかけ、その話し声が聞こえていた。受話器からもれ聞こえてくる声は、確かに聞き覚えがある。そうだ、ワタシが4年前、入院した時の病院の先生の声だ。 
 話し終えた飼い主が、部屋に戻ってきて、ワタシの様子をしきりに伺う。これは何かあると気づいたワタシは、起き上がり、いつものサカナの時間にはまだ間があったのだが、台所の方へ歩いていって、催促の声で鳴いた。
 すると飼い主は、いつもななら、「まだ早い、ダメ」とか言うのだが、嬉しそうに、「そうか食べたいのか、良かった、良かった」と言って、いつものコアジを、食べやすいように小さく切って出してくれた。
 外で何も食べずに三日、家に戻ってきても食欲がないままにさらに三日たっていたが、ようやく食べる気になった。10cmを超えるコアジなら一匹、7,8cmくらいのものなら二匹、いつももらっていたのだが、その小さい一匹では足りずに、皿を舐めていると、飼い主がすぐにもう一匹を持ってきてくれた。
 嬉しそうな飼い主の声を聞き、体をなでられながら食べるのは、ワタシにとってもいい気分だ。その後、外に出て、まだ遠出の散歩に行くほどの気力はなかったが、庭の周りを少し歩いた。
 確かに、体力が戻ってきてはいるが、まだ静養の時だ。今日は、午前中にようやく雨も上がり、昼前から日も差してきて、ワタシはベランダに出て横になっていた。
 するとクルマの音がして、ワタシを家に残したまま、飼い主は買い物に出かけて行ったらしい。
 
 「ミャオ、オマエは家に戻ってきて、三日にもなるのに、相変わらず食べないし元気もない。耳の傍の傷は、カサブタができてはいるが、少し化膿もしている。それほど寒いわけでもないのに、ずっとストーヴのそばで横になったままだ。
 年寄りのネコだし、気になって、まず本やインターネットで調べてみると、ともかく様子を見るより、病院に連れて行ったほうがいいと書いてある。そこで、動物病院に電話してみたんだ。
 4年前、お世話になって、点滴をしてもらったおかげで、ミャオがすっかり良くなった所だ。その先生が言うには、水やミルクを飲んでいれば、胃が受け付けているから、そのうち食べるようになるし、傷もひどく化膿していなければ大丈夫だから、もう少し様子を見て、精神的なショックもあるだろうから、無理につれてこないほうがいいとのこと、全くいい先生だ。 
 そしたら、その話の後ですぐに、オマエはコアジ二匹を食べてくれたし、嬉しかったよ。食べてくれれば元気になるからね。
 ところで、オマエには言ってなかったが、実はマイケルが二三度来ていたんだ。昨日は、ちょうどオレが庭に出ていた時で、オマエを求めて鳴きながらやってきた。オレを見ても、逃げるふうではない、やはり飼い猫だからな。しかし、オレとしては、オマエに傷を負わせた憎い相手、石を投げて追い払ったのだ。考えてみれば、傷の相手はあのいつかの若いネコかもしれない。だがどちらにせよ、今のオマエに相手させるわけにはいかない、分かってくれるな。
 さて今日、買い物から戻って、オマエはちゃんとサカナを食べてくれたが、その後の散歩は、家の周りを歩いてトイレをしただけ、その上、あの傷のカサブタはまたかきむしって傷口が出ている。エリザベス・カラーをつければオマエは嫌がってとってしまうだろうし、困ったな。
 ともかく、その傷を早く治し、今までのように元気に外を走り回ってくれ。そうでないと、オレはまだおびえているオマエを残して、とても北海道なんかには行けないし・・・。」
 


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