蜜ロウワックス日記

小川耕太郎∞百合子社をとりまく日々あれこれ

カラーワックス

2016年11月01日 14時15分56秒 | 小川耕太郎
15年ほど前、私は、水で薄められる蜜ロウワックスを開発しようと、
毎日のように実験室(会社の台所)にこもっていた。


大なべでお湯を沸かし、ボールに入れたエゴマ油や蜜ロウを湯煎で溶かし、
アルカリイオン水を少しずつ投入しながら攪拌する。


すぐに乳化した蜜ロウワックスができて、
「俺は天才だ。」と大騒ぎをしていた。


でも、その乳化した蜜ロウワックスは、1週間もすると水と油・ロウに分離してしまった。


そこから苦悩の日々が何か月も続くことになる。


毎日、実験室にこもり、いろいろなレシピで蜜ロウワックスとアルカリ水を混ぜようと試みた。
レシピは、何冊ものノート、プラスチック容器に入れられた失敗作と共に、
何の役にも立たないゴミになった。


ある日、この失敗作にベンガラを入れたらどうなるだろうかと、
なぜか思ってしまった。


「あー、また変なことを考えてしまった。」


思ったことはすぐにやる性格の私は、また、実験室にこもり始めた。
ベンガラを取り出し、失敗作の分離した液体を湯煎にかけ、
熱くなった液体にベンガラを投入し、撹拌機で攪拌した。


何個かの失敗作でやったが、ビックリ。きちんと混ざり合い、1週間たっても分離しない。
しかも、その辺にあった杉板に塗ってみると、綺麗な色の板になった。


「やっぱり俺は天才だった。間違いなく天才。」


そこから、カラーワックスのレシピづくりが始まった。
でも今回は、1冊のノートが終わるころにはレシピが出来上がった。
カラーワックスの完成だ。


ただ、私のところでは、化学物質は使わないから、色止めができない。
床材に使うと靴下に色移りしてしまう。
乾燥促進剤や表面を固めるような物質を入れれば、
床用カラーワックスにできるのだが、それは止めることにした。


そこで、外壁に塗ったらどうだろうと、
当時、藤井が住んでいた家の外壁や雨戸に塗って、どれくらい持つだろうかと実験した。


尾鷲の大雨に何か月もうたれても、色落ちしない。
そして、次第に白い布でこすっても色落ちしなくなった。


そうやって作る「カラーワックス」を、外壁用として、オーダーメイドで作ってきた。
ログハウスの外壁や杉板の外壁。一部は古民家再生の際に梁などにも使われた。


そして先日、そんなカラーワックスを外壁に使った方から再オーダーをいただいた。
10数年前に塗った外壁の色が褪せてきたので、上塗りするみたいだ。
10数年も塗り直しせずに持っていたのなら、他の外部用塗料よりも良いのではないか?


今のところ、商品化するつもりはないけど、
カラーワックス自作キットならやっても良いのかな?


カラーワックス茶色を1キロ。




10数年ぶりに、実験室にこもり、当時のレシピで作りました。