厳しい環境で育った木は、住まいの構造材や
暮らしの道具の原料に適しています。
なぜなら、木は生き抜くために
自ら油分や香り(虫を寄せ付けない香りをフィトンチッドと呼びます)を出し、
赤身(心材)に変わっていくからです。
尾鷲ヒノキが香りが強いのは、
意図して更に厳しい環境下で育てたため、
木自ら油分を出して強い木に育てあげたのです。
これから何十メートルに育つ木は、根から養分や水分を吸い上げ、樹皮のすぐ近くの木目を太らせ
毎年すこしづつ成長します。
子育てと同じで、これから成長する子どもに養分や水分を与える
イメージに近いだろうか???
中央の部分(心材(赤身)の部分)は、自ら腐りにくい性質に変え
水分を通す管(導管)がふさぎ、
生物学的には仮死状態となります。
赤身の部分は、強風などの外的要因から
身を守る骨格ような役割をします。
年々成長していく木は、
かっては辺材だった(白い部分)
ところもやがて赤身になり、
骨格の役目に変わり次世代へ
バトンタッチします。
▲写真はぬし熊さんの尾鷲わっぱ(尾鷲ひのきと国産漆をつかったおひつ)です。
スタッフの竹村はお義父さんの使っていたワッパを今でも使っています。
木を評価する表現のひとつに
「この木は粘りがある」という言葉があります。
二世代にわたり頑丈な尾鷲わっぱを使いつづけていると、
「粘りがある材」という意味を肌で感じます
もちろん職人であるぬし熊さんの技の力が大きいです。
職人さんは自分の腕を発揮するためにも
原料を厳選されます。
尾鷲わっぱは、とても頑丈で
山仕事の職人さんの弁当箱はみな尾鷲わっぱを使っていました。
以前、金沢からみえたお客様が何代にもわたり、
塗り直ししながら使い続ける、
尾鷲わっぱをみて「強いはビューティフル」と
驚かれていました。
私たちの住まいをささえている木材は、自然の力だけで出来たものではなく、
長い時間をかけ、人が手を加えて「強度の高い木」を
育ててきました。特に柱となる木は50年から80 年かけて育てます!!
自然の原理を活かしながら、お天道様や雨が育み、
私たちの吐き出すCO2(二酸化炭素)をCO2(酸素)に変えています。
日本の国土は2/3が山林です。
やはり人工林や里山のつきあい方を再考して地方創世をしていかなければなりません